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議会報告

第3回定例議会・総務委員会質問@行き過ぎた税収納行政の改善A交通弱者支援の公共交通の充実策B救急救命活動の充実C防災減災対策の充実(2016年9月14日・長谷川薫議員)【2016/10/1】

2016年9月議会・総務常任委員会質問(長谷川薫)

1、税収納行政の改善について

@平成27年度に滞納した市税及び国保税徴収のために執行した財産差押えの状況をお聞きします。差押えの総件数と金額、その内訳として、国保税と市税別の件数と金額、さらに総件数のうちの給与・年金・売掛金の差押え件数と金額、さらには債権差押え件数と金額とそのうち預金債権の差押え件数と金額を示してください。

A本市の差押え件数が、全国的にも異常に多いという認識をお持ちでしょうか。例えば、厚生労働省の直近の2014年度の資料によれば、全国の国保税滞納世帯336万世帯に対して、全国の市町村が執行した滞納整理のために差し押さえた件数は27万7千件です。差し押さえ率は8.2%。差押えた金額は943億円です。都道府県単位で最も差押え率が高い県が群馬県であり、その率は33.4%です。その群馬県内でも異常に突出しているのが差押え率90.8%の前橋市です。本市は6920世帯の滞納世帯に対して6286件の差押えをして約8億5千万円の金額を差押えています。大阪市と比べても異常さが目立ちます。前橋市の8倍、人口270万人の大阪市の差押え件数は前橋より2千件も少ない4107件です。国保滞納世帯9万4千世帯に対してわずか4.3%です。
 もちろん、1世帯当たり預金口座などを年間数件差し押さえる場合もありますので、1世帯1件とはなりませんが、それでも異常な数字であると言わざるを得ません。差押え率90.8%という数字を見ても、全国平均が8.2%ですから、最も過酷な差押え処分の執行による滞納整理をしている自治体です。決して誇れる数字ではないと思いますが、なぜこのような状況になっているとお考えか、お聞かせください。

B長期間自主納付に至らない滞納繰越案件が催告書一つで解決に向かうことは期待できないと決めつけて、それよりも何よりも滞納者の財産調査をきめ細かく行って、いかに数多くの差押を執行できるかどうかが滞納繰越の収納率に直結する。こうした差押え最優先の考えが収納課の基本方針になっているのではないでしょうか。
 催告をしても納めない方や納税相談に来ない滞納者に対しては、早期に預金口座を差押えて滞納者に制裁を加えて来庁を促す手法は、当然、納税相談のスタート段階から市民も職員も双方に緊張感が生まれるのではないでしょうか。このようなやり方を続けていれば、生活実態をていねいに聴取して、生活の再建を援助しながら自主納付を促すという徴税の本来のあり方がわからなくなってしまうのではないでしょうか。差押え優先では歪んでいくというか、見失っていく危険性をはらんでいると思います。
 本市の異常に多い差押え件数は、現実に滞納整理の手法が本来の自主納付の指導という原則を踏み外していると思いますが、当局どのようにお考えか。

C昨年度の自主納付に向けの「徴収の猶予や換価の猶予」などの運用状況をお聞かせください。

D滞納者に対する納税緩和制度がほとんど運用されていないことは残念です。それどころか、しばしば収納課の納税相談の現場では「滞納繰越額を1年以内に完納しなければ差押えをする」など機械的で、威圧的な対応をして、無理な分納額を示しています。
 本来、地方自治体というものは、市民の苦しい生活に寄り添って税金を納められるように支援すべきだと思います。少なくとも納税相談に来られた方との接触をもっと大事にする、丁寧な対応をすることが必要です。
 重い腰を上げて勇気を出して納税相談に出向いた市民に対しては、財産調査だけではなく、滞納となった原因をはじめ、納税者の収入、財産などの実情を十分に把握すべきです。経済的な事情により納税ができない場合については、地方税が定める徴収緩和制度の要件である生活困窮者等に該当することが判明したときには、徴収猶予や無理のない分割納税などを認めるなど、柔軟な対応をすべきです。答弁を。

