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議会報告

2018年9月12日第3回定例会本会議議案反対討論・長谷川薫議員【2018/9/27】

  2018年第3回定例会本会議反対討論(9月12日・長谷川薫)

 日本共産党前橋市議団を代表して、議案第86号 平成30年度前橋市競輪特別会計補正予算 及び 議案第89号 前橋市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の制定について の2議案に対する反対討論を行います。

はじめに議案第86号についてです。
 本議案は、「グリーンドーム前橋等運営検討委員会」の開催に係る費用として11万5千円の補正予算の計上です。当局は、「委員会の設置目的は、民間委託ありきではなく、直営の維持も含めて今後の競輪事業及びイベント等貸館業務などのあり方を総合的に検討していくため」「安定的な収益を上げ競輪事業を将来にわたって維持していくため」などと委員会の目的を説明しています。
しかし、わが党は、以下の理由から、現時点での検討委員会の立ち上げには反対であり、補正予算を認めることはできません。
第一に、今年度内に答申を出すスケジュールでは、拙速に民間委託の結論を導きかねないからです。民間委託すれば、受託業者に対して納付を求める年間の最低保証額を提案することになると思います。民間事業者は、納付額の確保とともに事業者として独自の利益を上げるために、低賃金の従業員を雇用して人件費を抑制するとともに、車券の売上額を増やすためにあらゆる手立てをとって事業運営するのではないでしょうか。射幸心を一層高める宣伝が行われ、ギャンブル依存症を増やしかねません。これまで直営を維持してきたからこそ、公営ギャンブルとしての節度を守りながら、利益を前橋市に繰り入れ、施設整備の積み立て金を増やす努力が行われたのではないでしょうか。
 日本はすでにパチンコや公営ギャンブルを合わせ、市場規模が27兆円にものぼるギャンブル大国になっています。依存症も300万人をこえ、深刻な社会問題を引き起こしています。民間活力の導入の名のもとに、ギャンブル性を高めかねない民間委託もふくむ検討や協議を認めることはできません。
 第二に、民間委託には法的な問題があるからです。法務省は従来、刑法で罰せられる賭博行為が違法性を阻却するための第一の要件は、「事業目的の公益性」と強調していました。賭博という違法行為を行うが、その収益を住民福祉や住民サービスなど公益性のあるものに限定して使うから、違法性がなくなり、合法であると認められてきたのです。
 いま全国的に競輪事業の委託が進んでいますが、委託業者が収益を増やして相当額を超える金額を、経営者に支払ったり株主などに配当するなら、違法性が発生するという問題が出てくると思います。
 第三に、本市の競輪事業は、民間委託しなければならないほどの経営悪化に至っていないからです。車券売り上げは維持しています。平成29年度の車券売上高は204億円です。年間58日間開場した本場の売り上げは5億6千万円で2.7%です。売り上げの中心は、145億円の場外車券売り場や、54億円の電話やインターネット販売です。当たり券の配当が高くなる車券の導入や場内に観客を入れずに行うミッドナイト競輪などで売り上げを維持してきた結果、実質収支は、28年度も29年度も約3億円の黒字になっています。将来的な経営状況には不確定要素がありますが、現状の収支状況の下で、民間委託によって大幅に経費を減らす緊急性はありません。
 第四に、グリーンドームの二つの基金は毎年積み立てて29年度末で総額34億円ありますが、老朽化が進むグリーンドームの改修や維持管理の費用を競輪事業だけの収益で、今後とも生み出そうとすること自体に無理があります。また、民間委託によって、官製ワーキングプア―を作り出すことが分かっていながら、委託を進めて繰り出し金や基金を増やそうとすることにも賛成できません。
 第五に、民間委託によって存続しなければならないほどの競輪事業への市民要望はありません。むしろ「競輪場」として運営を優先するのではなく、市民共有の施設として、文化・スポーツ・産業・観光など、前橋市の活性化に寄与する拠点としての利活用を求めているのではないでしょうか。今、首都圏の自治体で公営ギャンブルから撤退する例が相次いでいます。千葉市は数年間、民間に委託して千葉競輪の存続を目指しましたが、結果として経営改善は見込めないとの判断で2017年度末に廃止しました。本市においても、競輪事業継続の可否について市民参加で検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。
 
 以上の理由から、本補正予算議案を認めることはできません。

次に議案第89号についてです。

 本条例案は、介護保険法の改正によって新たに介護医療院が創設されたために、その設置基準等を定めるものです。
現在、市内には、介護療養型医療施設が1施設13床ありますが、国の方針によって、2023年度末までには廃止されることが決まっています。介護療養型医療施設は、要介護認定を受けた「要介護1〜5」で、急性疾患の回復期にある高齢者や慢性疾患の高齢者のが対象で、介護職員が手厚く配置された医療施設です。病状は安定していても自宅での療養生活は難しいという方が入所して、必要な医療サービス、日常生活における介護、リハビリテーションなどを受けることができます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設に較べて、医療や介護の必要度が高い方を対象にしており、長期の療養生活を送るのにふさわしい住まいの機能が強化され、日常生活上必要な医療処置や充実した看取りを実施する体制になっています。本市では昨年度、介護給付費は約3600万円を支出しています。この施設が廃止されて、医療支援が弱くなる介護医療院への転換が求められているのです。
また、医療費で運営されている医療療養病床は、慢性期の高齢者の医療やリハビリを提供しますが、介護認定を条件としていない医療施設です。現在市内の多くの病院に合計408床ありますが、国の医療費抑制方針に基づく県の医療計画によって、大幅に減らされて老人保健施設など介護サービスへの移行が求められています。
このような、医療費削減を目的に現行の医療や介護サービスを弱めたり排除するような国の方針に追随する条例制定には賛成できません。
 
 以上申し述べまして、反対討論といたします。

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