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議会報告

請願第1号「子育て施策の充実を求める請願」(新婦人前橋支部提出)に対する賛成討論 教育福祉常任委員会・中道浪子【2017/3/24】

 
 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、請願第1号「子育て支援の充実を求める請願」について賛成の討論を行います。 

今、子どもの貧困が大きな社会問題になっています。厚労省の報告では、日本の子どもの相対的貧困率は、16.3%で、実に日本の子どもの約6人に1人が貧困状態にあり、中でもひとり親家庭の貧困率は54.6%とOECD加盟国中、最下位となっています。

 本来なら、子どもを安心して産み育てられるように国において、雇用不安や低賃金、過密労働の改善や子育て支援策の充実を抜本的に推進すべきことなのに、今の政治のもとで

は、労働法制の緩和策や社会保障の削減などで、国民の願いとは反する方向が強まっているのが現状です。そうした中で、国が進める前橋版人口ビジョン・総合戦略は、2060年に

は約22万人まで人口が減少すると見込みながら、市民の求めている子育て支援策の具体策が十分に講じられていないことから、請願者は、以下3項目の子育て支援策の充実を本市として実現するよう求めているのです。

まず、請願第1項の小中学校の給食費の完全無料化についてです。
今、全国の自治体では、大事な子育て支援策として、学校給食費の無料化が広がっていま

す。県内でも、この新年度から渋川市やみどり市が完全無料化の決断をし、一部無料化を含めれば18自治体、約半分の市町村が取り組み始めています。本市で実施している小中同

時通学の第3子のみ無料化は、現時点では778人とあまりにも該当者は少なく、子育て支援策としては大変不十分で、今や県内の他自治体からも遅れを取っている状況です。渋川市

では、完全無料化実施に3億円の予算を組んだことが報告されていますが、年間予算の1%にあたります。本市では、14億円と試算していますが、年間予算の約1%です。渋川

市にできて本市でできないことはないと思いますが、本市が学校給食費の完全無料化の推進役になって県と市町村で負担を半分ずつにすることができれば、今後、全国的に広がっ

ていく展望が開けていくのではないでしょうか。
憲法第26条で「義務教育はこれを無償とする」と謳われながら、子どもが学校に通うため

には多くの費用がかかります。学校給食費だけでも本市では、小学生で年間47,520円、中学生で年間57,420円かかることから、就学援助制度を活用している児童生徒は、2016年度

で小学生1,565人、中学生で1,039人と増えており、学校給食費滞納世帯は、2017年1月滞納分が47世帯となっています。子どもの貧困は大変見えにくいものですが、みんなで楽し

く食べる学校給食は、栄養的にも子どもの成長を支え、食文化を伝える「食育」としての役割も果たしています。小中学校の給食費の完全無料化は、子育て支援策の柱として大いに期待できるもので賛成です。

次に、請願第2項の子どもの医療費無料化を高校卒業まで拡大を求めていることについてです。
 スエーデンやイギリス、オランダなどの先進国では、子どもの医療費無料化をはじめ、1年以上の育児休暇や休業中の所得補償など国が積極的に手厚い子育て支援を実施して、出生率の回復に貢献しています。

 また、先の新聞報道によれば、県内で最も出生率が高い上野村では、合計特殊出生率つまり、15歳から49歳の女性の年齢別出生率を合わせた合計特殊出生率が2.29となり、しか

も、13年間も維持しているとのことです。それには、上野村単独で子どもの医療費を高校卒業まで無料化し、2歳児以上の保育料は月2000円、学校給食費の完全無料化なども実施

するなど、様々な手厚い子育て支援策や祝い金制度など、具体的な施策を積み上げてきているのです。報道による本市の合計特殊出生率は1.51で、県内では9番目となっています。
子どもの医療費無料化制度は、所得制限や一部自己負担などを含むと、今では全国すべての1741市区町村がこの制度を設けています。中でも本市など群馬県の窓口負担ゼロの取り

組みは、全国でも優れた制度と評価されています。本市でも福祉部長は「疾病の早期発見と早期治療、合わせて疾病の重症化や長期化への予防も図られている」と評価していま

す。高校生になると体力もついてお医者にかかることは少なくなりますが、スポーツなどで怪我をすることが多くなり、受診することが増えています。全国でも、高校卒業まで無

料化している自治体は201か所に広がっています。県都前橋が高校卒業までの医療費無料化を実施することは全県に大きな影響を与えることになり、全国をけん引する力となります。
 健康部長は「市町村の対応状況を見ながら、福祉医療の充実について研究したい」と議会で答弁しています。中学卒業までの無料化はもとより、子育て支援の立場から考えれ

ば、児童福祉法や子どもの権利条約が規定している18歳まで対象にすることで、子育て支援をより積極的に推進し、前橋版人口ビジョンで掲げた「健康医療都市前橋」にふさわしい取り組みとなりますので賛成です。

次に、請願第3項の第2子保育料を無料にしてほしいということについてです。
前橋版人口ビジョンでは、将来にわたって、子どもたちの元気な声が聞こえる、ずっと住

みたい生涯活躍の街を理念としています。
中でも、出生数の減少を上げ、「2人目の壁の打破」を掲げており、1人よりも2人、2人よ

りも3人の子どもを産みたいと思えるように子育ての負担を軽減しますと表明しています。  

 しかし、前橋版人口ビジョンには、保育料の軽減や無料化については何も示されていません。市民からは、子育て応援の具体的な施策として、「せめて保育料の第2子無料化の 
 実施を」と求められています。本市では、すでに、国の保育料の基準より減額施策の対応を取っていることも、同時入所の第2子保育料を6割軽減していることも承知していま

す。その上で、「2人目の壁を打破」するために、第2子保育料の無料化実施は大変有効な施策となります。

市民の意識調査では、8割以上の方が「人口減少や高齢化に対して不安を感じる」と答えています。請願者も同様で、学校給食費の無料化や子どもの医療費無料化を高校卒業まで

の拡充、第2子の保育料無料化等、子育て支援策の大事な3つの項目をぜひ実現して市民の要望に応えてほしいと請願されたのです。前橋市の新年度一般会計予算は約1458億円、市

民からの要望でない大型公共事業を見直すとともに、積み立ててきた財政調整基金を活用すれば、実施できない事業ではありません。よって、本請願の3項目はいずれも妥当であります。以上申し上げまして、賛成の討論といたします。

 日本共産党中道浪子市議は、本請願に対して賛成の立場で討論を行いました。創生前橋・須賀博史議員、清新クラブ・阿部忠幸議員、市民フォーラム・細野勝昭議員は不採択の討論を行い、公明党・石塚武議員、志士の会・堤波志芽議員は討論せずに不採択。結果、請願第1号「子育て支援策の充実を求める請願]は不採択となりました。

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