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議会報告

2016年第3回定例会 付託外議案反対討論 小林久子議員【2016/9/9】

付託外議案討論  2016.9.9(最終)         小林久子

私は日本共産党前橋市議団を代表して、今議会に上程された議案第112号、第113号、第115号 第116号 第117号 第119号 第123号 第136号 以上8議案についての反対討論を行います。

議案第112号平成28年度前橋市一般会計補正予算についてです。

 前橋ビジョン発表会は3700万円のお金をかけて沢山の人を集めプロモーションビデオを作成し開催されましたが、期待の声がある反面、まちなかの魅力アップに特化したもので、前橋市の総合的なビジョンではなく、特に少子高齢化社会における福祉の充実や市民の暮らしの応援ではなく市民ニーズに答える施策の総合性に欠けていたとも言われています。
そうした民間主導の街づくりの提案に対し、本市の当初予算にも計上されていない1000万円もの負担金を補正で支出することは問題です。
 また、医療福祉法人関係者らでつくるNPO法人が行う、歩いて健康プロジェクトの店舗改修、賃料や運営費などの補助として、350万円が計上されていますが、市内には健康増進を目的とした様々な団体が自立して活動しています。前橋ビジョン参加団体だからと市長の特別な市税投入は市民の理解は得られず、認められません。
 
議案第113号平成28年度前橋市産業立地推進事業特別会計補正予算、及び第136号 本市が産業立地として売却した土地における地中障害物の除去等に係る損害賠償の額を決定する議案についてです。

 産業用地として、本市が売却した五代南部工業団地の一部において、相手企業が新築工事に伴う杭打ち工事をしたところ、地中から大量の岩石やコンクリート片が出土し、工事が中断したことから相手方より、損害賠償額1732万3200円を求められ前橋市が支払おうとするものです。
 売主である本市が瑕疵担保責任を負うものですが、なぜ、このような大量の岩石が混入したのかについての原因究明がされていないことは問題です。
当時造成工事を落札した業者の中には重層的な下請け構造があり、発注者の指示通りの工事となっていなかったということは市の監督責任が不十分だったと言えます。その反省の上に責任の所在を明らかにし、再発しないようにしっかり検証をすべきなのに「わからない」では市民の理解が得られません。

 第115号 前橋市手数料条例の改正についてです。

マイナンバー制度は、個人のプライバシーに関する秘密性の高い情報を市民に十分な説明もなく活用し適用拡大を図るもので、最大の目的は、国民一人一人の収入と財産を把握し、税、保険料の徴収強化、社会保障の給付削減にあります。
現在、情報漏えいを防ぐ有効な対策もなく、より深刻なプライバシー侵害や犯罪を招くおそれを増大させることにもつながります。
問題山積のマイナンバー制度を本市は積極的に活用し、すでに住民票や印鑑登録証明書のコンビニ交付を実施しましたが、これに続き、今回は、所得・課税証明まで拡大を図ろうとすることは問題です。

第116号 前橋市地方活力向上地域における固定資産税の課税の特例に関する条例の制定についてです。

 地域再生計画に沿って地方拠点の強化または拡充を行う事業者にたいし固定資産税を3年間優遇するもので、賛成できません。
本社および研究研修施設など本社機能の一部を本市内に移転する企業に対し、開始年度は固定資産税をゼロ、翌年度は4分の1、3年目は4分の2に減額するものです。
また、現在地方にある本社機能を拡充する企業に対しては、開始年度は固定資産税をゼロ、翌年度は3分の1、3年目は3分の2に減額するものです。
誘致企業に助成するなど巨額な税金をつぎ込む従来型の外からの呼び込み優先の地域経済活性化策については改めるべきと考えます。
助成金の大型化が誘致企業の増加には必ずしも結びつくとは限りません。企業側は、下請関連産業群の育成状況や企業に必要な人材、インフラ整備状況、社員の暮らしやすさなど、操業後の経営上のメリットやデメリットを詳細に検討した上で立地地域を選定しています。企業は、立地補助金や減税よりも企業目線での多面的な分野の行政サービスを求めており、これ以上の優遇措置は行うべきではありません。

