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議会報告

2019年12月第4回定例会総括質問 長谷川薫議員(人口減少・少子高齢化の下でのまちづくり・不要不急の開発事業と財政運営の見直しについて)【2019/12/18】

2019年第4回定例会総括質問・長谷川薫(12月9日)
1、人口減少と少子高齢化が進む下での本市のまちづくりについて
(1)まちづくりの現状の総括

はじめに、人口減少と少子高齢化が進む下でのまちづくりについて質問します。今、多くの市民が「水と緑と詩のまち」にふさわしいまちづくりに成功していないと感じています。例えば、財政投入による後始末を余儀なくされているローズタウンは、45?の分譲地のうち15年経過した今も12?も売れ残っています。過大な需要予測が招いた結果です。芳賀や江木など、交通利便性が悪い郊外に整備した市営住宅は、入居が敬遠され老朽化も進み、空き部屋が解消できません。中心市街地は元気21やアーツ前橋などの公共施設を整備し活性化に向けての様々な努力をしていますが、かつてのような賑わいを取り戻すことはできません。
都市計画部長は、現状をどのように総括し、今後の都市計画を進めようとされているのか、答弁を求めます。

【提言】
今のまちづくり上の解決すべき問題は、モータリゼイションの進展や社会情勢の変化だけが要因ではありません。
 大型商業施設の出退店を放置したために、中心街が衰退し地域の小売店が閉店しまち壊しが進みました。また、行き過ぎた郊外への市街地の拡大を進めたために、道路や上下水道などのインフラ整備や学校建設などの財政負担を増得て結果として教育や福祉施策などが犠牲になりました。
このような問題を繰り返さないためにも、国や財界が求めるまちづくり政策に安易に振り回されないようにすべきです。
経済状況や人口の増減や財政状況の如何にかかわらず、市民の生活の利便性が維持され、教育や福祉などの行政サービスを公平に受けることができるように住民が主人公のまちづくりを進めることが必要だと思います。指摘しておきます。

(2)第7次総合計画の位置づけ

 次に、政策部長にお聞きします。昨年策定した第7次総合計画に基づいて、本市が推進している新道の駅や前橋駅北口などの大規模開発事業は、市民との合意形成が十分図られていません。とくに、本市が直面している厳しい財政状況にもかかわらず、それぞれの事業規模の慎重な検討が尽くされていません。
市民が暮らしやすいまちは、決して大規模なハコものや道路などのハード事業の推進ではなく、未来を担う子どもたちへの厚い支援策や高齢者が不安なく暮らせる十分な福祉施策などソフト事業の推進で作り出すべきです。総合計画で人口減少と少子高齢化や税収減が避けられないと強調しながら、本市は今、計画と矛盾した開発事業が次々と進められています。政策部長の認識をお聞きします。

【提言】
いま政府は、人口減少の中でも、地方への財政支出を抑制して東京圏への一極集中を進めながら、地方自治体にはコンパクトシティー化を求め、有利な財政支援を用意して中心部や駅周辺の再開発事業を促しています。
 しかし、このような政策は、すでに拡散した市街地に暮らす市民の市民サービスを公平平等に提供する自治体の責務を弱めかねません。福祉や教育施策を後退させず、地域のコミュニティーを維持するためにも、中心部の大規模開発を抑制し、郊外地域に居住する住民の居住誘導地域への誘導政策を拙速に進めず、必要な行政サービスを維持すべきです。

2、不要不急の開発事業と財政運営について

次に、不要不急の大型開発事業の見直しについて、都市計画部長に質問します。

?2.3?の千代田町中心拠点地区再開発事業は、紆余曲折を経て事業協力者が決まりましたが、いま多くの市民が事業予算や再開発ビルの規模、市の権利床にどのような公的施設を整備するのか、図書館の移転が適切なのかどうか、また、保留床が売れるのかなどの疑問を感じながら、この事業の推移を見守っています。
スズラン百貨店とともに、前橋市が主たる地権者であります。事業計画が決まってからではなく、検討段階から市民合意を尽くすべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

