2019年第2回定例会総括質問(6月6日/長谷川薫議員)前橋市行財政改革推進計画・前橋競輪の民営化の中止、前橋テルサ及び3温泉施設の民間譲渡の中止【2019/6/7】1、前橋市行財政改革推進計画の問題点について(1)施策方針 最初に本市の行財政改革推進計画について質問します。 いま少子高齢化が急速に進んでいるだけに、多様化する市民ニーズを的確に把握し、前例踏襲や税金の無駄使いを改め、最小の経費で最大の効果を得られるように、市民の暮らしを支える市民本位の行財政改革が求められています。 ところが、本市の行革計画は「民間でできることは民間に任せる」と各部局に画一的に強調し、業務の民間委託と公共施設の効率化・民営化の推進を最重点施策に位置付けています。国言いなりの行財政改革を根本的に見直すべきです。答弁を求めます。 【提言】 答弁は丁寧ですが、行革計画を軌道修正する意思が全くない答弁は問題です。 政府は、地方への財政支出を減らすために、平成の大合併に続いて、今度は、人口減少を錦の御旗にして、産業界にも歓迎される公共サービスの外部化などの自治体リストラを強力に地方に求めています。 国への追随ではなく、住民自治の立場に立った本当の行財政改革を進めるべきです。 たとえば、すでに3か所の道の駅がありながら、県内最大規模7?もの新道の駅の整備が本当に必要であるのか、大型店の郊外出店を放置しながら、中心街の再開発事業に補助金を投資して将来にわたって賑わいが取り戻せるのか、適切なリニューアル修繕工事を進めず市営住宅の約2割の空き住戸をそのままにしてよいのか、市内各所で同時施行している区画整理事業の長期化を認識しながら新規事業を立ち上げて良いのか、さらには市民要望が強い交通弱者支援策が何故もっとスピーディーに進まないのか、市民課窓口でのワンストップサービスの早期実現などこそが、すぐに取り組むべき行財政改革の中心課題です。 公共事業やハコもの建設などの浪費的支出をなくし、人口が減少しても必要な行政サービスを提供して、今より豊かな市民生活が享受できるような行革計画に見直すよう強く求めておきます。 (2)定員管理計画 次に定員管理計画です。本市は、過去10年間で正規職員を263名も減らして嘱託や再任用職員に置き換えたため、市役所で働く全職員の4人に一人が非正規職員となっています。 原則3年間で雇止めにする年収200万円以下の官製ワーキングプアーに置き換える職員政策は、民間労働者の賃上げ抑制にもつながり、市内全体で個人消費を冷え込ませます。しかも、不安定雇用は、市民全体の奉仕者としての意欲やモチベーションを弱め、市民サービスの質を低下させています。 各職場では管理職の多忙化が進み、調査や計画などのほとんどを外部のコンサル業者などに安易に委ねているために、市民ニーズを正確に反映しない事業が民間主導で開始されるなどの問題が起きています。 直近の例を上げれば、今月から開始されたデマンドバスの社会実験に、スマートフォンで予約した利用者だけを1カ月間運賃を無料にして、従来通り電話で予約した利用者は有料のままにするという、行政の公平性を無視した取り組みが進んでいます。 大手民間通信事業者の提案に安易に応え、高齢者などスマフォを持たない大多数の利用者に心を寄せず、市として何の問題認識も持たずに社会実験を開始したのは、行政の緩みです。 職員削減と民間事業者への過度の依存体質が、行政のあるべき姿をゆがめているのではないでしょうか。 定員管理計画を抜本的に見直し、減らしすぎた正規職員を計画的に増員し、各業務の中心に位置づけるべきだと思います。答弁を求めます。 【提言】 具体例を上げましたが、定員管理計画による現場の悪影響について十分調査すべきです。来年の4月から非正規化を加速する「会計年度任用職員」制度が導入され、住民の暮らしやいのちに直接関わる現場の業務の大半が、毎年、任用の可否が決められる非正規職員に置き換えが可能となります。 