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議会報告

2019年第3回定例会総括質問 小林久子議員(25分)1、18歳までの子ども医療費助成拡大について 2、幼児教育、保育の無償化に関わる諸問題について【2019/9/13】

1.18歳までの子ども医療費助成拡大について


(1)全国や県内の実施状況と本市の財源
子ども医療費助成の国の制度がない中で、全国での無料化の流れは大きく前進しており、厚労省の2018年度の調査で(18年4月1日現在)、18歳までに助成している市区町村は通院・入院どちらも全体の3割を超え541市区町村に達しています。
かつて、前橋市は県に先立ち2008年、中学卒業までの医療費無料化を決断し、制度拡大の先進的役割を果たしてきました。所得制限や窓口負担もなく、病気の早期発見、早期治療により、重症化を防ぐという面でも、評価されているところです。
県内では、8町村が限定的ではありますが、18歳まで拡大しています。
国は全国知事会などの要請を受け、医療費助成を行っている市町村に対するペナルティを小学校就学前に限り廃止したことも助成拡大を後押ししていると思います。
本市は県都前橋創生プランで「子どもたちの元気な声が聞こえるずっと住み続けたい、健康医療都市前橋」を掲げ、人口減少対策として、若者の結婚出産、子育ての希望を叶えるを目標の一つにしています。
子ども医療費助成の拡大は大きな柱になりうるのではないでしょうか。
助成拡大の全国等の状況を、当局はどう把握していますか。また、2年前の答弁では18歳までの拡大にはあと2億7千万円と試算していましたが、改めて必要な予算を伺います。

●約2億円ということです。これは本市の一般会計予算約1460億円のわずか0.1%余りです。静岡県は18歳まで窓口負担なくし実施を決断しています。大阪府摂津市は大学生22歳まで拡大しています。少子化対策、子育て支援策として、小さな自治体はもとより、いまや県や市段階でも拡大しています。前橋市も県もかつては先進を切っていましたが、今では遅れをとっています。
 
(2)政治判断
市長は、本気で子育てを応援する考えがおありでしょうか。
明石市は、市を上げて本気で子育て施策に取り組み中3まで医療費無料化や保育料第2子まで無料などに取り組み、首都圏以外の中核市で人口のV字回復を果たすなど貴重な取り組みを行っています。わが市議団も視察しお話しを伺いましたが、離婚後の養育問題にもしっかり取り組むなど、一人の子どもも見捨てないと社会全体で子育てを応援する市長の姿勢がしっかりと伝わってきました。
市長は先ほど次期、市長選への出馬を表明されましたが、多くの市民が消費税増税で暮らしに希望が見いだせない中で、市長はどういう政策を掲げるのか大いに注目をしています。
県内、全国の先進自治体に学び、市長は18歳までの子ども医療費助成拡大を決断すべきです。答弁を求めます。

●全国知事会や市長会は少子化対策の抜本強化を求め国が全国一律のこども医療費助成制度を求めていますが国は実施していません。さらに、小学生以上の窓口無料化を行う市町村に対しペナルティ措置も続けている。そのような中、助成対象年齢や、窓口での一部負担金の有無、所得制限の有無など違いはあるが。各首長が子育てを本気で応援しようと決断している。改めて市長の速やかな決断を求めておきます。


2.幼児教育、保育の無償化に関わる諸問題について

3歳以上の保育園や幼稚園、認定こども園等の児童と、市民税非課税世帯の3歳未満児の保育料を無償とするものです。子育て中の世代の負担軽減や、少子化対策を進める上で無償化は大切であると考えます。しかし、国が進めようとしている無償化は、消費税の増税分を財源としており、かつさまざまな問題があります。

(1)副食費の徴収と減免
保育の無償化に伴い、これまで保育料に含まれていた副食材料費が、切り離され,新たに保護者に4500円の実費負担を課したことは問題です。第3子と年収360万円以下の世帯の子どもは無料になりますが、本市では3歳以上児7500人のうちの約1000人のみが副食費無料の対象です。
全国でこの副食費の無料化を拡大している自治体が生まれています。
秋田県は市町村との共同事業で世帯年収などに応じ、全額か半額もしくは4分の1の助成を実施し、さらに県内25市町村のうち14の市町村が全面無料化に踏み出します。
ほかにも、東京18区、塩尻市、松戸市など、副食費の単独補助制度を創設しています。県内では、渋川市も第2子まで無料にしています。
本市は副食費全員無料にするのに、あと3憶5千万円必要となりますが、県にも働きかけて県と連携をするとか,第2子を無料化するなど是非実施に向けた検討が必要です。
幼児教育・保育の無償化で、市の財政負担が年間2億円軽減されると市は述べています。この財源を活用し本市でも副食費の無償化の拡大を図るべきと考えますがいかがか。
●副食費の徴収も市は保育所任せであり問題です。集金業務はただでさえ忙しい保育現場の事務量を増やし、滞納による保護者とのトラブル、運営に支障を及ぼすなどのリスクを生じさせ、リスク回避のため入園者の選別につながる懸念があります。保育の機会を奪いかねない。このような問題を生じさせないためにも、副食費無料化の検討をすべきです。

