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議会報告

第4回定例市議会 日本共産党前橋市議団を代表して、7議案に対しての反対討論 中道浪子【2018/12/7】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第99号、第105号、第108号、第110号、第111号、第112号、及び第123号の7議案について反対の討論を行います。

最初に、議案第99号平成30年度前橋市一般会計補正予算についてです。

反対の理由の1つは、今議会の補正予算に計上されている総合運動公園の債務負担行為6,300万円の中には、新たな多目的グラウンドを整備するため、地下埋設の排水路整備に必要な予算3,200万円が含まれていることから認められません。
かねてから、わが党は総合運動公園の整備については、プールやテニスコート、健康器具などの老朽化がひどい施設の改修を優先すべきと指摘するとともに、新たに14?もの拡張は過大であると反対してきました。
2つは、市斎場の債務負担行為の中に炉前・収骨業務の民間委託が含まれているので反対です。
当局は、来年4月から炉前の収骨業務を民間委託し、業務の円滑化・効率化を図るとともに、コストを削減の方針をだしましたが、新たに炉前の民間委託には反対です。
そのために市職員と委託業務の引き継ぎをするのに1月から3月いっぱいの3か月間もの研修期間を要します。現在の人件費が年間約5,200万円で委託後は約5,000万円でわずか200万円の削減ですが、これで業務の円滑化・効率化、コスト削減でどれだけの行財政改革になるのでしょうか。委託先は富山県の業者です。民間委託化せずに正規職員の継続で、業務の継承を図り市民サービスに徹することを強く求めておきます。

次に、議案第105号前橋市特別職の給与に関する条例及び前橋市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の改正についてです。

この条例の改正は、市長など特別職、及び議員などの期末手当の引き上げであり認められません。職員の給与の引き上げについては、評価しますが、特別職は一定の報酬を得ているので、今回引き上げる必要はありません。
市長は、少子高齢化で人口減少が強まっているのに、市民が強く求めている子育て支援策の柱などが大変弱く、昨年のサマーレビューは2018年から3年間で約26億円、223事業もの施策の廃止、縮小、見直しにより市民サービスを削減しながら、自らの期末手当を引き上げることは市民の理解を得ることができず賛成できません。

次に、議案第108号前橋市防災センターの設置及び管理に関する条例の廃止についてです。
本市の防災センターは、2000年に建設された消防局庁舎に併設されているもので、いろいろな防災体験を通じて、住民のみなさんに防災について学習してもらい、防災知識の普及や防災意識の高揚を図るための施設となっています。
防災センターの展示コーナーには、消防の歴史を紹介し、昔の火消道具などを見ることができる「消防展示室」と防災に必要なグッズを展示している「消防グッズ展示コーナー」、市内の避難場所や防災施設、防災上重要な場所を地図にしてある「防災マップ」などが展示してあります。また、体験コーナーには、消火器や消火栓(せん)を使用して初期消火の体験ができる「初期消火体験室」、煙が立ち込める通路の中に入り、避難するときの姿勢を体験することができる「煙内避難体験室」、家庭用の電話機などを利用し、119番の通報体験ができる「119番通報体験」がそろっています。体験学習時間は、平日及び土曜日で、土曜日が祝日となっていても体験は可能で、9時から16時まで、個人でも団体でも予約ができます。防災センターの利用は毎年年間約1万人もの利用があり、小学校 4年生の社会科見学にも利用されています。
ところが、防災センターは建設から18年も経過し、かなりの老朽化が目立ち器材の不具合も生じている状況で、整備するのには多額の費用がかかります。そのため、防災センターを廃止して、これまで消防局が実施してきた学校や地域に出向いての防災活動のみにするのは問題です。予算がないからと防災センターを廃止するのではなく、むしろ施設設備の改修とさらなる施設の充実をおこなうとともに、学校や地域に出向いての防災活動の両事業を合わせて、市民の防災知識の普及や防災意識の高揚を図るべきで、防災センターの廃止には反対です。

