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議会報告

2019年第1回定例会・総務常任委員会質問(長谷川薫議員)消防行政、市職員のコンプライアンス(法令順守)の確立、予算編成における投資的経費の在り方、税収納行政について【2019/3/20】

総務常任委員会質問・最終原稿(60分)

1、消防行政の諸問題について
(1)火災現場における消防職員の安全確保

?はじめに消防行政の諸問題について質問します。まず、火災現場における消防隊員の安
全確保についてです。報道によれば、今年の1月に、秋田県能代市で住宅や薬局など建物5棟が燃えた火災現場で消火活動中の2名の消防士が死亡し、1月30日には、東京都八王子市の民家の火災現場で20代の消防士が死亡しました。
 1昨年の2017年12月には千葉県君津市の住宅火災で29歳の消防士長が黒煙に巻き込まれ全身熱傷で死亡しました。この現場では、住民を助けに行った際に、総務省消防庁の安全管理マニュアル通りに命綱を体に結んでおらず、救助活動をサポートする援護注水がなかったことや消火・救助活動の指揮隊の状況判断が的確でなかったなどが問題になったそうです。
消防隊員が火災や災害現場でこのような殉職やケガがないように、本市消防局では、火災現場での状況把握と危険な事態を想定した隊員への的確な指揮をどのように行っているのでしょうか。また、十分な日常の訓練は行われているのでしょうか、答弁をお願いします。

? 危険を回避しながら消火救助活動を行い、そのための日常的な訓練を重ねていること
はわかりました。そのうえでお聞きしますが、経験豊かな幹部消防隊員の判断も大切ですが、消防隊員の安全を確実に確保するためには、若い隊員でも日常的に学べる火災現場での消火救助活動の基本を明記した、マニュアルを策定すべきだと思います。また、身を守る防火衣や呼吸器マスクなどの装備の不足や更新の必要はないのか、それぞれ答弁を求めます。

【提言】本市においては殉職事故が発生していないことは幸いですが、他県では、フラッシュバックや爆発事故など、火災現場で予想もつかないような事態が発生し、かけがえのない消防士の命が失われています。住民の命を守るための充実した日常の訓練とともに、消防隊員の安全確保のための油断のない取り組みを要望いたします。

(2)救急活動における救命措置の実施判断、

?次に、救急活動における救命措置について質問します。本市消防局では、1年間に約1
万5千人もの市民を救急搬送しています。運行中の全救急車に乗車している救急救命士が、傷病者への救急救命処置を施し、全身状態をモニタリングしながら病院選定を迅速に行い搬送する活動は、市民に大変感謝されています。
 一方、高齢化社会が進み、入院期間が短縮され、在宅医療の役割が大きくなるなかで、「人生の最後を病院ではなく自宅で迎えたい」と考える高齢者も増えています。
 いま119番通報を受けて現場に到着した救急隊員は、心肺蘇生処置など傷病者の処置をしながら病院へ搬送することが義務付けられていますが、全国的には家族や高齢者施設の職員などから、「本人は蘇生を望んでいない。延命治療を拒否している」と言われるケースがあり、救急隊員の対応が難しいケースが多くなっているそうです。
今後、本市の救急隊が同様の事態に遭遇した場合にはどのように対応するのでしょうか。また、現場で判断できる「指針」があれば救急隊も的確に対応することができると思いますが、現状の対応や指針策定の考え方や今後の対策をお聞かせください。

【提言】答弁いただいた通り,厳格な本人の意思が反映された「事前指示書」や「かかりつけの医師や担当医の蘇生中止の指示」が確認できなければ、救急救命処置を中止できないことは良く分かります。同時に、高齢者本人がどういう最期を迎えたいのかという意思も尊重しなければなりません。そのため心肺蘇生の中止などに関しては本人はもちろん、家族などの意思がしっかりと反映された厳格な指針・ルールを作る必要があると思います。
 先進自治体では、在宅医療関係者と救急医療関係者の協議の場を設け、人生の最終段階において本人の意思が尊重される環境を構築する取り組みが進められています。本市においても、行政と医師会などが連携してルール策定を進め、救急隊の現場での的確な対応につなげるよう強く要望しておきます。

