トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

2018第4回定例会総括質問原稿・小林久子議員(31分)(1)都市計画と大型公共事業計画の問題点について(2)滝窪町民間最終処分場計画の問題点について【2018/12/5】

1、最初に都市計画と大型公共事業計画の問題点について伺います。

(1)立地適正化計画と公共事業

立地適正化計画の問題点についてです。
人口減少社会へどう立ち向かうのかが大きな課題になっており、立地適正化計画でコンパクトなまちづくりの方針が打ち出されました。立地適正化計画は、市街地を縮小し、都市機能誘導区域と居住誘導区域を定め、そこに国の補助事業などを重点配分し、住宅、公共施設や、医療・福祉、商業施設を誘導しようとしています。
今、大型商業施設の郊外立地が無秩序に進み、地域の商店街はさびれ、買い物難民を生み、車が無いと生活するのも困難な地域も増えています。
さらに、今回の立地適正化計画で、居住誘導区域から外された地域が今後どうなっていくのか大変心配されます。
立地適正化計画では、都市計画区域52,3㎢のうちの約半分が居住誘導区域から外れることになります。今後、生活利便施設が無くなり、住みにくくなり、地域コミュニティの崩壊や地域の衰退に拍車をかけることになりかねないという問題をはらんでいます。
これらの問題に市はどう対応しようとしているのでしょうか。
これまでのまちづくりあり方と共に、立地適正化計画の問題点について当局の見解をお聞きします。

●これまで土地区画整理事業や住宅団地造成などで市街地を郊外に拡大してきましたが、そこはこれからも道路、上下水道などは維持していかなければならない。また、ローズタウンはまだ民間が住宅団地を建設中で、立地適正化計画で市街地を縮小しようとしても無理があるのではないでしょうか。

立地適正化計画は市民がどこに住むかの居住権、資産価値にも影響し財産権にもかかわる大きな問題です。不便だからと住み替えられる人は少なく、多くの人は簡単に住み替えられません。
これまで、市内各地区がそれぞれまちづくりに尽力し、地域課題に解決に努力してきましたが、これらの努力にも水を差すものです。
緩やかに誘導すると言いますが、公共事業が国の補助事業や交付金頼みで行われており、立地適正化計画で、さらに居住誘導区域に公共事業などを集中しようとすることは問題です。
立地適正化計画の中で居住誘導区域外への一定の補助事業やインフラ整備も位置付けるよう国に求めるべきです。国が行わないとしても、市が単独でも位置付け、居住誘導区域外に住む人たちも安心して住み続けられるようにすべきと思いますが、答弁を求めます。

●身近な生活道路の改修要望も公共交通の改善などの要望にこたえられていません。
多くの市民がのぞんでいるのは、住み慣れた町で安心して暮らし続けるためのまちづくりや公共交通の充実です。

次に公共事業の同時施行の問題についてです。
 立地適正化計画は、7つの拠点エリアと公共交通沿線の居住エリアを定め、居住を誘導し、コンパクトなまちづくりを推進しています。
市街地総合再生計画では、民間業者による再開発事業に公的支援を行い、立地適正化計画でも、市街地再開発事業や土地区画整理事業など、大型事業をまちなかを中心に行うものです。
今、本市では、JR前橋駅北口複合ビル、日赤跡地のCCRC、中心市街地再開発、新道の駅などが同時多発的に計画されています。
 市長は民間が行うから、市の財政負担はないというが、CCRCは、旧日赤の建物除却費の費用負担を市が行い、複合ビルには10億円の市の支出が予定されています。これに道の駅が加わり、建設費、15年間維持管理運営費を合わせて約90億円。さらに千代田町の再開発です。いずれも市に変わり、民間業者に事業を肩代わりさせ、市が莫大な財政支援をして民主導の事業を推進するものです。
 どれも、全市民的な要求でなく、限られた地権者の開発要求に応えるものになっています。財政が厳しいと言いながら推進する一方、市民のための予算を削減し、切実な市民要求である子育てや公共交通などに影響を与えています。
また、再開発で、まちなか人口を増やそうと、同時施行で行っていますが、需要予測を踏まえた上での計画になっているのか。CCRCは一般向けの住宅戸数が決まらず、駅北口複合ビルは特養が入らない。本当に前橋市に必要な事業なのかがはっきりせず、身の丈に合ったものとは言えないのではないでしょうか。改めて、公的支援で行っている事業の必要性や事業規模縮小など検討しなおすべきと考えますが答弁を求めます。

