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議会報告

近藤好枝第3回定例会総括質問1、会計年度任用職員制度の問題点と改善について2、赤城山の大規模木質火力発電施設問題について【2019/9/19】


1、会計年度任用職員制度の問題点と改善について
2017年の通常国会で成立した地方公務員法及び地方自治法の1部改正により、本議会に来年4月から会計年度任用職員制度の導入のための関連条例案が提出されています。
全国的な調査では自治体の職員は2005年304万人の正職員が2016年には273万に減少しています。その一方で非正規職員は45万人から64万人で10年余りで20万人も増え、職員の約3割を非正規が占める実態となり本市でも正規職員は本年4月現在2596人、再任用と任期付それぞれ短期職員は合わせて185人、非正規職員の嘱託566人と臨時91人で職員の約4人に1人が非正規職員です。その多くは正規職員と変わらない仕事をしていますが任用形態は様々なものがあります。
職種は行政事務職のほか保育士、看護師、保健師、医療技術者、各種相談員、図書館職員、学校教育など多岐にわたっています。
また、賃金や手当では臨時、非常勤職員への支給を認めていない手当があることから処遇面で正規職員との大きな格差があります。これらの改善を求める全国の運動から、総務省は処遇格差の是正をせざるを得なくなったという背景があります。
(1)待遇

●最初に現状の非正規職員の会計年度任用職員への移行の対象、本年度職員数に基づく試算と新制度を導入した場合の来年度の試算の検討と考え方について具体的に伺います。

●本市の試算では期末手当を新たに支給するにもかかわらず、人件費の総額はわずか1500万円増えるだけです。嘱託職員の事務職であると年収はわずか2万9325円アップするだけで、年間199万7325円です。しかも、月収は15500円も引き下げてしまうのです。労働者にとって月収は月々の生活費そのものであり、これを安易に引き下げることは待遇の後退です。労働者の生活を脅かす重大な提案であり、予算を増額して当然引き上げるべきと考えるが答弁を求めます
   
 反論
 せっかく新たな制度ができ、期末手当も支給できるようになったのに従来から問題となっている年収200万円以下のワーキングプア―を行政自ら今後も生み出そうとしていることは許されない。

●条例案ではフルタイムとパートタイムに振り分けます。ところが本市では現在の嘱託員の週30時間のパートタイムの現状を踏襲して新職員制度においてもパートタイムだけに限定することは問題です。事務職の嘱託においても事実上、正職員と変わらない仕事をこなしている職員もいますし、とりわけ保育士においては週37時間30分でフルタイムに近い勤務実態にあり、その賃金は正規の半分か3分の1、長期に働いても退職金もなく老後の生活は心配、育児休業もないので子供ができたら仕事を辞めざるを得ないなど、仕事には誇りとやりがいを持ちながらも、労働者としては不安や不満を抱いて働いております。
このような非正規職員こそ、フルタイムにすべきではないか。

反論
非正規であっても正規保育士と同じように担任を持ち、子どもたちや保護者と日々向き合って仕事をしております。正規と事実上変わらない働き方をしています。フルタイム職員は、再任用が継続すれば退職金も支給でき正規職員との格差は改善され、待遇の改善が図られます。当然フルタイムにして、身分の安定を図るべきです。

(2)無期限任用の原則の堅持

●新職員制度では、4月から翌年3月までの会計年度1年間の短期間の雇用契約になるものです。しかも、12か月のうち4月の1か月はベテランの嘱託職員でも試用期間つまりお試し期間です。会計年度ごとに再任用ができるとはいえ、身分は1年の不安定雇用です。一番大きな不安は、来年も働き続けることができるかという雇用不安です。現在、事務職の嘱託員は3年で雇止め。非正規で働く保育士は5年、再任用されればさらに5年延長されています。 こうした方々は実際には正規と同じ常勤職員になりたいと強く願っているのではないでしょうか。不安定雇用を解消するため本市として、この願いにどのようにこたえていくのか。
反論
再任用を妨げないということですので、継続雇用できるようにすべきです。また、その際は勤続年数によって、昇給すべきであることを強く求めておきます。


●会計年度任用職員では会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職としか位置付けられていません。そして、総務省の説明では再度の任用が可能だとされていますが、これでは任用根拠を変えただけで、基幹的、恒常的業務にも使い勝手の良い安上がりな労働力が自治体職場に拡大、固定化されてきた現状を何ら変えることにはつながりません。いつまでも非正規雇用、いつでも雇い止めできる仕組みづくりだと考えます。
 民間では有期雇用で5年以上同じ職場で働けば無期転換の権利が発生します。ところが、公務の職場では有期雇用を拡大する、固定化することになるわけです。「公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心としていること」という大原則のもとに制度設計すべきで、まさに、新制度は公務の無期限任用の原則を掘り崩すことになりかねないと考えます答弁を求めます。

反論
本市はこれまで臨時、非常勤の職を「人員の調整弁」として利用してきたのではないでしょうか。本市の新職員制度導入への考え方はこれまで脱法的に行われてきた正規から非常勤職員への置き換えを合法化することになり大きな問題があります。また、雇用面では会計年度単位の雇用形態にしたために、一層の不安定雇用になり、処遇面では同一労働同一賃金には程遠いものになっていることも明らかとなりました。この認識を改めて希望する嘱託職員、臨時職員をフルタイムに位置付け、抜本的な処遇の改善をすべきです。