【提言】わが党は、中心街の活性化を否定するものではありません。市民の意見聴取が不十分です。大多数の市民は、祭りやイベント開催日以外には中心街には足を運んでいないこともあり、わが党には、活性化を求める意見とともに、市財政を必要以上投入すべきではないという意見も寄せられています。中心街の再開発事業は、関係権利者だけではなく多様な市民の意見に耳を傾けて、市民参加で検討を重ねた上で事業を慎重に具体化するよう重ねて求めておきます。

?つぎにJR前橋駅北口再開発事業は、27階建ての複合ビルですが、特養の誘致に失敗し分譲マンションが中心となっています。
開発事業者は、緩和された容積率の限度まで高層にして分譲戸数を増やし利益を上げようとしています。前橋市が主体性を持たなければ駅前の賑わいを取り戻すための事業にはなりません。低層部分に子育て支援施設とコンビニ程度の飲食店では、何のための駅前再開発か分かりません。議会特別委員会が招いた大学教は、「前橋駅前の賑わいを作り出すためには、マンションではなく若者やワミリ―層が集う飲食店や物販店の整備が不可欠」と話されています。再開発事業の事業内容の再検討が必要ではないでしょうか。

【提言】管理者が変わったエキータも賑わいづくりに成功していません。前橋駅を降りても食事をする店がないので驚いたという来訪者が大勢います。電車やバス乗降客が、けやきウォークに向かうのではなく、再開発事業で建てる新しい建物内で、ゆっくり過ごせる店舗を整備する事業計画こそ今求められているのではないでしょうか。駅前開発の最後のチャンスを失うことのないように、事業計画の抜本的な見直しを求めておきます。

?つぎに、日赤跡地のCCRC生涯活躍のまちづくりについても、特養も誘致できず、首都圏の移住者を迎えるどころか単なる病院跡地の利活用事業に大きく変わりました。今後、前橋市としての税金投入は、夜間急病診療所と福祉作業所の移転費用と敷地内の道路の一部や公園の負担だけで済むのかどうか。国からの補助金はどの程度期待できるのか伺います。

【提言】国の地方創生に関する補助金も活用して、首都圏からアクティブなリタイア―層、富裕層の移住を実現して、生涯学習などで地域貢献するという当初計画が破綻しました。病院建物解体費用として9億円を市が負担することは回避できましたが、今後とも市財政の負担は最小限にとどめるべきです。

?次に、すでに用地買収交渉が開始されましたが、全国トップクラスの年間160万人を集客している5?の川場村の道の駅田園プラザを超える、本市の7?の新道の駅について、建設部長にお聞きします。わが党は、これまでに農業振興なのか観光振興なのか事業目的が判然としない点や、ロケーションの悪さや、上武道路の通行量から見ても年間100万人の集客目標に応じた施設規模が過大ではないかなどの問題点を指摘し、見直しを求めてきました。
いま、当局は中心市街地のアーバンデザインを策定し今後の活性化を目指していますが、郊外に位置する新道の駅への集客と矛盾するのではないでしょうか。農畜産物の直売施設の運営方法、さらに、15年間の運営費も含めて総事業費約95億円のうち、市が支出する費用はどの程度となるのか、それぞれ答弁を求めます。

【提言】農業振興策に結び付く運営について、事業者任せにせず直ちに市が積極的に関与すべきです。同時に、荻窪や大胡、富士見の道の駅で懸命に頑張っている農業者の意欲をそぐことのないように、施設の整備規模は全国的平均の2〜3ヘクタールに抑えて、既存の道の駅との共存共栄の見込みが明らかになり、集客も進んだ段階で、段階的に施設拡張をするなどの見直しを求めます。