次に、議案第110号前橋市幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例の制定についてです。

この条例制定は、今年6月に第8次地方分権一括法が公布されたことに伴い、従来群馬県で行っていた幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定事務及び権限が来年4月から本市に移譲されることになり、今年度中に本条例を定めようとするものです。
本市は、新たにこども園の認定や監査、管理運営の指導などの認定事務量がかなり膨大なものになります。
認可権限が移譲される認定こども園のうち、特に地方裁量型認定こども園については、無認可の幼稚園機能と無認可の保育所機能が一緒になった事業所で、職員配置や1学級の子どもの人数、及び施設設置内の敷地に屋外遊技場がなくても園の付近にある適当な場所を屋外遊技場にしてもよいという規定になっており問題です。
地方裁量型認定こども園である姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」は、2017年3月、定員を超える受け入れや園児の人数分を下回る量の給食しか発注せず、それを分け与えていたなどの実態が発覚して、多くの国民が衝撃を受けました。この認定ことも園は、もともと認可外だった保育園を兵庫県の独自の条例で「特定認可外保育施設型・認定こども園」として認定した「地方裁量型認定こども園」で、国や県が待機児童対策として保育の質はともかく数を確保することで受け皿づくりを急いだことがこの問題の大きな原因と言われています。この条例には、安上がりの保育で安易に待機児童を解消しようという狙いが含まれており反対です。
そもそもわが党は、2012年8月に制定された「子ども・子育て支援制度」については、民間営利企業の参入や介護保険制度と同様に、保育所・園と保護者との契約で、保育サービスを受けることになり、保育所・園が受け取る補助金は保育時間に左右されるために経営は不安定となり、人件費が削られ正規職員の削減で保育の質が低下するなどの理由で反対しました。
政府は、首都圏での待機児童解消を目指して制度を大幅に変え保育基準の緩和まで行いましたが、保育所・園への待機児童は解消どころか、未だに大問題となっており、保育士の待遇改善にも至らず、今や保育士が圧倒的に足りない状況です。本市でも、今年度の待機児童が151人にも上り、特に3歳未満児の入所希望がかなえられない状況で、公立保育所での対応が求められているにもかかわらず、改善策が不十分です。
今後本市でも、地方裁量型認定こども園などで対応するようなことがあっては問題で賛成できません。

次に、議案第111号前橋市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の改正についてです。

改正の内容は、家庭的保育事業者等による代替保育の提供に係る連携施設、例えば、保育所、幼稚園または認定こども園の確保が著しく困難であると認める場合に、一定の条件を満たすときは連携施設の確保義務を緩和すること、また、家庭的保育者の居宅で保育が行われている場合の食事の提供の特例に係る搬入施設の要件を緩和し、保育所、幼稚園、認定こども園などから調理業務を受託している事業者で市が適当と認める者からの食事の外部搬入を可能とするものです。最も安全な自園調理の給食が求められている3歳未満児の給食を条例で外部委託搬入を認めることは問題であり認めることはできません。
そもそもわが党は、この条例も新規に制定した時に保育者の保育資格を求めないことが国基準に盛り込まれており、保育士資格がなくても研修を受けていれば認めることや、保育士同等以上の知識や経験を有すれば認めることになり、このことは民間企業の事業参入がしやすくなり、保育事業を儲けの対象にすることは問題であると反対してきました。
条例制定当時は、本市においても待機児童がきわめて少人数だったことから、待機児童が多い首都圏において家庭的保育事業などが必要とされるのであって、わが前橋ではこの条例は必要ないと述べていましたが、今に至っては、3歳未満児の待機児童が増えている状況からして、民間企業の事業参入も強まるのではないかと危惧しております。

次に、議案第112号前橋市福祉医療費の支給に関する条例の改正についてです。

この条例は、来年4月からの県条例の改定を受けて、福祉医療費の支給対象範囲を見直すもので、重度心身障害者1・2級及び高齢重度障害者に支給する福祉医療費のうち、入院食事療養標準負担額について、住民税非課税世帯等の方のみを支給対象とし、支給対象範囲を限定・縮小するもので認められません。
本市には、該当する障害者は7,300人です。これまで県の施策として全員を対象に入院した場合の食事代を福祉医療費として県と市で2分の1づつの負担になっていました。昨年度実績で本市としては約3,700万円の支給でした。条例改正後は、住民税非課税世帯に限定しますから、対象は4,500人と少なくなり、2,800人の方が入院時に新たな負担をしなければならなくなります。年金が引き下げられ、消費税の増税も計画され、後期高齢者医療費も2割負担となることから生活が大変と悲鳴が上がっています。そもそも、重度障害と言うハンディを背負っている方や高齢者の重度障害者ですから入院食事福祉医療費は課税・非課税に区別することなく、むしろ重度障害に限定せず、障害を持つ人をもっとひろく対象にすることが求められているのではないでしょうか。
本市としては、県が福祉医療費の削減を求めていても、市独自で継続することを検討すべきです。大規模開発目白押しの計画を少し見直すだけで予算のやりくりができます。福祉医療費は削減せず、継続することを強く求めておきます。

最後に、議案第123号前橋市新設道の駅整備運営事業契約の締結についてです。

わが党は、上武国道沿線への道の駅の設置に反対しているものではありません。新設道の駅整備についての施策が提起された当初からわが党は、市民や関係者の意見を十分聴取するとともに、市内で運営している既存の3カ所の道の駅の事業と共存できるような充分な配慮を求めるとともに、新設道の駅を前橋市の観光振興や農業振興に役立てるとともに、本市の現在の財政状況を慎重に検討した上で、身の丈に合った適切な規模の道の駅の整備にとどめるべきと一貫して提言してきました。
ところが、今回、運営事業者と協議したうえで市当局が示した整備運営計画は、運営事業者任せで設置責任者である前橋市としての責任ある運営計画が示されておらず、農業や観光振興策も地域経済活性策も具体化されておらず、文字通り運営事業者に丸投げの計画になっていることが浮き彫りになっています。以下、本議案の反対の理由を申し述べます。