(3)職員削減の中止
●自治体の業務は多岐にわたり、住民の基本的人権の保障、個人情報の適正な管理、多様化する市民ニーズにこたえるなど、重要な役割を担うものです。今までは、こうした役割を専門的な知識・経験を持った正規職員が担ってきました。
しかし、政府は今後、正規職員をさらに削減し本格的業務にまで、会計年度任用職員を配置して、また、アウトソーシングを促進して2040年に向けて正規職員を半減していくことを目標に推進していこうとしています。これは、住民福祉の向上を本旨とする地方自治体の役割が果たせなくなる重大な問題であり、本市として、このような政府の誘導に乗るべきではありません。
このような流れの中で、静岡県島田市では非正規職員をすべて会計年度任用職員に移行して、包括外部委託する提案をしましたが、個人情報保護の低下、業務の非効率化、専門性・継続性の喪失、臨時・非常勤の大量雇止め問題などが指摘され、島田市議会で全会一致で否決されました。全国の自治体では新職員制度を活用して財政削減を目的に正職員や常勤職員を削減する間違った行制改革を推進しようという動きが起きています。本市として、このような問題のある手法を活用することなく、正規職員及び常勤職員を削減せず、複雑多岐にわたる公務の仕事を十分果たせるようにすべきです答弁を求めます。
答弁
職員の定員管理計画に基づいて減員の人数を決めている。今後も行財政の見直し、民でできることは民で行える人的資源の活用をおこなう。会計年度任用職員についてもこうした方針のもとに行財政改革を見直し適正化を図る。

反論
現在でも本市では職員の業務量が増えているにもかかわらず、公共交通へのAI導入実証実験や自治体行政スマートプロジェクト委託事業つまりロボットによる業務自動化の実証実験などなど、本来の業務に加えて、次々と職員の業務量を増加させていることは問題であり、見直すべきです。また、証明書交付窓口の民間委託化を実施し、来年度は競輪事業の民間委託を進めようとしています。これは公共サービスの産業化を推進することです。このように国の政策に無批判に従い、むしろ率先して間違った行政改革を推進していることこそ改めるべきです。正規職員を増やして、会計年度任用職員制度もフルタイム職員を増やして、任用の継続を行い、市民本位の行政に転換する役割を果たすべきです。


2、赤城山の大規模木質火力発電施設問題について(市長)
(1)行政姿勢
●防火指導について(消防局長)
関電工による苗ケ島の大規模木質火力発電所が本格稼働して、1年半経過しました。この間住民から不安の声が寄せられているのが火災の危険性です。前橋バイオマス燃料の事業者は栃木県の那賀川町のバイオマス発電所で大規模火災を起こしているからです
発電所内のチップ工場の屋外敷地には、大量の間伐材等がうずたかく積み上げられ、長期に渡っている場合もあります。また、チップ工場内ではチップ化された木片が大量に積み上げられて、発火しやすい条件が存在します。本市としてどのような法令に基づいての対策を講じてきたのか伺います。

●市長の行政姿勢
放射性物質の汚染の危険性や騒音、大気汚染、火災の危険性など近隣住民から被害や批判、不安が寄せられています。しかし、事業者である関電工は真摯に向き合うことなく、住民への説明もありません。環境配慮計画に基づく測定値の公表という約束も反故にしています。
市長は私が議会で問題点を指摘し繰り返し改善を求めてきたにもかかわらず、その答弁は市には権能がないからということで正面から改善する姿勢を見せていません。市長の言う権能とはどのようなことでしょうか。法令上の権利を主張し行使する能力ということを言っているのでしょうか。
本市には法令上の防火対策も騒音規制法上も大気汚染防止法上も権能はあります。騒音対策についても行政指導をしているではありませんか。原料である間伐材の調達、放射性物質の影響、騒音の防止、地下水汚染、大気への汚染など、本来は環境アセスの対象になるべき施設であるのに、対象にせず行政の権能さえも十分に果たせていないではありませんか。市長の認識を改めていただきたい。そのうえで、環境配慮計画の基づく約束を履行させるべきであり、行政の役割を果たすべきです答弁を求めます。

反論

●わが党は8月28日に再生可能エネルギーと富士山の保全をするための行政の取り組みについて学ぶため富士宮市に視察に行きました。ここは、世界遺産の富士山をいかに守るかという大きな課題に正面から向き合って、再生エネルギーとりわけメガソーラーの設置に対する検討と規制について大変な努力していました。再生エネルギーについては家庭の屋根への設置は行政が先頭に立って推進する一方で、富士山ろくの地域には、地権者や自治会が設置を推進し、相対立する場面もしばしばありながら、富士山の自然環境と景観を守るために、まず現地に出向いてこの場所に設置することによって、どのような影響を及ぼすのか丁寧に聞き取って、事業者に設置を断念していただくように繰り返し何度でもお願いしています。地権者が農業者であれば他の関係課と連携して丁寧な相談に乗ります。バイオマスについても、設置地域、設置場所、設置規模、材の調達など多方面から慎重に検討すると説明されました。本市こそこのような毅然とした行政姿勢に立つべきではないか。

反論
市長は赤城山麓のスローシティーの推進、赤城山は前橋の宝とか、世界遺産にしたいとまで言っています。実際には言葉だけで具体的に体を張って守るという行動をしているでしょうか。市長の行政姿勢を改めるよう強く求めておきます。

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