トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

総括質問2018年12月6日近藤好枝1、人口減少社会のもとでの市政の問題点と課題について2、大規模木質火力発電所の問題点について【2018/12/7】

1、人口減少社会のもとでの市政の問題点と課題について

(1)最初に前橋版総合戦略についてです。(政策部長)
●少子化の問題を打開するためには不安定で低賃金の雇用が広がる中、子育てにお金がかかることが、若い世代に重くのしかかっています。安定した雇用や子育て支援がなければ地方移住も、安心して子どもを産み育てることもできません。本市の合計特殊出生率の目標は策定時の平成26年には1.42人で、平成29年では1.41人と減少しております。総合戦略の42事業が自体が有効な施策になりきれないものもあり、計画通り進まず、むしろこのままいけばさらに落ち込むのではないか。
打開するためには総合戦略の抜本的な施策の拡充が必要と考えます。とりわけ、子育てしやすい環境整備のために大変有効な施策として評価されている、学校給食費の完全無料化は県内でも広がっています。義務教育は無償からも食育としても意義あるもので財政支出は市の予算の1%14億円で県が実施すれば折半で7億円で実施できるのです。子どもの医療費を18歳まで拡充することやいじめ不登校対策としても行き届いたきめ細かい教育をするためにも30人学級化に踏み出すことが子育てへの大きな応援になることは間違いありません。総合戦略の5年後である平成31年を待つことなくこれら施策を加えて正面から取り組むことによって人口増が図られるのではないか見解を。
答弁
今後、5年間の施策の結果を見て検討していきたい。

反論
わが市議団が視察した明石市は関西地区で唯一人口が増え続けています。明石トリプル3として1つは人口30万人、2つは年間出生数3000人、3つは本の貸し出し数年間300万冊というわかりやすい目標を設定し、明石市子ども支援条例も制定し、子育てにかかる経済的支援やひとり親家庭支援などあらゆる市民要望に正面から取り組み積極的に子育て支援しています。その結果平成25年から転入超過に転じて出生数も増加し、今年までに約5000人増えて30万人目標の達成も目前です。本市もこのような先進的自治体にしっかりと学び総合戦略を見直して人口増に向けて努力すべきです。

(2)前橋市行財政改革についてです。(総務部長)
人口減少社会に歯止めをかけるためには、若者の安定した雇用と低賃金の解消が前提であると考えます。本市の市役所は若者の就職先として安定的な職場としても市民から期待されています。ところが本市は市民本位の行財政改革に本気で取り組む姿勢がありません。市職員の定員管理計画が作られ、正規職員を年々削減することが方針化されています。正規職員の削減分を非正規職員に置き換え、4人に1人が非正規なっていることは問題です。率先して若者の雇用の安定を図るべき本市が非正規労働者をふやし、官製ワーキングプアーを生み出していることは若者の雇用の不安定化を助長し、地域経済の活性化にもつながらないのではないでしょうか。今、政府が進めようとしている水道事業の民間化はこれらに拍車をかけるものです。この間削減されてきた技能労務職を含めて正規職員を削減せず増やして雇用の安定化を図るべきです。今までのような行財政改革は転換すべきと考えますが見解を。

反論
全く反省がないことが問題です。平成31年からの新たな行財政改革に市職員の不安定雇用を改善し、正職員の安定的な雇用と地域経済の活性化へと転換すべきです。


(3)産業政策(産業経済部長)
●産業政策
民間職場では賃金は安いのに長時間労働を強いられ、過労死しかねない職場もまだまだ少なくないのが現実です。先日私どもに届いた2人の子育てをするママからの告発では「夫が朝6時半から真夜中の1時半まで働き、残業代も支払われず生活もままならない。夫が過労死してしまう、助けてほしい」という切実な訴えでした。本市として「ブラック企業根絶」を条例化して、若者の雇用対策に乗り出すべきではないか。
未来に希望を持って地元企業を対象に就職先として就職したいと思われる魅力ある企業を育成することが地元雇用対策として大変重要です。企業誘致ではなく市内企業をいかに育て発展させていくかが問われています。今までの技術を生かした企業をさらに発展させるための産業育成の支援に力を入れ若者の市外への流出に歯止めをかけるべきと考えるが見解を。

