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議会報告

2017年第2回定例会本会議総括質問【人口減少と高齢化に対応する前橋市の行政運営方針・前橋ビジョン「めぶく」について】長谷川薫議員【2017/6/23】

1、人口減少と高齢化に対応する本市の行政運営方針について

(1)まちづくり方針

@高度成長期に整備した本市の市営住宅は、芳賀団地や江木団地など郊外への立地が促進されました。いま、老朽化が進み、空き部屋が管理戸数の約2割となり、高齢者の入居が増えているためにコミュ二ティーも崩壊しつつあります。維持管理予算を大幅に増額し修繕やリフレッシュ改修を促進しながら、高齢者の住み替え要望に応え、若年単身者の入居を認めるなど、これまでの市営住宅施策を抜本的に見直すべきです。答弁を求めます。

●マンション情報があふれている中においても、貧困と格差社会のもとで、母子家庭などからの快適な市営住宅への入居要望はますます強まっています。住戸改修予算を増額し、住み替えや入居緩和による空き部屋の解消、バリアフリー化、エレベーター設置の促進など「住まいは人権」の立場にたった施策をいっそう強めることを求めておきます。

A 次に、前橋の中心市街地は元気21や美術館などを整備し、新たなイベントを増やしても十分な誘客に成功していません。
今、隣接する日赤跡地のCCRC構想、前橋駅北口の再開発、さらに中心市街地の広瀬川沿いには120戸の民間分譲マンション建設が進んでいますが、過剰供給による事業破たん・不良資産化のリスク回避の対策を検討されているのでしょうか。
また、広瀬川河畔は景観条例に基づく景観形成重点地区に指定する可能性が高いスポットだと思います。建設が進んでいる高層マンションは景観の破壊につながる恐れがあります。中心街や前橋駅周辺の再開発については、まちなか居住を計画的に進める中でも、景観を保全するために対策を官民共同で急いで具体化すべきと考えます。それぞれ答弁を求めます。

●民間事業者によるマンションやサービス付き高齢者住宅などの建設は、本市の街づくりやまちなか居住を増やすという行政目的に沿って事業展開しているようですが、もう一方では、当然、私企業による最大の利潤追求という目的も持っています。人口減少と高齢化の進展の中での民間主導の開発事業ですので、事業者間の競争によって事業が過大となり、まちや景観が壊されることのないよう市として事業経過をチェックしていただきたいと思います。

B次に、今、地域公共交通網形成計画の策定においては、とくに高齢者など交通弱者支援の公共交通の整備を重点に計画を具体化すべきです。同時に市長選挙や前橋ビジョン発表会などで低床式路面電車LRTの運行がすぐにでも実現するような政策宣伝をして市民に期待を拡げたことも率直に反省し、市民に説明すべきです。そのうえで、交通不便地域への新規マイバス路線の増設やマイタクの低額固定料金設定などの改善を急ぎ、マイタクを単なるタクシー運賃助成制度にとどめず、本来のデマンド交通として本格運用すべきです。また、強い住民要求となっている「ふるさとバス」や「るんるんバス」のドアーツードアー方式への転換は、直ちに具体化すべきです。見解を求めます。

●買い物や通院に苦労をされている高齢者が増えています。年金削減や医療や介護の負担増で生活も苦しくなっており、多くの高齢者が低料金で利用できる利便性の良い公共交通の実現を強く願っています。特にこの分野の施策展開は、時間をかけずにスピーディーに進めるよう要望します。

C次に、本市も、改正された都市再生特別措置法に基づいて、立地適正化計画による都市施設誘導区域を年度内に決め、その後、居住誘導区域を決めることになっています。小学校区を基礎単位として形作られている現在のコミュニティーの崩壊につながらないように、公共施設の再編統合については、まちづくりの情報を詳細に公開し、市民合意で進めるべきです。どのような準備をされているのか、見解を求めます。

●いま、地域にどのような都市施設が足りないのか、誘導すべき都市施設は何か、そのためにまずは市が保有している土地をどのように利用すべきか、ということを市民参加で議論すべきです。統廃合した学校の跡地や保健センターなどの跡地どうするかについても、この都市施設誘導区域を設定する中で同時に議論すべきです。市民の大切な税金で取得した市民の財産を、安易に売却したり特別な低料金で貸さないよう、関係各課で連携を強めていただきたいと思います。


(2)人口ビジョンと総合戦略

@少子化対策として県事業と実施している中学校卒業までのこどもの医療費の無料化に続いて、学校給食費の完全無料化とともに、正規教員を増やして小中全学年の30人制度の実施を決断すべきです。本市の未来を担う子どもたちのために必要な財源の支出は優先すべきだと思います。答弁を求めます。

●学校給食費の完全無料化に、今年度から実施に踏み切った渋川市もかかる費用約3億円は一般会計の1%です。本市の費用も14億円で予算の1%です。本市の合計特殊出生率1.46人です。確実に子どもも人口も減り続けます。子どもが増えないのは子育てや教育にお金がかかるからです。少子化の進行に危機感をもって、やる気になればすぐにできる支援策である給食費の完全無料化を決断すべきです。といじめも不登校も学力不足も克服できて、教員の多忙感も克服できる30人学級制度も含め、国や群馬県にも求めながら、当面は前橋市が先行して独自で実施することを強く求めておきます。

