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議会報告

第4回定例会 議案反対討論 中道浪子 議案第111号令和元年度一般会計補正予算、議案118号前橋市特別職の職員の給与に関する条例及び前橋市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する省令の改正、議案第130号前橋市中央児童遊園の指定管理者の指定と議案第131号前橋市赤城少年自然の家の指定管理者の指定について反対の討論【2019/12/9】

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、今議会に上程された議案第111号令和元年度前橋市一般会計補正予算に対して反対の討論を行います。

第1に、基幹情報システム運用管理業務の委託には賛成できません。
 この議案は、本市と高崎市、及び伊勢崎市により情報システムのトータルコスト削減や業務知識の共有などを目的として令和2年1月より本稼働を目指すものです。住民基本台帳や個人住民票、国民健康保険など市民の28種類もの膨大な情報システム調達業務を(株)ジーシーシーや(株)ムサシ北関東支店に共同で委託し、固定資産税や市民税の納税通知書などの大量印刷業務を、福島印刷(株)に共同で委託するという事業です。
委託費は、前橋市分の運営経費が10年間で1,206,538千円、運用経費は5年間374,057千円となっています。
 そもそも、市民の大事な個人情報を管理運営することは自治体の責任であり、年間7,000万円の経費削減のメリットより、情報漏洩のデメリットの方が大きく、自治体が共同で民間営利業者に一括委託することは大問題です。
今回、神奈川県で納税に関する大量の個人情報や秘密情報を含む行政文書が蓄積されたハードディスクの盗難により流出された事件は、重大な問題であり、世界最大の情報漏洩とまでいわれています。
このように膨大な情報の共有に伴って、漏洩問題やシステムの誤作動など思いもよらない問題が起きてからでは対処できないとともに、自治体の責任が曖昧になりかねないので反対です。

第2は、住民基本台帳管理事業追加予算としてマイナンバーカード取得促進のための嘱託職員の雇用は認めることができません。
 そもそも、マイナンバー制度は、日本に居住するすべての国民・外国人に生涯変わらない12ケタの番号をつけ、さまざまな機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せ・参照できるようにし、行政などが活用しようとするものです。政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもつ重大な問題です。国は何としても国民にマイナンバーカードを普及させて、カードの一元化を図ろうと強力に推進しています。消費税10%増税と抱き合わせで景気対策と称して複数税率の導入やキャッシュレス決済でのポイント還元を進めていますが、それも6月までと期限つきのため、さらに、2,000億円を予算化してマイナンバーカードでキャッシュレス決済する利用者に、1人最大5,000円付与されるポイント還元まで実施する方向です。
ところが、国民の多くは個人情報の漏洩やカードの紛失や盗難といった不安はぬぐえないことや、カードの必要性は感じていないために普及が進まず、未だに14.4%にとどまっています。マイナンバーそのものの問題点もさることながら、国民が必要としない制度に固執し国民にマイナンバーカードを押し付けるやり方はやめるべきです。従って、住民基本台帳管理事業への追加予算は認めることができません。

第3は、総合運動公園整備事業について反対です。
 かねてから、わが党は総合運動公園の整備については、拡張ではなく現状のま
ま老朽化したプールやテニスコート、健康器具などの改修や使い勝手が悪い駐
車場整備などの施設整備をするよう求めてきました。
また、わが党は、スポーツ施設の整備は必要と考えていますが、本市の厳しい
財政状況の中で、膨大な農地を買収して拡張するのではなく、今ある本市の各種スポーツ施設を整備すれば、市民のスポーツ要求には十分応えることがでると主張してきました。
そもそも本市では、人口が減少し、少年野球などのチームも少なくなっており、
ましてやスポーツが多様化している中で、今後については、市民スポーツの傾向を調査して、実態を把握したうえで施設の拡張の検討をすべきです。
今、下増田の天然芝サッカー場の維持管理をするだけでも、年間約4,000万
円もかかる上、総合運動公園についても、必要以上の拡張事業は、毎年の維持管理費が膨れ上がり問題です。
なお、全国規模の大会誘致は、交通の利便性や宿泊施設の完備が充実していなければ、選択されませんので、本市の状況ではとても無理ではないかと思われます。以上申し述べまして、一般会計補正予算の反対討論といたします。

 また、私は、日本共産党前橋市議団を代表して、今議会に上程された議案第118号をはじめ、第130号、及び第131号、以上3件に対して反対の討論を行います。

最初は、議案第118号、前橋市特別職の職員の給与に関する条例及び前橋市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の改正についてです。
 この条例の改正は、市長など特別職、及び議員などの期末手当の引き上げであり認められません。職員の給与の引き上げについては、評価しますが、特別職は一定の報酬を得ているので、今回引き上げる必要はありません。
 市長は、少子高齢化で人口減少が強まっている中で、市民が強く求めている子育て支援策や高齢者支援策、及びマイタクやマイバスなど公共交通への支援策について、財政が厳しいからと消極的です。また、サマーレビューによる暮らしに必要な事業の削減や廃止を3年間で26億円を目標にしており、今年度は8億円の削減をめざし、大胡クリーンセンターと亀泉清掃工場の廃止を決めたことや人口肛門患者への見舞金を毎年の支給から最初の1回のみに削減したことなど市民サービスを縮小しているのに、市長や議員の給与など引き上げることは市民の理解が得られません。

