トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議会報告

総括質問2019年12月5日近藤好枝1、高齢者施策の現状と問題点について2、高齢者福祉サービスの充実について3、介護保険について

【2020/1/6】


1、高齢者施策の現状と問題点について(市長)
(1)現状認識と打開策
●前橋市の高齢者は約9万7千人で高齢化率は約29%と全国平均よりも高齢化が進行しています。老人福祉法には「多年にわたり、社会の進展に寄与してきた者」「豊富な知識と経験を有する者」としており、本市の高齢者を尊び生きがいをもって安心して生活できるように行政が支援すべきです。
とりわけ、高齢者の生活は年金が下がり続け、格差が広がり貯蓄なし高齢者も4人に1人となり、生活保護世帯の約半分が高齢者です。一方で、介護保険料や医療保険料の負担増、医療費窓口負担増、消費税の増税など国の悪政による生活の負担増を最も受けているのも高齢者であると考えますが高齢者の生活の実態をどのように認識しているのか見解を伺います。



●ところが、本市ではこのような高齢者への支援がたいへん不十分で誇れるものはありません。介護保険制度により介護が必要な高齢者への行政支援が行われているとはいえ、保険料は上がり利用料負担も重い。とりわけ、特養ホームの増設が遅れ、待機者の解消ができない、在宅でより元気に生活支援をするたとえば緊急通報システムを希望する高齢者の要望に応えられないなど、隣の高崎市の自治体と比較してもサービスが限定され、遅れた自治体となっていることは問題です。もっと高齢者へのきめ細かい支援策を拡充して、本市に住んでよかったといわれるようにすべきと考えます。そのために、本市として福祉サービスを拡充し誰もが利用できる施策にすべきと考えるが見解を。


反論
地域で高齢者の暮らしをささえる多様な主体に介護保険サービスの肩代わりを押しつける様々な制度改悪を中止し、本来の役割の発揮を応援して、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかるべきです。公共交通の充実をはじめ高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所などきめこまかに整備をおこない全ての高齢者が安心して住み続けられる行政支援。とりわけ、困難を抱えている高齢者にこそ手を差し伸べるべきです。

2、高齢者福祉サービスの充実について(福祉部長)

(1)緊急通報システムの設置
そこで、具体的にお伺いします。本市の緊急通報システムの設置は住民税非課税者、65歳以上の一人暮らしあるいは世帯全員が65歳以上で健康に不安がある人など限定しているため65歳以上になっても誰でも利用できるサービスではありません。そのため、昨年度は164人今年度は現在193人で予算は約864万円であり、75歳以上の一人暮らし世帯を対象に拡大しても利用者は微増です。この間、議会や行政に対して地域の老人会などが繰り返し要望していますが制度の前進がありません。高崎市は今年度も前橋市の約30倍年間約2億7千万円も予算化して65歳以上の世帯であればだれでも利用できるようにしています。本市でも、高崎市にならい実施すべきです。そうすれば、緊急の時にはいつでも助けを求められ、誰かが来てくれるという安心感があり、本人はもとより遠方にいる親族にも喜ばれ、なんと言っても高齢者が一人で在宅でも安心して暮らし続けられるのではないでしょうか、直ちに改善すべきと考えますが答弁を。

答弁
昨年度から対象を広げたのでこのままいく

反論
70歳の一人暮らしの知人男性ですが血圧が少し高いという以外普段は元気に生活できていた方でしたが、自宅のトイレで倒れて3日後に友人が訪ねてくるまで気づかれず、救急車を呼び、半身まひで闘病している方がいます。せめて緊急通報が設置されていたら早期に発見されたのではないかと悔やまれます。
核家族化の中で、一人暮らしでも24時間コールセンターとつながっている安心感、命の綱です。本市で実際に、年間2000件弱のコールセンターへの利用で、約20軒の救急要請があり、蘇生できた例もあり、重要な施策です。高崎市との行政姿勢の差が命の差になっていては重大な問題ではないでしょうか。制度の周知を徹底するとともに、ここで、支援をすればまわりまわって本市の医療費の支出や介護保険の支援も利用しなくて済みます。結果として福祉予算の縮減にもつながるのです。良い制度は何が何でも実施することこそ行政の責任であり、なによりも市民に喜ばれるのです。

(2)補聴器購入費助成
70歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢性の難聴と推定され、高齢化が進むなか、今後さらに増えていくと考えられ、難聴者への早期発見・早期支援が重要です。すでに欧米ではそれぞれの国が軽度、中程度難聴高齢者への補聴器購入助成を実施しており、日本でも軽度者への助成制度の創設をするため本市としても国に要請すべです。本市ではかなり前から県の助成を受けて自立した高齢者の日常生活用具給付事業として1割負担、上限2万円現物支給の補聴器・助聴器購入助成制度があり、自立した高齢者を対象としているにもかかわらず昨年度利用者は11人と極めて少数です。市民への周知が弱すぎます。しかも、介護保険利用者は対象にしていません。高齢化社会で平均寿命も延びている中で、今後、高齢者が生涯現役で頑張れる方には長く働いてもらう、なるべく長く元気で生活してもらうためにも大変重要な施策として制度を拡充して、すべての高齢者を対象に軽度難聴者への助成制度を創設すべきと考えます。すでに、東京の江東区では30年前から補聴器購入費助成、メンテナンス支援も同時に行っています。
ところが、当局はわが市議団のこの間の質問に対してこたえようとしていません。本市が全国や県内に先駆けて高齢者支援で誇れるものは残念ながら現時点ではありません。来年2月には市長選もあり市民に誇れる施策を胸を張って実施すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