2、市職員のコンプライアンス(法令遵守)の確立について

(1)職員採用試験の改善

?次に、市職員のコンプライアンス・法令遵守についてお伺いします。本市では、今、過去の懲戒処分の状況から見ても異常ともいえる深刻な事態が続いています。幹部職員によるセクハラや個人情報の漏洩、教員の窃盗などの不祥事が続き、今年の1月には、昨年採用されたばかりの職員による殺人事件が発生しました。マスコミで全国に報道され、前橋市のシティープロモーションの努力が一瞬にして水泡に帰するものとなりました。
そこで、本市の職員採用試験についてお聞きします。毎年、800人余りが受験し1割の80人前後が合格していますが、一般教養や専門知識を優先した選抜を改め、市職員として求められる資質や社会性・人間性を面接などで十分評価して合否の判断ができるように試験内容を抜本的に見直さなければならないと思います。どのようにお考えでしょうか。

【提言】今回の殺人事件による懲戒免職は、市民に大きな衝撃を与えました。
高度化・複雑化する市政課題に的確に対応できる人材を確保ということになると、いきおい知識や成績優秀な人材を採用したいとなりがちちだと思います。思想信条まで立ち入ってはならないと思いますが、面接を改善し、他者への思いやりとか、弱者へのやさしさ、苦しいことがあっても乗り越える勇気など、人間性や社会性まで確かめられる採用方法に改善することが求められていると思います。来年度の採用試験の改善を強く求めておきます。

(2)職員研修の充実など

?次に、職員研修について伺います。いま、市職員は、その職務が社会に与える影響が大
きいことから、高い職業倫理が求められています。行政運営上の専門的知識はもとより、豊かな人間性と職責に対する強い使命感等が求められています。
そこで、不祥事の再発防止のためにも基本研修や特別研修という現行の通り一編の研修体系を見直し、すべての市職員が、住民福祉の増進という自治体の責務を献身的に果たす姿勢を身に着けるよう、また、倫理観を高めるために、「市役所職員に対する市民の期待や信頼に応える行動規範」をいっそう明確にするカリキュラムを組み立てるなど、研修を抜本的に見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

【提言】研修の改善方向が残念ながらあまり具体化されていません。職員による殺人事件が起きた事態をもっと重くとらえて、緊急に庁内横断的な「対策会議」を設置し、不祥事などの再発防止のためのあらゆる方策を職員課が中心となって具体化すべきです。 
失った市民の信頼を回復するため、コンプライアンス・法令遵守の取組を着実に推進し、市民から、前橋市の職員はこれまでとは市民への接遇態度も行政に向き合う姿勢も変わったと評価されるような状況を作り出すべきだと思います。全ての職員が自らの職務が市民の負託を受けた公務であることを常に認識し、全体の奉仕者として高い使命感と倫理観を持って職務を遂行することを強く求めておきます。

(3)人事管理と行革計画について

?次に、人事管理と行財政改革についてです。職員個人の不祥事の背景には、職員の個人
の倫理意識の欠如だけではなく、組織全体に問題があると考えるべきだと思います。
職員の努力だけで高い倫理感を保ち続けることは困難であり、倫理意識の高い組織風土を構築することが不可欠です。各職場では、所掌業務だけではなく職員の私生活上の悩みなども相談できる職場環境を作り、上司が部下の悩みに応え、同僚同士が、気軽に話し合えるようにするなど職場内でお互いが倫理意識を高めあうなど、風通しのよい職場とする努力を行うことが必要です。
本市が行っている人事評価制度においても職務のスキルの向上とともに、公務員倫理が評価基準の一つになっていますが、人事管理のマネージメントの重要なツールとしてもっと有効に活用すべきだと思います。自己評価も含めて人事評価を改善充実すべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

【提言】不祥事を起こさないためには、問題の早期発見・早期対応が重要だと思います。答弁をいただいたように、本市の現在の人事評価制度では、年3回自己評価をしたうえで、上司に提出して個別面接を受け、管理職が職員を掌握する仕組みとなっています。業務に取り組む姿勢を評価するだけではなく、私生活も含めて市職員としての在り方問題に問題はないかどうか、職員倫理に反する逸脱した行為はないかをチェックする項目を加えるべきです。不祥事を抑止する効果も果たせる人事評価に改善すべきです。
職員は自らはもちろん、同僚を含めて、悩みや心配事も人事評価の中で上司に相談することが必要だと思います。刑事事件などの不祥事に発展する前に、早期に対応する仕組みづくりが必要だと思います。指摘させていただきます。

