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議会報告

第4回定例会反対討論・12月8日近藤好枝【2016/12/8】

 私は日本共産党前橋市議団を代表して議案第145号・第165号・第167号以上3議案について反対討論をいたします。
最初に議案第145号平成28年度前橋市一般会計補正予算についてです。第1は前橋版CCRCに係る不動産鑑定委託業務等の追加等128万7千円です。
反対理由の一つは住民が期待する特養老人ホームなどの高齢者施設や医療施設の整備を優先すべきだからです。日赤病院跡地のCCRC構想は、国の地方創生事業の目玉事業であり、首都圏の元気で経済的に余裕のある高齢者の移住を期待して有料老人ホームなどを整備し、生涯を安定的に暮らせるシニアタウンを整備する構想です。国の交付金に期待しても、民間デベロッパーの事業参画がなければ成り立たない事業です。少なくとも前橋市民の特養入所待機者1,000人の解消につながる事業にすべきです。
反対理由の2つは市民の意見を十分聴収し反映させて慎重に検討すべきであり、事業先にありきの構想だからです。3.8ヘクタールの日赤病院跡地のCCRC構想は市が基本的な構想を関係機関と相談しながら策定して、資金提供や事業計画を提案する民間事業者を公募するという説明がありました。民間活力導入の手法は、民間への事業委託や指定管理者と比較しても大変大きなリスクがあって、事業運営に失敗すれば結局市民の税金で担わなければならなくなる危険性もあります。たとえば、福岡県朝倉市に全国に先駆けて開発されたCCRC「美奈宜(みなぎ)の杜」は、総事業費300億円で住宅ゾーンやコミュニティセンター、多目的ホールやフィットネスクラブ、さらにはゴルフ場なども建設される「夢の街」となる予定でした。3000万円の家を退職金で購入した方は「何でもそろっているから安心して住めると思いました。ユートピアという気持ちで過ごせる街という雰囲気があったのです」 ところが、街は計画とはかけ離れたものになっていきました。1000人と見込まれていた入居者は実際には200人しか集まりませんでした。そのため開発業者の経営が悪化して、多目的ホールやフィットネスクラブなど老後を生き生きと暮らすための施設の建設が次々と中止となってしまいました。夢の街がゴーストタウンになってしまいました。計画通りに入居者が集まらなければ、民間事業者の経営が行き詰まり、撤退あるいは破産する危険性があります。事業計画を事前に市民に十分説明し、市民意見を反映させて、そのうえで事業を実施するか否かを判断すべきです。
第2は前橋総合運動公園整備事業費追加1300万円についてです。反対の理由は総合運動公園拡張事業計画の縮小を検討すべきだからです。現在の総合運動公園25.8ヘクタールに新たに14.6ヘクタールを拡張すると40.4ヘクタールという広大な施設の整備が進められています。再三申し上げていますが、老朽化しているプールやトイレなどの既存施設の改修やバリアフリー化、遊具、健康器具の更新を最優先すべきです。また、既存スポーツ施設の耐震化や大規模改修を優先すべきです。総事業費35億円で、国の補助金を受けても20億円近くの市財政の投入を余儀なくされ、約1億9千万円の総合運動公園管理費も拡張によりさらに増大します。市内の400カ所余りのすべての公園等の維持管理事業経費約8億3千万円余りがさらに膨らむことになります。本市の財政状況が厳しいと言いながら、大規模事業には多額の予算を投入することは問題です。我が党は、このような点を一貫して指摘し、前橋総合運動公園の拡張について、縮小するように求めてきました。防災拠点の整備をする予定ですが防災拠点であれば、大室公園でも前橋公園でも十分活用でき、重要な施設にできるのではないでしょうか。あえて莫大な施設整備をする必要性はありません。

次に議案第165号前橋市学校給食共同調理場設置条例の改正についてです。
粕川共同調理場を廃止する条例ですが、反対の理由は共同調理場のいっそうのセンター化を進めるからです。
粕川調理場で調理していた給食は北部や東部で調理されることになります。学校給食の調理場については本来ならば、高崎市のように自校方式で各学校に調理場があり、調理のおいしいにおいが廊下に漂い、調理員の顔が見える食育の核となるべきものだと考えます。だからこそ、高崎市は全国から先進地として注目されています。一方、本市の学校給食は市内7つの共同調理場で北部調理場では市内最大の6800食調理する大規模なセンター方式です。しかも、経費削減だけを目的に一部調理・運搬業務まで民間委託してきました。この上、粕川調理場を廃止して統合し、北部や東部に移行して食数を増やし大規模化することになります。粕川共同調理場は老朽化しているのでリフレッシュして建替えるべきであり、地元にあるからこそ運搬距離も短く、調理したてのあたたかい給食を子どもたちに提供できましたし、地域の地産地消を推進することができたのです。

