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議会報告

2018年第1回定例会常任委員会付託議案外の本会議反対討論・長谷川薫議員(補正予算案・プレイルームの指定管理者指定・預金差押え訴訟の控訴承認)【2018/3/21】

2018年第1回市議会本会議付託外議案の反対討論(3月9日・長谷川薫)

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第13号、議案第38号および第44号、以上3件に対する反対討論を行います。

最初に議案第13号平成29年度前橋市一般会計補正予算についてです。

 土木費の補正予算のうち、総合運動公園整備費追加の2億7千364万5千円を認めることはできません。
 わが党は、市民のスポーツ要求に応える施設整備を一律的に否定するものではありません。また、スポーツ資源の力を地域経済振興や観光振興に最大限活用しようという努力も理解しています。
 しかし、財政危機と少子高齢化が進行するので、ファシリティーマネジメントを強め、公共施設の総量縮減と長寿命化を進めると公共施設管理計画で強調しながら、現在25.8?の前橋総合運動公園を隣接する優良農地をつぶして、14.7?もの拡張を総額36億円もかけて整備していることには、あまりにも事業規模が過大です。総合公園内の老朽化したスポーツ施設や上細井町の市民プールや六供温水プールなど既存のスポーツ施設の改修や耐震化を優先すべきです。また敷島公園や田口町のスポーツアリーナなどの市内にある群馬県のスポーツ施設を活用すべきです。
 本市は、学生の全国規模の大会や東京オリイピックのキャンプ地誘致など集客力のある各種競技大会の本市開催を目指しています。しかし、元旦の実業団駅伝や赤城ヒルクライム大会(自転車競技)においても、選手やスポーツ観戦者が市内を巡り、消費を拡大するような新たな仕組みづくりをしなければ、地域経済振興への波及は十分期待できないのではないでしょうか。
 今、2020年の東京オリンピックにむけて、首都圏の自治体はいっせいにスポーツ施設整備や交通アクセスの改善に力を入れています。巨大なスポーツ施設と十分な宿泊施設を持ち、Jリーグの本拠地でもある「さいたま市」は、チャンス到来と受け止めて、独自のスポーツのまちづくりをいっそう推進しています。千葉市や横浜市なども同様であります。総事業費7億円を投入して下増田サッカー場も整備しましたが、天然芝グラウンド4面の維持費が1面だけで年間1000万円もかかります。ザスパ草津がJ3に降格したこともあり、今後ともサッカー場の利用促進や維持管理に苦労するのではないでしょうか。
このような都市間競争に本市が参加しても集客には限界があることを認識し、今後も過大なスポーツ施設整備はやめるべきです。

次に、議案第38号公の施設の指定管理者の指定についてです。

 本議案は、わが党をはじめ多くの市民の反対の声に耳を傾けず、有料化を強行した元気21のプレイルームの運営を指定管理者に委ねるための承認議案であります。
 少子化対策として子育て支援の一層の充実が求められている中で、遊具の更新の費用を確保するためとの理由から、10年間無料で運営され、年間16万人から20万人もの子育て世代が訪れて、多くの幼児や子育て中の父母に喜ばれているプレイルームを有料化したことを認めることはできません。中心市街地の活性化策にも逆行するものです。
 今後、前橋市は事業運営を指定管理者に任せて、独自のイベントなどの取り組みを求めて、独立採算を求めるのでしょうか。若者のなかで貧困と格差が広がり、子育て環境が厳しく子どもの置かれている状況が大変厳しくなるもとで、子育て支援施設の役割はますます重要になっています。市立の施設として直営に戻して、職員体制を充実させて来訪者の子育てに関する相談にも応じるなど、いっそう公的責任を果たすことこそ必要です。わが党は、プレイルームを指定管理にすることに反対です。

次に、議案第44号、控訴の提起についてです。

 本議案は、預金差押え処分取消等請求事件についての民事訴訟で、被告である前橋市が前橋地方裁判所の2月28日の判決に不服という立場から、東京高等裁判所に控訴することについての承認を求めるものであります。わが党は、地裁判決は当然の判決であり、控訴に反対という立場でありますので、以下その理由を述べます。

 本事案の原告は、夫に先立たれた80代の高齢女性です。平成13年頃から病気になり介護施設や病院への入所・入院を繰り返し、4年前の平成25年の9月頃からは、老人介護施設に入所したために、市内の借地上にある自宅は空家のままとなっています。平成27年12月9日から裁判所に選任された成年後見人が、原告に代わって金銭管理だけを行っていたのです。
 また、原告の所得は月額4万4千円余りの年金だけであったために、平成27年4月から生活保護を受給していました。
 ところが、介護保険施設への入所に伴い前橋市が認定した介護保険の境界層該当者となり、低所得者への利用料の支援制度によって、本来の居住費や食費より負担の低い基準を適用されることとなり、結果として生活保護の最低生活費を超える262円分の収入があることになり、生活保護が平成27年の6月にさかのぼって廃止されました。
 このような中で、原告は実際には居住していない原告所有の建物の固定資産税のうち、平成27年度の3期と4期の2期分合計2000円を滞納していましたが、成年後見人は市からの督促状の存在も、滞納の事実も昨年平成28年の5月まで認識していませんでした。
 前橋市は原告が住んでいない空家の住所に督促状を送付したのちに、平成28年4月15日の年金支給日に、本人の信用金庫の預金口座に振り込まれた2か月分の8万9616円の年金と直前の残高の465円、合計9万81円のうちから滞納処分として2000円を差押えて配当を得たものであります。前橋市は、預金債権を差押えた時点で、その大部分が年金を減資とするものであったことを認識していたのです。
 したがって、前橋市が年金受給額から2000円を差押えれば、生活保護による扶助が必要となること前橋市は容易に認識できていたという事案であります。

 わが党は、このような事実経過を踏まえて前橋地裁が下した判決文を詳細に検討しました。
 原告が求めた差押え処分の取り消し請求や審査請求却下決定の裁決取り消し請求を却下した判決には問題があると思いますが、前橋市が差押えた2000円の不当利得返還請求については、地方税法が準用する国税徴収法に照らして前橋市が違法な滞納処分をしたことは判決の通りです。また、「有効な督促手続きを欠き、差押えた2000円の全額が差押え禁止債権であり違法」、「年金等が預貯金口座に振り込まれた場合でも、年金受給者等の最低限の生活を維持するための費用に相当する一定の金額を差押え禁止とした趣旨を出来る限り尊重し、差押え禁止の趣旨を没却する脱法的な差押え処分を行ってはならない」と述べて、利息を付けて全額返済することを命じたことは当然であります。この違法な差押えで苦痛を与えた前橋市に国家賠償法に基づく慰謝料として1万1000円の支払いを求めたことも是と致します。

 以下の理由の通り、事実認定においても、関係法令に照らしても、合理性のある判決であり控訴して東京高裁で争う必要性はないものと判断し、本議案に反対であります。

 以上、3議案に反対理由を申し述べまして討論といたします。




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