(2)投資的経費の抑制と福祉施策の充実

つぎに財務部長に質問します。今年度から9年間の本市の行財政改革推進計画では、歳入面では、税収や地方交付税の大幅減収が見込まれ、歳出では、医療や介護などの社会保障費の増加や市債の償還経費が高水準で推移する上に、基金残高が減少しているので、今後の市政運営は緊急性や優先度などから事業を進める必要があると強調しています。
ところが、今、市議会棟の建て替えに加えて、同時多発的に大型公共事業と再開発事業が進んでおり、準備段階であるにもかかわらず、公共事業を中心とした今年度の投資的経費は221億円にも及んでおり、今後更なる経費増が心配されます。
今、財政当局として必要な観点は、ハード面のまちづくりである大規模開発は抑制するとともに、コンパクトな市街地形成は無理に進めないという立場で臨むべきだと思います。いま必要なことは、小中学校単位の生活圏域の整備を最優先し、インフラの長寿命化、大規模な都市計画道路の整備の抜本的見直し、歩行者や自転車を優先した安全な道づくり、高齢者や子育て支援策などの福祉施策の優先、市民の暮らしと地域経済を活性化する循環型経済の発展を強力に推進すべきだと思います。答弁を。

【提言】市長は「リスクがあってもハイリターンが期待できる」という立場から、開発事業への財政投入の必要性を強調されています。しかし、兵庫県明石市など、全国的に人口が増えている自治体の共通した点は、大型開発ではなく子育て支援策の徹底した充実策が出生率を高め移住人口を増やしています。住みやすいまち暮らしやすい街は、人が集まるという視点を財政政策上も重視すべきです。

(3)市民協働のまちづくり

最後に山本市長に質問します。人口減少、超高齢化、税収減、地方交付税や国庫補助金も減少などは、いずれも前橋市が直面する大問題です。私たちと共通認識だと思います。
 ところが今、市長は国の地方創生の流れを受けて、財政難と言いながら中心市街地や駅周辺で、財政投入を伴う大規模な開発事業を事実上民間主導で同時多発的に進めています。
しかし、8年前を振り返れば、市長は、ハコものよりも人の出会いやそうした中で育まれる人づくりを優先したいと訴えて、前市長が計画していた中心市街地の大規模開発をキッパリ中止すると訴えて当選されました。
 市長は、なぜ初心を投げ捨てたのでしょうか。一部の有力者や地権者や開発事業者などとの合意だけで、トップダウンで、いくら大規模な新しい道の駅を作っても、いくら立派な再開発ビルを作っても、大多数の市民の要望に沿わなければ、後々には負の遺産となりローズタウンのように税金で後始末をせざるを得なくなって市政への信頼も失墜すると思います。
 ハコもの、ハードを整備すれば、都市間競争に勝って、中身は後からついてくるという開発優先の安易な考えはやめるべきです。市民のライフスタイルや切実な要望に合わせて、ソフトを重視し、子育てや高齢者支援などの福祉施策や教育施策を優先すべきだと思います。
 トップダウンで事業を進めるのではなく、分かりやすく情報を公開して、市民参加で計画中のすべての事業を再検討し、市民合意を最大限尊重することが重要だと思います。見解を。

【提言】川場村の道の駅も、行政と運営事業者だけでなく多くの住民が参加し、時間をかけた話し合いが徹底的に尽くされた結果、田園プラザの運営のコンセプトを理解した農家の品質の高い農作物の生産意欲を高め、結果として農家の皆さんの現金収入に直結するような農業振興と村内循環型の経済活性化につながっています。また、埼玉県の川越市では、市民と行政が一緒に考えて取り組み、歴史ある街並みを残して賑わいをつくりに成功しています。今求められている「まちなか再生」は、全国どこでも行っているような大型再開発事業ではなく、他にはない魅力ある個性あるまちづくりです。
 戦後復興のシンボルであるの麻屋百貨店を壊したり、再開発ビルやマンション建設に躍起になって、逆にまちを壊してしまうような活性化策を抜本的に改め転換し、民間開発業者主導ではなく住民主体のまちづくりを市が支えて進めるよう強く求めて、質問を終ります。

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