議案第167号前橋市農業委員会に関する条例の改正についてです。
 反対の理由の第1は「農地の番人」としての役割が弱体化するからです。
農業委員会は、農業の発展と経営の合理化、農民の地位向上を目的とし、行政庁から独立した立場を与えられている行政委員会です。農民から選挙で選ばれる委員と、土地改良区などの団体から推薦された委員で構成され、農地の権利移動や転用に関する許認可業務をはじめ、認定農業者の育成や農地の適正利用、農業に関する意見の公表・建議など様々な業務を行っています。条例案は、農業委員を選ぶ選挙を廃止して市長による任命とし、現行46人から24人以内に数も半減させるという内容です。「農地利用最適化推進委員」という実働部隊を新しく設けると言いますが、「農地の番人」としての役割の弱体化は避けられません。
 反対の理由の第2は農業関係者の意向ではなく、財界の意向で進められているからです。国の2013年1月に設置された規制改革会議の議長は住友商事の相談役で、メンバーの多くを財界人が占めるなど農業関係者は全く参加していませんでした。この審議会で「選挙制度を廃止するとともに、議会推薦、団体推薦の選任制度も廃止」と明記するなど大筋の案が答申されました。
 規制改革会議の上位の諮問機関である産業競争力会議で安倍総理は、2014年5月19日の会合で林農水大臣に「農政転換のラストチャンスとの認識の下、以上の改革について官房長官と調整して実行していただきたい」と厳命しました。まさに安倍首相の「戦後レジュームからの転換」の一環だということであり、企業による農業に力を集中して成長戦略を推進するという方向で進められたねらいこそ、農業関係者の意向とは相反するものであり問題です。
 反対の理由の第3は農業委員は地域の信頼が不可欠だからです。
農業委員は、本来自由であるはずの農地という私有財産の使用・処分に介入する仕事であり、農家の理解と納得を得るためにも地域からの厚い信頼がなければ務まりません。だからこそ、農民が自らの意思で代表を選ぶ方法が採られてきました。農家からは「誰がなるか分からなくなる」「地域から信頼されている人でないと」との声が上がっています。重大な権限を持っているからこそ選挙という民主的基盤によって支えるというのは民主主義の基礎のはずであります。
反対の理由の第4は農地利用最適化制度は農業者支援とは矛盾するからです。
農業委員会は現在、時々の市財政に左右されずに必要な予算が保障されています。これは国からの交付金がきちんと保障されているからです。しかし、新たな制度では農業委員会への交付金は保障されるものの、新たに創設される農地利用最適化推進委員は年間1人6千円の活動費を基本に、集積化つまり遊休農地の解消実績によって成果実績によってそれに応じた農地利用最適化交付金が支給される仕組みです。本市のように中山間地が多く努力しても努力しても遊休農地が増える現状を交付金で締め付けることになります。制度そのものに大きな問題があります。しかも、国は耕作条件不利地域や高齢化で担い手がいないなどにより耕作放棄された農地については農家への固定資産税を今後1・8倍に課税強化します。国から集積できない自治体や農家への締め付けが強化されればの農業者への支援と大きな矛盾に陥る可能性があります。
反対の理由の第5は意見表明も建議も弱体化するからです。
農業委員会は農業・農民に関することについて意見を表明し、行政庁に建議することができるとの条文があったのですが、これを削除して「農地等の利用の最適化の推進に関する事項に関する事務をより効率的かつ効果的に実施するために必要があると認められるときは」という文言から、「農地等利用最適化推進施策の改善について具体的な意見を提出」と、条件を細かくつけた条文に変えました。要は「農地の最適化」についてだけ意見述べることができ、農政全般に関してはあれこれ意見を述べられないとなります。本市の農業委員会は11月8日に市長及び議会にも要望書を建議しました。有害鳥獣対策、耕作放棄地の解消に対する支援、農業用機械への支援、畜産排水対策支援など多岐にわたっています。このような農業者の切実な要望が法的に位置図けられないことは大きな問題と言わざるを得ません。
以上5点から条例案に反対です。
以上申し述べまして3議案に対する私の反対討論といたします。

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