A次に、雇用の安定策についてです。労働法制の度重なる規制緩和の結果、全労働者の4割、若者の5割が派遣やパートの非正規雇用です。長時間働いても低賃金から抜け出せない働き方では、結婚も子育てもできません。正社員を雇用する市内企業の育成に、前橋市として全力を上げるべきです。どのような努力をしているのかお答えください。

Bまた、「生命都市いきいき前橋」のビジョンどおり、群大病院や日赤など基幹的な病院の立地を生かした産業政策についてです。この優位性を生かした企業誘致が不十分です。現在の工業団地への誘致企業は物流・食品・金属加工などの企業が中心です。医療研究機関や医薬品や医療機器の開発製造を担うヘルスケア―産業などを産学官が連携して誘致し、県内の高等教育機関の卒業生や研究者が勤務できるようにすべきです。また、意欲ある地元企業の支援を強めて、世界的にも注目される先端的な技術開発・商品開発が進むような創業支援も行い、地域循環型の企業を育てるべきではないでしょうか。答弁を。

●そもそも人口減少と地方が疲弊した原因は、政府がすすめてきた輸入自由化等による農林畜産業の切り捨てと大店法廃止による商店街衰退、三大都市圏への大型開発の集中、非正規雇用の拡大による雇用破壊、「三位一体改革」による地方交付税の大幅削減や「平成の大合併」の地方への押しつけなどによるものです。前橋市に住み続けられる安定した雇用で、若者が安心して結婚・出産・子育てできる産業政策・中小企業支援を強めるよう要望します。

(3)地域包括ケアシステムと高齢者の雇用の創出について

@2050年には3人に一人が高齢者という超高齢化社会が到来すると予測されており、住み慣れた場所で自分らしく老いることのできるまちづくりとして、地域包括ケアシステムや高齢者が生きがいを感じながら就労できる職場を提供する施策推進が本市でも求められています。
地域包括ケアシステムの推進のために、在宅医療を担う医師の不足や24時間の看護や介護を担う事業者の不足など現状の問題点をどのように克服されようとしているのか伺います。

●国は病院のベッドを減らし、リハビリも含め入院期間も大幅に削減しています。その一方で、地域包括ケアシステムの整備のための財政的支援も不十分です。将来のあるべき姿を明らかにして、国や県にも支援を求め、早期実現をめざして医師会など関係機関とともに困難を共有する粘り強い取り組みを進めていただくよう要望いたします。

Aまた、高齢者を有能な働き手ととらえた地域密着型の雇用創出として、農地
の維持管理や野菜などの収穫の支援、子どもの保育や見守り支援、子ども食堂や高齢者への配食サービスなど地域の食生活を支える事業、高齢者や障がい者の介護や付き添いなど福祉サービスの支援などがあげられます。
高齢者の生きがづくりとしても、官民共同で推進すべきだと思いますが、どのような取り組みをされようとしているのか、答弁を求めます。

●意欲と能力があっても、真っ先にリストラの対象となるのが高齢者です。ハローワークにかよっても、希望どおりの仕事につけるのは皆無に近く、中高年齢者の再雇用はきわめて厳しいのが実情です。年金も減額され生活困窮に陥る高齢者も増えています。シルバー人材センターの支援とともに、高齢者の生きがいにもつながる就労の場を確保するための施策を強めるよう求めます。

2、前橋ビジョン「めぶく」について

(1)前橋ビジョンが「めぶく」についてです。

 提案した糸井重里氏は「前橋は全国的にも特徴がない」と指摘して、ゼロからの出発を意識して「めぶかせる」ことが必要だと強調しています。
しかし、「めぶく」とジョンは前橋市民の営みや街づくりの成果を評価せず、リセットして作り出すという印象が強い言葉です。しかも今、前橋が特徴のない街になったのは、市街地の多くが区画整理事業の施行結果であり、中心街がさびれたのは大型商業施設を郊外の道路沿いに次々と出店を誘導したからではないでしょうか。特産品を作り出せなかったのも本市の産業政策の結果です。
 すでに市の幼児教育や雇用政策にも「めぶく」というビジョンが強く押し出されていますが、第7次総合計画の基本ビジョンに正式に位置付けることは、市民の意見も聞いて再度検討すべきだと思います。答弁を。

●総合計画の策定に向けての検討は、市民参加で「めぶく」についても十分協議を深めるよう要望いたします。

(2)次に、「太陽の鐘」についてです。

 岡本太郎氏の作品の芸術性については評価しますが、日本通運が寄贈し「太陽の会」が修理費用を出し、市が設置場所を決めました。しかし、多額の経費がかかり、安全性にも十分な配慮が求められるモニュメントであるだけに、「太陽の鐘」がなぜ広瀬川のそばに設置されて、何を表しているのかを、市民が共有し理解してこそ設置の意味があると思います。説明を求めます。

●設置場所や公開方法などを慎重に検討し、市民の理解が得られるような設置を求めておきます。

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