答弁
過去の答弁
現状の自立した高齢者への支援を継続する。地域包括支援センターに周知する
反論
そのような弱腰の答弁では高齢者への施策は前進しません。ここで、決断すれば、大いに注目され、また困っている高齢者を励ます確かな施策となることは間違いありません。

3、介護保険について(福祉部長)
(1)特養ホームの増設
特養ホームは他の民間老人ホームやサービス付き高齢者住宅などと比べても、入所者の年金収入など所得基準にのっ取って入居でき、職員配置も手厚い施設であり、社会的信頼度も高く行政が責任を持つ施設です。本市の第7期介護事業計画の残り116床の整備について、この間も強く求めてきましたが、いまだ見通しが立たないことは重大であると考えます。日赤跡地のCCRC事業でも、前橋駅北口の27階建て高層マンション建設でも特養ホーム整備の計画に上りながら、床面積の価格が高いなどでとん挫してしまいました。本市では民間の老人ホームが多数整備され高齢者家族は特養ホームに入所できないために止む無く入居しているのが実態ではないでしょうか。行政に切実な声が十分届かないのは、民間施設にとりあえず入居しているからです。
しかし、実際には特養ホームに入所できずに、民間に入ったけれど利用料が払いきれずに、自宅に戻った方もいます。今までの施設整備は手をあげる事業者もありましたが、介護人材の不足、経営上の不安定化など困難な問題を本市として支援するために、介護人材確保のための財政支援や塩漬けのローズタウンなど本市の公有地を無償貸与するなど踏み込んで取り組むべきです。特養ホームの整備は本市の最低限の福祉施策の責任であり、直ちに実施すべきです。今までの答弁よりも確かな前進ある答弁を求めます。

答弁
現在、増設に向けて調査中であり、努力しているがなかなか困難

反論
相変わらずの答弁でした。一施設70床の大規模施設整備が困難であるならば、小規模な地域密着型特養ホームや小規模多機能施設など確実に増設する方法を県とも連携して実施することも含めて、足踏みせず実現させるべきです。当然のことながら、既設の空きベットも直ちに解消すべきです。

(2)制度改悪の中止
介護保険制度は制度発足から20年経過していますが、高い保険料を払いながら利用するときには介護認定を受けて介護度に応じて、利用料負担、懐具合を見て利用を決めるために、必要な介護が受けられないのが実態です。しかも、介護サービスの拡充を求めると保険料負担が重くなるという構造的問題を抱えています。本市でも、第7期介護事業計画で保険料の引き上げや利用料負担、特養ホーム入所対象者を要介護3以上にする。軽度者を介護保険から総合事業に追いやるなどの改悪が行われてきました。
次期介護保険事業計画で保険料の引き上げや、要介護1・2を介護保険から排除して、総合事業に位置付ける、あるいは利用料の基本2割負担など、さらなる制度改悪を実施しようとしています。
しかし、本来社会保障である介護保険制度は必要な方が必要な介護が受けられるようにするために、介護保険事業への国庫負担を引き上げて、高齢者への負担を減らすべきであり、さらなる制度の改悪をすべきではありません。本市として高齢者が安心して介護が受けられるようにするために、このような制度改悪を行わないように国に強力に求めるべきです答弁を求めます。

答弁
国に要請している。

まとめの質問(市長)
市長に伺います。お聞きしてきましたが本市の高齢者施策も介護保険も高齢者の声に十分耳を傾け応えようとしていないのではないでしょうか。その、前提には高齢者への尊敬と福祉の心が弱いということです。高齢者の深刻な実態や切実な声に真摯に耳を傾ければ、おのずと打開策は開けてくるものです。市長は現在も、今後も力を入れているのは大型の新道の駅、中心市街地の開発、しかも、前橋駅北口の高層マンション建設、日赤跡地のCCRC事業自体には特養ホームの建設が白紙になってしまったという重大な事業変更までしています。これらの大型同時多発的な開発に予算を注ぎ込めば、高齢者福祉が後回しになるのは目に見えています。ソフト事業に力を入れてこそ現在将来への投資になるのです。予算の使い方を改めて見直して、高齢者福祉を優先にすべきではないですか。市民の切実な要望を受け止めて打開するのか否か明確な答弁を。

反論
高齢者支援をすればまわりまわって本市の医療費の支出や介護保険の支援も利用しなくて済みます。結果として福祉予算の縮減にもつながるのです。良い制度は何が何でも実施することこそ行政の責任であり、なによりも市民に喜ばれるのです。
虐待被害や貧困・孤立など困難を抱える高齢者が急増しています。今こそ、本市の福祉・保健・公衆衛生の再構築が必要です。自治体と地域包括支援センターが地域の高齢者の実態を把握して、介護保険や民間事業所では対応できない人を自治体が直接救済する体制を強化していくべきです。そのために、大型開発事業を見直して、福祉施策を拡充し本市の福祉職員の増員、地域包括支援センターの体制強化、特別養護老人ホームへの財政支援などをすすめるべきです。

ページのトップへ