トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

第3回定例市議会 総括質問 中道浪子(答弁を含む25分) 1、第6次前橋市総合計画の総括と第7次前橋市総合計画の素案について (1)高齢者介護 (2)子育て支援と教育 (3)まちづくり (4)税収納行政 (5)市営住宅 (6)「新しい価値の創造都市・前橋とビジョン「めぶく。」 (7)市民ニーズの反映【2017/9/15】

1、私の質問は、第6次前橋市総合計画の総括と第7次前橋市総合計画の素案についてです
第6次計画の各事業を抜本的に総括し、課題や問題点を検証するとともに国の政策追随から転換させて、市民要望実現のさらなる向上をめざすための第7次計画にしなければなりませんので、以下素案について質問します。

1つは、高齢者介護についてです。
第6次計画では「いきいきと暮らせる高齢社会」を目指してきましたが、年金はどんどん減らされ、医療や介護の負担は重くなるばかりです。本市では度重なる国の制度改悪に従い、保険料の引き上げとサービスの大幅後退、特養ホームの待機者が増え続け、将来の不安を逆に強めた10年ではなかったでしょうか。
第七次計画策定に当たっては、国の制度改悪に立ち向かうとともに、介護保険料や利用料の市独自の軽減策や必要な介護サービスの充実、特養ホームの待機者をなくす新・増設整備を明確に盛り込んで、素案を見直す必要があると思いますが、見解をお伺いします。

(答弁)第七次総合計画の重点事業といたしましては、これからのまちづくりの方向性を見据えた上で、健康福祉分野での重点施策として位置づけた「地域包括ケアの推進」及び「健康づくりと介護予防の推進」を実現させるための事業を選択して位置づけたものです。介護分野での他の重点的に取り組む事業につきましては、今後、総合計画の下位計画として、現在策定中の第7期まえばしスマイルプランの中で、「生きがいのある生活を送るための施策の充実」などの高齢者福祉の基本理念を実現させる施策として、総合計画との整合性をはかりながら、必要な事業を盛り込み、推進してまいりたいと考えております。国の方で定めた財源で国の動きを注視している。

●国の動向を注視しながら進めるというのでは、これまでの反省も進歩もなく、市民要望に応えられないでしょう「総合計画との整合性をはかりながら、必要な事業を盛り込み、推進してまいりたい」と答弁がありましたが、介護保険料や利用料の市独自の軽減策や必要なサービスの充実、特養ホームの待機者をなくす新・増設整備を明確に盛り込むよう求めておきます。

2つは、子育て支援と教育についてです。
素案では、これまでに経験のない人口減少が目前に迫っていると分析する中で、子どもの特殊出生率の向上を目指していますが、子どもを安心して産み育てる支援策が弱いことが少子化の原因となっていることを反省すべきです。
今年私たちは、明石市を視察しましたが、明石市長が「子育てするなら明石市に」と子育て総合支援策を第一優先施策として推進しており、この3年間人口が増え続けています。明石市などの先進自治体に学ぶとともに、この間、私たちが子育て支援策の充実として主張し続けてきた就学援助制度はほとんど改善せず、保育料の第2子無料化や学校給食費の完全無料化、医療費無料化の高校卒業までの拡大などの提言には、背を向けて、素案には示されていません。これらの施策を取り入れて素案を見直すよう求めますが、いかがでしょうか。
また、幼稚園や学校の統廃合をすすめるとともに、県教委の調査でも明らかになったように、教員の土日の出勤と平日の残業が多くなり、長時間労働が過労死ラインを超えています。その背景には、「教育再生」の下ですすむ、学力テストによる過度な競争や管理と統制の教育が強まっています。また、30人学級を含む教職員定数の抜本的改善や必要な教職員を正規で配置することなしには、臨時や非常勤教職員の多様化では問題の解決にはならないのです。
教員の多忙化の解消と連動する30人学級を含む少人数学級の計画が素案には打ち出されておりません。素案の重点事業として30人学級実施の計画を盛り込むべきだと思いますが、見解をお伺いします。

(答弁)健康部長→健康づくりの中でやっていきたい。福祉部長→国の方で段階的にしている。今後についても国の無料化に伴って段階的に考えている。素案には考えていない。教育委員会→14億円かかるので現時点では実施困難国の方向性を教育委員会→30人学級は様々な角度から体制を整えていく。