E誤解のないように申し上げますが、私は税の滞納は仕方がないものだから払わなくてもいいといっているわけではありません。収納課職員のみなさんには、市民が困難な状況にあるときにこそ、親身に相談にのって一緒に解決策を探していく姿勢を求めているのです。  
 私的なことほど行政には言い出しにくいと言っていた方が、勇気をふるって市役所に行ったけれど、職員の方にひどい言い方をされたので、悔しくてもう二度と行きたくないというような経験をされて、市税の滞納額がそのまま増えてしまって途方に暮れてしまう・・・・そんな方もいらっしゃいます。だからこそ、収納課職員は「期日内納税者は善良な市民で、税金の滞納者は悪質な市民」という認識を改めるべきだと思います。
 私が相談を受けた方の中には、厳しい経済情勢の下で仕事が不安定になって収入が激減したり、身体を壊したり、家計のやりくりがきつくてサラ金から借金をして返済に困ったりなどと、さまざまな事情を抱えている方も大勢おられます。不安定雇用の人、病気や失職で収入の道を絶たれた人、さらに国保税のようにそもそも税金自体が所得に対して過度の負担に設定されているなどの現状もあり、総じて生活困窮者です。そういうケースに対して画一的にサラ金並みの延滞金を課して取立てを迫る。本来なら最後の手段である差押えを真っ先に執行するという現在の滞納整理を改めるべきです。
 滞納処分・差し押さえの対象者の条件は、まずは払う意思がまったくない確信犯的「悪質な納税者」つまり、お金に余裕があるのに、払いたくないからと言って納税を拒む者、に絞るべきだと思いますが、課長はどのような認識ですか。

●法的には「差押ができる」ではなく、徴税吏員らに対して「差押しなければならない」と規定されています。さらに滞納者と接する際も、滞納している自己責任を問うため、本人が「どのように考えているのか、どのように納付していくのか」という働きかけが基本とされています。
 このような基本的な関係性があるため、滞納者と接する徴税吏員が高圧的な立場を前面に出す場合も少なくありません。基本は基本として踏まえなければなりませんが、やはり現在事情があって滞納されている方々に対して、「過去においてはまじめな納税者であった方であり、未来はまじめな納税者となる方」という観点で敬意を払って接するべきものと思っています。特に私たち公務員に対して厳しい視線が向けられがちな現状の中、納税交渉という場面においても極力「上から目線」の態度は慎むことが大事だと考えています。

F次に滞納整理にあたっては、滞納者への法を逸脱する行為は、絶対にあってはなりません。ところが、前橋市の差押えの9割近くを占めている預金口座の差押えで、憲法25条で保障すべき市民の生存権を脅かす事態をたびたび引き起こしています。給料そのものを差押えるときは、国税徴収法76条1項に基づいて、税金と社会保険料+本人10万円プラス家族一人当たり4万5千円など最低生活の維持に充てられる一定の金額つまり差押え禁止額を除いて差押え金額を決めているが、給与や年金がいったん預金口座に振り込まれたら、振り込まれた当日、振り込み直後に、狙い撃ちするように禁止額を無視して差押えている。しばしば残額をゼロにするような給与の振込額全額、すなわち生活維持費まで根こそぎ差し押さえています。数多くの事例を党市議団は持っております。徴収率向上を最大の目的に、差し押さえが乱用されていることは重大です。このような口座に振り込まれた給与や年金全額の差押えはもちろん、給与であれば差押えできない金額の差押えは直ちにやめるべきだと思うがどうか。

