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議会報告

第2回定例会総括質問2019年6月10日近藤好枝23分/中高年の引きこもり8050問題と支援について/赤城鍋割山のメガソーラーの問題点について

【2019/6/10】

1、中高年の引きこもり8050問題と支援について

(1)現状把握(健康部長)

国は今年3月29日に40歳から64歳の中高年者の引きこもり状態の人の実態調査を実施し、推計で約61万3千人と発表しました。
80代の親50代の子どもの家族が孤立し困窮することから「8050問題」と言われ、親亡き後にさらに深刻化する問題でもあります。
特徴的なのは40代になってからの引きこもりが57%に上りその8割近くは男性とのことです。引きこもりというと青少年と若年期の問題ととらえられてきましたが、引きこもりの長期化や高齢化が浮き彫りになりました。また、先日の川崎市で発生した殺傷事件でも改めてクローズアップされ、本市としても正面から取り組むべき課題であると考えます。
私のところにも親御さんから相談が寄せられていますが、本市でも心の健康相談や高齢の親の介護問題、自立支援の窓口など行政の様々な現場で把握するケースがあると考えますが、8050問題の本市の認識と各課と連携して総合的に調査し、把握すべきと考えますが見解を。

答弁
深刻な問題であり重要と考えるが調査自体はむずかしい。政府の調査から類推すると本市でも約1600人存在すると考えられる。各行政の機関からの相談や親からの働きかけによって把握することがあるが、家族が地域の人に知られたくないなどの実態もあり個人情報保護の観点からも独自調査は難しい。各関係機関と連携して把握に努めたい。

結論
現状把握するための実態調査をすることが支援するためのスタートとなりますので、ぜひ積極的に連携し把握していただきたい。

(2)相談窓口、支援体制(健康部長)
現在、専門機関である群馬県の引きこもり支援センターも若年層を対象にしているため中高年を対象にした窓口が事実上ない、相談の行き場がないことは問題であり、改めて国、県、市の公的支援の在り方が問われています。
本市では中高年の引きこもり問題に特化していませんが、精神保健センターが窓口になり支援をしているとのことです。今回、社会問題として注目されたことにより、本市にも多くの相談が寄せられているとお聞きしています。相談にあたってはなによりもまず、偏見を取り除くことが大切で困っている、悩んでいる家族を支援し孤立させない、外出できない当事者を助けるアドバイスなどの支援が重要ですが本市としてはどのように取り組んでいるのか。中高年の引きこもり問題は若年層よりもより複雑で様々な問題を抱えていることから100人100様の実態があると専門家も指摘しています。そのため現状の精神保健センターの支援体制ではたいへん不十分なので体制も含めて拡充すべきではないか。

答弁
精神保健センターがその窓口になり年間2800件受けている。そのうちの280件ぐらいではないかと考えられる。体制は正規の精神5、社福2、保健師2.年1回の講演会、精神疾患、社会的引きこもり、地区担当の精神保健師の訪問。家族対象の講演会など実施している。今後も先進地事例を参考に検討していきたい。


(3)就労支援(福祉部長)
就労が支援の最終目標ととらえるべきではありませんが、当事者の方が40代でも再スタートできる仕組みを作ることを希望しているとの調査結果からも就労支援の位置づけ、体制強化によって本人が自信を取り戻し社会に出ることができることも大事です。
全国でも先進事例として、新たな就労支援に取り組んでいる自治体があります。静岡県富士市では全国初の支援的就労を2017年4月から始めました。「ユニバーサル就労推進条例」を制定し、年齢や障がい者支援手帳に関係なく、就労ブランクが長い、引きこもり状態にある、コミュニケーションが苦手といった働きたいけれど働けずにいる人をサポートするユニバーサル就労支援センターを開設しました。面接などでそれぞれの強みや弱み、特性などを総合的に評価検討して、協力企業の職場見学にスタッフが同行したり、面接したりして企業側とマッチングすれば就労体験にも入れます。協力企業は64社に上っています。中には10年近く引きこもっていた40代の男性も就労できたとのことです。    本市でも社会福祉協議会に委託している生活困窮者自立支援センターにおいて、生活保護受給者や生活困窮している方を丁寧に支援している実績があります。この実績とノウハウを生かした就労支援ができるのではないかと考えます。
8050問題で悩んでいる方々を対象に拡充すべきと考えますが見解を。