?次に職員の定員管理計画についてです。この間の職員の不祥事、刑事犯罪の多発は本市
の定員管理計画も遠因となっていると思います。
平成22年4月から一貫して職員削減目標を掲げ、正規職員の採用を抑制して業務の多くを非常勤の嘱託にゆだね、民間委託も次々と拡大してきました。その結果、平成22年の正規職員数2869人が今年度平成30年4月1日には2606人となり8年間で263人も削減されました。市役所を退職した再任用職員が約130人、原則3年の雇用期間の嘱託職員が約600人、繁忙期の臨時職員が約180人です。嘱託職員の月収は16万円、臨時職員は時給890円で期末手当の支給はありません。すでに市職員の3人に1人が低賃金で不安定雇用の非正規職員になっています。来年度から5年間の職員定数管理計画でも、相変わらず職員は採用しても退職者分を補うほどではなく、毎年3人、合計15人の削減計画となっています。
団塊の世代の職員が次々と退職し、全体として若手の職員が多くなり、中堅がすくなって、経験やスキル(技量・手腕)のアップや継承が困難になっているのではないでしょうか。
あってはならない不祥事を根絶するためにも職員削減を見直し、正規職員を増やすべきと思います。答弁を求めます。

【提言】嘱託職員や、定年退職後の専門員や再任用職員は窓口業務など定型的な業務や補助的業務しか担えません。各種申請書類の受理や許認可などの行政処分などの専門的な行政事務は、結局正規職員にゆだねられます。結果として正規職員の業務が多忙となり、若手職員へのスキルアップや不祥事を起こさないための助言や指導が不十分となるのではないでしょうかの。今後の行財政改革で、さらに正規職員を削減する方針は改めるべきです。

?次に民間委託についてです。市民課窓口の証明書発行業務や斎場の火葬炉前の業務委
託が行われました。いずれも、偽装請負を避けるために、市職員による委託事業者への迅速かつ直接的な業務改善の指示ができません。委託契約における仕様書による市民サービスの提供では、サービスの質の低下が心配されます。民間委託によって低賃金の不安定な非正規労働者行による行政サービスの提供が拡大されれば、サービスの質の低下は避けられないと思いますが、見解を求めます。

【提言】例えば、現在、収骨業務に従事する斎場のパート社員の募集が行われていますが、今後、特殊勤務でありながら時給は1000円程度とお聞きしています。公務による住民サービスの提供と異なり不安定な臨時職では、頻繁な離職によるサービスの低下が心配されます。
人件費削減を目的に公務を民間にゆだねる民間委託では、サービスの維持向上は、本質的にあり得ないと思います。これ以上の委託拡大をやめるべきです。

?つぎに、職員の勤務環境の整備についてです。
本市でも管理職員によるセクハラ行為が発覚し懲戒処分が行われました。再発防止のためにもパワハラ・セクハラへ根絶に向けての抜本的な対策が必要だと思いますが、今回の懲戒処分を教訓にどのような検討をされているのか。

【提言】昨年の6月に、同一職場の女性職員へのセクハラ行為等によって管理職が9か月の停職処分を受けましたが、被害女性からは半年前の昨年1月の被害の通報があったにもかかわらず、事態の重大性の認識をせずマスコミ報道されるまで迅速に対応しなかった職員課の対応やセクハラ行為を目撃していた同僚職員からも通報がなかったなどについては大きな問題があったと思います。重大な人権侵害であるセクハラなどの通報については、直ちに対応して事実を把握するなどの初動の改善が必要だと思います。再発防止策を求めておきます。

?いま、過労死や心身の病気をなど招く長時間労働や過重労働を抑制するライフ・ワーク・バランスの推進も官民問わず求められています。
本市では、精神疾患による年間30日以上の休職者が年間15人から20人程度います。メンタルヘルス対策は、ストレスチェックをはじめとした取組を継続して計画的に実施することが必要です。適切な病院への受診と治療による回復後の職場復帰などの支援をどのように行っているのか。答弁を求めます。