●ひどい差押え事例〜給与も年金も銀行に振り込まれた時点で、差し押さえ可能な一般債権扱いにしてよい、さらに「滞納処分」が徴収率向上対策の普遍的な手法であるとして件数を増加させ、滞納処分を推進していることが、深刻な事態を広げています。
 生活実態を十分把握しないまま、取り立てだけを厳しく行っている結果、納税者が困窮状態に陥るということが本市収納行政の下で頻繁に起こっているわけです。
 年金生活者の2か月分の年金全額を差押えたために、生活保護を2カ月受給された高齢者もいますし、がん治療を継続できなくなった方や、家賃も支払えなくなった方もいます。やっと就職できて最初の給料を全額差し押さえたひどい例もあります。このような憲法25条で保障すべき最低限の生活を奪うような差し押さえは、違法な差押えです。このような一方的な取り立てが優先されている問題を看過するわけにはゆきません。少額分納を安易に行わず、財産調査を徹底し、滞納処分を容赦なく行うことを収納課の方針としているからこのようなことが頻発しているのではないでしょうか。
 徹底した財産調査と速やかな滞納処分の徹底を方針として、労力をあまり要さず、短期間で確実に効果が期待できる絶大な効果を有する預金債権の差し押さえを中心とした「滞納整理の推進」を図る方針は直ちに改めるべきと考えますが答弁を。

G税金滞納者の銀行口座に振り込まれた児童手当を鳥取県が差し押さえたのは違法とする2013年11月の広島高裁判決が確定しました。この判決は、一般に差押えが許される預金債権であっても、児童手当等の差押禁止財産の入金直後であり、かつそれ以外に入金がない場合などは、差押禁止財産自体を差し押さえたのと変わりがないと認め、違法としたものです。
 児童手当を受け取る権利は、現実にお金を受け取ることができるようにするために差し押さえが禁止されています。しかし、行政機関は、児童手当が銀行口座に入金され預金となったあとは、「預金の払い戻しを受け取る権利、一般債権」に変化するから差し押さえは許されるという理屈で差し押さえを行い、税金を徴収してきました。判決は、これは違法と判断し、鳥取県に返還をするよう命じました。
 私は、前橋市もこの判決を無視せず、給与の差押えも含めて判決の趣旨を徴税行政に生かして、適正な税金徴収をすべきと考えますが見解を。

※この判決は、●預金になったあとでも「差し押さえ禁止の趣旨に反する(支給の目的・意味を失わせる)差し押さえは違法」と明示したこと、
●違法な差し押さえに対しては、「返せ・賠償しろと言える権利」があり、民事裁判で救済されると明言したこと、そして実際に県に児童手当の返還を命じたこと、
●高裁が明確に違法と判断した以上、今後同様の差し押さえをした場合には「行政機関の不法行為」となりうることを示しています。

H国税徴収法にはこう書いてあります。その財産の換価を直ちにすることにより、その生活の維持を困難にするおそれがあるときは換価を猶予、解除することができるとあります。その案件が差し押さえ禁止規定や納税緩和制度に該当しないか、まず検討せよと、差し押さえありきはやるなということです。徴収制度が容認しているのは、ごく一部の悪質な滞納者に対するもので、納めたくても納められない真に困っている一般の滞納者に向けられているものではありません。裁量権を振りかざし、差し押さえありきで迫るのでなく、滞納者の実情を踏まえて、慎重の上にも慎重にと注意を喚起しているのが徴収行政の正しいあり方です。この法に反し、無慈悲な差し押さえを強行し、滞納者を打ち砕く行為をしているのではないか、見解を

I「地方税法」15条の7は滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行を停止することができる。と規定しています。2014年の1月24日付「総務省通達」は、徴税対策については、納税者が税を納付しやすい納税環境の整備を図るとともに、悪質な納税者に対しては厳正に対処する必要がある。一方で、地方税法では、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、その執行を停止することができることとされていることを踏まえ、各地方団体においては、滞納者の個別・具体的な実情を十分把握した上で、適正な執行に努めていただきたい。と強調しています。最後に福田財務部長の見解を求めます。

