トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

2017年第2回定例会本会議反対討論【補正予算のうちマイナンバーの利用拡大の事業に反対】長谷川薫議員【2017/6/23】

2017年第2回定例会・本会議反対討論(長谷川)

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して議案第56号一般会計補正予算に反対の立場から討論します。

 補正予算のうち、総務省による「地域経済応援ポイント実証実験」に参画するための665万7千円の追加補正を認めることはできません。
事業内容は、クレジットカードのポイントや航空券購入時のマイルなどを、マイナンバー カードに移して活用できるようにし、オンラインショップやふるさと納税の返礼品の購入や市内の物産店や商店での買い物や公共施設の入場券に利用できるようにするというものです。マイナンバーカードを毎日持ち歩くことを前提にしていますが、カード紛失の危険が高まります。マイナンバーの活用拡大と個人情報の保護は相反するのではないでしょうか。
 政府は、期限切れで多くが無駄にしているポイントの有効活用になるとか、地域経済の活性化に貢献できるなどと説明していますが、その本音は国民の1割程度しか発行されていないマイナンバーカードの普及促進が目的であることは明らかです。マイナンバー制度が本格的に始まってから1年以上経過しているにもかかわらず、圧倒的多数の国民に制度が認知されず、普及が立ち遅れています。マイナンバーカードの申請も頭打ちで、3月時点のカード保持者は対象者約1億2,800万人の8.4%にすぎません。国民が、政府のいう「利便性」を感じるどころか、情報の漏えいや国による個人情報の管理強化に根強い不信と危険を抱いていることを示しています。
 本市においても、マイナンバーカードの発行者数は現在約2万8千人で人口の8%です。市当局は、コンビニでの住民票や印鑑証明、所得証明書などの発行や母子健康サービスの利用などカードの利便性を強調していますが、発行は進んでいません。多くの市民はマイナンバーを日常的に使う機会はほとんどなく、必要性を感じていません。

 今、本人の同意もないのに企業にマイナンバーを知らせることを政府が自治体に迫ったり、マイナンバーカードの利用分野の拡大に向けた仕組みづくりを加速したり、住民がほとんど知らないうちに、なし崩し的に制度を運用拡大していることは極めて問題です。個人情報が危うくなることに国民が不安や不信を抱く制度を、“推進ありき”ですすめることは大問題です。
 本市も、総務省の4回にわたる強い監督指導を受けて、5月に市内の1万8,437事業所に送付した住民税の「特別徴収税額通知書」に、従業員11万2,676人のマイナンバーを記載し一斉送付したことは問題です。
 市内の業者団体や労働組合は、政府に対して自治体にマイナンバーの記載を強いることの中止を要求し、市当局には独自の判断で不記載にすることなどを求めましたが、結局政府の言いなりにナンバーをすべて記載して送付したのです。書留郵便で送付されましたが、事業所で通知書がきちんと管理されずに、番号が他人に知られるなど漏えいのリスクを高めることに懸念が広がっています。
総務省は、従業員本人の同意がなくても問題ないという姿勢ですが、企業に自分のマイナンバーを知らせたくないという従業員の意思に反するやり方です。日本弁護士連合会は4月中旬、個人の情報をみだりに第三者に開示・公表されない自由を侵害するものと警告しています。
 これらの指摘を受け番号を記載しない自治体も生まれています。国が自治体に記載させる法的根拠はありません。市当局は、マイナンバーを無理に使わせることを狙った、記載の強要への追随はやめるべきです。
 
 総務省は3月に「カード利活用推進ロードマップ」を作成し、コンビニでも使えますとか、スマホでも行政手続きができるようにしますとか、宣伝に躍起です。佐賀県玄海町で住民の検診結果が住民に知らされずに電力会社に渡っていたように、1000件単位でマイナンバー情報がもれた自治体があったことなど都合の悪い事実はほとんど語らず、便利さばかり「バラ色」に描くのは無責任で不誠実な姿勢です。

 そもそもマイナンバー制度は、徴税強化と社会保障費抑制の手段にしたい国や財界の都合で導入されたものです。国は多額の予算を使って制度を導入拡大し、自治体に圧力をかけ、国民がマイナンバーを使わざるをえない仕組みを広げることに躍起となっていますが、国民の医療や健康情報の有効活用はマイナンバーカードではなく、自治体独自の個人情報管理の下で運用すべきであり、プライバシーを危うくするマイナンバー制度の推進は国民の願いに反します。前橋市は、市民に弊害ばかりもたらすマイナンバー制度の利用拡大をやめ、個人情報を保護する立場から国に廃止を迫るべきです。
以上申し述べまして、補正予算の反対討論といたします。



ページのトップへ