【提言】いま、本市は人件費抑制路線のために正規職員が減る中、1職員当たりの責任がある業務が増え、その内容も複雑化し、失敗が許されない仕事も増える一方だと思います。
だからこそ市職員と市民との双方向による、コミュニケーションを活性化し、市民に喜ばれる施策、市民要望に沿った福祉的施策を推進することこそ、職員としてのやりがいや生きがいを感じることができて、精神疾患を減すとともに、ストレス軽減に結び付く最善の方策だと思います。
以上、市職員のコンプライアンスの確立について様々な角度から質問し答弁をいただきましたが、職員削減や民営化で人件費削減を最優先する市政の在り方を改めなければ、本質的な改善はできないと痛感しました。次の予算編成の在り方の質問にも関連しますが、福祉の増進という自治体の責務を全力で果たしてこそ、職員のコンプライアンスの確立も前進すると思います。

3、予算編成における投資的経費の配分方針について

(1)人口減少と少子化への対応

?次に、予算編成における投資的経費の配分方針について質問します。新年度予算では防
犯灯予算を半減し自主防災会への補助金も廃止、人工肛門患者への支援金の縮減など住民生活にかかわる行政分野が総額1億6千万円も縮減されました。その一方で、新道の駅に16億円、中心市街地のマンション建設助成などに6億3千万円などが予算化され大型開発を推進しています。
学校教育関係については、老朽校舎などの新増築や大規模改修には総額12億円を計上していますが、学校給食の完全無料化や30人以下学級制度実現に向けての予算化を見送りました。
学校現場では配分予算が少ないために寒くてもエアコンの設定温度を下げたり、ストーブの灯油を節約するなどの努力を余儀なくされています。また、市営住宅の修繕予算が前年度並みに抑えられ、交通弱者支援のマイバスの新規路線の増設やマイタクの運賃軽減予算も計上されていません。
少子高齢化対策の施策が重要と総合計画や総合戦略でなどで強調されていながら、開発優先の予算編成が行われるのは、財政課の政策調整機能が弱いことと合わせて、各部課ごとの「予算枠配分方式」のもとに編成されているためではないでしょうか。予算を部ごとにあらかじめ定めた予算を配分することで、限られた財源を有効に効率よく市民ニーズに応えながら編成できるとして、この間この配分方式で予算編成をすすめてきました。
 しかし、この方式が毎年固定化すると、市民ニーズに新規に応えようとすれば、どこかで既存の事業を削らなくてはならないことになります。新たに福祉施策を増やそうとすると、削りようもない別の福祉施策を削らざるを得なくなるなど枠配分方式は限界が生じます。
 しかも、新道の駅や中心市街地の再開発事業、CCRCなど市長の思惑の強いトップダウンによる投資を、新年度だけでも総額22億8157万円も優先的に予算化しているため、市民にとって必要な予算枠が広がらないのではないでしょうか。
 こうした「予算枠配分方式」は見直さなければ、市民需要に応えるための新しい事業や有効な事業の拡充が難しくなり、予算編成が硬直化するのではないでしょうか。予算枠配分方式見直すべきと思いますが、答弁を。

【提言】財政課からは『限られた予算の中で、事業の「選択と集中」による予算の重点配分を行なうため、一般財源枠配分方式による予算編成に心がけた』といつも説明を受けますが、新年度予算は、前年度予算決算を踏襲して住民の暮らしにかかわる切実な要望を機敏に予算に反映できなくなっていると思います。枠配分方式を見直して、かつての必要な事業を市民ニーズを十分反映し国の補助採択の見込みを反映した事業予算積み上げ方式も生かした予算編成方式に戻すことも検討すべきではないでしょうか。意見を申し上げておきます。

