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議会報告

2019年第3回定例会 2018年決算反対討論 中道浪子【2019/9/26】

 私は日本共産党前橋市議団を代表して、議案第68号から第71号、第73号、第76号から第79号、以上9議案に対して反対の討論を行います。

 最初は、議案第68号、平成30年度前橋市一般会計決算についてです。
反対の理由の第1は、立地適正化計画でコンパクトなまちづくりをするといいながら、民間主導の大規模開発事業に市民の意見をほとんど反映せず、湯水のように税金を投入し推進していることです。

前橋駅北口再開発事業は、事実上民間分譲マンションとなり、市民が期待していた特養ホームは誘致できず、駅周辺の賑わいを取り戻す事業にはなっておりません。
また、今、中心市街地は3大まつりやイベントの期間以外、賑わいが取り戻せません。元気21やアーツ前橋、文学館などで回遊性や賑わいを取り戻すと強調してきましたが成功しておりません。千代田町中心拠店地区再開発事業は、スズランのリニューアルと複合施設などの整備によって事業を立ち上げようとしていますが、最大地権者の前橋市とスズランそれに中小商店の組合員の意見だけでなく、中心市街地の賑わいをどのようにして取り戻すのかについて、今こそ、市民の意見も聞いて再開発事業の規模や内容を決めるべきです。南部拠点地区開発などを次々と推進しながら、郊外に大規模店の出店を容認して来たことが、中心市街地への賑わいを喪失させてきたのであって、その総括をしないままでは中心街の再開発事業には市民の理解が得られません。
CCRC構想は、首都圏からのリタイヤ層を呼び込むことが事業計画の中心でしたが、市民が活用する商業施設や高齢者施設に計画は大きく変わりました。
そもそも、地方創生事業のモデル事業として、安易に手をあげたことが今日の事業の迷走を招いた原因です。
新道の駅についても同様です。事業を進めるのにほとんど民間事業者に丸投げで、どのような道の駅にしたらよいか一般市民からも意見を聞く機会をつくるべきです。2年後のオープンも市民には十分周知されていません。
県内最大の7?の敷地面積、総額95億円、年間100万人の計画は過大すぎます。多くの市民が、成功するのかどうか不安を抱いています。
結局、どの事業も必須施設を市が示して公募したもので、市民に広く意見を求めて始めた事業ではなく、一部の地権者と企業主導で進められており問題です。
これから少子高齢化社会への対応策を重視していかなければならないのに、区画整理は12か所も広げ、老朽化した各種インフラの改修も、一斉に老朽化が進む公共施設の維持管理も進めなくてはなりません。市財政が厳しいといいながら、このような大型再開発事業を同時多発的に行うことは、多額の市財政を投入し、大手ゼネコンやデベロッパーに奉仕する事業になっており、事業計画の抜本的見直しを強く求めます。

第2は、行財政改革に問題があり、市職員の削減を推し進めていることです。
今、少子高齢化対策の充実と多様化する市民ニーズを的確に把握し、前例踏襲や公共施設整備などの税金の無駄遣いを改め、市民本位の行財政改革が求められています。
ところが本市の行財政改革は「民間でできることは民間に任せる」と強調し、業務の民間委託と公共施設運営の効率化や民営化の推進を最重点施策に位置付けるとともに、職員の定員管理計画による正規職員の削減を長期的に推し進めていることは問題です。
この10年間で正規職員を263名も削減し、一方で、嘱託、再任用、臨時職を増やして4人に1人が非正規職員となっています。このような中で、国は全国的に、臨時や非正規職員の賃金や手当などの処遇面で正規職員との大きな格差が生じてきたことから、非正規職員の任用根拠を厳格化し、来年度から会計年度任用職員へ移行させて一定の処遇改善を進めようとしています。しかし、本市では新制度のもとで、現在の月額給与を引き下げて、期末手当で支給額を維持する方針を定め、正規と非正規職員の待遇格差は歴然と残したままで、同一労働同一賃金という観点からも改善を図ろうとしないことは問題です。 
また、市職員のコンプライアンス・法令順守についてですが、本市では、昨今の懲戒処分の状況から見ても、異常ともいえる深刻な事態が続いています。幹部職員によるセクハラや個人情報の漏洩、教員の窃盗などの不祥事が続き、今年1月には昨年採用されたばかりの職員による殺人事件が発生し、マスコミで全国に報道され、前橋市のシティープロモーションの努力が一瞬にして水泡に帰するものとなりました。
また、民間委託については、昨年度市民窓口の証明書発行業務や斎場の火葬炉前業務委託が行われましたが、いずれも市民と直接接する業務でありながら、偽装請負を避けるために市職員による委託事業者への迅速かつ直接的な業務改善の指示を出すことができないために、委託契約における仕様書による市民サービスの提供となっています。
民間委託によって低賃金の不安定な非正規労働者による行政サービスの提供が拡大されていけば、サービスの質の低下は避けられなくなります。

