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議会報告

2016年第1回定例会 総括質問「地域公共交通の充実について」(24分)小林久子議員【2016/3/25】

1、地域公共交通の充実について
                         
(1)LRT導入の問題点 (政策部長)
@市長はLRTについての中道議員の質問に対し、今後高齢化社会で、外出困難な人が増えてくるなかで、LRTも含めいろいろな形の公共交通網のあり方を検討しないのは、政治の無責任であると答弁しました。さらに市長は、日赤、市役所、桐生が一つのラインで結ばれる。などと語り、LRT導入で、上電沿線の街づくりが進み、街がいかにも活性化するような期待を市民に持たせています。
しかし、まだ導入についての調査の段階であり、具体的なものはまだ何も決まっていません。
新年度予算で上電及び、中央前橋駅からJR前橋駅間、さらに、西桐生駅からJR桐生駅間のLRTの延伸について調査するというものですが、街づくりと一体となった公共交通ネットワークの再編をこれから作っていこうという段階です
最大の問題は、LRT導入には1キロメートル当たり、30億円とも言われている工事費で、軌道敷設も含め、莫大な財政投入が必要であり、マイカー依存の車社会からどこまで公共交通への移行が図れるのか、需要予測、採算性、経済効果などは後回して゛導入ありきで進んでいます。様々な困難があるのに、すぐにでもできるような期待感を市民に持たせるのは問題と考えますが答弁を求めます。

●市民にまず具体的な説明が一切ないことは問題です。
全国では、いくつかの自治体で導入に向けた取り組みがされていますが、自治体の規模や、まちづくりの状況や経緯は一律でなく、様々な議論が行われていますがそう簡単にはいきません。

ALRT導入の先駆けとして、富山のライトレールは赤字路線だった旧JA富山港線がベースで、線路や、電柱などを再利用しコストを抑え、中心街まで延伸し、利用者はJR時代より倍増していますが、それでも平成26年度の損益決算では2億円の赤字です。宇都宮市のLRT計画は市街地と工業団地を結ぶ19キロに、田んぼや住宅地、小学校の敷地を削り新たに軌道をつくるというもので、450億もの莫大な事業費です。しかもピーク時には3分間隔で通過するのに主要県道との平面交差の踏切は信号機だけで遮断機を付る予定がないなど無謀な計画で、市民の反対を押し切り進めようとしています。これらを見ても市民合意や、必要度、収益性に対する投資額があまりにも大きすぎることなどが問われています。
前橋市でも上電のLRT化を、莫大な費用をかけて、導入したが、利用者が増えず赤字などということになれば市民の理解は得られないと思います。LRTの導入は慎重であるべきであり、無理に導入すべきではありません。上電の車両の更新が迫っているのなら、沿線自治体の支援を継続し、車両の更新を行い、堅実な上電の存続を進めるべきと考えます。LRT導入ありきでなく今ある交通ネットワークを生かし、市民が利用しやすい公共交通の再編を図るべきと考えますが、当局の見解を伺います。

●上電の乗客数の減少、そして、LRTの導入にかかる莫大な費用、このマイナス要因を克服する手立てが、簡単に見つかるとは思えません。

(2)鉄道利用の促進
@上毛電鉄の利用拡大
現在、上電は、利用者数の減少により、(158万人・平成24年度)国の欠損補助が打ち切られた平成10年から県、沿線市が存続を図るため、公的支援を行っています。全体で年間約2億6千万円を負担(前橋は6721万円)しておりますが、沿線住民の通勤通学、生活の足として今後もぜひ存続をしていかなければなりません。
上電も様々な工夫を凝らし、乗客の増加に努めていますが、残念なことに乗客の減少に歯止めがかかりません。
 上電の公式サイトには、各駅沿線の観光スポット、歴史遺産などの紹介が乗っています。これらの資源を生かすとともに、さらに駅周辺のお蕎麦屋さんなどおいしいお店や、産直のお店などの紹介も大々的に行い、電車利用者には、周辺の商店の割引特典を付けるなどの連携したサービスを行うことも検討すべきです。本市観光課、観光コンベンション協会とも連携して、フイルムコミッションなどドラマのロケ地として売り出す、地元食材を使ったレストラン号の運行など、沿線の魅力発信、PRにもっと力を入れるべきと考えます。また、市民、学生、高校生などから活性化のアイデアを募集するなどもよいと思います。市民を巻き込んで、行政と市民が一体となって上電の活性化策を考えるべきと思います。見解を伺います。

●上電利用促進事業として、児童文化センターの交通教室の運賃補助32万円を行っていますが、小学生の体験乗車などの企画を行い、授業の一環としての取り組みを広げることも検討すべきと考えます。

A施設整備の充実を、
これまで、新市建設計画にある上電新駅の設置を10年間議論してきましたが、上電の存続が優先課題ということで、現在も進んでいません。また、遮断機のない危険な第4種踏切をどうしていくかなどの問題もあります。
一方でパークアンドライドの駐車場整備や城東駅の東口開設など、利便性の向上にも努めてきましたが、全体として施設整備予算は押えられてきたと言えます。
駅は、トイレの設置は当たり前だと思いますが、全駅に設置されていません。また上泉駅はプラットホームへの出入りは北口からしか行けないので、南口を開設してほしいとの要望が市民から寄せられています。
乗降客の増加を図るには、利用しやすい上電にしていくことが求められます。今後必要な施設整備を行い、利用者の利便性の向上を図っていくべきと考えますが答弁を求めます。