答弁
生活困窮者支援センターは生活困窮者が対象ですが、年間600件の相談で月50件のパースで受けている。そのうち1割が継続的に支援し、そのうち6件くらいが就労に向けての継続している。中には20年間引きこもっていた人もいます。今後先進事例も参考に検討していきたい。
結論
様々な角度から答弁していただきしましたが、現状の支援体制だけでは大変不十分です。8050問題にワンストップで総合的に支援体制を作り上げ当事者に寄り添った切れ間のない支援を実施すべきです。たとえば秋田県藤里町では人口3800人のうち社会福祉協議会が調査したところ、113人もいたと驚いて本格的な支援に乗り出したそうです。取り組み始めて3年間は試行錯誤の連続で訪問すると最初は怒り出す人もいたそうです。資格取得や仕事情報の発信を粘り強く続けて、社協の中に資格取得の拠点施設を作り、研修期間として設けた食堂で働けるようになりました。ここで、地域住民と触れ合えるようになりだんだん自信を回復していき、ほとんどの方は働けるようになり社会参加できるようになりました。
また、岡山県総社市でも総合支援センターを作り、藤里町のように拠点施設で何らかの社会との接点を持てるように取り組み、サポーターの養成や家族への支援を行っています。
本市でもワンストップで相談、から就労支援までできる専門機関である引きこもり支援センターを開設すべきですので早急に検討していただきたいと思います。

2、赤城鍋割山のメガソーラーの問題点について(都市計画部長)

(1)市民意見の聴取
●柏倉の地元
原発に代わる再生可能エネルギーは推進すべきであり否定するものではありません。しかし、あまりにも巨大なメガソーラーは自然環境や景観を壊し、防災上の観点からも問題です。
前回の総括質問でも取り上げましたが、山本自動車が設置を予定しているメガソーラーは赤城山の最南端に位置する鍋割山の直下にあります。県立赤城公園の規制区域に隣接しており、すでに林道沿いに3?ものメガソーラーが敷き詰められ、これを含めて総面積約19?、6メガワットへ拡大する計画が進んでいます。現在、群馬県の大規模開発条例に基づく開発のための構想書が県に提出されていますが審査は約1年かかるとのことです。本市でも「前橋市自然環境、景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」で審査されている途中です。5月28日には「赤城山のメガソーラーを考える会」が群馬県知事あてにメガソーラーの設置中止を求める要請を行っています。
昨年10月に柏倉自治会で住民説明会が開かれ、さらに自治会でのアンケートでの意見聴取が行われました。アンケートでは420戸中賛成74、反対185となっており反対意見が多数を占めています。寄せられた意見では景観や環境が阻害されては困る、最近の異常気象を考えると土砂災害が送ることを心配している。会社が倒産したら責任持てるのか。20年後のソーラーの撤去はどうするのかなど、批判疑問が多数寄せられていました。ところが本市の担当課は地元との話し合いで、法令にのっとって作られるものであり、作らないという選択肢はないと説明し、住民の不安や批判に答えていません。地元住民の意見が尊重されるべきではないか。再度、住民に説明すべきと考えるが答弁を。

答弁
2月に地元と協議し市としては技術基準を満たしていればよいわけではなく、地元の意見が尊重されることが大事。事業者が市の基準を満たしていれば地元としては仕方ないと認めた。

反論
行政が住民の反対があっても作られるという姿勢を示したことは大問題です。考える会と群馬県との懇談では関係各課との法令に基づく合議によって厳しい規制を求められるために断念する事業者もいると答えています。再度、群馬県のような真摯な態度で説明すべきです。

