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議会報告

2020.6 第2回定例会、意見書(案)【2020/6/8】


新型コロナ感染症対策をさらに充実させるため、不要不急の軍事予算等を削減し財源に回すことを求める意見書(案)

        日本共産党前橋市議団
新型コロナウイルス感染が続く中で、安倍政権の対策の規模と内容が極めて不十分であることが浮き彫りになっており、医療体制の強化と国民生活への支援や補償がいっそう重要になっている。
直ちに、コロナ防止対策である医療体制の強化や、暮らしと経済の立て直しを最優先する予算に転じるべきである。
内閣府が6月5日に発表した4月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が前月比7.3ポイント下落の81.5となった。比較可能な1985年1月以降で最大の下落幅となった。
東京商工リサーチが発表したコロナの影響による経営破綻数は、6月3日現在で倒産149件を含む204件に上っている。
新型コロナによる経済の落ち込みの長期化は必至で、専門家からは2008年のリーマンショックどころか1929年の大恐慌以来の事態になるという見方も広がっている。
そうした中で、韓国の国会では4月末、コロナ感染拡大に対処する第2次補正予算として、軍事費を9897億ウオン(約850億円)削減し、全世帯に「緊急災害支援金」を支給する財源に充てることなどを決めた。削減されたのはF35戦闘機や海上作戦ヘリコプター、イージス艦などの事業である。命と暮らしにかかわるコロナ対策の財源を捻出するために軍事費削減にまで踏み込んだのは注目すべきである。
ところがわが国では、史上最大の規模に膨らんだ5兆円を超す軍事費には一切ふれようとせず、F35戦闘機をアメリカから爆買いする1000億円もの予算や、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を事実上の空母に改修する予算、沖縄県民の反対を押し切って強行している米軍辺野古新基地建設などの不要不急の予算には手がつけられなかった。
第1次補正予算は、国民の世論と国会内外での論戦に押されて、暮らしや営業支援の拡充策が盛り込まれたが、第2次補正予算は、医療機関支援策や子どもたちの学びの権利、学生に対する支援があまりにも弱く、スピード感がないことは大変問題である。
よって、国は新型コロナ感染症対策をさらに充実させるため、不要不急の軍事予算等を削減し財源を回すことを強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


検察庁法改定案を撤回し黒川元検事長の処分の
厳罰化を求める意見書(案)

日本共産党前橋市議団

特定の検察幹部の定年を特例で延長を可能とする検察庁法改定案をめぐり、安倍首相が今国会での採決を断念するとともに、次期臨時国家での成立を表明した。
 検察官は、首相をも告発・逮捕するような権限を持っているからこそ、政治からの独立性を保障するために一般の国家公務員とは別の退官制を維持してきた。安倍首相がその検察幹部の人事に介入するため、他の国家公務員の役職定年と同様に位置づけた改定案という点でも批判が広がっている。
 同改定案に反対する意見書を森雅子法務大臣に提出した元最高裁判所判事や田中角栄元首相らを逮捕したロッキード事件を担当し、意見書に名を連ねた元東京検察庁特別捜査部を含めこれまで声をあげることがなかったような各界の幅広い方々が法案に反対の声をあげた。世論調査でも同法案の廃案を求める声が6割を超えている。
 さらに、検察庁法の定年延長の対象とされた黒川氏の賭け麻雀という常習賭博問題で辞職した処分について、「懲戒が相当」とした法務省の判断を官邸が覆し「訓告」したことに対し批判が広がっている。世論調査でも圧倒的多くの国民から「黒川氏に対する処分は甘すぎる」と厳罰化を求めているのは当然である。
 よって国に対し、三権分立と法治主義を壊す検察庁法改定案の撤回と黒川元検事長の訓告を取り消し懲戒処分などの厳しい処分を行うよう求めるものである。