 結論〜収納率向上のために、鬼のような取り立てはダメと国も言っています。滞納処分を通して租税債権の徴収をはかるために徴収職員には大きな権限が与えられている。徴税職員には強い権限を認めている。納税者の態度如何によってはこういう強い権限を行使しなければならない必要があるかもしれません。しかしながらこの権限の行使は滞納者の生活、事業等に重大な影響を及ぼすので、滞納処分に当たっては法令に反することなく、言動や行動等にも十分配慮し、適正・適法に実施することが求められます。この強権力の発動は、悪質な滞納者、意図して税金のがれをしようとしている、そういう悪質な滞納者への発動であって、少なくとも私たちが相談を受けるような、不況にあえぐ業者の方々、病気や失業で払えなくなってしまったそういう方々に対して用いうるものではないと思います。
 滞納者の暮らしの実態調査も十分せずに、預金や生命保険などの財産調査を最優先し、問答無用で生活や営業に必要不可欠な生活口座、預金を差押えして滞納税を徴収する処分は権力の乱用です。まずは滞納者の実情等を十分把握した上で、やむを得ない場合に限って差し押さえ処分を行うという立場を堅持すべき。現在の収納行政・滞納整理を抜本的に温めるべきです。強く指摘しておきます。

2、交通弱者支援の公共交通充実策について

@バスなどの公共交通の利便性が高い市街地から離れた郊外に住む高齢者いわゆる交通弱者は、マイタク利用も料金負担が重いために容易に利用できない状況があります。駅を結節点に巡回するマイバスが4路線運航さていますが、城南・総社清里・芳賀・田口・山王地区など市内の交通不便地域に、JR駅だけではなく上電駅や路線バスやマイバスなどと結節する新たなマイバス路線の創設を住民の要望も聞きながら検討すべきではないでしょうか。

Aマイタクの利用料の軽減についてです。近距離利用者には大変好評ですが、通院などで長距離の利用者は支援金の上限が1000円となっているために負担が重く、利用抑制が働いています。したがって、一人乗車の場合の市の支援金の上限を例えば、運賃3000円までの場合は1500円、4000円までは2000円など半額までの支援に引き上げる検討が必要なのではないでしょうか。また、複数乗車の場合の支援金額を、3000円以上の運賃の場合は現在の500円を800円程度までに引き上げるなどの検討ができないでしょうか。

B停留所方式のふるさとバスやるんるんバスを自宅から目的地まで直行できるドアーツードア方式に転換してほしいという住民要望が強まっています。旧勢多郡地域は、住宅が点在しているうえに坂道が多く、高齢者などは停留所まで歩きてゆくことや、夏や冬の時期は野外の停留所で待機してバスを待つこと自体が苦痛となっています。交通弱者の歩行可能距離も高齢化の進展で短くなっています。是非とも、運行方式をドアツードア方式に転換していただきたい。見解を。さらに、住民の強い要望である運行区域の拡大です。基幹病院や市役所、前橋駅まで直行できるような検討ができないでしょうか。答弁を。

C今、上毛電鉄LRT化の可否についての検討が始まっています。そこでお聞きしますが、中央前橋駅からJR前橋駅まで運航しているシャトルバスは昼間の時間帯の利用がほとんどないと聞いていますが、利用状況をどのように認識しているでしょうか。また、JR前橋駅までの延伸は軌道整備だけで30億円かかると試算されています。その緊急性と費用対効果をどのように判断しておられるのか。公共交通形成計画に上毛電鉄LRT化を位置づけることは困難ではないかと考えますが。見解を。私は、他の公共交通より高い運賃の引き下げを県や沿線自治体が行い、利用促進を図ることの方が先決だと思います。見解を。