第3は、高齢者など交通弱者支援の公共交通施策が遅々として前進しないことです。
本市でも高齢化の進展の中で1人暮らし世帯が増えており、買い物にも通院にも生活にも支障をきたしています。市長は200円で走るデマンド交通を実施すると公約しました。今でも多くの市民が期待しています。
ところが、200円で乗れるどころか、「似て非なる」タクシー助成制度になってしまい、街中では便利に使われていますが、郊外に居住している市民にとっては、「料金が高くてとても利用できない。同じ市民なのに不公平」との声が上がっております。また、「乗車時間を延長して」など高齢者の切実な要望が寄せられているのに、全く応えようとしていません。
前橋版アプリやワンマイルタクシーなど、国が進める社会実験に安易に手を挙げていることに対して、批判の声も上がっています。
マイタクの改善やマイバスの新規路線の拡充、デマンドバスのドアツードア化などの市民の強い要望ですが、路線バスとの十分な調整が必要などといって、いつまでたっても一歩も進んでいないことは問題です。

第4は、緊急性の少ない事業を国の言われるままにトップランナーとして推進する必要はありません。
政府は、「自治体戦略2040」を策定し、地方自治体に「従来の半分の職員で業務が成り立つスマート自治体への転換」を呼びかけています。その手段としてAI(人口頭脳)やRPB(ロボットによる業務の自動化)の活用を求めております。
これは、地方自治体の住民サービスの質を向上させ、拡充させる戦略ではなく、地方公務員の定数削減や行政事務の民間委託を一層推進させるものです。
同様に、市が市民へのマイナンバーカードの取得を強要するのもその1つで、マイナンバーカードの取得率が上がらないからと、高齢者が利用するマイタクへの乗車に強力に進めておりますが、カードを持ち歩くリスクが高い高齢者に無理やりカードの普及を推し進めることは問題です。
政府もカード普及が広がらないために、身分証明書にも使えるとか、今後、消費税増税対策の一環でキャシュレス決済のポイント還元でカードを持っている人を優遇するとか、医療機関窓口でカード利用できるように準備を進めるなど、なりふり構わず大幅な普及に突き進もうとしています。このような先頭に本市が立つべきではありません。
そもそも、マイナンバーは、日本国内で住民登録した全ての人に12ケタの番号を割り振り、税や社会保障などの個人情報の特定や確認をして、医療給付の抑制や徴税強化を目的とするものです。
総務常任委員会でも、運転免許証の自主返納者に対して、警察などの窓口でもマイナンバーカードが取れるようにと質問がありましたが、市民にとって緊急性が少なく、必要としないものを積極的に推進することはやめるべきです。

第5は、福祉施策が弱すぎます。
生活保護行政についてですが、国はこの間、生活扶助費の切り下げなど生活保護費の連続削減を強め生活が脅かされる状況に至っています。そうした中で、当局のミスによる扶助費の過払いの際に、基本的に全額返還を求めているために、利用者の最低限度の生活を脅かしています。自立厚生費の運用を拡大して返還を求めるべきではありません。
また、通院移送費は、タクシー代だけでなく、医療扶助としてバス代や電車代を支給すべきです。
車の保有と使用などの運用制限は、個々の生活実態に応えて運用を拡大すべきです。
8050問題では、引きこもっている本人及び家族への支援を抜本的に強めるべきです。
透析など医療の依存度が高い高齢者の特養ホームなどの施設入所が困難な問題を解決するなど、困っている市民にもっと手を差し伸べ、寄り添う姿勢が必要です。緊急通報電話の設置条件を緩和し、予算を増やして、高齢者の不安を解消すべきです。
また、70歳以上になると約半分の人が加齢性難聴の対象と推定されています。難聴になると孤立しやすく、引きこもりがちになり、認知症のリスクが高まると言われており、早期発見・早期支援が必要です。予算を増やして利用者の拡大と、介護保険利用者にも補聴器購入補助制度が利用できるように市独自で制度改善すべきです。