以上、地方自治法第99条に基づいて提出する。


種苗法改正案の撤回を求める意見書(案)
日本共産党前橋市議団

 農水省は「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」 で種苗法の現行制度の見直しを検討し、今国会に上程したが継続審議になっている。
 現行法で原則として農家に認められてきた登録品種の自家増殖を「許諾制」という形で事実上一律禁止する改正案により、これまで認められてきた農家のタネ取り(自家増殖)の権利が著しく制限される。同時、許諾手続き、費用もしくは種子を毎年購入しなければならないなど、日本の農業を支える圧倒的多数の小規模農家にとっては新たに大きな負担が発生することとなる。これは農家の経営を圧迫し、ひいては地域の農業の衰退を招きかねず、「国連家族農業の 10 年」や「小農の権利宣言」の精神とも相反するものである。
 また、農水省は今回の改正が「日本国内で開発された品種の海外流出防止のため」であることを強調しているが、シャインマスカットやいちごのような海外への登録品種の持ち出しや海外での無断増殖をすべて防ぐことは物理的に困難であり「有効な対策は海外での品種登録を行うことが唯一の方法である」と農水省自身も2017 年 11 月付け食料産業局知的財産課が認めている。したがって、海外での育成者権の保護強化のために日本国内の農家の自家増殖を禁ずる必要性はない。
 しかも、在来種(一般品種)は育成者権の対象外としているが、一般品種が登録される可能性も否定できない。今回の法案では裁判の際には特性表に基づいてのみ判断するとされるため、育成者権者にとっては大変有利である一方、小規模農家を委縮させ、在来種の栽培やタネ取りを断念させる可能性もある。その結果、地域で種子を守ってきたタネ取り農家とともに多様な種子が失われ、消費者の選ぶ権利を奪うことにもなりかねない。
 また、地域の中小の種苗会社が資金的に品種登録をする余裕がない場合、高額な登録料を支払うことのできる特定の民間企業による種子の独占や市場の寡占化が進み、農家や消費者の選択肢をより一層制限することになる。
 自家増殖禁止は育成者権を守るためのグローバルスタンダードであるとされているが、種子の多様性や地域に適した作物栽培を妨げかねず、地球規模での気候変動による食料不足が心配される中、食料自給率の低い日本においては食料安全保障の観点にも逆行している。
 よって国に対し、地域農業や農家、消費者の権利を守り、安定した農作物、食料を確保する観点から、農家の権利を制限する「種苗法」改正案の撤回を強く求める。
 
以上、地方自治法第99条に基づいて提出する。



新型コロナウイルス感染の第2波に備え医療と検査体制の強化を求める意見書(案)
                        日本共産党前橋市議団
 緊急事態宣言が解除されたが、新規感染者の拡大やクラスターの発生など、ウイルスによる市中感染が続いており、安心して社会・経済活動の再開に取り組めるようにするためには、感染流行の第2波へ備え、医療と検査体制を強化することが求められている。
 また、第2波に備えた医療体制を確立するうえで、医療機関の経営危機が大きな障害になっている。日本病院会など3団体の調査では、コロナ患者を受け入れた病院は4月は多額の赤字が発生し、大学病院の調査でも全国80病院で年間5000億円もの赤字となると見込んでいる。直接コロナ患者に対応していない病院・診療所・薬局でも、国が推奨したオンライン診療や、大規模な受診抑制によって、経営危機が深刻化しており、倒産・閉鎖が相次ぐようなことがあれば国民の命と健康は守れない。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は役割分担を行い日本の医療を支えており、医療供給体制を維持し、そのすべての経営を守り抜くための財政支援が強く求められている。
 よって、国に対し下記事項について、早急に実施するよう強く求める。

1PCR検査の対象を大規模に広げ、感染を早期に発見し、適切な治療、隔離を行えるように、感染が疑われる人、症状がなくてもすべての濃厚接触者がすみやかに検査を受けられる体制を整備する。
2医療、介護、福祉の現場の安心と安全を確保するために、従事者と入院患者、入所者にPCR検査を積極的に実施できる体制を整える。
3抗体検査を幅広く行い、感染の広がりを把握し、コロナ収束に向けた政策判断に生かす。
4コロナ患者を受け入れる病院の減収・負担増に対する補償、病床の確保や宿泊療養施設の借り上げを行うとともに、地域の通常の医療を担う診療所・病院、専門診療科への減収補償を行う。
5医療従事者への危険手当支給をはじめ処遇を改善するとともに、マスクなど医療用防護具や医療用材料を国の責任で確保する。
6ワクチンと治療薬の研究開発を急いで行う。
7これまで削減してきた、保健所、地方衛生研究所、国立感染症研究所の予算や体制を拡充する。
8感染症発生に対応する専門的機関として疾病予防管理センター(日本版CDC)を創設する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


