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議会報告

2020.5 臨時議会代表質問 長谷川薫議員(質問答弁30分)
1、新型コロナウイルス感染症対応の補正予算について 2、補正予算の専決処分 3、国民健康保険税条例の専決処分【2020/6/3】

1、議案第60号一般会計補正予算について

はじめに、コロナ感染症対応として上程された議案第60号一般会計補正予算について質問します。今、緊急事態宣言は解除されましたが、3月から3か月以上も続いたコロナ感染拡大防止のための営業自粛や外出自粛要請の影響で、市民の暮らしと地域経済が急激に悪化し、先行きへの不安が高まっています。今後も、第2波・第3波の感染拡大も予想されており、PCR検査や医療提供体制の充実や各分野の感染防止対策の強化を図るとともに、市民の暮らしや営業を支える支援策のいっそうの強化が求められていると考えます。

(1)予算規模

そこで最初に今回の補正予算の規模についてです。本市の独自策として予算化された総額約3億6千万円は、発熱外来での患者の窓口負担の約370万円以外は、全額が臨時交付金7億7,800万円による国庫支出金で補填されます。コロナによる影響で苦しんでいる市民の暮らしや中小業者の経営を支える支援策としては、あまりにも規模が小さすぎるのではないでしょうか。
今後、日本においても2008年のリーマンショック以上のコロナ恐慌・経済不況が続くと経済専門家が予想し、国や自治体挙げての緊急経済対策の必要性を強調しています。本市においても、今こそ財政調整基金を有効に活用すると同時に、新道の駅や中心市街地やJR前橋駅北口の再開発などの不要不急の大型事業を見直して、市民の生活支援や学校教育の支援、さらには商工業や農業など地域経済活性化策に回すべきです。市の独自財源の支出抑制の立場に財政当局が立ち、思い切った支援策実施の決断を躊躇しているとしたら大問題です。財務部長はどのように考えておられるのか、答弁を求めます。

【提言】本市は独自財源がないわけではありません。一般会計の黒字分を積み立てた自由に使える財政調整基金は今年の3月末現在で約60億円、その他の各種基金を合わせると215億円も積み立てられています。県内を含め全国の自治体が次々とコロナ感染の影響で苦しむ住民の暮らしを支える支援策を、国から給付される臨時交付金の2倍3倍の事業予算を組んで実施しています。子育て世代や売り上げが激減した飲食店などへの現金給付をいち早く実施した先進自治体の報道に接した多くの方が、前橋市の支援策がサッパリ見えないと市政にきびしい批判の声を上げています。今すぐ使う予定のない基金を取り崩せば、独自支援策を他の自治体並みに拡大できると思います。直ちに第2次補正予算の積み増しを具体化するよう求めておきます。

2)電子応援チケット、

 次に、電子応援チケットの発行による店舗支援は、利用可能店舗400店の選定が公募による抽選であることや、1000円の電子チケット500万円分を生活困窮者に限定せず市内外のスマートホン所有者がだれでも自由に取得できるという点、さらには事業開始のためのシステム設定に約1か月を要することや総事業費の半分の設定費用が必要になるなどの点で、制度設計上の問題点があると思います。市長からは、新しい生活様式のプラットホームやスマートシティーを目指す試みとの説明がありましたが、緊急支援策としてはふさわしくないと思います。生活困窮者に対象を絞ったプレミアム付き商品券を発行したり、売り上げ減で、家賃や人件費など固定費も払えない経営危機・廃業の危機に追い込まれた自営業者を直接支援する店舗支援を具体化すべきではなかったでしょうか。政策部長の見解を伺います。

【提言】補正予算を組んで行う緊急支援策は、医療と暮らしと営業を守ることに集中すべきです。市長お気に入りのIT施策である電子チケットの発行は的外れであると思います。

(3)認可外施設への支援金

 認可外保育施設への10万円の支援をどのような根拠で23施設に絞っていますが、市内の医療機関では、医療従事者が院内感染の防止に全力を挙げながら高い倫理観をもって命がけで感染者の医療を続けている医師や看護師などの子どもさんが入所する院内保育所などが対象外とされたのはなぜでしょうか。また、認可保育所には、休園自粛によって発生する保育料の返納分を市が補填しますが、認可外保育施設についても実際に保育料などの返納や減収で運営が苦しい保育施設については認可保育所と同様の支援をすべきではないでしょうか。福祉部長の答弁を求めます。

【提言】院内保育所の支援は、医療従事者への感謝と励ましになると思います。ぜひ支給を検討していただきたいと思います。さらに、認可外保育施設は、様々な事情から認可保育園に入所できない子どもたちの受け皿という側面も持っています。各施設の経営状況を丁寧に聴取しながら支援対象施設の拡大を検討していただくよう求めておきます。