第6は、教育、子育て支援の充実が後回しになっていることです。
市長は、市長選公約で、「全小中学校の30人学級を実施」「学校給食費の無料化」などを掲げて当選しましたが、30人学級については、教職員や保護者の強い要望にもかかわらず、ほとんど進んでいません。小中学校への支援員やスクールカウンセラーなどを配置したことは認めますが、担任の多忙感を解消し、児童生徒とゆとりをもって向き合うためには、30人学級の実施は急務です。
学校給食費の無料化は第3子と言いながら、小中同時に通う第3子のみが対象でそれ以上、一歩も前進がありません。
保育所の待機児童が昨年4月1日で9人、保留児156人、今年度は、保留児174人と増えています。事実上の待機児を解消するためには、保護者に対し希望する保育所とその理由を把握して、希望に合致した保育所への定員増を求め、きめ細かな対応を行い、待機児をゼロにすべきです。
国の保育料無償化で、新たに副食費が徴収されるため、自治体独自で支援する動きが広がっています。  
県内でも上野村や神流町など12町村は、第1子から副食費の無料化を実施し、渋川市などの3市町村は第2子以降から無料化を決断しました。
本市でも、第3子以降といわず、第1子から無料にして、3歳以上児の副食費を市独自で支援し、保育料の完全無償化で子育てを応援すべきです。
子どもの医療費無料化は、全国では3割の自治体が中学卒業まで実施しています。群馬県は、県として中学卒業までの無料化を実施していますが、高校卒業までの無料化も県内で進んでいます。本市でも子育て支援策として、高校卒業までの医療費の無料化を市独自で実施するよう求めておきます。

第7は、行き過ぎた税収納行政の問題です。
昨年度の差し押さえ件数は、一般税が3,288件、国保税が2,809件で重複を除いて計4,671件に及んでいます。
当局は、1万件も差し押さえた時と比べれば、少なくなっているといいますが、厚労省が発表した最新の統計では、平成28年度の国保税滞納者に対する全国の差し押さえ件数は33万6,436件で、総額993億円です。執行した1,591自治体で平均すると1自治体当たり211件です。
したがって、本市の昨年度の国保税の差し押さえ件数は、全国の市町村平均の13倍にも及びます。今もなお本市の滞納整理は、早期の差し押さえを遅滞なく執行するという全国的にも異例な滞納整理をしている状況は変わっておらず、滞納者の生計の維持を補償するために、徴収の猶予や換価の猶予制度などを運用して納付しやすい環境を急いでつくるべきです。

第8は、安心して住み続けられる市営住宅政策が弱いことです。
本市の市営住宅の空き部屋は、約2割に及んでいます。空き部屋解消とグループホームなどの活用が強く求められていますが、市営住宅に係る予算があまりにも少なすぎます。昨年度の市営住宅の各種工事及び修繕費は9,990万円で、一昨年と比べても大幅な減額で、リフレッシュ工事が進んでいません。これでは市民の市営住宅入居が敬遠されるのは当然です。生活保護世帯や低所得世帯が退去せざるを得ない場合でも退去修繕費用が高崎市や名古屋市などの他市と比べても高額のため、退去できない状況も生まれています。
また、古い既設市営住宅の浴室を改修し、ユニットバスの設置を計画的に設置することを求めておきます。
一方で、中心市街地では、再整備において、民間の大規模マンション建設が進められてきましたが、ケヤキテラス、広瀬川シティテラス、本町五差路マンション、前橋駅北口複合ビルの当初予算も入れれば、昨年度だけでも市財政を総額約10億5千万円も投入しました。
本市の市営住宅修繕予算の10倍を超える多額の補助金を投入しながら、約5000戸の市営住宅の維持管理予算は、減らし続けていることは問題です。
なお、建設水道常任委員会で、民間賃貸住宅の家賃補助制度実施を求める発言を否定するものではありませんが、低所得者への住宅を保障する市営住宅の削減を求めることは問題です。また、市営住宅へのエレベーター設置を抑制する発言がありましたが、入居者や関係者の気持ちを傷つけるような発言と実態を把握しない安易な発言は問題です。