?新年度予算は、第一に生活に苦しむ市民に正面から向き合い、市民要求を最優先にする
編成にすべきであります。そのためには、市民のくらしの実態をできるだけ正確に把握し、各種施策を通じて市民福祉の向上をはかることは、市政運営の基本だと思います。
 しかし、今の市政運営を見てみますと、全体として各部課ともに市民の暮らしがどうなっているのか、その実態を正確に掌握した上で、事業や施策を検討する努力が必要だと思います。
たとえば、市民の住民税の課税状況、国保税や介護保険料の所得階層別人数から推計すると、生活保護を含む非課税世帯と課税所得200万円以下世帯が市民全体の約7割を超えています。就学援助世帯や生活保護受給世帯数、特養ホーム待機者数、市民税や国保税の滞納状況など市民の生活実態を正確につかみ、また、市民が市政に求めている施策は何か、本当に中心街の再開発事業や大規模な道の駅の整備を求めているのかなど施策を講じるうえでさらに踏み込んだ判断が必要と考えます。
 毎年、秋には各事業を実施している所管課が財政課に予算要求しますが、各事業ごとにその是非を審査するために、当然、市民ニーズや事業についての費用対効果などを判断していると思います。その際に、本市が総合計画などで重点課題として位置付けている人口減少や少子高齢化対策が予算要望に位置付けられているかどうか、また、できるだけ市民の現在の生活実態を反映した事業となっているかどうか慎重に審査することが重要だと思います。財政課は、事業予算の要求と合わせて事業実施の必要性を示す根拠ある関係資料の提示を所管課に求めているのでしょうか。答弁を求めます。

【提言】日本共産党市議団は、必要に応じて随時「市民アンケート」を実施しています。生活の実態をつかみ、市民が何を求めているのか、これを分析して市政だけでなく様々な制度をどう充実させるのか役立てています。昨年の秋に実施のアンケートでは、「生活が苦しくなった」という回答が57%も寄せられ、税金、保険料の負担については77%が、「これ以上の負担は耐えられない」と答えています。来年度予算は、第一に生活に苦しむ市民に正面から向き合い、市市民望を最優先にする編成にすべきであります。

(2)大型公共事業の抑制

?不要不急の大型開発を見直せば財源は生まれてくるとの立場から、福祉や教育施策など
の充実を優先すべきと主張してきました。民間提案の前橋ビジョンにとらわれ「めぶく」あるいは「新しい価値の創造」を強調し、国が誘導する地方創生・総合戦略や都市間競争を強く意識して、新年度に、新道の駅整備、CCRC事業や前橋駅北口開発事業や中心市街地の再開発など大型開発を同時多発的に推進しています。
市民のためというよりも移住希望者を呼び込み、来街者を呼びこむための事業を増やし、そのための大型開発には湯水のように税金をつぎ込もうとしています。その一方で、老朽化した市営住宅の大規模修繕は不十分で2割近くの空き部屋が解消されず、特養老人ホームの増設が進まず624人もの待機者がいます。光をあてるべきところにあてないでいて、未来への投資を進めるというのは逆立ちしていると思います。見解を求めます。

【提言】前橋市が進める街づくりは、経済のトリクルダウンという考え方であるアベノミクスの前橋版ではないでしょうか。市民が容易には住めないような価格の高い分譲マンションを次々と誘導し、経済的余裕のある移住者が喜ぶような街づくりをすれば、街が活性化し、やがては、その街は価値が上がり、土地は上がり、住む人も金持ちが住み、市税収入も上がる、税収も上がれば、庶民の暮らしや福祉に回せるお金が生み出すことができるという発想です。このようなやり方で市民生活向上につながるのでしょうか。市民の暮らしや福祉を削ったままで、人を呼び寄せる箱ものづくりや大型開発に税金をつぎ込むような財政運営は政策部局や財政部局が連携し所管課に施策の抑制を求めるべきです。


?義務的経費としての人件費を現在以上抑制することは、乾いたタオルを絞るような状況もあると市長も発言されました。高齢化率が高まり全労働者の4割が非正規労働者という今日状況の下で、生活保護費、児童福祉費、老人福祉費などの扶助費が増え続け、昨年に比べて16億円も膨らんでいます。臨財債を入れても借金は一般会計1441億円を超える1568億円で推移しており、今後の借金返済額の増加が懸念されます。だからこそ、暮らしを守る予算をしっかり確保した上で、真に必要な投資事業に絞って投資額を身の丈にあったものにしていく運営を確立させることが極めて大事になっています。トップダウンで示される大型事業についても、慎重にチェックすべきと思いますがいかがでしょうか。

