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議会報告

2017年第3回定例会総括質問 小林久子議員(25分答弁含む)1、生活困窮者への総合的な支援の強化について 2、保育施策の問題点について【2017/9/21】

1、生活困窮者への総合的な支援の強化について

子どもの7人に1人、ひとり親世帯の子どもは2人に1人が貧困とされ、非正規雇用の増大、高齢者の年金・医療・介護などの社会保障の削減により、格差と貧困がますます増大しています。
 こうした中、生活困窮者自立支援法が一昨年からスタートしていますが、政治が作り出したとも言える、貧困や生活苦を個人任せでなくしっかり支える施策が行政にもとめられています。
 
(1)行政の基本姿勢 (福祉部長)
住民福祉の向上をはかるという地方自治体の責務があります。市民が困ってどこにも頼るあてが無い時、最後に頼るのは行政であり、これに答えなければなりません。
ところが、相談者は藁をもつかむ思いで相談したのにわずかな手持ち金でもあれば「働きなさい」と突き放されたり、職員の配慮を欠いた言動などに動揺し自分を責め落ち込む。このような内容の相談を市民から受けることがあります。
福祉部は困窮者支援に日ごろから尽力していることは承知していますが、職員の何気ないことばでも相手は心を痛めることもあります。
住民に奉仕する公務員としての立場を全庁職員が貫くべきです。助けを求める市民、弱者に対し常に寄り添う姿勢で業務に当たるべきと考えますがいかがでしょうか。
また、生活保護制度の家具什器や住宅改修費。生活保護の申請から決定までの間の生活費や、エアコン購入時の社会福祉協議会の貸付制度など、活用できる制度や必要な情報も相談者に知らされていないケースが見られます。制度をきちんと知らせないのは大変不親切です。
 受給できる制度の活用に漏れがないように職員に徹底すべきと思いますがお答えください。
 
●社会的に弱い人を大事にする行政は市民全体にやさしい行政です。ぜひ前橋市政もこの立場を貫くべきです。

(2)相談支援体制の充実 (福祉部長) 
 福祉に相談に来る方は、約6割が経済的困窮のほかに複数の困難を抱えているとされています。
例えば離婚したひとり親で、子どもに障害があり、母が認知症、自分もうつ病を発症など、1人でいくつかの困難を抱えているケースもあります。
 野洲市は相談支援の窓口と税、保険、年金、子ども家庭の部局が相互に連携し、税などの
滞納者に対し、早期に支援を開始しています。
このようにワンストップ型の相談体制が本市でも必要と考えます。
また、明石市は弁護士7人を採用し、専門性を発揮し、行政に携わっていますが、本市でも債務整理など法律的な課題解決に弁護士を任用し、専門家の力も得て、困窮者を総合
的に支援していくことが必要と考えます。
さらに、困窮者の相談窓口を庁内1か所だけでなく、支所、市民サービスセンターなど身近な地域にも増やすことや、出張相談なども随時おこなうなど、相談体制の充実強化を図るべきと考えますが、それぞれ答弁を求めます。

●大阪市では、弁護士会と連携して、全24区に困窮者相談窓口を設置し、8ブロックに分けて、各2人計16人の担当弁護士を配置し支援を強化しています。
是非こうした他市の取り組みを学び本市でも取り入れるべきです。
本市では困窮者の生活再生に向けた支援を目的に、福祉部長を会長とする12課長による庁内連絡会議を設けているそうですが、全市を挙げての本気の支援が求められます。


(3)行き過ぎた滞納整理の改善 (財務部長)
 野洲市は、税の滞納は生活困窮のシグナルと受け止め、そういう人からさらに滞納整理を強化して困窮に陥らせるのでなく、全課で総合的に自立を支援し、そして、市民生活を壊してまで滞納税の回収はしないという立場を貫いています。
ところが本市は、年金が振り込まれたその日に全額差し押さえするなど、収納課の強権的な取り立てが、生活を脅かしています。
市が自立支援に取りくみながら、一方で困窮者を生んでいることは問題です。
収納課は、滞納者の生活状況を承知しているわけですから、丁寧に聞きとり、関係課につなげるなど、放置しないで支援する姿勢が大切です。
また、裁判所をとおさず差し押さえる自力執行権という強力な権限が与えられていますが、差押えは、慎重の上にも慎重にというのが大前提であり、丁寧な納税相談で基本は自主納付を促すのが原則です。差押えは自主納付が期待できない場合の最期の手段と心得ていれば1万件もの異常な差押えは出来ないはずです。自力執行権を乱用せず、困窮者の支援に取り組むべきと考えますが見解を伺います。

●最初に行政の姿勢をお聞きしましたが、私は収納課で泣かされた市民をたくさん見てきました。市民を信頼せず、取り立てを優先させています。市民の生活再建のためにいっしょに考える、この姿勢が残念ながら見えてきません。
確定申告をしていない人に適正な課税により、国保税の減免を受けられるケースや、税も5年さかのぼって申告でき、滞納額を減らすこともできます。困窮者対策は全庁で取り組むべき問題で収納課もその役割をしっかり果たすべきと申し上げておきます。
 