結論〜すでに2013年12月4日に交通政策基本法が公布され施行されています。現在、本市も公共交通形成計画の策定中ですが、市民が安心して豊かな生活と人生を享受するためには、交通・移動の権利を保障し行使することが欠かせません。今後、全市的に少子高齢化社会の進行により、多くの移動困難者が発生すると予想されます。これらの人々の交通権を保障することが今後の大きな課題となっていますが、市民の間に貧困化が拡大し、公共交通の運賃負担やマイカー保有が経済的に困難になっている世帯が増加しているだけに、低料金で利用しやすい地域公共交通の整備は緊急の課題となっています。ぜひ施策展開のスピードを上げていただきたいと思います。

3、救急救命活動の充実について

@昨年度の本市消防局の救急出動の総件数は15,065件にも及んでおり、今後、高齢化の進行によってさらに今後とも増加するものと思われます。とくに市内中心部に位置する千代田分署の出動件数が増えて、消防車による出動もあるとお聞きしております。出動件数が増加することで救急車の現場到着時間が遅れたり、救命率の低下などが心配されます。救急体制の強化とともに、他都市では、すでに通報時に緊急度や重症度を識別するトリアージの導入も検討が必要なのではないでしょうか。
 そこで、本市における救急要請時の通報時の対応と、救急隊の救急救命処置と病院選定などの現場活動の時間短縮の取り組み等の救急活動の体制を一層充実する必要があると思います。答弁を求めます。

A次に、救急活動上の困難事例の対応についてお聞きします。救急対応の中では、妊産婦の方・周産期の方の緊急要請や、一人暮らしの高齢者などで、ドアに鍵がかかって救急隊が屋内に入ることができない場合も想定されます。そのような困難な救急要請時にどのような対応をされているのか。お聞きします。

Bドクターカーの運用についてお聞きします。現在はドクターヘリ運航の補完事業として、昼間だけの運用でありますが、ひと月に30回程度の出動とお聞きしています。重症・重病患者の救急現場に医師が到着して処置を行うことは大変有効であると考えます。今後、夜間の運用も含め、消防局として一層運用の充実を図っていただきたいと思いますが、答弁を求めます。

結論〜いつどんな時でも、急病人やけが人のもとに急行し、救急救命士が的確な救急救命処置を施し、病院選定を迅速に行ない病院に収容する活動は、高度な医療技術が進んだ現在でも、医療の原点だとされています。高齢化の進展で、救急搬送人員数は増加すると思われます。心臓や脳疾患などの重傷者も増えてくると思います。いっそうの救急車の増車や救急隊員の研修の充実なども含めて救急体制の充実をお願いしまして、この項目の質問を終わります。

4、防災・減災対策について

@最初に災害時の要援護者の避難・救護体制の充実について伺います。全国各地で台風の猛威による被害が続いています。これまでの常識が通用しない台風の進路や暴風雨に襲われ、尊い人命が奪われる事態に至っています。本市も先日の台風13号の際には、避難準備情報、避難勧告が出され、市内各所の避難所が開設されました。平成25年の災害対策基本の一部改正によって、地震など自然災害時に、自力では避難できない障害者、高齢者など災害時の要支援者について、市があらかじめ、その対象者の名簿を作成とその名簿を地域の消防団、自主防災組織、自治会などの関係者への事前提供が規定されました。本市の平成27年度末の登録必要者人数と、その情報提供者先や避難のための体制の整備状況をお聞きします。


結論〜対象者の登録が急がれています。それは、5年前の東日本大震災でも、避難が困難な障害をもっている人の死亡者数が、住民全体の死亡率の2倍に上っていることが、調査で明らかになっています。
 災害時に必要と思われる安否確認や避難の支援が必要と判断される人が1万人でありながらその登録が1割にとどまっている状況は、やはり問題だと思います。対象者の中で支援を希望する者は、申請により要援護者名簿に登録をすることになっています。命にかかわることですので遠慮せず、登録をするように市民啓発を進めていただきたいと思います。同時に自主防災組織やボランティア等が名簿を日常的に活用し、災害時には力をあわせて避難を援助し、人命救助にあたることができるように、災害時要援護者支援体制の整備を急いでいただきたいと思います。また合わせて、避難所のバリアフリー化や避難された要援護者の避難生活のきめ細かな支援や福祉避難所への移送計画なども十分今後検討していただくよう要望しておきます。社会的弱者に焦点を当てた防災対策は、より多くの住民のいのちを救うことになるということを、災害対策の肝において進めていただくことを強調しておきます。