住民との接点のほとんどが不安定雇用の職員という雇用形態は、住民の福祉の増進のために献身する自治体行政の職場とは相いれません。 民間委託の拡大方針を改めるとともに、会計年度任用職員を増やさず、正規職員を計画的に増やす見直しを直ちに行うよう求めておきます。 2、前橋競輪の民営化検討の中止について (1)売上向上策 次に、前橋競輪についてです。3月27日付けで検討委員会から、「競輪存続のために、民間事業者を施行者にすべき」という報告書が市長に提出されました。 しかし、すでに、市当局は事業者公募・契約・年度内引継ぎの準備に入っていますが、限られた競輪ファンのために、民営化してまで売り上げ増を図ることが、33万市民の大多数の願いとは思えません。 今でも、前橋競輪には、多額の国民・市民のお金が注ぎ込まれています。昨年10月の寛仁親王杯は、全国113か所で販売され、わずか4日間で76億8340万円もの売り上げがありました。今でも場外車券も含めて1年間に約200億円も売り上げています。 今、日本はすでにパチンコと各種公営ギャンブルを合わせ、市場規模が27兆円にものぼるギャンブル大国です。ギャンブル依存症も300万人をこえ、深刻な社会問題を引き起こしています。 節度ある公営事業として前橋競輪を運営してきた歴史を踏まえ、今後とも直営を維持しながら運営し、収支が赤字に転落した場合には、競輪事業をやめる判断も必要だと思います。売り上げを増やすための民営化検討は中止すべきです。答弁を求めます。 【提言】 民間委託すれば、射幸性やギャンブル性をコントロールするために、厳格な委託事業者への監視監督体制をつくらなければなりません。市職員を安易に減らせないのではないでしょうか。 委託事業者は売り上げ増とともに、当然、企業利益を求めるので、レジャー施設的な経営戦略を強め、来場が少ない若年層や家族連れにも来場を呼びかけ、車券をためらわず買ってもらう宣伝を色々な媒体を使って強めるのではないでしょうか。 公益性のある事業運営に限るということは難しくなると思います。 (2)施設管理 次に施設の管理についてです。グリーンドーム前橋は29年前に約183億円もかけて整備し、その後も、大規模修繕をしながら施設を維持してきました。車券売り上げ収入が年間800億円近くにも達していた時に、冷静な将来予測をしないまま、全国的にも小倉競輪と2か所しかない屋内ドーム型の豪華な競輪場にしたために、現状は、まさに施設の維持管理と計画的な修繕をするために競輪事業を続けている状況です。 老朽化が今後も進んでいく中で、今後の維持修繕費用はどの程度になると見込んでいるのでしょうか。競輪事業を存続すれば、今後とも一般会計からの支出をしないで、長期間、安定的に維持できると考えているのでしょうか。見解をお聞かせください。 【提言】 当面、民営化すればこれまで通り維持管理できるというのは安易なのではないでしょうか。人口減少と少子高齢化が進む中で、公営ギャンブルの先の見通しは暗いのではないでしょうか。 (3)貸館事業 次に、貸館事業は、民間委託の対象にしないとの方向性が示されています。わが党もグリーンドームを、産業やスポーツ振興施設としての活用をもっと拡大すべきという提案をしてきました。 そのためには、年間約60日程度しか開催していない競輪開催日以外の大部分を入場者の少ない場外開催に使用している非効率の改善は急務だと思います。 場外販売を利根西前売りサービスセンターや電話投票に特化し、メインアリーナを適切なリフォームなども行い、使用料も見直して、バトミントンや卓球、バレーボールなどの室内競技や県営陸上競技場で開催している中体連の開会式や地区体協などの諸行事に利用できるようにすべきです。 