第117号 前橋市スポーツ施設の設置及び管理に関する条例の制定について

 6月議会で、新設する下増田運動場の天然芝サッカー場4面と野球場についての使用料が提案され、今議会で人工芝サッカー場1面3時間当たり3000円の使用料と、クラブハウスの多目的室、会議室、ロッカー室の使用料をそれぞれ定めるものです。
下増田サッカー場は、総事業費7億円を投入して天然芝サッカー場4面、人工芝サッカー場2面とクラブハウスを設置します。
天然芝のサッカー場は年間の維持管理費が1面当たり1,000万円、4面で4000万円かかり、平日はザスパクサツ群馬の練習と市民が利用し、土日は主に大会開催に使用すると報告されています。
6月議会で、わが党は天然芝サッカー場1面3時間当たり1万5,000円の使用料は、市民が利用する料金としては高すぎる、高校生チームなど、天然芝で練習したいという意欲ある生徒を応援するためにも、営利を目的とする団体への貸し出し料金と市民への貸し出し料金を分けて市民には料金設定を低くするように見直すべきと指摘し、さらに、使用料金の設定と一緒に高校生以下や高齢者の利用料の減免規定を設けて市民が気軽に使用できるようにすべきと提案しました。
今回、高校生以下の者が使用する場合は使用料を2分の1とする減免規定を設けましたが、市民が気軽に使用する金額としてはまだ負担が重すぎます。さらに高齢者を減免の対象としていないことは問題です。

第119号 前橋市企業立地促進条例の改正についてです。

企業誘致条例がことし3月31日で失効し、企業立地促進条例となりましたが、我が党は、かねてから企業を誘致するために補助金を交付することには反対をしてきました。
本市及び県企業局が造成分譲した工業団地についても固定資産税相当分と事業所税相当分を3年から5年助成し、雇用促進助成金を市内新規雇用者の10万円を20万円に引き上げ、新たに転勤市内居住者に対して1人20万円助成する、土地取得費の10%、1億円を上限に助成するなど、今までよりもさらに手厚くする条例改正が3月に行われたばかりです。
国は2014年6月に小規模企業振興基本法を制定し、本市では中小企業振興基本条例を作り、小規模事業者への支援を打ち出しています。地域経済を振興するためには、外から企業さえ呼び込めばその波及効果で地域が栄えるという企業誘致頼みから脱却して、地元で懸命に頑張っている中小企業、小規模事業者を積極的に応援し、技術力を育て伸ばしていくことや、前橋市の地域資源を生かし、市内で仕事とお金が循環する前橋独自の産業振興策を構築して雇用を創出する内発的な経済振興策に転換すべきです
今回の条例改正は、企業立地の促進により優遇措置の対象となる産業用地をさらに拡大するもので、旧前橋工業団地造成組合及び群馬県企業局が工業団地(産業用地)として造成した土地(泉澤工業団地、西善工業団地、富士見小原目団地)などを加えるものであり、反対です。

第123号 前橋市立学校設置条例の改正についてです。

 朝倉小学校と天神小学校を統廃合するために朝倉小学校をわかば小学校に改め、廃校にする天神小学校を削除する条例改正です。
 この間市教委は学校統廃合方針のもと、小規模校は競争がなく活力がない、人間関係が固定化し、切磋琢磨ができないなどと説明し、小規模校のデメリットをことさら父母や地域の人々に強調し、統廃合をすすめてきたことは認められません。
子どもたちのいじめや不登校の問題や、競争教育や管理教育にさらされ、教職員も多忙感に苦しんでいます。今ほど一人一人の子供たちに目も心も行き届く教育が求められているときはなく、学校規模を拡大することは決して子供たちの教育条件の整備にはならないと思います。
文科省は昨年1月、60年ぶりに統廃合基準の改正に当たる、公立小学校・中学校の適正規模、適正配置等に関する手引き」を公表し、小規模校のデメリットをより強調し、通学距離基準にスクールバスを用いる基準を加え、小学校6学級、中学校3学級以下校の統廃合を提言し、新たな時代に求められる教育活動に一定の規模の必要性を強調するなど、適正規模化に向けた強力な指針を提起しています。
ところが、秦野市では統廃合はしないという方針を貫いており、どんな小さな学校でもコミュニティの中心と位置付けて、小学校を複合化し老人施設や公民館、社会教育施設などを併設して存続しています。
これまで、上川渕地区では、天神小で様々な地区の行事が行われてきており、地域では引き続きグラウンドの使用を要望しています。学校がなくなることでこうした地区の行事に影響が出ることが心配されます。
なお、日赤病院の移転に伴い、今後人口増が見込まれる地域であり、早急に統廃合を行うことが良いのかも問われています。
子供たちに不安を与え、地域にあつれきを生み出して進める小規模校の統廃合を前提とする小中学校の適正規模、適正配置方針は撤回すべきです。

以上で、8議案に対する反対討論を終わります。
 

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