次は、議案第130号、前橋市中央児童遊園の指定管理者の指定と議案第131号、前橋市赤城少年自然の家の指定管理者の指定についてです。
 そもそも、公共施設の管理運営を営業利益を優先する民間事業者にまで広げることを認める指定管理制度は問題です。
「住民の福祉の増進を目的として、その用に供する」と定義されている「公の施設」における市民サービスの維持・向上が利益追求の場となり、コスト削減のために従業員の低賃金や非正規雇用が強まり認めることができません。
 また、わが党は、公共施設の管理運営を営利目的の民間企業に委ねれば行政の責任が曖昧になり、住民と議会のチエックができにくくなるとともに、サービスの低下や住民負担の増加、個人情報の漏えいの危険について指摘してきました。
市は、指定管理者の指定にあたって、評価点数の高い事業者を選定していると説明していますが、そもそも市の公募に対して応募する事業者が少なく、同じ民間営利事業者に継続して指定管理を任せることになり、継続した事業者は更なる利益を追求するために、公の施設にふさわしくない運営まで行い問題になることもあります。
 また、議会には、判定の基準となった審査項目に基づく各団体が提出した事業計画内容などは一切示されないため、その施設の管理運営を行う事業者としてふさわしい団体なのか、的確な是非の判断ができません。
 従って、わが党は市の外郭団体などへの指定管理については許容範囲として認めていますが、民間営利事業者への指定管理については反対です。

 前橋市中央児童遊園は、12月1日で開園65周年を迎え、来園者の減少などによる閉園の危機を乗り越えて、来場者を増やしてきたことが報道されています。同遊園地の指定管理は、2006年からで5年前に今の建設コンサルタント会社「オリエンタル群馬」が指定管理を受けて、来年度4月から5年間の指定管理も継続することになりました。しかし、前橋市が指定管理者となる団体を公募しても(株)オリエンタル群馬が代表となる団体の1者しか応募がありませんでした。
 市は選定委員会を開いて、選定委員より評価内容に沿って配点をした結果、機器・安全管理計画の「事故、災害の発生時等、緊急を要する際の対応の考え方は、適切か、また、十分な体制が整えられているか」については配点点数80点満点のところ評価点数が60点と大変低く、提案事項や収支予算の評価点数も低いため、配点点数の総計が680点のところ514点と評価点数が低く指定管理者を継続するには問題が残ります。
 さらに、事業収益を上げるために、2017年からバーべキュ―などを取り入れた夜間営業に踏み切って、2018年にはビールなどのアルコール類も扱うようになり、家族の交流といいながらも、子ども同伴でのアルコールを含む飲食を扱うことは少しやり過ぎではないかと思います。ましてや、「るなぱでナイト」などのイベントでは、夜9時まで営業し、アルコールも提供しながら、一部遊具も運転しています。
 前橋中央児童遊園を全国にアピールし、来園者を広げてきたことは評価しますが、児童遊園地で夜間子ども同伴で一部遊具を運転しながらアルコールも提供する事業については、子どもへの教育の問題や事故の発生も心配されるので改めて検討する必要があることを申し上げておきます。

 また、前橋市赤城少年自然の家は、1974年に当時の富士見村赤城山に建設し、すでに45年がたっている施設です。2003年には耐震補強やバリアフリー化の大規模改修を行いましたが、本館はかなりの老朽化が目立っており、毎年の指定管理料には小規模修繕の100万円が含まれています。
 今回、指定管理事業者として指定された(株)NSP群馬は、指定管理業者として最初に指定を受けた(株)日本水泳振興会が分社化した業者ですから、これまで13年間指定管理を任せてきた民間営利事業者がこれから5年間の指定を受けたということになります。
ところが指定管理者選定結果を見ますと、指定を受けた(株)NSP群馬は、サービスの質の確保・向上に関する計画について「指導者として施設や設備、自然を熟知しているか、また安心して指導を任せられるか」について、評価点数が30点に対し26点と満点を望むところ低すぎるのではないかと思われます。しかし、他方の事業者は、全体的に評価点数が低いために選定されませんでしたので、ほかに選択肢がありません。
 これまで本市の中学生が林間学校として社会教育の場にしてきたことから、教育施設として教育者や研究者が運営すべき施設にすべきです。赤城の自然や動植物、赤城の地質や天文学など社会教育をもっと豊かに体験ができる施設にすべきです。それには、この際、思い切って施設を建て替えて、管理運営を直営に戻し、本市の子どもたちの社会教育の場として、もっと誇れる林間学校に位置付けることが求められています。
以上、申し述べまして、3議案に対しての反対討論といたします。

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