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議会報告

2019年第2回定例会、議案反対討論小林久子議員【2019/6/13】


私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第50号前橋市一般会計補正予算に対する反対討論を行います。
補正予算の中の、未来型政策事業として、プレミアム付き自治体ポイント事業準備のための業務委託1463万8千円の追加を認めることはできません。

反対理由の第1は、消費税率引き上げに伴う景気反動減対策として位置づけながら、マイナンバーカードの普及促進を図る目的で本事業を行うからです。
このプレミアム付き自治体ポイント事業は、国の消費税率引き上げに伴う対応策として、低所得者・子育て世帯向けのプレミアム商品券や中小・小規模事業者の店舗での消費者へのキャッシュレス決済ポイント還元等の支援策が終了した後の、2020年年夏ごろにマイナンバーカードを活用した消費活性化策として実施しようとするものです。国は、2019年度を制度の実施に向けた準備期間と位置づけ、全額国費による個人番号カード利用環境整備補助金を創設し利用促進のための広報、利用者ID設定支援、店舗募集等の事務を進める予定です。
プレミアム付き自治体ポイントを利用するには、自治体ポイントのウェブサイトにアクセスするために、まだマイナンバーカードを持っていない人は取得しなければなりません。マイキープラットホームを活用して自治体ポイントをクレジットカードなどで購入すると、プレミアムポイントが付与され、商店やオンラインショップで買い物をする際に自治体ポイントで清算します。
消費税率引き上げ後の景気対策の一環としながら、利用するにはマイナンバーカードが必要になり、プレミアムを付与することでカードの普及を図ろうとする意図が見えます。
しかし、プレミアム付き自治体ポイントの事業期間は、2020年7月頃から2021年3月末の予定で恒久的なものではなく、利用期間は、購入から1年に限定されます。
そもそも現金で支払いをしているお年寄りなどがマイナンバーカードの取得やカードを使い自治体ポイントを購入のためのサイトに登録すること自体困難であり、小売店も、4〜7%程度と言われている高いカード手数料を負担する恐れや、新たに機械を導入する手間も大変です。マイナンバーカードを持たない個人や、支払いが現金のみの小規模な店舗は、制度から排除されることも問題です。

反対理由の第2は、個人情報の漏洩やカードの紛失、盗難などの問題を顧みずに、本市が国に追随し、マイナンバーカードの普及に多額の予算を使い、導入を拡大していることです。
これまで本市は各種証明書のコンビニ交付、母子保健情報サービス、マイタクでの活用などを進めてきましたが、本市のマイナンバーカードの取得率は本年4月現在で12.67%にとどまっています。多くの市民はマイナンバーカードを日常的に使う機会はほとんどなく、必要性を感じていません.
一方、政府は2021年から、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにすることを盛り込んだ健康保険法を改正するなど、取得率が上がらないマイナンバーカードの普及に多額の国費を投入して推進しようとしています。
国は多額の予算を使い、自治体のマイナンバーカードの活用策を躍起になって進め、国民がマイナンバーカードを使わざるを得ない仕組みを作り上げようとしています。本市は、国の施策に乗り率先してマイナンバーカードの利用拡大を進めようとしていますが、市民の実態を無視しマイタクのマイナンバーカードへの一本化を進めようとしたことは、行政に対する市民の強い不信感を抱くものとなっています。
消費税増税を機に、カード会社をもうけさせるキャッシュレス決済や、個人情報の漏えいやカードの紛失、盗難など問題があるマイナンバーカードの普及を進めようということ自体問題です。

反対理由の第3は景気悪化が進む中で、政府の進める10月からの消費税率引き上げを容認し、追随する補正予算を認めることはできません。 
2014年4月に消費税8%増税以降、家計消費は世帯当たり年25万円も落ち込み、働く人の実質賃金も年平均10万円も落ち込んでいます。増税前を見越した食料品の相次ぐ値上げなどで、消費者の購買心理も冷え込んでいます。年金や生活保護費の削減、医療介護などの社会保障の連続改悪により国民生活は疲弊しています。
このような中、6月7日、内閣府が発表した4月の景気動向指数は景気の基調判断を2か月連続「悪化」としました。2か月連続で悪化となるのは、2012年11月以来、6年5か月ぶりのことで、いよいよ景気の後退は鮮明になってきているといえます。
消費税はもともと低所得者ほど負担の重い逆進性のある税制です。
今行うべきは、消費税増税ではなく、この間、優遇税制やアベノミクスで史上空前の利益を上げている大企業や富裕層に対して、儲けに応じた応分の負担を求めるべきです。消費税増税に頼らなくとも財政再建は十分可能です。
そもそも消費税率引き上げで国民には、5.7兆円もの負担を押し付けておいて、消費の落ち込みを回避するためとして景気対策を行うこと自体があまりにも安易であり、複数税率の導入や、期限付きのキャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム付き商品券の発行などの対策をとっても、増税の痛みを回避することはできません。
よって、消費税増税を前提とする補正予算、プレミアム付き自治体ポイント事業準備のための業務委託1463万8千円を認めることはできません。
以上述べまして。議案第50号補正予算に対する反対討論といたします。

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