第9は、市内全事業者の9割に及ぶ中小企業への支援策が弱すぎることです。
 大企業は空前の利益を上げているのにも関わらず、中小企業は下請け単価の引き下げや受注の減少、消費税増税などで厳しい経営を余儀なくされています。市内の中小企業は全事業所の9割を占め、なかでも小規模事業者は雇用の約7割を支え本市の地域経済の根幹をなしていますが、経営への支援が弱すぎます。
本来なら、市職員が、事業者の声を直接聞くことや、新製品の開発や販路拡大など継続的な経営支援策を十分行うことが求められておりますが、現状ではまだまだ不十分です。
空き家対策とともに、小規模事業者への支援策として、市内で増え続けている老朽住宅や空き店舗、商店のリニューアルなどの改修工事を促進するために、住宅リフォーム助成制度の創設と商店リニューアル事業の抜本的な拡充を求めておきます。

第10は、農業振興策が不十分です。
 本市の農畜産物は、全国でも有数の産出額を誇っています。ところが、酪農や肥育、養豚など主要農産物が大きな打撃を受ける多国間・二国間との経済連携協定(TPP ・日欧EPA及び日米FTA)は、歯止めのない農産物自由化に道を開くものです。日本の経済主権、食料主権を投げ捨てて地域経済に深刻な打撃をもたらす日米FTAは、前橋の農業を壊滅させる協定であることを認識し、国会での承認に反対の意思を表明すべきです。
本市でも、農業経営が厳しい中で、担い手も高齢化が進んでいます。農業機械の導入助成制度は認定農家に対してはさらに増額し、遊休農地の対策として小規模農家に対しても助成すべきです。
また、本市の中山間地は、地域の自然環境や国土の保全など多面的機能を持つ重要な地域ですが、農業者にとっては、条件不利地域です。平地と比べて反あたりの収穫量が少ないために、安定した農業経営ができない農業者への支援として収穫量に応じた作物への助成や種苗購入費などの助成をすべきです。
市長は、6月にチッタスロー推進の国際会議でイタリアに行ってきました。本市は、スローシテイに認証されましたが、大規模農家だけでなく家族農業の振興のためにも細かな支援を決め、具体化し、本格的に取り組むべきです。

第11は、平和行政を市政の重点政策の1つに位置付けるべきです。
 わが党は、長年にわたって、悲惨な戦争を語り継ぎ平和の大切さを後世に伝える「平和資料館」の設置を求めてきましたが、未だに設置の方向さえ示されていません。
「平和資料館をつくる会」も毎年市長に平和資料館の設置を要請するとともに、三河町の前橋市芸術文化れんが蔵で今年も6回目の平和行事を開催しました。
あたご資料館も運営が困難となり、市が資料の保存だけはしていくと明言していますが、
戦後74年がたち、戦争経験者が高齢化し、戦争を知らない世代が多くなる中で、市の責任として、悲惨な体験や平和の尊さを後世に語り続けてほしいという関係者の声に応えるためにも、資料館の整備を具体化すべきです。
また、予算を増額して市役所本庁舎に「非核平和都市宣言」塔を設置するなどで、日常的に市民の目に触れる平和へのアピールを強めるべきです