A 次に早期避難対策についてです。先の台風10号は、東北地方や北海道に大きな被害をもたらしました。異常気象による台風や集中豪雨や地震災害ばなくなりません。
 これまでの東京都大島町の土石流災害や昨年の常総市の鬼怒川の決壊による洪水災害などで、自治体からの情報提供が適切ではなかったと指摘されている事例も見受けられます。先日の台風13号の際は、本市も「土砂災害警戒区域」の富士見の大同地区箕輪地区と苗ヶ島町湯ノ沢地区粕川町中ノ沢地区に避難準備情報や避難勧告が発令されました。
 避難勧告と避難指示の違いなど、本市の避難に関する情報発令の判断をどのように行っているか、お伺いします。 

 避難勧告・避難指示とも、災害が発生し、または発生するおそれがある場合に、市民の生命、身体を災害から保護するため必要があるときに発令するものであります。 なお、避難指示は、被害の危険が目の前に切迫している場合に発令することとしております。

結論〜地域防災計画では、「市長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、住民の生命又は身体を災害から保護するため必要があるときは、必要と認める地域の住民に対して、避難のための準備情報の提供や立退きの勧告又は指示を行う。特に、高齢者や障害のある人等、避難行動に時間を要する災害時要援護者が迅速に避難できるよう、避難に関する情報の伝達を行うなど、マニュアル・計画に沿った避難支援を行うよう努める」と記されております。

 暗くなる前とか風雨が激しくなる前だとか、水害が出てからというのでは、なかなか避難するに避難できないこともありますから、早目の避難勧告が必要です。空振りになっても、安全確保を優先することも必要です。そのためには避難勧告や避難指示が市民に理解され納得を得られることも必要です。発令する基準を日常的に市民に周知していただくよう要望します。

B最後に災害防止のための関係機関との連携についてお聞きします。

 先の台風10号は、東北地方や北海道で大きな被害をもたらしました。5年前の震災と大津波と原発事故で被災した地域で再び災害が繰り返されました。今、地球温暖化の影響もあり、いつどこに集中豪雨が発生するかわからないだけに、私たちも決して油断できません。ハザードマップなどの見直しは検討されているのでしょうか。昭和22年のカスリン台風の時には、赤城山に降った集中豪雨で川が氾濫して多くの犠牲者が出ました。地震災害についても群馬県内にも柏崎銚子活断層があり、直下型の地震発生も予想しなければなりません。市の防災計画では、震度6強の地震が前橋で発生した時には1万3千棟の住宅が倒壊し、死者70人、負傷者は1800人に上り、被災者は4万8千人と被害を想定しています。
 災害時には、防災関係機関が連携して情報の収集と共有、伝達に努めるなど、関係機関との連携が重要だと考えます。日常的に、どのような連携を図っておられるのかお伺いします。

結論〜東日本大震災では、自治体職員が被災し、施設の多くが被害を受け、防災計画の中心対策である応急対策がほとんど機能しなかったといわれています。
 その教訓から学び、人命保護、財産の保全に最重点をおき、あらゆる規模の地震・洪水による被害想定にも十分に対応できるよう見直し、最大限の被害を想定した対策とすること。なによりも県や気象台からの土砂災害警戒情報、最新の雨量情報等を迅速に把握するための、情報伝達システムの整備、そして関係機関・部局の連携が必要です。水害における河川水位のような目で確認できる分かりやすい判断基準の導入も検討していただきたいと思います。住民や自主防災組織への情報伝達とともに、防災無線や防災ラジオの一層の普及などに力を注いでいただきたいと思います。

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