●需要と供給、費用対効果などの分析もなく、民間事業者任せで市が責任を持たない事業を同時多発的に進め、全体のバランスがとれたまちづくりが成功するのか大変疑問です。
 

次に土地区画整理事業についてです。
 市はこれまで、区画整理事業をまちづくりの中心的な事業として多額の財政を投入し進めてきました。市民は減歩で土地を提供し、整備により資産価値も上がると言われ協力してきましたが、一方12地区もの区画整理の同時施行による事業の長期化で、市民生活に様々な負担をもたらしてきました。
今回、市街化区域の約半分が居住誘導区域から外れました。この中には、かつて土地区画整理事業をした地域や現在施行中の地域でも居住誘導区域から外されている区域もあります。
お金と労力をかけて区画整理事業を行ってきたが、居住誘導区域から外され、資産価値も下がり、将来不安を市民に与えることになり、まちづくりに矛盾が生じています。
今後これまでの土地区画整理事業による街づくりの在り方を抜本的に見直すことが必要な時期に来ていると思いますが、見解を伺います。
 
●今後立地適正化計画の5年ごとの見直しでさらに居住誘導区域を狭めるということになれば、現在施行中の区画整理事業を継続しても、居住誘導区域からまた外される地域を生むことにならないかと心配です。


(2)次に中心市街地再開発計画についてです。

千代田町中心拠点地区市街地再開発事業では、業務代行者の公募を中止しました。
募集要項では公募事業者の総合評価化点数が1500点以上となっており、要件も最近10年間で特定業務代行者としての実績や複合ビル等の建設のいずれかとあり、大手企業しか応募できない事業となっています。最初から過大な事業計画になっていますが、このまま進めていくことは問題があると考えます。
 いったん業務代行者の募集を中止し、再度の公募に向けて準備しているとのことですが、どの様な修正を考えているのか伺います。

●いずれにしても、相変わらず大規模な開発を行うことが目的になっていることは問題です。


次にリスクについて伺います。
これまで大型店の郊外立地を規制せず、立地を許してきたことが、中心街を衰退させた要因の一つであると思います。
この地区は、大型商業施設、デパートや複合商業ビル、家電量販店、ホテル、図書館などの誘致計画が出ては消え、迷走してきました。未だに無秩序に郊外に大型店が出店を続けている状況は変わっていないのに、パイの奪い合いのように過大な計画を立てても、人が来るのか、成功するのかと、多くの市民が疑問を感じています。
視察した沖縄市では再開発ビルが撤退し図書館が入り、沼田市も大型商業施設が撤退し市役所が入ることに、いずれも行政が後始末をする結果になっています。
今ここで最後のチャンスとばかりに、ハコものを作ろうとしていますが、今度は成功すると考えているのでしょうか。過大な計画であり失敗した時、負の遺産となりかねませんが、こうしたリスクについてどう考えているのか伺います。

●駐車場がある大規模商業施設は郊外にたくさんあり客は止め易く駐車料金がかからない方が便利です。
これまで、元気21やアーツ前橋、文学館など作り賑わいをとりもどそうと努力してきましたが、うまくいっているとは言えません。けやきウォークや郊外大型商業施設に行く人たちが戻ってくるのでしょうか。現実をしっかり見据えた計画にすべきです。


地権者の方たちの意見は大切ですが、このような大きな再開発計画で、ある地権者の人は銀行からの融資や資金繰りがどうなるのかと不安を抱えています。イメージ図から総事業費が数百億円もかかるのではとも言われており、最大の地権者であるスズランや前橋市の間で資金面での話がされたのでしょうか。
スズランに頑張ってもらいたいと思いますが、スズランの移転の考えや、資金繰りなども大きな問題であり、市はスズランとの調整やつめた話をすべきです。
市も最大の地権者として、周辺商店街の振興策も含めどの様なものが求められているのか、庁内関係部署との十分な協議が必要です。その上で規模や市の財政支出が過大にならないように全体の事業の調整役を果たしていくべきではないかと思いますが、答弁を求めます。

中心街の再開発は、この地域だけの問題でなく、前橋市全体として市民の関心も大変高い問題です。これまで元気21、アーツ前橋、文学館など既存の市有施設や商店などと連携したまちなかの賑わい創出、回遊性の向上を図る取り組みをしてきましたが、再開発事業がこれら施策との整合性を図ることも大切です。中心街のまちづくりについて、商工会議所から様々な要望が出されており、これに答えていくことも大切です。再開発地区も含めた中心市街地全体のまちづくりを市民と協議する場を改めて作るべきと考えます。
そこで、事業の規模が妥当かどうか、設置施設はどの様なものが必要かなど、改めて、十分検討し、市民の合意を得て進めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

●中心街の昼間の人口を増やすといいますが、大規模な再開発事業では周辺商店への影響が心配です。中心商店街の振興策も同時に支援し、商店リフォームの拡充や、京都市のように、店舗と住宅の併設には、固定資産税の減免をするなどの施策も必要です。
 莫大な資金が必要な大規模再開発を、修正せず進めることは問題です。市とスズランで充分な協議が必要であり、開発規模は縮小すべきです。

