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議会報告

2019年12月第4回定例会本会議・長谷川薫議員「損害賠償請求の訴訟提起についての賛成討論」【2019/12/18】

       議案第135号訴えの提起についての賛成討論

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第135号訴えの提起について、賛成の討論を行います。
本議案については、市民フォーラムを代表して反対討論をされた宮田議員の指摘事項に同意する点も多くあり、賛成やむなしという立場からの討論であります。
まず、今回の訴えの根拠となったのは民法第570条と566条であります。
今回の土地のように売買契約締結後に、買主が知ることのできない隠れた瑕疵があり、契約の目的を達することができない場合には、買主は契約の解除をすることができると定められています。また、契約の解除をすることができないときには、損害賠償の請求をすることができるとされています。したがって、わが党は、今回の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求める提訴は、法律的には問題のない妥当な判断だと思います。
しかし、以下の通り、当局の本事案に関するこれまでの対応には、問題点が数多くあると指摘せざるを得ません。
 第1に、文学館の収蔵庫増築工事業者から、コンクリート基礎などの埋設物が発見されたと正式に報告があった平成30年2月2日時点の初期対応が大変不十分であったことであります。当然、工事業者から埋設物の撤去処分に必要な工事費の増額請求が予想され、瑕疵担保責任を売主に求めなければならないという事態であったと思います。
 しかも土地売買契約から1年以上経過している中での問題発生であるだけに、工事をいったん止めて、当然、売り主や契約仲介人である市内の不動産業者を現地に呼び関係者が立ち合って埋設物の存在を確認し、工事業者とともに撤去処分方法やその費用について売り主に説明すべきであったと思います。
ところが、文化国際課は、収蔵庫の建設工事を発注者として監理監督する建築住宅課に事態を知らせて対応を協議したものの、民法上の瑕疵担保責任は後で請求できると安易に判断し、埋設物の証拠写真を保存したうえで撤去し建設工事を進めれば問題なしという合意のもとに、売り主への迅速な通知や確認を怠ったのです。この不十分な初期対応が、後々、売り主との話し合いが難航する大きな原因となったことは明らかであり、強い反省が求められます。
第2に、売り主への瑕疵担保責任の請求があまりにも遅すぎたことも問題であります。文化国際課は、売り主への損害賠償として約150万円の請求を、埋設物を撤去してから6カ月後の同年8月3日まで行いませんでした。収蔵庫が8月13日に完成したこともあり、売り主としては売却した土地に問題なく収蔵庫が建設されたと考えるのは当然であります。突然の市からの支払い請求に対して、売り主が感情的にも不同意の態度を示すのは自然であります。瑕疵担保責任を遅滞なく請求していれば、このような支払い拒否というかたくなな態度は示さなかったのではないでしょうか。
第3に、文化国際課が顧問弁護士に相談したのが、不動産業者からの「売り主に支払い意思なしという表明があった」ことを確認してから、さらに1か月後であります。瑕疵担保責任を問える期間が切れる時効直前であり、あまりにも遅すぎたと思います。
 民法第566条3項では、「瑕疵担保責任は、買主は瑕疵の事実を知った日から1年以内に請求しなければならない」と時効期間が定められています。
 正式に工事業者から埋設物の存在を通知されたのは平成30年2月2日なので、12月20日に当局が顧問弁護士に相談をして、配達証明付き内容証明郵便によって相手方に請求書を送付したのが平成31年1月25日であり、相談後1カ月もたっており、時効成立のわずか1週間前であります。
売り主が支払いを拒否している事案だけに、より丁寧で迅速な対応が求められているにもかかわらず、この段階でも、文化国際課は相手方への請求を遅滞なく行っていません。この点も大いに反省すべきであります。
第4に、このような様々な行政側の不十分な対応がありながら、文化国際課は、売り主の二人には直接面接しておらず、相談し交渉した相手方は売買契約を仲介した市内の不動産業者であります。売り主は県外居住者で、直接の面接は困難ではありますが、やはり、内容証明郵便のやり取りにとどめず、誠意を尽くし、これまでの市の対応の不十分さも認めながら、直接話し合いの場を設定すべきであったと思います。
第5に、土地売買契約については、民法上の瑕疵担保責任を追及できるとはいえ、本市は過去に岩神町の旧前工跡地の土壌汚染や五代南部工業団地内の埋設物など、購入後の土地に重大な瑕疵があり、その対策のために多大な財政負担を余儀なくされた経験を繰り返しております。今後、資産経営課や行政管理課など庁内関係各課と協議し、購入土地の面積の大小を問わず、売買契約前に土地利用履歴を調査したうえで、土壌汚染や埋設物などの事前確認を十分調査するとともに、少しでも不安がある場合には、契約書に売り主が瑕疵担保責任を果たす旨の条項を明記することも必要だと思います。
以上、市当局の本事案の対応の不十分さを指摘しましたが、市民の税金によって購入した土地にかかわる瑕疵担保責任の請求であります。わが党は、本事案を総合的に検討し、双方の主張が異なり、これ以上時間をかけても合意に至らない場合には、公正な司法判断を求めざるを得ないという結論は妥当と思います。なお、提訴後も、文化国際課は売り主との直接対話の努力を尽くし、裁判所での判決を待たず和解など柔軟な対応も検討されるよう申し述べまして、本議案に対する賛成討論といたします。

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