(2)運営費削減への独自支援
無償化に関わり、10月からの保育所等の公定価格(90人定員)が示されたが、3歳児で月額5090円、4・5歳児で5100円減額されます。これまで公定価格に含めてきた副食費を外し、4500円を保護者から徴収しますが、差し引き約600円のマイナスです。
定員90人の保育園で年間約50万円もの減収になり、保育所の財政運営に打撃を与え、保育の質を低下させかねません。
市はただちに国に対し減額は許さないの声を上げるべきです。
また、年間の運営費予算を立て執行しているのに、年度途中の減額は給食費や教材、一般生活費などへの影響が心配され問題です。対応策として当面、保育所等に対し従来との副食費の差額分を、市独自で支援を行うべきと考えるが。いかがか。

●内閣府はこの削減で、副食費免除の拡大、栄養管理加算、チーム保育の推進加算の拡充に充てたと説明していますが、これは12年以上のキャリアを積んでいないと対象にならず、該当する保育園が少ないのが問題です。なによりも子供の生活にかかわる単価を減額し充てること自体納得できません。無償化に伴う公定価格の減額は、副食費の実費徴収と合わせて、子どもや保護者、保育現場に新な負担を強いることになり混乱と施策の後退を招くことは必至です。市から委託を受けている保育園が運営していけないと切実な声を上げているのに、市が何も対応しない、責任持たないというのは問題です。
 
(3)3歳未満児の保育料の軽減
保育の無償化というなら、本来であれば、すべて無償にすべきです。今回の保
育料無料化で3歳未満児が非課税世帯を除き無償化の対象から外れました。
前橋市は第2子の保育料6割軽減を行っていますが、第一子はその対象になら
ず、高い保育料負担となっています。10月からの消費税増税の影響が、子育て
世帯にも及び、世帯当たり年間平均4.5万円の負担増になるともいわれて
います。
 安心して子供を産み育てられる前橋市を目指して、市として、未満児の保育料の軽減策を講じるべきではないでしょうか。見解を伺います。

●渋川市は、平成30年度から第2子の保育料を無償化し、今回の国の保育無償化で、0歳〜2歳の市民税課税世帯の保育料を無償化し、完全無償化に踏み出します。渋川市は年間6000万円の財源が必要になりますが、国の無償化で軽減される4000万円の財源を充てるとしています。
一方本市は、軽減された分の財源を保育の充実に使うと述べていましたが、具体的な使途については明らかにしていません。ぜひ市民に見える形で、市の独自の支援策を講じるなど有効に活用すべきと思いますのでお願いします。

(4)待機児解消策
今月6日 厚労省は申し込んでも認可保育所などに入れなかった待機児が今年4月1日時点で、16772人で、受け皿整備が進み待機児が減ったといますが、待機児にカウントされない隠れ待機児は73927人で、5年間で最多となっています。
本市は、今年4月待機児はゼロだが、隠れ待機児は、140人にも上っています。
希望しても兄弟一緒の保育園には入れず、別々の保育所にあづけるため奔走する親の苦労は計り知れません。産休明けで保育園が決まらずやむなく、育休をとらざるを得ないケースなど、保育所探しで親は大変な思いをしています。
未満児、特に1歳児の入所希望が増えており、また、本庁管内や利根西などので施設が不足している問題があります。そして今後、保育の無償化により、保育を希望する児童がさらに増えることが予想されます。市は市民のくらしの実態や保護者の勤務条件に即した保育需要の把握と保育園等の整備が必要です。
保護者は安心してあづけられる認可保育園を希望しています。公私立保育園、認定こども園の未満児の定員拡大などの拡充が急務と考えますが、市の考えをお聞きします。

(5)保育士確保策
合わせて保育士不足も深刻です。
現場は、募集しても保育士が集まらない。ある保育園は0歳児受け入れ枠があっても、保育士が確保できず受け入れられないなど、人材確保で苦しんでいます。また保育士が短期間に入れ替わり、日々の保育や保護者との信頼関係を築くうえでも支障が出ています。
 保育士不足が前から叫ばれていますが、市は、実際に確保しなければならない保育士の数はどれくらいと認識しているのか伺います。
また、保育士の低い給与の改善に向け、国の保育士への処遇改善加算やキャリアアップ研修などが実施され、一定の報酬アップになっていますが、まだ、全体の底上げになっていません。
保育の現場では、職員が経験を重ね、研鑽し、職員集団を作り、保育の質を高めていくためにも、それぞれの保育所で積み上げてきた保育実践を継承していくためにも、保育士への市独自の処遇改善策を打ち出し、底上げを図っていくことが大切です。
保育士の処遇改善や保育士の確保について市が強力に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

●民間保育園の人手不足は深刻です。公立保育所の採用の決定が12月なので、学生は公立志望で落ちたら民間と思っている。それでは民間の採用は遅くなり、次年度の園児受け入れ人数も決定できない。人材を確保できないため特に0〜1歳の受け入れも決められない状況です。結局、待機児をさらに生み出しかねません。
今後、市が民間保育園等も含め、保育士の必要数を把握し、保育士確保にしっかり責任を持ち進めていただきたい。


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