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議会報告

第2回定例会議案6件の反対討論(近藤好枝23日)【2016/6/27】

私は日本共産党前橋市議団を代表して議案第75号、第80号、第82号、第95号、報告第3号及び報告第4号以上6件について反対の討論を行います。

最初に議案第75号前橋市スポーツ施設の設置及び管理に関する条例の改正についてです。本議案は新設する下増田サッカー場の天然芝グラウンド4面と野球場についての使用料を新たに定めるものです。
下増田サッカー場は総事業費7億円を投入して天然芝グラウンド4面人工芝グラウンド2面とレーニングルームを設置する予定です。プロサッカーチームであるザスパクサツ群馬も使用するサッカー練習場の施設整備と報告されています。この中で天然芝のサッカーグラウンドは年間の維持管理費が1面あたり1000万円かかり。平日はザスパ草津群馬の練習と市民が利用し、土日は主に大会開催に使用すると報告されています。
グラウンド一面3時間当たり15000円の使用料はプロスポーツへの貸出料金としては妥当ですが、市民が利用する料金としては高すぎて利用できません。高校生チームなど天然芝で練習したいという意欲ある生徒を応援するためにも、営利を目的とする団体への貸出料金と市民への貸出料金を分けて市民には料金設定を低くするように見直すべきです。さらに、使用料金の設定と一緒に高校生以下や高齢者の利用料の減免規定を設けて、市民が気軽に使用できるように提案すべきであり反対です。

次に議案第80号前橋市農漁業災害対策特別措置条例の改正についてです。本議案は農業生産法人の名称を農地所有適格法人に改める条例です。
昨年の国会で可決され、今年4月1日から施行された改悪農地法によって、これまで農地を所有できる法人を「農業生産法人」としていた規定が、「農地所有適格法人」に変更されることに伴い、本市の農漁業災害対策特別措置条例において、必要な補助や貸付を受けることのできる対象となる農漁業者や農業者の組織する団体のうち、農業者の組織する団体の名称を「農業生産法人」から「農地所有適格法人」に変更しようとすることなどを目的とするものです。
農業者の組織する団体の名称が「農業生産法人」から「農地所有適格法人」に変更されることは、単なる名称変更にとどまるものではありません。農地を所有できる法人の要件は、まず役員の農作業従事要件について、現行の「農業に常時従事する役員の過半数が農作業に従事」という要件を、「役員又は重要な使用人のうち1人以上が農作業に従事」と大幅に緩和されます。さらに議決権の要件については、農業者以外で議決権をもつ人の割合を、現行では「原則として総議決権の4分の1以下」という要件を、「総議決権の2分の1未満」まで緩和します。
こうした農地を所有できる法人要件の緩和は、企業による農業や農地への参入をさらに進めるものであり、とても許されるものではありません。
2009年の農地法改悪で、企業はリース方式で農業に参入することが可能になりましたが、株式会社1,060社が参入し、すでに90社が撤退しているほどです。
農業災害から本来の農業者で組織する団体を守り、さらに本市の農業、農地、食料、食の安全を守ためにも国に追随する姿勢に反対です。

議案第82号前橋市特別業務地区建築条例の改正についてです。本議案は前橋市の産業道路沿いを指定している特別業務地区において、建築物の制限から事業所内保育施設が設置できるように特別業務地区を改訂し、規制緩和しようとするものです。具体的には規制区域内の民間自動車関連会社において企業主導型保育施設を該当事業所の既設施設を改修して設置するための条例改訂です。
子ども子育て支援法の一部改正が本年4月に成立し、事業所内保育についても改悪が行われました。無認可である企業主導型保育施設は内閣府が直接許認可権限をもち、許可されれば国から直接、施設建設や備品、運営費が補助され、国が企業内保育として位置付けた公定価格が助成されます。本市では新年度からこの企業内保育設置に当たって、国による建設費や備品費への補助対象以外の建設費や備品費に対して中小企業に対しては総事業費の12分の1、大企業に対しては総事業費の24分の1で上限500万円まで助成する制度を発足させました。
新たに国によって規定された企業主導型保育施設は従業員の仕事と子育ての両立を建前としながら、直接該当する事業所の労働者の子どもがいなくてもよい、株式会社への委託や複数事業主からの委託も可能など、その責任の所在が設置企業にあるのか、委託先にあるのか、極めて曖昧なものも認める子供の年齢制限も人数制限もない無認可保育施設です。定員19人以下でゼロ歳から2歳児を対象とする小規模保育B型での保育士配置2分の1との基準で、施設設備の基準は努力義務になっています。子どもの命を危険にさらし、保育における一層の規制緩和と市場化を推進するという大変問題のある施設です。
本市では、保護者の希望にあわないために入所できないという子どもを除いては、いわゆる待機児はおりません。公立保育所にも空きがあり、認定こども園も増えています。現状の保育需要計画の中で公立私立で対応できるにもかかわらず、あえて事業所内保育を創設する必要はありません。しかも、本市は子ども達にとって安心安全な公的保育行政を行ってきたのではないでしょうか。企業主導型保育施設設置の相談があった時点で、公立保育所にも空きがあるし、私立でも入所できる実態を示し、市が関与して子どもの発達を保障し安全な保育が保障できるように指導すべきです。保育士の配置基準を緩和し24時間保育も可能にする無認可保育園を後押しする行政の責任は大きな問題です。したがって、無認可である企業主導型保育施設を設置できる建築条例の規制緩和を認めることはできません。