新型コロナウイルス感染から子どもと教職員の健康と命を守るため
教育条件の抜本的整備を求める意見書(案)

                     日本共産党前橋市議団

緊急事態宣言が解除され、学校が再開されたが、長期の休校による子どもたちの学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスが深刻になっている。子どもたちの心身のケアをしっかり行うことが、学びを進めるうえで大前提となっている。
万全の感染症対策を行うことが重要だが、学校の現状は感染防止の基本の一つである身体的距離の確保ができないという重大な問題に直面している。
再開後の学校では、20人程度の授業とするためクラスを2グループに分けるなどの分散登校に取り組んでいるが、この措置を続けるには教員数や教室が足らず、大半の学校が通常の体制に戻る予定である。
政府は休校により生じた学習の遅れを取り戻すため、第2次補正予算案で教員3,100人を追加し、小学6年生と中学3年生の少人数授業を行おうとしているが、対象を限定することは問題であり、これでは、新型コロナの第2波、第3波に対応できない。
今求められているのは、新型コロナ感染から子どもと教職員の健康と命を守るため教育条件の抜本的整備を行うために一兆円規模の予算を確保し、学校の教職員10万人と、スタッフ十数万人を思いきって増やし、20人程度の授業ができるように対策を講じるべきである。将来的には、現在の困難を乗り越えた後に、日本の学校が少人数学級に移行する土台ともなりうる。
よって、国に対し、下記事項の実施を強く求めるものである。



1定年退職した元教員を再雇用するとともに、教員採用試験の受験者で採用されなかった教員希望者などを10万人採用する。
2 不足教室確保のため、プレハブ建設や公共施設の利用をすすめる。
3 教職員、学習支援員と合わせて、養護教員をはじめスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学習や清掃、消毒、オンライン整備などのための支援員を十数万人増員し、体制を整備する。
4 児童生徒の負担が過重とならないように、学習内容を精選し、学習指導要領の弾力化を図る。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


預貯金口座情報とマイナンバーカードのひも付けを義務化する
マイナンバー法の改正に反対する意見書(案)
                         
日本共産党前橋市議団

政府は、来年の通常国会でマイナンバー法を含む共通番号制度関連法を改正し、国民が開設する全ての預貯金口座情報とマイナンバーカードのひも付け(連結)を義務化する検討に入っている。マイナンバー制度は、2015年10月から順次個人に番号が通知され、2016年1月から運用が始まっているが、現行法はマイナンバーと口座情報のひも付けを認めていない。金融機関が預金口座開設時にひも付ける場合には、本人の同意が必要であり任意で行っているだけである。
政府は「現在のコロナウイルス感染拡大に伴う各種給付金などの給付が必要になった時に、速やかに預金口座に振り込みできるようにするためには、金融機関に対して全ての預貯金口座にマイナンバーを登録して管理することを義務づける制度導入が必要である」と法改正の目的を説明している。
しかし、個人の資産はもっとも機微に触れる情報であり、ひも付けすることによって国民への監視が強まり、プライバシー権の侵害も予想され、個人情報保護の観点から大きな問題がある。給付のためのひも付けなら、預金者のすべての口座ではなく、振り込みを希望する一つの口座でよいはずである。
 しかも、今回の特別定額給付金10万円のオンライン申請では、マイナンバーカードのシステム上の不備が明らかになり、多くの自治体でオンライン申請を急遽取りやめるなどの混乱を招いた。このような問題のある仕組みに国民の金融資産までひも付けすることは、利便性の向上にはならず到底認められない。
さらに、このひも付けが実現すれば、政府は個人の預金総額を正確に把握することが可能となり、支援金などの給付対象を狭く限定したり、今まで以上の社会保障給付の抑制や徴税強化が進むことも懸念される。
 よって、政府は、預金口座にひも付けするマイナンバー法等の改正を直ちにやめるよう、強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。





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