【提言】地方交付税を含め地方の歳入の中心である税収入に関しては現在の経済情勢の下では納税者に新たな税負担を求めることは困難であり、地方公共団体としては歳出を計画的に抑制して歳入歳出のバランスを回復する以外に根本的に方策はありません。大型開発を温存し住民の暮らしを後回しになっている 住民の暮らし・福祉を充実させる税金の使い方に抜本的に転換するよう強く求めておきます。

(2)公共施設の長寿命化について

?道路・橋梁・上下水道施設などの都市インフラに比べて、公共施設の長寿命化事業が十
分進んでいません。小中学校などの校舎や体育館の耐震化やブロック塀の緊急改修は進んでいますが、トイレの改修や校舎の大規模修繕などはまだ不十分です。市営住宅のリニューアル工事も遅れていますし、小規模修繕予算額は減らされ続けています。公共施設は地域社会やコミュニティーの核をなすもので、住民のライフサイクル全体を通して福祉の増進を図り、社会・経済活動を営む基盤をつくるものであり、自治体の仕事の根幹をなすものです。施設の効率的利用を優先した統廃合・再編ありきでなく、住民の暮らしや地域の実態、個性、将来をよく見据えて長寿命化を優先すべきです。
長寿命化の促進に向けて、改修・更新予算の増額を求めますが、どのようなお考えか伺います。

【提言】公共施設については、地域の実態や人口動態、住民要求(ニーズ)、公共施設の配置状況、サービスの提供実態、満足度、老朽化の程度などを住民・利用者目線で調査・把握し、維持存続を基本において、それに基づいて大規模改修や更新(建替え)などの長寿命化工事を適時適切に実施すべきです。資産経営、ファシリティーマネジメントをことさら強調して、施設の統廃合、施設の複合化・集約化、跡地利用、売却益の運用などの検討を先行せず、公共施設の長寿命化検討を優先するよう強く求めておきます。
具体的な取り組みでは、公共施設は本来的には住民の共有財産であり、社会経済状況に合わせてそれをどのように活用するかは最終的には住民の判断に委ねられるべきです。たとえば、六供温水プールなどの公共施設の存廃については、行政側の判断だけではなく、住民説明会や住民・利用者アンケート、専門家の意見聴取、ワークショップ、地域別住民検討会設置など住民参加を徹底させていくことを強く求めておきます。

4、税収納行政の改善について

(1)納税相談と税滞納者の生活支援策の改善・充実

?次に、税収納行政の改善について質問します。税金を滞納している人の中には、様々な理由で支払えない人がいます。もちろん納税は国民の義務ですから、悪意を持って納税しないのはいけないことです。しかし、中には“支払いたいけれど、支払えない人”もいます。
市税や国保勢を納期までに納められなくなることは決して特別な世帯だけではなく、失業や家族の病気などを原因として、誰にでも起こりうるのです。だからこそ税金を徴収する行政は、納税義務だけを強調するのではなく市民のくらしの実態をていねいに聞き取って、分割納入や徴収の猶予、さらには執行の停止など十分な配慮ある対応が求められます。
 ところが、市税と合わせて国保税の徴収を所掌している前橋市財務部収納課は、「呼び出しても連絡がない」「分割納入の約束日に入金されなかった」「分納金額が少ない」などの理由だけで一方的に「悪質滞納者」と決め付けて突然、滞納世帯の預金通帳の残額を禁止額を無視して全額差押えたり、給与や自営業者の取引先業者の売掛金債権を差し押さえて収納するなど、生活実態を無視した異常ともいえる強権的な滞納処分を行ってきました。昨年1月31日の「前橋市が行った給与の全額差し押さえは違法」という前橋地裁判決を受けて、納税相談での対応や滞納処分の手法の変更をされたのかどうかお伺いします。

【提言】禁止額超えた差し押さえをしないことは当然です。納付督促をしても、納税相談への来庁を求めても反応がない人には、税務調査をして財産の差し押さえをすると淡々と答えていますが、それでは判決を受けての改善とは言えません。文書催告で税滞納者を呼び出すことだけ求めるのではなく、嘱託職員の臨戸訪問に収納課職員が同行して、税滞納者との接触を強めて、自主納付を呼び掛けるなどの取り組みをもっと強めるべきだと思います。