●旧3町村や市民
柏倉地区以外の宮城地区や粕川、大胡などの周辺住民、登山愛好家から相次いで批判と不安意見が出されています。
前橋市内から鍋割山を遠景すればソーラーパネルの射光やはげ山のように見える景観が悪い。自然環境が破壊され、貴重な動植物への影響もある。
大胡地区では戦後のカスリーン台風による災害で多くの死者を出した苦い歴史があり、今日のように想定以上の集中豪雨が降ることによる土砂災害や、森林を伐採して災害が起きないかと不安が広がっています。多くの登山愛好者からも赤城山のメガソーラー設置拡大への批判は日ごとに広がっています。
本市として、改めて市民の意見を聴取すべきではないか。

答弁
説明会は開発事業者が実施するもの。条例上適正に実施した。

反論
赤城山は市民共有の財産だ、市民の宝だと市行政は繰り返し述べているではありませんか。この問題になると市民は置き去りになることは許されません。

(2)審査
●再エネ規制条例に基づく審査
本市では大規模開発条例に基づく開発行為は30年以上該当するものがなかった、大規模な開発です。この県条例に基づく事前相談つまり、関係書類を群馬県に挙げるかどうかをチェックし、検討したのは前橋市の責任です。5月28日県との要請行動で群馬県は25の関係課に渡る審査をする。あらゆる関係課で慎重にチェックすると答えています。
一方、国はソーラー設置事業者に対して関係法令の遵守を義務付ける等の制度改正を行いましたが、現行の土地利用規制等に関する関係法令では景観や環境及び防災上における様々な問題に十分対応しきれていません。
だからこそ、本市では2016年12月に市独自の再エネ条例を制定して赤城山を守るために努力してきたのです。私たちは現地調査を何度も行いましたが、すでに事業者が設置している3メガワットのソーラーパネルの足場は金属パイプだけでうちこまれているため脆弱であり、杭の深さがまばらで深く埋め込まれていないなど20年という長期間耐えられる構造とはいいがたい上に想定以上の雨量による沢への流出などの危険性もあります。前橋市も県と同じように景観、災害、観光、土木、環境それぞれ協議すべきですが答弁を求めます。

答弁
本市でも14課に渡って厳しく審査してきた。今後の審査の結果事業内容の修正もありうる。


●条例改正
さらに、本市の条例自体の改正もすべきと考えます。本市の再エネ条例の理念は「前橋市の美しい自然環境、魅力ある景観及び安全安心な生活環境は、市民の長年にわたる努力により形成されてきたものであることに鑑み、市民共通のかけがえのない財産として、現在及び将来の市民がその恵沢を享受することができるよう、その保全及び活用が図られなければならない」と明記しています。これを尊重すべきであり、富士市は1000?以上のソーラーパネルは富士山を守るために設置させない。つくば市では筑波山を守るために50kW以上のソーラーパネルは設置させない基準も作っています。このように本市も具体的に条例に反映させるべきです。
すでに、条例施行から38件のソーラー設置申請に基づいて再エネ審議会が5回開かれています。審議会でも、私たちが指摘しているように条例の理念を尊重し規制の厳格化を繰り返し述べ、議論されています。ところが市長はこれに応えていないことが問題なのです。赤城山を守り、住民の不安にこたえるために、条例の改正をすべきです。答弁を求めます。



答弁
条例ができてから2年たったところ、事業の蓄積、課題を整理し明らかにして今後検討したい。

結論
それでは、遅いのです。ソーラー設置事業はFIT価格の引き下げによって、国に申請済みのもの以外は新たに設置されにくくなっています。今、必要な時に条例改正することこそ行政の役割であり責任なのです。

◎市長はイタリアのオリビエートまで行ってスローシティーを推進しようとしている、また、フランスのミュシュランまで行こうとしているが、足元の本市が最も宝としている赤城山の自然、景観、環境、災害が問題になっている。イタリアやフランスに行く前に、富士山や筑波山を守るための条例規制のように本市も条例を厳格化するとともに、事業者である山本自動車に交渉に行くべきです。強く求めておきます。


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