4)発熱外来

 市内の開業医や病院関係者などから、コロナ疑いの患者が来院した際の院内感染予防や導線確保の課題が解決できないという意見が寄せられています。そのために、発熱した患者が診察をかかりつけ医院で受診を断られた場合や、患者自身が受診を自粛することも起きています。重症化防止のためにも、患者がいくつもの医療機関を回ったり、我慢をしたりすることがあってはならないと思います。こうした観点から、前橋保健所の敷地内に医師会と協力して発熱外来を設置し、市民の素早い診察と診断を行い、PCR検査に結び付けて、感染拡大と重症化防止の対応を図ることは大変重要な施策です。
 したがって、発熱外来の受診対象者を、発熱してもかかりつけ医がなく受診できない人と限定せず、相談センターへの電話相談で診察が必要と判断した場合や、かかりつけ医から発熱外来での受診要請があった場合には受診できるようにすべきだと思います。健康部長の見解を求めます。

【提言】緊急事態宣言が解除されたとはいえ、今後の感染が予断を許さないこと、また予想されている第2波の到来に備えること、今後本格的な収束に向かわせていくことなどを考えるならば、発熱外来の2時間の診療時間は短すぎます。ももっと長くして、広く受診を受け付けてPCR検査に結び付けやすい発熱外来とすべきです。受診対象者を狭めず感染の不安がある市民に広げるよう求めておきます。

5)農業生産者支援金

とくに肥育牛農家からは、「育てた牛を出荷しても赤字続き」と悲鳴があがっています。通常、肥育農家は繁殖農家から子牛を購入して20か月程度飼育して出荷します。子牛価格も高騰しており1頭70〜80 万円かかります。それに加えて、労賃や餌代が飼育期間に少なくとも約50万円かかります。ところが、現在の牛の販売価格は暴落して100万円程度です。子牛の購入費や飼育費を下回る価格でも、出荷適齢の20カ月ほどを目途に出荷をしなければ肉質の状態が悪くなるので、赤字覚悟で出荷せざるを得ない状態です。生産費の赤字の9割を補填する牛マルキン制度でも救済されない肥育農家が多く、肉牛生産農家の経営は深刻です。今回の5万円の見舞金にとどめず、本市農業出荷額で大きなウエイトを占める畜産生産者への市独自の緊急支援策を早急に検討し、2次補正で具体化すべきと思います。農政部長の見解を求めます。

【提言】肥育牛の出荷価格は1頭当たりおおよそ100万円に暴落しています。出荷する牛1頭当たり数万円の助成をしている自治体もありますので、見舞金ではなく価格補償となるような支援策を具体化してほしいと思います。

(6)小規模事業者への支援金

苦境にたつ5人以下の小規模事業者への支援として、総額3億円、1事業者あたり5万円の支援金の給付は重要な市の独自策であると考えます。給付を想定している6000の小規模事業者にもれなく支援できるような周知と申請方法をどのようにしようと考えておられるのでしょうか。また、休業要請や営業時間の短縮の協力要請に応じたり、自主的に自粛したことにより収入が減り、事業の継続が困難になる小規模事業者等へ、市独自に家賃などの固定費の補助、上下水道料金の減免や、光熱費などに対する追加支援を行うべきと考えますが、産業経済部長の答弁を求めます。

【提言】地域コミュニティを支える商店経営者や地域経済を支える製造業者が、コロナ危機の中で、停滞し廃業の危機に直面している事業者も少なくないと思います。存廃の危機を事業者に持ちこたえてもらうためには、従来の枠を超えた支援がどうしても必要だと考えます。小規模事業者の経営実態をできる限り把握して、支援策を広げるよう求めます。

(7)避難所の感染予防策

台風や集中豪災害に備えて、コロナ感染防止を図るための3密対策を講じた避難所開設が求められています。簡易間仕切りや簡易ベッドの購入の計画的な予算化は重要ですが、避難所となる体育館での間仕切りだけではなく、小中学校の教室利用や公共施設や民間事業所にも避難所設置個所を広げるべきと考えますが、検討を進めているのか。総務部長の答弁を求めます。

【提言】災害時には断水により手指の流水洗浄ができない可能性もあること、また、避難場所など密集した環境下での集団生活等により、コロナウイルスなどの感染が拡大するリスクが高まります。「避難」とは「難」を「避」けることであり、自宅での安全確保が可能な人は、感染リスクを負ってまで避難場所に行く必要はありません。本当に避難場所に行く必要のある方を、適切に受け入れられるよう避難計画を見直すことや、自宅が危険な場合も、避難先は市指定の避難場所だけではなく、安全な親戚・知人宅に避難することも考えるよう、市民啓発することも検討を進めるよう求めておきます。

