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議会報告

2019年第1回定例会 総括質問 中道浪子(24分) 1、子育て支援策の充実について(1)子どもの虐待問題 (2)離婚前後の子どもの養育支援 (3)国保税の子どもへの「均等割」の減額・廃止(4)奨学金制度の充実 【2019/3/8】

 
1、子育て支援策の充実について伺います。

(1)最初は、子どもの虐待問題についてです。(福祉部長)
?子どもの虐待について、野田市の小学4年生女児への虐待や2歳の子にやけどを負わせた虐待が大きな問題となって社会を震撼させています。
全国の児童相談所が対応した統計では、2016年度でおよそ12万件、最も多いのが心理的虐待でおよそ6万3千件、次に身体的虐待と続き、警察の発表では被害児童はおよそ1,100人その内、60人から70人が死亡と報告されています。
県内3か所の児童相談所に寄せられた児童相談も2017年度で10,137件、その内虐待相談が1,140件で、前年比100.7%に及んでいます。
本市でも今年に入って中学2年の娘の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂で母親が現行犯で逮捕され大変衝撃を受けています。また、養父の子どもへの虐待が発覚し逮捕され、子どもは児童相談所に保護され、今は学校を転校して子どもと母親とで暮らしていますが、これからも見守りが必要です。本市でも2017年度には新規で104件、延べ対応件数が897件と前年度と比較して増加しており、深刻な事態を招きかねません。
これまでも、本市では児童相談所などと連携をとって対応していますが、虐待の発生予防から虐待を受けた子どもが自立に至るまでの支援や、虐待から再び親子が一緒に生活していくには、切れ目のない十分な対応が必要です。
そこで、中核市である金沢市や横須賀市、最近は明石市など虐待を受ける子どもの「SOS」への早期対応をめざすために、市独自で児童相談所を設置し運営しています。
本市でも、子どもの虐待問題を身近な問題ととらえ、虐待防止に力を入れることが子どもをめぐる様々な問題解決への環境づくりに役立つことになります。「子どもの健やかな成長のため」に、本市でも児童相談所の設置を求めますが、お考えをお聞かせください。

●本市では、虐待の通告を受けてそれを判断するのは子育て支援課か、県の中央児童相談所などです。本市独自での児童相談所を開設することによって、市民に近い市行政が地域ぐるみで子どもと向き合い、子どもの異変に早く気付ける仕組みを構築できるようを求めておきます。

?子どもの虐待は、親や養育者の立場から見て、たとえしつけのつもりでも、子どもの立場から見て、心身の成長や発達を妨げたり、悪い影響を与えたりするものは虐待と言わなければなりません。こうした考え方を市民の中に、今醸成していくことが求められています。
本市でも「児童虐待防止マニュアル」を策定していますが、このマニュアルを基本に、専門家を招いて市民講座などの講演講座を開いたり、市民を対象に地域ごとに学習会などを開くなど000、あらゆる機会を設けて市民への啓発が必要だと思います。また、誰もが読みやすく理解しやすい一般市民向けのマニュアルが必要ではないかと思います。市民全体が児童虐待防止について共有できるように学習などを積み上げていく必要があるのではないかと思いますが、見解をお伺いします。

●いろいろやっていただいているようですが、本市から再び悲惨な虐待問題が起こらないようお願いしておきます。

(2)次は、離婚前後の子どもの養育支援について伺います。(福祉部長)
?離婚件数は年々増えています。2017年度の件数は全国で212,262件、本市では2018年度には、513人が離婚届を出していますが、そのうちの多くが15歳未満の子どもがいる家庭です。子どもにとって両親の離婚はとても大きな出来事です。両親の離婚で子どもは少なからず心を痛めているのではないかと思います。子どもがこれを乗り越えて健やかに成長できるように、離婚するときに親としてあらかじめ話あっておくべきこととして、「親権」はもちろんのこと「養育費」と「面会交流」のことがあります。
そこで、明石市の取り組みを紹介しますが、まちの未来でもある「子ども」を社会全体で守り、健全にはぐくんでいく視点から、相談体制の充実、参考書式の配布、および関係機関との連携という3つの観点から支援を実施しています。
また、2014年10月から「子どもと親の交流ノート(養育手帳)」を希望者に配布して、離婚や別居後における子どもの情報を父母間で共有できるようにすることや、「親の離婚と子どもの気持ち」という母子・父子家庭への支援策を記載したパンフレットと養育合意書や養育プラン作成の手引きも配布しています。さらに、離婚や別居後に離れて暮らす親子間の交流を深めるための場所として、市立天文科学館を無料で利用することができる親子交流サポート事業を開始しています。離婚前講座や子どもふれあいキャンプなども実施しています。加えて、養育費建て替えパイロット事業の施行として、市が業務委託した保証会社が養育費を受け取れていないひとり親家庭に対して養育費の不払い分を立て替え支払し、別居親に対して立て替え分を督促して回収する事業を試行的に実施しています。これも、子どもの利益を最も優先に考えているからです。
本市でも、両親の離婚や別居で子どもがつらく悲しい思いをしないように、子どもの未来を考えて離婚前後・ひとり親家庭への支援策を明石市の施策に学び、関係機関と連携し、さらに充実すべきだと思いますが見解をお伺いします。
(市民部長)
?法務省は、離婚をする際にはできる限り子どものために「養育費」と「面会交流」の取り決めをするようにしてくださいと、「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」というパンフを作って離婚届の申請書を取りに来た市民に窓口で配布するよう置いています。
ところが本市では、そのパンフレットを窓口で渡すだけで、説明もされていないのが実態です。家庭児童相談室で配布している「まえばしひとり親家庭支援ブック」も離婚届に見えた方に配布しているとのことですが、内容について説明があればひとり親家庭のお母さん、お父さん、現在離婚についてお悩みの方などに様々な支援サービスや制度をわかりやすく伝えることができ、家庭児童相談室への相談や子育て支援課との連携が取れることになります。市民課窓口で配布しているパンフや支援ブックを有効に活用すべきだと思いますが見解を求めます。