(3)ふるさとバス・るんるんバスの充実 
@ドアツードア
合併した旧町村部は、中心部から離れると住宅が点在しており、この間ふるさとバスのバス停を増やすなどで対応してきましたが、これでは要望にすべて答えることはできず、バス停が遠いという声をまだまだ聴きます。高齢化が進み、バス停まで歩くのが大変な人は今後も増えていくと思われます。また、バス停には待合の椅子や雨風をよけるものは何もないので、バスが来るまで待っているのも大変です。デマンド方式のバスを運行している長野県安曇野市、岡山県総社市などを視察してきましたが、ワゴン車を使って乗り合い方式で、低料金のドアツードアを行っていました。誰でも利用できますが、70代、80代の高齢者の利用割合が多く、外出の機会が増えたと大変喜ばれています。本市でも自宅から目的地まで運んでくれるドアツードアへ、との要望が大変強いので、ぜひ導入を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

●国の認可を受けているというが、ふるさとバスは導入から10年たつので見直しは必要です。


Aまた、現在は運行エリアが基本的に旧町村地域と限定されており、地域を拡大してほしいという要望も寄せられています。
嶺公園はお盆やお彼岸などには、墓参りに多くの市民がお参りに行きますが、交通手段がない方には、臨時バスが出ますが、中心部からのみとなっています。ふるさとバスではぐりーんふらわぁ牧場までいけるので、あともう少し伸ばしてもらえば、墓参りにもいきやすいとの声をお聞きしています。また、近くに立派な大室公園があっても、公共交通手段が無く車が無いと行けません。
 これらを考えますと、旧町村部に隣接する芳賀、田口や荻窪、城南などの交通不便地域にも、これらの地域にふるさとバス、るんるんバスの運行エリアを拡大すべきと考えます。見解を伺います。

●今後、高齢化社会がますます進展します。移動困難者の間に利用しやすい人と利用しにくい人と、差別を持ち込むべきではありません。本気でドアツードアを検討すべきです。
るんるんは2台、ふるさとバスは3台という現在の運行台数を増やすなどで、対応すべき。
                   
(4)マイタクの利用拡大
@マイタクの運行が1月23日から開始されました。
これまで社会実験を重ねて、利用者の様々な声を聞き、運賃助成額なども改良を重ねてきました。これまで病院や買い物などの外出もままならなかった人たちが、自由に移動できる環境を整備したことは一歩前進と言えます。
そこで伺いますが、現在の登録者数8000人余りとお聞きしていますが、この登録者数と登録者数の地域的な特徴、たとえば社会実験を行った3地域や旧町村地域の登録状況。単独と相乗りの割合などはどうか、また、近距離及び遠距離の利用割合など含めた、これまでの登録・利用状況についてお聞きします。

●1月9日間の利用状況
7754人(1.31現在の登録者数) 利用者数1041人、利用回数2393回、
支援額152万4190円

Aマイタクに対する期待は大きいと考えます。近距離の乗車では料金が低く抑えられメリットがあり、利用は進むものと思いますが、一方で高齢者にとってはタクシーは高いという意識が働き、まして、周辺部の人たちには利用に対するハードルはまだ高いものがあると思います。また、迎車料金があり、2キロまでの初乗り料金が加算されますが、タクシー事業所が近くに無い地域は負担感がぬぐえません。
移動困難者対策として導入したマイタクですから、地域格差が無く、負担も公平に、だれもが安心して利用できるようにするためにも、低額固定料金での運行を今後もぜひ検討すべきです。答弁を求めます。

●当初予算として、利用者の負担軽減のための支援額として約7310万円を計上しています。今後利用状況の分析、やアンケートを行っていくとのことですが、さらに、全市デマンド化研究会も継続しているとのことですので、細かい分析を行っていただき、利用者のニーズの把握に努め、料金の見直しもぜひ行っていただきたいと思います。 

(5)地域公共交通網形成計画の策定     
国は、昨年11月に地域公共交通活性化、再生法を改正し、コンパクトなまちづくりに寄与する公共交通ネットワークを再構築するため、地域公共交通網形成計画策定することを出資の条件としています。調査業務委託費として、648万円を計上し、専門のコンサルに委託するということですが、まず、地域公共交通のニーズを的確に把握することが必要です。マイタクの導入にも、事業者間の様々な議論がありました。しかし何よりも利用者の意見を尊重すべきです。地域の交通事業者、利用する市民が直接かかわれる交通市民会議などをつくり、住民の足を守る地域公共交通について市民が主体となって進めるべきと考えるがいかがか。

   ●多様な利用者のニーズをしっかり把握し、再編できるところは再編し効率性を高めていく。このニーズ把握には、自治会、老人会、障害者団体、介護事業所など様々な地域の人のネットワークを使って、見えにくい需要や声を会議の場に拾い上げる、この視点が大切です。
 
●改正した地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通ネットワークの再編に対する国の支援を得るための計画策定であり、都市のコンパクト化とその拠点間を公共交通で結ぶ、公共交通ネットワーク形成となっています。 都市機能の誘導区域、居住誘導区域を作り、その間を地域公共交通で結ぶというイメージですが、そんな都合のいいように進むとは思えません。今後少子高齢化で交通弱者がますます増大します。朝晩の通勤通学の足を確保することと、昼の時間帯は移動困難者を対象にしたデマンド方式などをどううまく組み合わせていくか。この点が重要であると思います。

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