(4)子どもの貧困対策の充実 (指導担当次長)
就学援助制度は、全国で経済的な理由で子どもに義務教育を受けさせることが困難な保護者に対し学校生活で必要な費用の一部を援助する制度で前橋市では、昨年約2300人あまりが支援を受けています。
文科省は、今年就学援助制度における新入学児童生徒学用品費等の支給について「現在対象となっている中学校の入学前の者だけではなくて、要綱を改定し、小学校に入学する前の者も補助の対象にできる」としました。
今までは小中学校への入学後に申請し、支給されていましたが、生活が大変な世帯では、入学前にランドセルやカバン、制服、学用品など一度に多額の費用を負担できず、入学前支給を求める強い声に答えたものです。

金額も今年度から小学校が40600円、中学が47400円に増額されましたが、本市でも入学前に支給できるように改善すべきと考えますがいかがか。
また、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費も支給をすべきです。中学などで、部活動に係る親の費用負担は大変大きく、能力がありながら、困窮を理由に部活動ができないということでは、子どもの成長の機会を奪うことになります。ぜひ支給すべきと考えますがいかがでしょうか。
就学援助については、入学・進学時に全保護者に用紙を配布し周知をしていることは承知していますが、前橋市の就学援助のホームページを見ますと、記載が不十分で制度の内容がわかりにくい。援助対象となる家庭の収入基準なども掲載し、制度がわかりやすいホームページに改善を図るべきと思いますが、それぞれ答弁を求めます。

●新入学学用品費は国も要綱を改定したのですから、ぜひ入学前支給が来年度から取り組めるよう求めます。クラブ活動費などは難しいとの答弁ですが、就学援助の子どもたちの部活動の実態をぜひつかんでいただき、前向きな検討をお願いします。また子供の貧困をしっかり支援していくうえで、援助の対象を生活保護基準の1.5倍に引き上げも検討を。
ホームページはぜひ丁寧でわかりやすいものを作っていただくよう要望します。
          
(5)フードバンクまえばし・こども食堂への支援強化   (福祉部長)   
 前橋でも、今年フードバンクまえばしが立ち上がりました。自立支援を受けている人への月2回の食料支援やこども食堂、無料学習塾などへも食料提供しているとのことです。
 夏休みには、フードバンクまえばしの食料提供により、市内ボランティア団体によるキッズカフェまえばしが開催されるなど、食糧支援を拡大し大変喜ばれています。
食糧支援は保存がきくものに限られていますが、農業者にも強力を依頼し、野菜・果物などの生鮮も取扱いを拡大できないでしょうか。
生活するには車が手放せず、生保を受けられずに我慢し困窮している人は多いので、継続的な支援が必要な人も多くいると思います。そういう中で困窮者に3か月で食糧支援を打ち切るということがあってはならないと思いますがいかがでしょうか。
また、子ども食堂ですが、大田市は行政が直接関わり、児童館・子ども館などを使って、市内16カ所で子ども食堂を実施しています。子どもたちのコミュニティーや居場所づくりに役立てばということで、子ども食堂の実施へ市民理解も高まっています。しかし、空家などの場所を確保することが難しく、実施に当たってのネックになっています。ボランティアや実施場所の確保について行政の支援を行うべきです。それぞれお答えください。

●ジャガイモ、玉ねぎなど日持ちする野菜もありますのでぜひ取り入れられるようぜひ検討を。また、生活保護の受給者は食糧支援は必要ないのか。本当に支援が必要な人に届いているのか、一人ひとりの実態をしっかりつかんで支援を進めるべきです。

  
2、保育施策の充実について (福祉部長)
 国は、子ども子育て支援法に新たに仕事・子育て両立支援事業を追加し、事業所内保育所を拡大し、企業主導型保育事業を導入しました。
 
(1)企業主導型・地域型保育事業 
 働き方におおじて、夜間、病後児保育、短時間パートなどに対応した保育など多様なニーズの子どもたちを一緒に保育し、3歳未満児が多いとなれば高い専門性が保育士に求められますが、保育士基準は有資格者が基準の半分、保育室の面積要件なども緩和されています。
現在、市内4カ所で39人が、事業所内保育事業全国とくに都市部などで、深刻な待機児を解消する手立てとして、導入されるものですが前橋市はこのような深刻な状況には無く、認定こども園などへの移行で、保育定員もこの間増えており、前橋に導入する必要はあるのでしょうか。隠れ待機児の問題が出されましたが、隠れ待機児対策などとして、容認するとしたら問題です。
市の認可外保育施設で、市には責任がなく、保育の質や安全性は守られるのか心配されますが、当局はどの様に受け止めていますか。
さらに、地域型保育事業についても、わが町特例が適用されます。
子ども子育て支援法導入時には、新たな認可は想定していないと述べていますが、引き続きこの立場を堅持すべきと考えるが、それぞれお答えください。

●子ども子育て支援法以降、規制緩和が進み、認可外や地域型の小規模保育施設が前橋にも増える可能性を危惧しています。前橋の今後の保育のあり方に関わる問題であり当局の姿勢が問われます。

(2)保育施策のあり方   
保育は子どもの命を預かる大切な仕事です。
仕事と子育てを両立したいと願う多くの保護者は、出来れば家の近くで、就学前まで安心して、あづけられる保育所での保育を希望しています。地域の認可保育施設の整備を望んでいます。こうした保護者の希望に応える保育行政を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

●待機児解消のためと国が進める施策に市が安易に乗るべきではありません。
市は保育の公的責任をしっかり果たすこの立場を堅持すべきです。
今後も、認可施設の整備充実をはかり、保育の質や安全を確保していくという行政の責任を貫いていただくことを強く求めて質問を終わります。

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