第12は、環境行政があまりにも弱く、策定した「再エネ条例」が機能していないことです。
 本市では、赤城南麓苗ケ島のバイオマス発電設備の設置問題で、赤城山周辺の自然環境や景観を守ろうと、「再エネ条例」を2016年9月に制定しました。しかし、苗ケ島のバイオマス事業者は、発電所から出るばい煙や放射能などによる大気汚染などの環境配慮計画に基づく測定値やデーターを住民に公表すると約束をしたのに、未だに全く公表しないために、周辺住民は、不安が高まっています。市は、事業者に市民への公表を指導すべきです。
また、赤城鍋割山直下の大規模メガソーラー発電施設は、現状でも9.6?3メガワットの大規模施設ですが、さらに、2倍もの19?6メガワットの設備に拡大する計画を進めており、景観をこわし、豪雨災害の要因ともなることから、設置すべきではないとの強い要望が上がっています。
そもそも、本市が制定した「再エネ条例」の目的は、「赤城山周辺の美しい自然環境及び、魅力ある景観の維持を図り、住民の生活環境の保全に寄与する」と定めています。しかし、当局はこの条例の目的を受け止める姿勢が全くなく、むしろ、大規模太陽光発電設備の設置を推進する態度を事業者に示していることは問題です。
本市は再生エネ条例に沿って赤城山周辺の環境と景観を守るために、企業が利益を上げるための、大規模な再生可能エネルギー施設の設置抑制に全力で取り組むべきです。
現条例でも、設置を許可しない判断ができるはずです。直ちに、不許可の判断をすべきです。
世界遺産・富士山の景観を守る富士宮市の市長と職員の姿勢に学ぶことを強く申し上げておきます。
以上の理由から、H30年度前橋市一般会計決算を認めることはできません。

次は、議案第69号、平成30年度前橋市国民健康保険特別会計決算についてです。
 昨年度から、国保の都道府県単位化が実施され、群馬県と共同で運営され、国保財政が一括で管理されるようになりました。都道府県単位化は、昨年度は激変緩和措置が取られたため、平均して若干引き下げられましたが、高すぎる国保税の問題を改善するどころか、今後さらなる負担増と徴収強化が推進されることになり、医療給付抑制策や病床削減が結び付けば、地域の医療基盤が崩れかねないのです。
昨年度は、国保税差押え件数が2,809件にのぼり、国保税が高すぎて払いたくても払えないと悲鳴が上がっています。協会健保と比べると約2倍近く国保の方が高く、加入世帯の生活を圧迫しています。
同時に、協会健保にはない人頭割りともいえる、1人当たりの均等割額が5,400円も引き上げられ、1人37,800円となりました。ゼロ歳から18歳までの子どもにも均等割額が課せられ、子どもの人数が多い世帯ほど負担が重くなる仕組みで、子育て支援に逆行しています。
全国知事会でも、1兆円の国費投入で、均等割りの減免を求めています。
本市の国保基金は昨年度末で約27億円です。国保税の引き下げと均等割りの減免を基金の活用で実施することを求めておきます。

次は、議案第70号、平成30年度前橋市後期高齢者医療特別会計決算についてです。
 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に移行し、負担増と差別医療を押し付けるものです。2008年の制度導入時、差別制度に怒る国民世論に押され、低所得者の保険料を軽減する「特例軽減」を導入しましたが、政府は、その「特例軽減」を2017年度から段階的に縮小・廃止しています。群馬県の昨年4月から2年間の平均保険料は、特例軽減見直しの影響で、1人平均59,742円、前期より1,645円、2.8%引き上げられました。高齢者に際限のない保険料の値上げを押し付け、医療の抑制と生活を圧迫しています。高齢者を差別する医療制度は廃止して、必要な医療を平等に保障する老人医療制度に戻すべきです。

次は、議案第71号、平成30年度前橋市競輪特別会計決算についてです。
 そもそも、公営ギャンブルは、戦後復興の時期に自治体の財政収入不足を補うために、特別に認められた事業で、「公設、公営、公益のため」という原則で、違法性が阻却された公営賭博です。人口が減少し、高齢化で競輪場に足を運ぶ人が減り、車券の売り上げが落ちて、競輪場の施設の改修も困難となり、市財政への繰り出しも困難になれば、競輪事業の存続の是非を検討することが本来的な立場です。全国の公営ギャンブルも廃止が進んでいます。
運営を民間事業者に任せれば、ギャンブル性が強まり、ギャンブル依存症が増えて、若者への悪影響が心配されます。また、民間事業者は、低賃金の労働者を雇用し、利潤追求に走ることは避けられず、民間委託を認めることはできません。