(8)国保特別会計・傷病手当金の創設について

次に議案第61号、国民健康保険特別会計の補正予算についてです。この条例改正によって、給与支払いを受けている国保加入者が、新型コロナウイルス感染(疑いも含む)で休職した場合に傷病手当金が支給されます。事業主が感染の疑いがあると判断して従業員を休ませたことを認めれば、PCR検査の実施や医師の診断書等がなくても傷病手当金支給の対象とすべきだと思います。また、濃厚接触者の休職なども対象とすべきです。さらに1月から9月までの間の支払い見込み額を4300万円と想定して補正予算に計上していますが、どのような根拠に基づいて算出されたのか、それぞれ健康部長の答弁を求めます。

【提言】今回の傷病手当金は、国が特別調整交付金として100%補填を約束しています。PCR検査実施者だけでなく濃厚接触者も含めて、コロナ感染の不安で休業を求めたと事業主が証明した人すべてに支給するとともに、制度周知を直ちに行うよう強く要望します。また、傷病手当は、他の医療保険では平常時においても制度化されて支給されています。したがって、国保においても今後新型コロナ感染症だけでなく、すべての疾病について支給するようされ制度化するように国・県に要望するよう求めておきます。

2、一般会計の補正予算の専決処分


(1)特別給付金の給付事務について

つぎに報告第1号、一般会計の補正予算の専決処分についてです。定額給付金については、市民から「10万円では足りない」「他自治体と比べ支給が遅い」という声も寄せられています。1回だけに終わらせず、給付金の追加給付を国に求めるとともに、生活に困窮して、窓口や電話で、わらにもすがる思いで申請や問い合わせをしてきた、市民の心が折れることのないよう、懇切丁寧な説明をおこなうとともに、申請書が届いてから口座に振り込まれるまでの給付金支給の日数の一層の迅速化・短縮化を図る努力が求められています。現状の取り組みについて、産業経済部長の見解を伺います。

【提言】給付金申請手続きが容易にできない一人暮らし高齢者などについては、自治会や民生委員の支援を要請するなどの特別な配慮を講ずるよう求めます。また、市税滞納者への滞納処分については、所得税・個人住民税が非課税であることや差し押さえが禁止されていることを踏まえて、口座に振り込まれた給付金を差し押さえたり、分納額の引き上げ要求をしないよう当局に強く求めておきたいと思います。

3、国保条例改正の専決処分

(1)次に、報告第3号、国民健康保険条例改正の専決処分についてです。この間、本市においては国の指示通り、限度額を毎年引き上げています。2008年度から2020年度の12年で、68万から99万円と31万円、約46%もの引き上げです。 年間収入が2000万円程度までランクを分けて保険料が上がり続ける仕組みとなっている協会けんぽなどの被用者保険と比べて、その半分の額で上限に達してしまうということになり、極端に重い負担となっています。
 今回の課税限度額の引き上げにより全体の税率を抑えて、中間所得世帯の負担の抑制を図るという説明が当局からありました。本市の今回の限度額引き上げで634世帯分で1700万円程度の増収が見込まれますが、税額全体から見ればごくわずかな金額です。政令に追随して、限度額を引き上げ続けることは問題だと思いますが、健康部長の見解を求めます。
(2)一昨年度から国保制度の都道府県化により、市町村が県に納付金を納める制度になりましたが、国保加入者の高い国保税負担の問題は解消されていません。低所得者対策としての国保税の軽減措置については、今も、一般会計からの繰り入れは可能とされています。加入者の中でやりくりをして穴埋めをするのではなく、一般会計からの繰り入れや、本市の18億円の国保基金の活用で、国保加入者の負担を軽減することは十分可能です。また、制度の構造的な問題を抜本的に改善するために、全国知事会も求めている1兆円規模の国費の投入を行うことや、被保険者の負担が重くなる原因である国保にしかない均等割の廃止など制度改革を図るべきだと考えます。市当局はどのように考えているのか答弁を求めます。
【提言】国民健康保険税については、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう政府の「緊急経済対策」に、収入が減少した世帯へ「減免等」を行うことが盛り込まれました。経済が急速に冷え込む状況ですので、必要な措置であります。保険者である市町村が減免等を実施した場合、保険料収入の減少分を国が全額手当てするとされています。減免の対象となるのは、生計維持者の収入が30%減収した世帯と生計維持者が亡くなった場合などであり、減収は見込みで判断するとされています。本市の減免要綱は、50%以上の収入減少を減免対象としておりますので、ただちに見直すべきだと思います。市民の暮らしの状況をしっかり把握し、その窮状に寄り添った施策ですので素早く実施するよう強く求めておきます。

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