反論いろいろと努力されていますが、若者増加対策になかなか反映していないことは残念です。
●農業政策についてです。(農政部長)
高齢化が進み若者が後継者とならない現状では前橋の誇る農業は衰退の一途をたどることは避けられません。地方衰退の原因はTPP11や日米2国間協議などを進め、国の責任を事実上放棄したことにあります。基幹産業である前橋市の農業が元気になるためには抜本的な対策と支援が求められています。畜産農家や認定農家などへの支援をするとともに新規就農者への補助制度の拡充や、販路の拡大。さらに、中山間地支援のために大規模農家にも小規模農家にも機械導入助成の拡充、中山間地と平地の収穫量の減収分を保証するなどのきめ細かい施策によって耕作放棄地や相続放棄地対策にもなるのではないでしょうか。
本市では平成29年度ナスときゅうりの野菜選果場の建設費に国の助成を受けて約5億円を超える予算を支出して、野菜栽培の支援をしています。
全国で枝豆生産日本一の北海道の中札内村(なかさつないむら)は村が中心となって瞬間冷凍するための設備投資97億円の施設を13年前に稼働させました。24時間稼働する新たなシステムをJAと共同して開発し、甘くておいしい枝豆として国内外で販路を拡大し評判となっています。一農家の平均年収1844万円と話題になっています。本市でも新たな野菜の産地化に取り組むなどで、経営できる農業にするために農業従事者の増加を推進すべきと考えますが見解を。

反論
本市の農業予算の拡充なくしては農業を産業として維持発展させることはできません。新年度予算に施策の拡充を反映させるべきです。

(4)公共交通の充実(政策部長)
本市の少子高齢化社会のもとで市民からはどこに住んでも、安心して暮らせる公共交通が期待されています。前橋市地域公共交通網形成計画で検討している軌道交通中心の交通施策のみならず、高齢者が自立して移動できる公共交通の充実が大事です。当局は来年度中に実施計画を決定し平成34年度までに見通しをつけたいとの意向です。しかし、今困っている市民の要望にはなかなか応えられないのが実態です。予算を拡充し直ちに改善すべきです。
●最初にマイタクの改善です。
マイタクは約22,000人が登録して、タクシーへの運賃助成制度として多くの高齢者や障害者が利用しています。ところが、周辺地域の住民にとっては料金が高く利用しにくいため、利用度が低くなっています。当局も改善すべき問題として検討されていますが低額固定料金化を進めることにより、改善できると考えますがいかがか。
反論
マイタクは今後も持続可能な事業にと、高齢化の進行で予算の増額が必至であるにもかかわらず大枠は決めてその範囲内にとどめようとしています。これでは、市民の要望に応えることはできません。前橋市の優れた施策をさらに前進すべきです。
●次にマイバスの拡充です
マイバスは循環路線沿いを目的に移動する手段として100円で乗車できる点でも大変便利です。天川大島の老人会から陳情も出されたが、日赤が移転して前橋駅で乗り換えなければならないなど不便になったので、マイバス路線の拡充を要望しています。南橘地区のように群大病院と南橘地域を循環する路線や広瀬山王地域など新規路線の運行を検討すべきではないか。
反論
マイバスは車両購入費を除いて年間1路線あたり2,200万円の予算で運行できるのですから仮に5路線増やしたとしても1億円余りで実施できるのです。
●3つはふるさとバス・るんるんバスの改善です。
ふるさとバスは旧3町村に約300か所のバス停を設置して、電話で申し込むとバス停から行き先のバス停まで乗車します。4台のワゴン車が運行されていますが、朝や昼前後など乗車希望時間が集中するために、希望の時間に移動できずに長時間待たされることもしばしば起きています。「具合が悪くて医者に行ったのに、バスが来なくて家に帰れない」と、苦情も寄せられています。本市はふるさとバスの乗車時間の短縮をするためのAIを導入して実証実験を行っていますがそれでも予約時間の集中解消対策にはバスの増車が必要です。城南地区で社会実験を開始したドアーツー目的地は停留所方式からの大きな前進です。住民から強い要望が出ている旧3町村のふるさとバスや富士見地区のるんるんバスもドアーツードア―に発展させる時期に来ていると考えるが見解を。

反論
それぞれ答弁されましたが、公共交通の充実のためには市の補助金を抜本的に増やすことです。高齢化社会に対応するために公共交通充実のための予算を増やして高齢者が自立して移動でき生きがいを持って生活を営むための大きな貢献ができるのです。結果として本市の医療費や福祉の予算を減らすことができるのですから一石2鳥にもなるのです。
(5)住宅政策についてです。(都市計画部長)
●住宅リフォーム助成制度の創設
若者や高齢者が本市に引き続き、安心して住みつづけるための住宅政策が総合戦略にないこと自体が問題です。本市では空き家対策を実施していますが、空き家になる前に住みつづけられる施策の強化がどうしても必要と考えます。本市は今年度リフォームのための限定的な補助制度を実施しました。60歳以上で20年以上住んでいる住宅に対して20万円上限で募集したら初日だけで予算2,000万円を上回る2800万円、153件もの希望者があり、反響が大きかったとのことで、市民要望の高さを示しているのではないでしょうか。
古い住宅をリフォームしたり、小規模な修繕をすればより快適に住める住宅対策として、本市がリフォーム助成するための現状の施策のさらなる拡充をすべきです。再三提案していますが、実施する考えがないことは問題です。全国でも、群馬県内でもその効果は実証済みであり、若者の移住定住のため今こそ決断すべきではないか。
反論
住宅政策としてはあまりにも予算が少なすぎます。市民の期待は大きいのですからその声に答えるべきです。