●子育て支援があまりにも弱く、これでは少子化はますます進行するのではないですか。
教育では、国が目指す「教育再生方針」は、一層子どもに負担を押し付け、差別選別の教育を強める方向です。
出生率を上げたい。人口を増やしたいと少子化対策を羅列しても、市民が求める具体的な事業や施策がなければ絵に書いた計画とならざるを得ないのではないでしょうか。

3つは、まちづくりについてです。
この10年、けやきウオークや南部モールなどの大型店舗の出店が続き、私たちはこのままだと本市の中心商店街は空洞化し疲弊すると主張してきましたが、結果、その通りになりました。当局は、元気21やアーツ前橋を中心市街地に整備してきましたが、衰退に歯止めがかからず、さらなる財政投資を強いられています。
また、私たちは、人口減少と少子高齢化のもとでは、区画整理事業によるまちづくりはやめるべきと警鐘を鳴らしてきましたが、今、さらに落合地区の新規事業を立ち上げようとしています。12地区の同時施工による事業の長期化によって、高齢者や低所得者は生活設計もたたず、苦難な生活を強いられています。
コンパクトなまちづくりの立地適正化計画とも合い矛盾する大規模な区画整理は改めて、道路の拡幅や公園整備が必要なら、買収方式も取り入れた整備にすべきです。
また、本市ではH27年度に県都前橋創生プランを策定し、それに基づいて、日赤跡地のCCRC構想をはじめ、前橋駅北口再開発事業や北関東1大規模な道の駅など、国が進める民間主導の大規模開発を進めていますが、そもそも市民ニーズから出発したものではなくトップダウンで進める大規模開発については事業の全体像が見えず、市民の理解が得られません。しかし、膨大な市の予算の投入は免れないことから、今後のまちづくりとして民間の大規模開発事業は、計画の縮小や見直しも含めて検討し、素案に反映すべきだと思いますが、当局のお考えを伺います。

●人口が減少し、高齢化が急速に進む中で人口を呼び込もうと中心部の開発を進めても、地方創生の名の下に、国と財界が一緒になった大規模開発には安易に乗るべきではありません。事業が破綻すれば、市民の負担になるのは必至です。
人口が減少している時代だからこそ、大開発を進めるのではなく、市民の生活圏の整備を最優先し、小学校区あるいは中学校区内に高齢者向きの施設や子育て支援・障害者向け施設、文化・スポーツ施設が整備される街づくりが暮らしやすい街となり、市民に求められている街が、引いては、人口を呼び込む街となるのではないでしょうか。

4つは、税収納行政についてです。
H16年度の市税滞納者に対する差押えは、約800件でしたが、10年たった26年・27年度は10,000件を大幅に超えました。全国でも本市は差押え件数が異常だと指摘されています。病気や失業で生活が悪化し、市税や国保税が払いたくても払えない滞納者は、いつ年金や給料が差し押さえられるか不安で、安心して仕事も生活もできないと訴えています。素案の中に「生活困窮者を支える方向」が見えてこないので、総合計画としては根本的に欠けていると思わざるを得ないのです。こうした弱者を支える問題は、前橋市政が市民に対して支えるとか励ますとか行政姿勢があまりにも欠けているからではないでしょうか。次期計画には、全ての市民のくらしを支え・励ますという方向性を強く打ち出すべきです。また、収納行政の抜本改善を重点事項に示すべきだと思いますが、財務部長から見解をお示しください。

・素案の挿入は検討していく。

●縦割りの所管を超えて、税滞納で困窮している市民の方を「生活困窮者を支える方向」につなげて、困窮者の生活再建が図れるように全庁的に取り組む必要があります。次期計画では、税滞納者も親切に相談に乗って生活再建を進める立場で対応するような方向を構築していくべきです。
行政視察した滋賀県野洲市では、税金の滞納者に対して、「滞納は生活のSOS」と受け止めて、相談窓口で生活再建のための丁寧な相談と生活支援策を提供する取り組みが実施されています。
本市では、素案の見直しを第一歩として、改善されるよう求めておきます。

5つは、市営住宅についてです。
本市の市営住宅の10年程前の空き戸数は、全戸数の1割程度でしたが、現状は2割以上の空き戸数となっています。火災や孤独死など事故住戸もあると聞いていますが、どんな住戸でもしっかり修繕を行って、入居待ちの方が一刻も早く生活できるようにすべきです。民間空き家には力点を置いて取り組んでいますが、最も大事な市営住宅も空き部屋解消に力を入れるべきです。エレベーターの設置も5階建て77棟のうち、21棟に留まっていることは、入居斡旋にも影響を及ぼし、家賃収入の確保の姿勢が弱いのではないかと思われます。市営住宅の入・退去修繕やエレベーター設置は、全て市内業者への仕事創出です。市営住宅事業の独自計画は承知しておりますが、格差と貧困、高齢化の進行などから見ても、素案には、今ある管理戸数を維持して、セーフティーネットとして位置づけるべきですが見解をお聞かせください。

