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議会報告

1、民間主導のまちづくりの問題点について2、大規模木質火力発電所建設の覚書について総括質問近藤好枝9月13日【2017/9/13】

1、民間主導のまちづくりの問題点について
いま国は地方創生の名による社会資本整備において民間主導の仕組みづくりをPPPやPFIを拡大するとして、人口20万人以上の地方自治体は原則的に導入するよう迫っています。しかし、PFIを導入した大型開発が破綻したり、公共施設の運営が行き詰まるなど、結局?後始末は自治体と住民に?という事例も少なくありません。
(1)太陽の鐘
太陽の鐘設置事業の問題です。移設を主導したのは、前橋市のまちづくり支援を目的に本市に拠点を置く企業24社により運営される「太陽の会」で前橋ビジョンの基本理念「めぶく。」の策定に携わり、岡本太郎財団との関わりも深い糸井重里氏を通じてこの「太陽の鐘」の存在を知り、前橋市再生のシンボルとして作品の修復と移設を発案したと報告されています。そこで、民間企業主導で先行し発案された点では、仮に良い事業であってもあまりにも唐突で、決断したことは市民からも拙速すぎたのではないかとの指摘もありました。寄付していただきありがたいと思いますが、今後の維持管理費もかかり、財政負担が伴うという事業に対して、今後の教訓として民間企業がお金を出したり提言しても、行政は一度持ち帰ってじっくり判断することが大事なのではないか。今回は観光資源にもなり市民から期待する声もあるが民間企業は財政支援しても行政が慎重に最終判断するという事が大事ではないかと考えますが政策部長に見解を伺います。
次は現在の事業に対する提案内容について、いかに芸術作品と言っても安全性が優先されなければなりません。新たな提案では24メートルの鐘つき棒を設置して鐘を鳴らす、木を植林して緑の森にするという構想になっている。周辺住民や来街者に対する十分な対策を行うべきと考えるが見解を伺います。
結論
今回、市民や議会から様々な意見が出されました。今回の事業を反省し教訓化して今後このような民間から金や提言があっても行政が主体性を持って判断するよう求めておきます。
(2)新たな道の駅 
既存の本市の道の駅はPRや販売促進や経営を支援し、農産物直売所の経営力の強化や集客の向上を進めています。また、新たな道の駅運営事業者と既存の道の駅と調整を進める方針ですが事業調整の最終段階に来て調整合意されているのですか。しかし、このような努力をしても、競合する道の駅を新たに建設するので、既存の道の駅の経営は弱体化するのではないかと考えますがいかがか。
さらに、本市は設置場所の大枠と提案内容に対する最低限の基準を設けただけで、独立採算型PFIと公設公営の複合型という手法で、施設の具体的な内容についてはすべて非公開で実施される事業となっています。応募者・応募者名・提案内容一切非公表。用地の全体面積も総事業費も明らかにされない。本来の公共事業であれば、競争入札を行い参加事業者内容提示価格すべて公表され透明性、公平性が確保されますがひとたびPFIになるとこれらを一切シャットアウトして実施されるという地方自治に係る重大な問題と考えるが見解をうかがいます。

結論
人口減少社会の中で、群馬県内でも飽和状態となっている道の駅事業は北関東一の道の駅を目標にするのではなく規模の縮小を検討し、問題と課題の多いPFI手法を見直して再検討するべきです。また、既存の道の駅の拡充に取り組み、既存の道の駅が衰退しないように求めておきます。
(3)前橋駅北口再開発
市街地総合再開発事業に位置付け、26階建て複合ビルが前橋市の玄関にふさわしい建造物なのかということです。株式会社大京が優先交渉権者になって年度内には具体的な設計、契約を行うとしています。駅前の活性化を促し本市の玄関にふさわしい事業として他市に学べば図書館や市民交流施設、市民課窓口の出先機関産直レストランなど自治体独自の公的施設を建設し、市内外から誘客していることが大事ではないかと考えるがいかがですか。けやき並木フェスタやオープンカフェなど前橋駅から中心街まで重要であるという位置づけをしながら、本市のまちづくりの大事玄関口パブリックスペースとして100年先を見据えた駅前をどのように考えているのでしょうか。
また、総事業費は100億円、国・県・市で30億円そのうち本市は10億円を支出すると概算しているようです。本市がこれほど莫大な支出をする事業にもかかわらず、優先交渉権者による事業内容の提案が決定しなければ、事前の情報は一切開示しない、事業内容も民間に任せ市民意見の反映はできない。この事業も従来の公共事業とは大きく異なる、市民の貴重な財産を安易に民間に丸投げする事業であり進めるべきではないと考えるがいかがですか。
さらに、防災上の大きな問題です。熊本地震では40センチ横揺れしたためにマンションなどが倒壊しました。現在の耐震基準では熊本地震のような非常に大きな揺れは想定していないため横揺れによる地震では倒壊する危険性はあると報告されていますがいかがか。また、日照権や景観問題ですが、周辺の住民から不安の声も聞かれますのでしっかりと対策すべきと考えますが見解を伺います。