 
2、次に滝窪町民間最終処分場計画の問題点について伺います。

(1)環境汚染の危険性についてです。

3年前に民間最終処分場の計画が浮上しましたがすでに滝窪町自治会を中心に1860人分の反対署名と陳情書が市長に提出され市に建設を認めないように求めています。しかし今回事前審査の広告縦覧がされ、先月25日、地元説明会が行われました。
 国は廃プラスチック、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、陶磁器やコンクリートくず、がれき類(非飛散性アスベスト)など五品目については、分解せず安定していると、遮水シートも進出水の管理も不要で素掘りの穴に直接埋め立てる最終処分場の設置を認めてきました。しかし処分場から有害物質が発生し環境汚染の問題が各地で頻発しています。
2007年弁護士会は、安定5品目そのものが、安定したものでない事や、分別を徹底することも困難であり、施設の設置は止めるべきと声明を出しています。
国は、廃棄物処理法を改正し対策を強化しても、未だに、違法処理や不法投棄はなくなっていません。
このように環境汚染が避けられない最終処分場の危険性について認識を伺います。

●そもそも、穴を掘って埋めるという旧態依然の処理で、一定期間をクリアすればあとはお構いなしという最期まで責任を持たない時代遅れの廃棄物対策を行っていること自体が大問題です。ヨーロッパなどでは埋めずに建屋内に管理・保管する方式がとられています。国も問題があることを承知していながら、禁止できないのは日本の環境行政が弱いと言わざるを得ません。


滝窪町の最終処分場計画予定地の510mには滝窪浄水場もあり、設置予定地を流れる水路は、300m先で寺沢川と合流し、南下し桃木川に流れ込んでいます。500m以内の地下水・湧水利用の民間施設は8戸あり、内4戸が飲用に使っています。
 素掘りの穴に埋める中に5品目以外が混じっていたら、地下水や、井戸、下流の河川への環境汚染で取り返しのつかない事になります。2005年の水戸の建設差し止めの裁判は「安全な水道水を享受する権利」が認められ住民が勝訴しています。
また、予定地にある水路はたびたびの豪雨で鉄砲水がでて、下流の田畑に土砂や流木が流れ込み耕作できない被害も出います。自然環境を破壊する、このようなところに建設すること自体問題であると思いますが。当局はどのように考えますか。

●河川は寺沢川から桃木川に合流しています。下流に住む住民にも被害を拡大しかねません。現段階では、安定型処分場を認めたのでは環境汚染を防止することができないということを認識すべきです。


(2)地元住民の意見反映

地元住民説明会
住民説明会が先月25日におこなわれ、住民の皆さんから反対意見が沢山だされまし
たので紹介します。
「埋め立て終了後、廃止まで責任持ち維持管理を継続できるのか」「我々は20年30年ずっと住み続けるが、環境汚染が解った時責任を取れるのか」「トラックの搬入路は通学路になっていて歩道もなく危険」「ダンプが1日30台往復するというが搬入道路沿いに人家が十数件あり、騒音や煤塵などが不安」「ゲリラ豪雨にも対応できるというが、この地形は過去何度も氾濫被害を出している」「浸出水の処理施設作っても豪雨時は処理しきれないのでは」など住民から次々と心配する声が出ましたが、事業者は「安全に対応するので問題ない」の一点張りでかえって不安が増します。
住民は「環境への影響は今すぐなくとも時間をかけて出てくる」「この地区はかつて産廃焼却施設を迷惑かけないと言われ許したが、ひどい煙と悪臭に住民は悩まされ続けた。安全と言われても信用できない」「目先の利益を優先し、福島原発事故は人が住めない土地を作ってしまった。環境都市宣言をした前橋市として豊かな自然を守るためにも自治会として反対だ」と明確に示しました。
当局はこのような住民の声をどう受け止めますか。とても認めるわけにはいかない。
2009年、宮城柏倉町に、ハザカプラントが産業廃棄物処理施設を作ろうとしたとき、赤城山の環境と水源を守れと宮城大胡粕川地区で大反対運動が起こり、業者は撤退しました。行政はこうした住民の声こそしっかり受け止め、住民に寄り添う行政の対応が求められています。事業の認可はすべきではありません。答弁を求めます。

●2年前の6月議会でも取り上げましたが、環境部長は多くの人が生活環境や環境汚染心配不安を感じていることを改めて認識したと述べています。だからこそ市の事前協議の規定には住民同意を求めているのではないですか。
ところが廃棄物処理法には、住民同意の条件が無く、住民意思が反映されないことは問題です。いったん許可を出すと、次も行政は許可を出さざるを得なくなり、処分場の拡張や別の業者が進出し、産廃銀座になってしまう危険もあります。
環境都市宣言をしている前橋市は、緑豊かな自然を守り、育て、将来の世代に引き継ぐ責任があります。国の法定受託事務といえ絶対に許してはいけません。


ページのトップへ