●市営住宅は市民共有の財産です。空き住戸を放棄せず、十分管理・修繕し、管理戸数の縮減はせず、維持管理をしっかりして、1戸でも残さず入居斡旋ができるようにすべきです。入居希望者を長期に待たせることのないよう、空き部屋の解消とエレベーターの設置計画が今より敏速にさせるべきです。素案を見直して、その成果がはっきり示せるように思い切った計画にすることを求めます。

6つは、「新しい価値の創造都市・前橋」とビジョン「めぶく。」の問題についてです。
素案では、将来都市像を「新しい価値の創造都市・前橋」としましたが、何をもって「新しい価値の創造」とするのか、大変抽象的で誠にわかりにくいと思います。例えば、「元気な地球・市民のまち高崎」とか「夢ふくらみ、安心して暮らせる伊勢崎市」あるいは、「輝く人、安らぐ暮らし、にぎわう街、ともにつくる堺市」など、わかりやすく明快です。
また、「めぶく。」とは、何もないところからめぶくことで、前橋市民が営々と築いてきた営みを否定するものであり、総合計画のビジョンでめぶくはふさわしくありません。めぶくと言うのが「新しい価値の創造」に繋がっているので、このビジョンは改めるべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。

・9/7からパブコメを実施しているので、最終的にまとめていきたい。

●糸井重里氏と田中仁氏との提言を前橋ビジョンにとらわれないで、市民や職員の意見を総合計画に示すべきです。今後有識者会議などからも意見を聞いて、市民にわかりやすいビジョンにすることを求めておきます。

7つは、市民ニーズの反映についてです。
第7次素案の策定にあたって、複雑な社会状況の中においては、隔年のアンケートだけで市民ニーズを把握することは、大変無理があると思います。実際のアンケート調査は、対象を5,000人と絞った中で、回答者はその58.1%の2,905人ですが、10歳代の回答者は93人、20歳代は175人で、特に若年層の回答率が低くてニーズの把握には大変不十分です。
また、9月4日に県都まえばし創生本部有識者会議H29年第1回会議が開かれ、創生プランの進捗状況と第7次前橋総合計画素案についての意見交換がありましたが、有識者からも「めぶく」はなかなか市民に伝わらないなど貴重な意見が出されています。10年間の市民の計画ですから、努力を惜しまず、12月まで時間があるので、有識者会議も次の会議を開いた方が良いのではないかと思います。また、公聴会的な懇談会を地区別に開いて、地域の方々の意見交換も必要だと思いますが、答弁を求めます。

・アンケート役立っている。H27年はタウンミーティング。H28年団体のタウンミーティング実施今年度ワークショップ開催で市民・学生・高齢者103人。パブコメ始めた。今後検討してまいりたい。

●答弁をお聞きしましたが、どの分野も市民ニーズが反映されていません。
本市では、政府が求める地方創生プランに沿って、全てが動こうとしていますが、政府が目玉としている地方創生は、人口減少への危機感をあおり、社会保障費と地方交付税の削減は仕方がない、足りない分は民間投資の活用と住民の「自助・互助」で賄えと言うものです。また、東京圏への過度の人口の集中を是正するといいながら、規制緩和による大規模開発と公共投資による東京一極集中は聖域としており、地方の疲弊と東京一極集中をつくりだした政府の総括も反省もないまま、財界・大企業主導の成長戦略を進めていこうとするもので、こうした国の戦略に左右されず、地方自治体の本旨に基づき、市民ニーズの実現をめざして、少子高齢化対策など市独自施策を積極的に具体化することや、今ある市営住宅や保育所・幼稚園、教育施設などの公共施設の整備・充実、公共交通網の確保など市民から求められている施策を積極的に取り組み、まちづくりを福祉や経済と関係づけて進めることが、ひいては少子高齢化対策、雇用の確保につながることになります。福祉に軸足を置いた第七次総合計画にするために、提案したことが盛り込めるよう求めての私の質問を終わります。

ページのトップへ