反対理由の1つは、事業規模が過大であることです。

新設道の駅の計画面積は7?で、必要な整備費用は、PFI事業者に9億7千万円の資金提供を求めても、国と市の負担分や道路整備費、完成後の運営費を合わせると94億円にものぼる大規模大型事業です。
そもそもPFI事業は、多額の税金を投入して整備した公的施設を、完成後はその運営をほとんどまるごと民間事業者にゆだね、利益を上げさせる事業形態です。整備する今回の新設道の駅についても、事実上、設計も運営も運営事業者丸投げです。民間のノウハウを活用して運営して集客すると期待し、農業振興や産業振興への貢献を市が求めても、事業者は利潤追求を最優先させることが必至です。
しかも、用地買収が先にありきで進められてきたために、事業内容の検討よりも7?の敷地に整備する施設やその規模やその配置が検討され、当初は道の駅に必須でないと判断したものものまで入れ込むことになっています。
わが党は、11月に本市と同規模の人口38万人の中核市・愛知県岡崎市の道の駅「藤川宿」を視察しました。平成24年11月に国道1号線にオープンした市内3か所目の道の駅は、総面積1.36?、駐車場102台、年間来場者数は160万人から120万人を推移し、指定管理者の正規従業員は8人、年間約6億円を売り上げています。整備費用は19億円で、国が11億円、市の負担は約8億円です。今議会でも、岡崎市のように身の丈に合った施設にして、本市の財政状況も勘案しながら、安定的に長期的に運営できる施設に見直すべきではないかと提起しましたが、当局は「必要な規模だ」と答弁し、検討する意向を示しませんでした。

反対理由の2つは、本市の農業振興に結びつく計画が示されていないからです。

本市では今既存の3か所の「道の駅」の直売所は、農事組合に組織された地元農家が安全な農畜産物を生産し、できる限り新鮮で安く販売するなど、生産・出荷・販売に責任をもっています。しかし、農家の高齢化がすすみ、要請があっても現状では新道の駅への農産物の提供が難しい現状があります。そもそも、現時点で富士見地区や地元の南橘地区、芳賀地区などの農業者に何の相談もされていないこと事態、問題ではないでしょうか。民間事業者をテナントにして、青果市場などからの品揃えとなれば、大型量販店と変わらず、最も重視すされなければならない道の駅の魅力が欠けてしまうのではないでしょうか。
運営事業者任せではなく、設置者である市の責任として後継者や新規就農者の拡大など前橋市の農業振興に結び付くよう、市が強力な主導性を発揮すべきです。しかし、当局は、「農産物の供給は施設設計を進める中で行い、安定的に供給したい」と安易な態度を示していることは問題です。

反対理由の3つは、資金計画の根拠が示されていないことです。

計画に示された資金計画は、国庫補助金の交付見込額や施設全体の売上見込み額も示されておりません。これでは、事業の採算性の見込みが判断できません。運営事業者の経営努力によって利益が出た場合は、その半分を毎年市に納付することになっており、計画では予想される純利益1,700万円を折半して880万円を市が受け取ると説明しています。しかし、その根拠は一切示されておりません。本来なら、国土交通省や関係省庁との補助金交付や整備責任の分担の協議が完了してから、議会に契約承認を求めるべきだと思いますが、当局は「今後事業者と協議していく」という回答です。採算見込みも、整備の市の負担など事業全体が適切であるかどうかの判断ができません。少なくとも国交省など国の補助採択の協議が完了してから契約の承認を求めるべきです。
   
反対理由の4つは、基本計画に対する市民への意見聴取が不十分だからです。

おおよそ2年前に新設道の駅設置推進委員会を設置し、横断的に検討・協議を重ねてきたことは承知しております。しかし、市民の多くは現状では、道の駅ができることは承知していても、建設規模や必要経費、事業内容などは十分認識しておりません。民間に多くの事業を委ねていく施設でありますが、長期にわたって活用する公共施設です。基本計画を踏まえて運営事業者との契約を締結する前に、事業者と共催して公聴会やパブリックコメントを実施して、運営を含めて市民の意見を十分聴取すべきです。
行政と市民が一体となって事業規模や運営内容が適切なものになるのかどうかが事業成功のカギです。現段階では、契約締結は時期尚早であります。税金を中心に約100億円近くもの事業費をつぎ込んで7?もの敷地面積を掲げた事業計画だけが先行し、事業運営計画の全体があいまいなままスタートしようとしていることを承認するわけにはいきません。
民間主導の新設道の駅の施設建設を最優先せず、市民の切実な願いである学校給食の無料化や30人学級、不足する特養老人ホームの増設、老朽化した市営住宅の修繕促進など本市の少子高齢化対策や農業後継者の確保や支援、遊休農地の対策などの農業振興策、住宅や商店リホーム助成事業や小規模事業者支援などの地域経済振興策など、切実な市民要求を犠牲にすることなく、むしろ最優先課題として位置づける市政運営を強く求めておきます。

以上申し述べまして、7議案に対する反対討論といたします。

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