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議会報告

2018年9月12日第3回定例会総括質問【市民課証明書交付窓口の民間委託・行政も民間化に反対】長谷川薫議員【2018/9/27】

2018年第3回定例会総括質問(長谷川薫)

1、 市民課窓口の民間委託の中止について

(1)個人情報の情報漏えいのおそれ

 私は、市民課窓口の民間委託の中止を求めて質問いたします。市民課の証明書交付窓口の業務は戸籍謄本や住民票、印鑑証明など、すべて個人情報を扱う業務です。公務員には守秘義務が課され、違反した場合には刑罰も課され情報漏えいを厳しく抑制していますが、委託先の富士ゼロックスシステムサービスに雇用される従業員には、法的な守秘義務はありません。
マイナンバーカードで、全国的に多くの個人情報が集約されようとしている今、個人情報を中心に扱う業務を安易に民間事業者にゆだねることは情報漏えいのおそれが強まると思います。問題ではありませんか。見解を求めます。

(2)特定企業との癒着

 民間企業は、人件費コストを抑えれば、利潤を増やせる上に、ほとんど初期投資がいらない公的分野への参入を、絶好のビジネスチャンスととらえています。全国的に、激しい参入競争を展開されています。受託事業者はプロポーザル方式など自治体の裁量で選択されます。選定基準や配点などの行政情報を事前につかめば、それに合わせた提案書も整えることができます。数年ごとに契約が繰り返されるだけに、受託をめぐって特定企業と行政の癒着が心配されます。心配はありませんか。答弁を求めます。

(3)偽装請負

 次に、偽装請負の問題です。委託先である?富士ゼッロクスに雇用された労働者に、市民課の正規職員が直接指揮命令をすると、委託契約は請負でも、実際は労働者派遣となり偽装請負となります。前橋市が労働者派遣法違反に問われ、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。他の自治体の委託現場で、「偽装請負にあたる」という労働局の厳格な処分が行われて、委託業務を直営に戻す事態も起きています。
 偽装請負を避けるために、公務と委託業務の切り分けをどのようにするのでしょうか。証明書交付窓口で市民とのトラブルが起きて、委託業者が対応できない場合はどのように対応するのでしょうか。見解を求めます。

(4)官製ワーキングプア

 受託企業は、前橋市の行政の効率化とコスト削減に貢献しようという純粋な思いだけで参入するのではありません。当然ビジネスチャンスという動機が参最大の動機です。そして、窓口業務などで利益を生み出すためには、結局、人件費削減を中心とせざるを得ません。
 今回の?富士ゼロックスとの契約期間3年です。次の選定機会に漏れることも想定し、最初からパート、契約社員などと有期雇用契約を締結し、低賃金の不安定雇用労働者が業務の中心的担い手になるのではないでしょうか。広がる格差社会を打開する役割を果たすべき市行政が、自らワーキングプアを作り出すことになります。公務が、官製ワーキングプアによって担われれば、これまで蓄積されていた公務の専門性を発揮した市民サービスの質を維持することもできなくなるのではないでしょうか。見解を。

 提言〜現在、委託しようとしている窓口業務は、正規職員5人と嘱託職員6人の11人で担当しています。3年間で最大約2億2500万円という委託で富士ゼロックスに委託しても、直営で支出している人件費の削減効果はわずか年間200万円です。情報漏えいや偽装請負のリスクなどを考えると、効率化にもコスト削減にもならないと思います。今からでも、窓口業務の業務委託を中止するよう強く求めておきます。

2、市行政の民間化拡大方針の見直しについて

(1)公務の市場化の問題点

 次に、市行政の民間化拡大方針の見直しについて質問します。
公共サービスは、本来、自治体として財政措置をして正規職員を雇用し、不測の事態や事故があった時の責任も負担しながら安定的に提供すべきです。利潤を追求し雇用責任も明確でない営利企業に安易に委託してよいのかという問題が問われています。 
本市は、国の方針に追随し、公務の市場化を積極的に進めていますが、今、指定管理者制度の下で市としての独自の安全管理が弱まり、富士見温泉見晴らしの湯での人身事故やあいのやまの湯でのレジオネラ菌問題で施設が長期休業に追い込まれました。民間活力の導入では、必ずしも市民サービスの質の向上にはならないことが証明された事故ではないでしょうか。
 また、PFI手法で進めている新「道の駅」整備事業も日赤跡地の前橋版CCRC構想も事実上、市民参加も行われないまま、事業計画を民間事業者に丸投げしているために、計画通りのテンポで進んでいません。このような大きな財政投入を余儀なくされる大型事業が当局の期待通り成功するかどうかも分かりません。
このような公務の市場化がもたらすデメリットをどのように考えているのでしょうか。見解を。

(2)行財政改革のあり方

 次に、行財政改革のあり方です。国は、平成28年度から民間委託や指定管理者制度などのアウトソーシングを先進的に進めて職員の削減など行革努力を進めた地方自治体に対して、地方交付税の基準財政需要額算定に反映するトップランナー方式を導入しています。
公務、公共サービスを営利企業のもうけの場に誘導するために地方交付税に差をつけてアウトソーシングに取り組む自治体をふやそうとすることは、地方自治に対する介入です。民間企業への委託等の拡大は、公務労働を通じて、公務員の最大の仕事である人権保障の業務に関する機能を縮小させることになります。
行財政改革を推進するなら、効率化と人件費削減優先ではなく、住民福祉を増進し、住民サービスを向上する自治体本来の責務を果たすという観点を貫いて、行政をチェックすべきです。当然、住民の声、現場の要望をよく聞いて行政に反映すべきです。
 公共性を弱め「官製ワーキングプア」の増大につながるアウトソーシングの推進ではなく、行政の無駄使いをチェックすることに重点を置くべきです。見解を。

 提言〜市当局は、議会にも市民にも総合計画などで次のように協調して施策への理解を求めています。
 ●人口が減少し税収も地方交付税も減り市財政の運営が苦しい、●行政サービスの選択と集中をしなければならない、●維持管理コストが増えるので学校や公共施設など公共施設の統廃合が必要、●利用目的のない公共用地は積極的に売却する、●コンパクトなまちづくりを推進するために立地適正計画で市街地の拡散を抑制する、●インフラの整った中心街の活性化を進めると当局は強調し、施策展開を図っています。
その一方で、●需要予測も十分行わないで7?の県内最大規模の道の駅が適切な事業なのか、●日赤跡地のCCRC構想が地方創生事業の目玉事業として手を上げる必要があるのか、●中心市街地の再開発事業を現時点で立ち上げてよいのか、●市営住宅の老朽化による管理戸数の2割以上の空き部屋を活用しないまま長期間にわたって放置していてよいのか・・・・などの検討すべき行政課題が山積しています。
 十分情報を提供しながら、市民参加で慎重に検討することこそ、行財政改革のテーマとしてではないでしょうか。
 行財政改革を抜本的に改めることを強く求めて質問を終わります。

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