次は、議案第73号、平成30年度前橋市介護保険特別会計決算についてです。
 第7期スマイルプランの特養ホーム増設計画は、2018年度から2020年度の3か年で151床の新増設計画になっています。
昨年、ショートステイから特養への転換で10床の増設がありました。今年度は、地域密着型特養ホーム25床の計画が進められていますが、要介護3以上の入所待機者は、634人に及んでいます。
次期計画までに、少なくとも、あと116床の新増設が求められています。また、本市にはすでに26か所の特養ホームがありますが、各施設の空きベッド総数は90床ほどになっています。特養ホームの新増設や空きベッド解消、従事する職員への待遇改善など課題は多く山積しています。市有地の貸与や補助金増額などで、福祉法人の特養ホームの整備を支援し、待機者の解消に全力を挙げることを求めておきます。

次は、議案第76号、平成30年度前橋市用地先行取得事業特別会計決算及び、議案第77号 前橋市産業立地推進事業特別会計決算についてです。
 今議会では、企業誘致と工業団地造成の声が上がっていますが、農地をつぶして、多額の税金を投入して、旧来型の市外・県外企業の呼び込みでは、雇用の拡大にも繋がらず、経済の地域内循環になりません。
工業団地造成に多額の税金を投入せず、市内事業者への支援策を強め、地元の産業を育成して、雇用の拡大と経営力を高められるようすべきです。
五代南部工業団地の拡張地は完売になりましたが、今後の産業政策は、工業誘致などの「呼び込み型」から「内発型」の地域振興に軸足を移すべきです。
また、企業立地促進条例によって、市内中小企業だけでなく、内部留保金を積み増しして、資金力のある市外の大企業にまで各種助成を行い、企業誘致を促進する本市の産業政策は問題です。
 今後、工業団地を整備するのであれば、群大付属病院や前橋日赤病院などの高度医療機関が集中している本市の特徴を生かして、例えば、医療関係機関や、医療機器業者、薬品メーカーなどを集積させるなど、目的を明確にした企業立地を検討すべきです。

議案第78号、平成30年度前橋市水道事業会計剰余金の処分及び決算、議案第79号、下水道事業会計剰余金の処分及び決算についてです。
 水道水は日常欠かすことのできないライフラインです。この間、県央第2水道の受水単価を引き下げるように、受水自治体と連携を取ってきましたが、さらに単価の引き下げを求めるとともに、漏水の改修などに力を入れ、有収率をあげて、2022年度に予定されている料金改定は何としてもとどめるべきです。
また、消費税についてですが、これまでも、市営住宅家賃のように自治体の業務にかかわるものや公営企業の事業などについては、適用除外にすべきと求めてきました。
改めて、上下水道料金への消費税課税の除外を国に求めるとともに、本市独自でも水道料金に消費税を転嫁しないよう強く求めます。
格差と貧困が強まる中、東京都や広島市、千葉市などが実施している障害者や低所得者、1人親家庭などへの上下水道料金の減免制度について、本市でも制度の導入を求めておきます。
■なお、最後になりましたが、市長に一言申し述べます。市長は、公約の82%を達成及び進行中と答弁しましたが、市民にその実感は全くありません。市民の暮らしは、年金が減らされ消費税が増税され、暮らしと景気の悪化が進み、実質賃金は7カ月連続で前年同月を下回り、家計消費は冷え込み続けています。
高齢者は、医療や介護の制度改悪で負担が増やされ、子育て世代は4割が非正規雇用で安心して子どもを産み育てられない状況が続いています。
それにもかかわらず、市長は、大規模開発を優先し、福祉や暮らしは後回しにしています。これでは公約達成率8割といっても市民には納得できないと思います。
今こそ、市長は国の悪政の荒波から、市民の暮らしを守るために防波堤の役割を果たすべきです。前橋市第7次総合計画において、「新しい価値の創造」や「めぶく」などと抽象的なことを掲げても、市民には理解できません。もっと、市民の切実な意見や要望に耳を傾けて福祉、教育、暮らしを支える施策を強め、誰もが希望をもって安心して暮らせる前橋市政への転換を求めて、反対の討論といたします。


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