 次に議案第95号土地の買い入れについてです。本案は前橋総合運動公園の用地について残った1区画を前橋市が取得するものです。
現在の総合運動公園25.8ヘクタールに新たに14.6ヘクタールを拡張すると、40・4ヘクタールという広大な施設になります。再三申し上げていますが、老朽化しているプールやトイレなどの既存施設の改修やバリアフリー化、遊具、健康器具の更新を最優先すべきであり、さらには公園全体の未活用の緑地の整備活用も課題です。総事業費35億円で、国補助金を受けても20億円近くの市財政の投入を余儀なくされ、現在約1億9,000万円の総合運動公園管理費も拡張によりさらに増大します。市内の401カ所の公園の維持管理費5億6,400万円余りがさらに膨らむことになります。本市の財政状況が厳しいと言いながら大規模事業には多額の予算を投入することは問題です。わが党はこのような点を一貫して指摘し前橋総合運動公園の拡張について縮小するように求めてきましたので反対です。なお用地を買収した時点であっても改めて施設整備規模の縮小を検討すべきです。

報告第3号前橋市幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の改正の専決処分についてです。本案は昨年導入された子ども・子育て支援新制度の実施に当たって、小規模保育など子供の安全確保に問題のある制度は導入しないという本市の見解を国の言いなりになって認定こども園にまで導入するものであります。
待機児解消のため保育士不足が問題となる中、認定こども園においても、小学校、養護教諭の資格者であれば保育士資格者でなくとも保育士定数に含めることができます。さらに、市長が認めれば無資格者でもよいと保育士配置を大幅に改悪するものです。保育士は高い専門性が求められ、ゼロ歳児を初めそれぞれの発達に応じた特徴を捉えて保育する重要な仕事であり、他の資格者にかわることはできません。全国では、無資格者が保育をしていたため事故に遭った例も少なくありません。子ども子育て支援法以前では認可保育園ではないベビーホテルなどの無認可で個人や企業の利益を追求し、3歳未満児を預かったところで死亡事故が最も多く起きて大問題になっていますが、子ども子育て支援法は無認可保育園の体制を全国どこでも認めて。安全性をないがしろにし、小規模保育にまで拡大しています。さらに、認定こども園の保育士体制まで後退させようとしています。この条例どおりに行われれば本市でも事故が起きない保証はありません。子供の命を預かる保育の専門性を尊重し、質の高い保育を行うべきであり反対です。なお、保育士の確保のために、本市として研修や登録だけではなく、処遇の改善のための予算化も行い、賃金を上げるための市独自の支援も実施すべきです。

最後に報告第4号前橋市国民健康保険税条例の改正の専決処分についてです。国民健康保険税の課税限度額を基礎課税額つまり医療給付費分の52万円を本年4月より2万円上げて54万円に、後期高齢者支援金等課税額分17万円を本年4月から19万円にそれぞれ引き上げるものです。これは、3年連続の引上げになります。
当局は今回の条例の一部改正が低所得者や中間所得者層への税負担を避けるために最高限度額の引き上げを行うとの報告がありました。しかし国保税は上限も含めて既に高過ぎます。国保会計を改善するためには、本来は国が負担すべき国庫負担額をもとに戻すことや国保の総収入に占める国庫支出金の割合を戻すこと、さらに限度額に当たる所得層をもっと細分化し、累進性を強めることも求められていると考えます。この改正による本市への影響は約4200万円で基礎課税総額の0.48%に当たり、これによる財政効果が高いとは言えません。すでに多くの自治体では国保財政は自治体、国保加入者だけの努力では解決できない状況に追い込まれているのではないでしょうか。国が削減した分を元に戻さないまま、国保加入者の限度額引き上げに負担を背負わせることは認められません。
以上申し述べまして反対討論といたします。

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