反論
前橋市のまちをイメージできるような施設建設をするべきで、再開発でどこにでもあるような高層マンションは今後のまちづくりの障害になりかねない。莫大な市財政を投入する民間への丸投げ事業はやめるべきです。
(4)日赤跡地のCCRC構想
国の地方創生の中心戦略ですが、土地は日赤から大和ハウスが購入し、5つの構成団体が参加するという事で今回具体的な内容が提案されました。
今年度末までには契約したいとのことです。生涯活躍のまちとは多世代が居住して交流し、医療も介護も安心できて、元気な高齢者の活躍の場が提供され広がっていくという夢のような構想でした。しかし、今回選定された基本構想を見ると賃貸住宅25戸、有料老人ホームと特養老人ホームと住む人は高齢者で商業施設とフィットネスには若い人が利用するとは考えますが当初の提案とはかい離があります。前橋市内でも同じような医療介護商業施設の集まった老年病研究所周辺施設周辺など散見されます。何が違うのかわかりませんが、どこに前橋版CCRCの特徴があるのか伺います。
また、首都圏から高齢者や子育て世代を呼び込むと同時に前橋市民も居住できるとなっていますが、前橋市民に提供する事業であれば、たとえば有料老人ホームは土地購入や開発費がかかり、儲けをあげるためには、グレードの高いものになる。高い入居費用になるとしたら、市民が気軽に入居できる施設にはならないのではないかと考えますが見解を伺います。

反論
結局市長が大風呂敷を広げたわりには高齢者が来ることになり、民間の事業に手を貸しただけになってしまったのではないですか。今後、この事業に本市は再開発事業や市街地開発事業も含めて補助金を出す検討をしているといいます。私は、実施事業者に新たに補助金を出すとか、経営が困難になった場合に本市で財政支援することは認められらませんので、強く求めておきます。
なお、地元住民が要望している医療機関の設置については医師会と連携して必ず設置してするように要望します。
(5)都市公園の利活用
今議会の補正予算で国の委託を受けて、公園等利活用促進検討調査業務費が予算化されました。
国の都市公園法の改正で公共還元型の収益施設を公園面積の12%分を上限につくっていいということになりました。たとえば前橋公園ですと約2・2ヘクタールが対象になります。
全国で検討実施できるようになるわけですが、本市が推進することは大きな問題だと考えます。
たとえば、今実施されている上野公園では樹木がどんどん伐採されて、ホテルだとか大規模休憩スペースの設置なども挙げられています。さらに、民間活力を導入した大規模な地下モールの構想などもあり半ば今度の法改正を先取りするような収益施設の大開発が構想されています。都市公園という市民の大切な財産が単なる儲けの場として企業に提供することになるのではないですか。
本市の3か所の道の駅は指定管理事業者が必死になって事業を発展させるために運営しているのに、他の企業参入を検討することに対して不信と不満を持つのではないでしょうか。
また、住民参加の仕組についてですが、市民が憩い、いざとなったら避難場所にもなるオープンスペースですので、市民の意見を十分反映させる仕組みが重要と考えますが見解を伺います。

反論
政府は民間企業の方が効率的な運営ができるとの理念のもとで民間の資金、経営能力などの活用を進めていますが、これは公的責任を曖昧にし、公共性や安全性を後退させるものであり民間への開放の追求はやめるべきだと考えます。

結論
市長は地方自治体が地方自治法に定められた「住民福祉の増進を図る」機関としての役割を果たせるよう、国に対して地方交付税の拡充、一般財源の増額でその財源を保障するように求めるべきです。地方交付税制度を歪める「トップランナー方式」、「公的サービスの産業化」による「地方行革」は改めるように国に物申すべきです。こうした国の誘導に安易に乗って、市民の貴重な財産や財源を使い公的サービスの産業化を推進するべきではありません。改めて指摘しておきます。

2、大規模木質火力発電所建設の覚書について
毎回の議会で、取り上げてきましたが、苗ケ島の大規模火力発電所の建設は来年早々には稼働するものとみられています。この間住民の皆さんが福島原発の事故による放射能の拡散による影響を受けているため、とりわけ森林の樹木の間伐材や製材端材を燃やすことによる放射性物質の拡散や廃液の地下浸透などによる、健康被害や環境被害に不安が高まっているのです。
本市は環境行政をになう自治体として、まず覚書を交わす前提として、地元自治会や隣接団地の赤城ビュータウンの住民との話し合いができていません。その問題点は、関電工が提出した環境配慮計画のそれぞれの放射性物質の基準値が高すぎるので是正させる、放射性物質を大量に含む廃液の地下浸透をさせないなどで、住民から繰り返し行政へ要請に来ているのにその声に答えていないのは問題です。納得の得られる内容で和解できるように行政が役割を果たすべきと考えるがいかがか。そのうえで、合意できたら直ちに覚書を交わせるように、働きかけるべきではないかと考えるが答弁を求めます。

●そのような行政姿勢では、住民の皆さんは納得できません。このままの現状では住民と関電工の間に大きなかい離がありすぎて双方が一致できません。関電工が行政に提出した環境配慮計画そのものが放射性物質の基準値が高すぎて危険性があるからこそ、要望しているわけで、環境行政を担う自治体としての責任放棄です。行政の役割をしっかりと果す立場で住民の意思を尊重していただくことを強く求めておきます。

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