●市営住宅の空住戸の改善と修繕について
市営住宅は本市の貴重な財産であり、若い世帯が居住するように誘導するべきです。しかし、市営住宅の空き部屋解消への新たな打開策を実施せず問題です。本市として退去時修繕費の軽減をすべきです。修繕費は安くて10万円から30万円、時には40万円とかかります。若い世帯が結婚して収入が少ないため最初に公営住宅を選択し、家賃が安くても退去時修繕が高すぎて最初から公営住宅を選択せず民間貸家を選択するという声も聴いています。名古屋市のように市責任の修繕部分を増やし、退去時修繕は平均6万円と自己負担を軽くしていますがこれにまなぶべきです。一人暮らしの学生や若者も市営住宅に入居できる対象にするように改善すべきと考えますが見解を。
反論
若者が居住できるためには、たとえばモデル住宅として10部屋20部屋をシェアハウスとして改善してみることもできるはずです。市民の貴重な財産である市営住宅に対して一歩も改善が進んでいません。

結論
これまでの答弁では人口減少社会に対応した、人口減少を食い止めることはできません。本気になって若者の雇用を安定させ子どもを産み育てられる子育て施策の充実を実現させるためにはどうしたらよいか。20年後30年後の前橋の未来を切り開く市政が問われているのです。今、本市は財政の使い方を大規模な新道の駅の建設や千代田町中心地区の大規模な再開発など大型公共事業最優先、同時多発的に強力に推進しています。人口増が図られなければ、大規模事業を推進しても負の遺産になりかねません。財政の優先順位を見直すよう強く指摘しておきます。

2、大規模木質火力発電所の問題点について
(1)騒音、排気ガス、排水の測定結果の公表
苗ケ島の関電工が3月より稼働した大規模木質火力発電所は6700kwと大規模であり、福島原発事故により、放射性物質の飛散による北関東や県内の森林もいまだに安全ではありません。今年も野生コシアブラや野生動物の放射性物質の数値も500ベクレルや700ベクレルと測定され低減されていません。24時間稼働されている発電所の回転音や振動、木材破砕チッパーの破砕音が騒音規制値を事実上超えて操業していることも問題です。近隣住民と事業者側との協定も実現しないままなし崩し的に稼働し、現在でも騒音や排ガス、排水が環境配慮計画通り、約束通りに実行されているかどうかわからない状況でいることも問題です。測定数値の結果を本市として把握しているのでしょうか。本当に安全な数値なのかどうか把握し、事業者側にも公表するように求めることは当然ではないかと考えますが見解を。

反論
企業が応じないのなら、市として立ち入り検査をするか、測定機の設置をしてでも、数値の測定と公表をすべき。

(2)住民要望への対応
今年3月から稼働したバイオマス発電所に隣接する住宅団地では住民は一転して騒音で悩まされる日々となっています。住民は事業者側に発電機の回る振動音や金属の鳴る音チッパーの破砕音への騒音対策を求めていますが事業者側は対応していません。木材破砕機のチッパーは届け出では屋内で稼働することになっていましたが、騒音が規制値を超えるために届け出の位置とは異なる屋外の北側に移動して、その場しのぎの対策となっています。こうした事態に対して、住民は行政から事業者に対して抜本的な騒音対策を求めてきました。事業者の示した環境配慮計画で決めた敷地境界での騒音測定を繰り返し要望してきました。稼働から10カ月も経過しているにもかかわらず、簡単な測定さえもなかなか実施されず、発電所からの爆発音のような異常音が発生した時にも対応してきませんでした。本市の環境行政はあまりにも市民の願いに寄り添っていないのではないですか。本来なら、当面落ち着くまで発電所のところに監視小屋を作ってトラブルがないか住民の声をすぐ聴取し対策出来るようにすべきです。少なくともバイオマス発電専用担当職員を配置していつでもトラブルや問題が起きても迅速に対応し原因究明できるようにすべきではないか。そのぐらいの緊張感を持って対応すべきと考えるが見解を。

反論
たいへん情けない答弁です。たとえば、わが市議団が視察した花巻市のへい獣処理場は工場責任者と住民と市がホットラインを持っており、いつでも問題を迅速に処理できるようになっていました。本市の環境行政として、隣接する住宅団地の人は環境悪化を防ぐモニターであり、問題を記録して通報し、本市が迅速に把握でき早期対応ができる機会ととらえ、感謝すべきです。このような姿勢を持たないとしたら本市は環境基本条例を制定し、環境を守る行政としての役割を十分果たしていないと指摘せざるを得ません。

ページのトップへ