●子どもは表面上はともかく、心の底では両方の親から愛されたいと願っています。「養育費」が別れて暮らす子への経済的支援だとすれば、「面会交流」は精神的支援であり、いずれも親子との絆を強めるもので、父母は十分に子の利益が図られるようお互いに協力する必要があります。行政は、子どもの心に寄り添って支援ができるよう、最善を尽くすことを求めておきます。

(3)次は、国保税の子どもへの「均等割」の減額、廃止についてです。(健康部長)
?国民の4人に1人が加入する国民健康保険をめぐり、高すぎる保険税に悲鳴が上がっています。
国保税が協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなる大きな要因になっているのは、国保にしかない「均等割」「平等割」という保険算定になっているからです。被用者保険の保険料は、収入に保険料率をかけて計算するだけで家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが国保税は、所得に保険料率をかける「所得割」の他に、世帯員の数に応じてかかる「均等割」と各世帯に定額でかかる「平等割」、本市はありませんが、資産割を合算して算定されます。いま、少子化が強まり、子育て支援の充実が求められる中で、0歳児も年間37,800円の対象で、子どもの数だけ負担が増えます。
子育て支援を強調する本市としては、国保の「均等割」について、子育て支援に逆行するものと思いますが見解をお伺いします。

?私が調査したところ、東京都清瀬市では、国保税の「均等割」について、前年度の所得が年300万円以下の世帯で第2子以降18歳未満ならば、均等割額を5割減額する制度を2018年度から開始しています。
また、岩手県宮古市は、2019年度・新年度予算から、子どもの「均等割」を免除する予算をシステム改修費を含め1,833万円余を計上しました。対象者は501世帯で18歳までの836人を見込み、財源にふるさと寄付金「市長におまかせ」を活用するようです。また、東京都昭島市は18未満の第2子の均等割を5割減額、第3子以降を9割減額、東大和市は第3子以降を無料化、宮城県仙台市、埼玉県ふじみ野市、同じく富士見市、北海道旭川市など、市独自で高い国保税の子どもにかける「均等割」を減額や無料化が始まっています。
本市でも、「子育てするなら前橋で」を強調していることから、子ども1人当たり年37,800円を子どもの数だけ税をかける「均等割」は、減額するか廃止すべきだと思いますがお考えをお聞かせください。

?18歳までの子どもの「均等割」を廃止するのに、試算すると1億8500万円あればできるようです。基金は新年度予算に約10億円繰り入れても、あと約15億円ありますから、「均等割」の廃止のために繰り入れできれば大きな子育て支援になると思いますがいかがでしょうか。

●国保税が高すぎて払えないのは、国保の構造的なものと承知しながら抜本的な改善策が図られていません。国保の都道府県化により、一層の負担増を強いる国の方針に付き従うのか、それとも、「住民福祉向上」という自治体本来の使命を発揮して、税の引き下げや、負担軽減に努力する道を選ぶかが問われています。宮古市や清瀬市などのように、本市でも市の独自性を発揮して、子育て支援に応えることを強く求めておきます。

(4)次は、奨学金制度の充実についてです。(教育次長)
?学生の学費が高くて問題になっています。学生1人当たりの学費と生活費を合わせると2016年で、国立大では年間151万円、私立大で200万円もかかり、家計消費支出の平均金額388万円の半分以上に相当します。実際には家庭の経済事情で進学が左右される状況です。
政府が今年度から実施している給付型奨学金は長年要求してきたもので、一歩前進ではありますが、対象者が極めて少なく(1学年2万人 学生の2%足らず)、内容も貧弱(年収250万円未満程度かつ成績優秀者に限定)で抜本的に拡充を求める声が強まっています。
教育の機会均等を保障するなら、学生は無担保無保証でよいはずです。しかし、教育ローンや貸与型奨学金を借りれば、大学を卒業して平均でも300万円、大学院など進んだ人は1,000万円もの借金を抱えることになります。
このような中で、奨学金制度の実施を多くの自治体が独自で進め、若者への支援を行っています。
群馬県内では、桐生市をはじめ、渋川市、高崎市、館林市、千代田町、片品村などが学生向けに無利子で貸与型奨学金制度を行っています。しかし、本市では高校生への対応だけで、大学や短大、専修学校などへの制度はありません。教育委員会は、大学生などへの奨学金制度の必要性についていかがお考えでしょうか。この際、返済不要の給付型奨学金の創設を実施すべきです。見解をお聞かせください。

?教育長に答弁を求めます。今、答弁にあった施策は評価しますが、様々な条件を設けることによって、かえって利用しにくくなります。基本的には、教育委員会が学生の進学や、授業料の支援のために奨学金制度を創設すべきです。桐生でも高崎でも、県内で実施している市町村は教育委員会が奨学金制度に責任をもって実施しています。いかがですか。

●桐生市では、昨年度38件の申請があり、37件が採用され、予算は5,000 万円組んでいるそうです。本市でも教育委員会が責任をもって学生の奨学金制度を大至急創設するよう求めて私の質問を終わります。

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