また、高崎に建設中の県の「Gメッセ群馬」の竣工によるイベントなどの利用減少に対応する対策など、貸館事業による収入増を本格的に検討すべきと考えます。見解を。 【提言】 多目的な施設利用を検討し、競輪を将来やめても、グリーンドームを有効活用する方策を市民参加で考えるべきだと思います。 そもそも公営ギャンブルは、戦後復興の時期に自治体の財政収入不足を補うために特別に認められた事業です。「公設、公営、公益のため」という原則で、違法性が阻却された公営賭博です。 競輪場に足を運ぶ人が減り、車券の売り上げが落ちて、競輪場の施設の改修も困難となり、市への繰り出しも困難になれば、存続の是非を検討することが本来的な立場です。それを、何が何でも続けるために、運営を民間営利事業者に任せて、低賃金の労働者を雇用し民間事業者に利潤追求の道を開くのは本末転倒です。民営化の中止を求めておきます。 3、前橋テルサおよび3温泉施設の民間譲渡検討の中止について (1)テルサの運営改善 次に、前橋テルサの活用についてのサウンディング調査が計画され、指定管理者のまちづくり公社が民間の複合ビルに移転し、民間譲渡に向けての準備が進んでいます。テルサは、旧雇用促進事業団から取得して以来、フィットネスやプール、宿泊や宴会、法テラスなどの利用で年間約40万人が来館し、勤労者だけではなく、今や市民全体の福祉施設となっており、中心市街地の活性化に寄与してきた施設でもあるだけに、いま市が進めている民間譲渡の方針に市民は驚いています。 今必要なことは、譲渡検討ではなく収支悪化の原因となっているホールの利用拡大など現在の運営上の課題を、まちづくり公社任せにせず、市民参加で前橋市が中心となって、効果的な改善を進めることこそ優先すべきではないでしょうか。見解を。 【提言】 民間への譲渡提案をしても応募企業があるのか、また譲渡を受けた民間事業者が経営して、採算ベースに乗せて、今後とも市民ニーズにこたえた運営ができるのか等、市民は不安を深めています。 市民参加を保障して、市民ニーズにこたえる立場から、直ちに運営の改善策を検討する委員会を立ち上げることが必要です。民間譲渡ありきではなく、中心市街地の活性化策と合わせて、市の責任で収支を改善して公的運営を継続し存続すべきです。 (2)3温泉施設の運営改善 最後に、3温泉施設の運営改善についてです。 昨年来事故や施設改修による半年にわたる長期休業など、温泉施設の維持管理の難しさが示されています。 しかし、いずれも赤城山麓に位置しており、観光や農業振興、スローシティーなどの観点から、いっそうの集客増に向けて、適切な施設改修や運営改善が求められていると思います。 ところが、市当局は2年間に短縮した指定管理期間中に、今後の運営を民間譲渡も含めて検討しようとしています。 しかし、3温泉施設とも、多くの市民に喜ばれて利用されており、開設当初の産業振興、住民福祉の増進、雇用創出、農業振興などの原点に立ち帰って、運営を改善すべきです。 他の民間の温泉施設と差別化を進め、例えば、理学療法士や保健師などを配置して、健康増進施設としての特徴を創出したり、地元農産物を食材にした魅力的なレストラン運営、さらには赤城山と市内の観光施設の周遊など、運営改善によって集客を増やすことは十分可能だと思います。 市民参加で前橋市と指定管理者と地元関係者の協議を重ねて、民間譲渡検討をやめ、運営改善すべきと考えますが答弁を求めます。 【提言】 過大な投資ではなく、住民要望にもとづいた運営改善や、適切な維持管理を行い、建て替え期間をできるだけ延ばし、公設民営の温泉施設として長く使い続けるべきです。一方では95億円の事業費で巨大な新道の駅を整備しながら、ファシリティーマネージメントなどと称して、市民に親しまれている公共施設の統廃合を進める公共施設管理計画を見直し、3温泉施設の民間譲渡をやめるよう強く求めておきます。 |