?滞納者の多くが、家計を十分管理できないという問題を抱えています。社会福祉課が社
会福祉協議会に委託して実施している生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援事業との連携が必要だと思います。就労の状況,心身の状況,地域社会との関係性その他の事情により現に経済的に困窮し,最低限度の生活を維持できなくなる恐れのある方が、対象者ですが、税金滞納者の多くは、預貯金もなく生活状況は共通しています。家計相談〔改善〕支援事業 は家計管理の意識を持ってもらい…月、年サイクルで家計再建をめざす支援です。いかがでしょうか。

【提言】 私が税金滞納の相談を受けた方を見ると、病気や失業などによる生活困窮者もいますが、家計のやりくりをうまくできない方もおられます。たとえば、収入よりも生活費の支出が多い人、カードに頼って生活や買い物をしていくら借金があるのか把握していない人、多重債務もしくは過剰債務を抱え、返済が困難になっている人などです。給与や年金の差押えをしても、なかなか税金や公共料金の滞納を改善できません。納期内に自主納付できるようにするには、本人が「安易な借金をやめ、家計を立て直そう」という意欲を生み出すような家計の改善策を丁寧に指導することが必要だと思います。関係各課との連携をもとめておきます。

(2)納税者の暮らしに十分に配慮した税徴収マニュアルの策定

?収納課の1〜4係の滞納税の徴収の業務は、率直に言ってなかなか難しい行政分野です。経験の浅い職員は、自主財源確保の使命感から、ともすれば税滞納者を悪質滞納者とらえて上から目線の接遇や安易な滞納処分を選択しかねません。昨年の5月に、収納課は税徴収の手引きを策定し、関係法に基づく確実な収納業務の推進を図っています。
 しかし、いま収納課の税徴収業務に必要な手引きは、税滞納者の生活実態を無視した分割納付の押し付けや、地方税法を無視した禁止額を超えた給与や年金の差し押さえなど行き過ぎた徴税を根絶することです。納税相談の基本や徴収や換価の猶予、執行停止などの納税緩和制度の活用、自主納付できる納税者に育てる支援策などについても十分配慮を尽くせるような税徴収マニュアルを急いで策定すべきだと思います。見解を。

(3) 差押えの乱用の是正

?最後に、差し押さえの乱用の是正です。あまりにも他の健康保険と比較して国保税が高すぎるという国保制度の本質的な欠陥はそのままで、税金の取り立てだけを厳しく行っている結果、納税者が生活困窮状態に陥るということが頻繁に起こっているわけです。一方的な取り立てが優先されている問題を改善しなければ、市政に対する市民の信頼も失いかねません。
 ムリのない範囲で分納額を決める。当局と納税者のそれぞれの条件でベストな答えを出すというのが、適切な滞納整理だと思います。生活を脅かす滞納整理はしない。このことを声を大にして主張したいと思います。伝家の宝刀ともいわれる滞納整理の最終手段である財産の差押え処分を行う対象者は、納税の意思、支払う意思がない確信犯的「悪質な納税者」に限るべきです。まだまだ、本市の預貯金債権を中心にした年間7000件余りの差し押さえ件数は多すぎます。差押えに頼らない、自主納付を中心にした滞納整理への転換が必要だと考えますが、見解を。

【提言】「地方税法」や「総務省通達」にあるように、鬼のような取り立てはダメ、生活に配慮すべきと中央官庁も言っています。総務省通達「平成26年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」では、徴税対策については、納税者が税を納付しやすい納税環境の整備を図るとともに、悪質な納税者に対しては厳正に対処する必要があること。一方で、地方税法では、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、その執行を停止することができることとされていることを踏まえ、各地方団体においては、滞納者の個別・具体的な実情を十分把握した上で、適正な執行に努めていただきたいこと。と強調しています。地方税法第十五条の七は、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは滞納処分の執行を停止することができる。と救済策を明確にしています。十分配慮した税収納行政にしていただきたい。

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