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議会報告

2020年第3回定例議会 委員会付託議案以外の反対討論 中道浪子 【2020/9/9】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、本議会に上程された議案第129号、議案第133号、議案第134号、及び議案第142号の4議案に対して反対の討論を行います。

まず、議案第129号、一般会計補正予算についてです。
反対の理由第1は政府と財界が提唱するスーパーシティ構想を推進するために本市が国に申請を準備するための予算2,959千円が計上されていることです。
5月27日、新型コロナ禍の最中に、参議院本会議でスーパーシティ法いわゆる、改定国家戦略特区法は審議をすればするほど問題点が露呈し、徹底審議を求める野党の反対を押し切って可決成立したものです。
市当局の説明によれば、国は全国1741自治体がある中で、たった5つの自治体を選定してこの構想をモデル的に推進しようとしているものです。本市も推進スケジュールは組んだものの、構想の詳細についてはまだ案の案の段階ということで、具体的な説明は乏しく、現段階では構想の先の具体化が見えないのが現状です。
政府によれば、スーパーシティとはAIやビッグデーターなどの最先端技術を活用し、遠隔医療、遠隔教育、自動運転、キャシュレス決済、ドローンによる配達、顔認証を使った交通機関の利用などのサービスを一括して住民に便利さを提供するという売り込みでまちづくりを推進しようというものです。
しかし、住民は住所、年齢、マイナンバー、顔写真、健康状態、預金口座をはじめ詳細な個人情報を実施主体に提供する必要があり、実質的に実施主体となってこれを一手に管理するのは大企業だと言われています。
実施主体つまり民間大企業は、国や自治体に住民の公的データーの提供を求めることができることになっています。
政府は一応、本人の同意が必要と言いますが、個人情報保護法制は「相当な理由」「特別な理由」があれば、国は個人情報を本人の同意なしに他の行政機関や地方自治体、地方独立行政法人などに提供できると規定しています。
国会審議の中では、何が該当するかは「個別に判断される」と答弁しており、基準はあいまいです。従って、スーパーシティの最大の問題は、本人が知らない内に個人情報が実施主体の企業に利用されているという恐れもあり、個人情報保護がないがしろにされ、プライバシーが侵害されることです。
また、集められた個人情報は企業や自治体などが一元的に管理することによって住民ひとり一人について行動や買い物の履歴、思想・信条、交友関係などの記録となり、個人の行動を監視することも可能になると危惧されています。
そもそも、スーパーシティ構想は、最先端の技術を使った都市づくりを首相官邸主導の特例的な規制緩和で行うものとされており、「まるごと未来都市」とバラ色に描きますが、個人情報が勝手に使われる監視社会につながりかねない危険性が浮き彫りになっています。
市当局の説明では民間主導型で10年後の近未来型の都市生活を実現するとともに、市主導型で既存事業や実証事業を民間企業とともに充実・拡充させ、行く行く“来庁ゼロ”の実現をめざすと非現実的な方向性を強調し、幻想を振りまくことは問題です。国は、12月には自治体の公募を開始し、年度内には実施区域を指定する計画ですが、新型コロナ感染危機のさなかにこの問題に取り組むのは、はっきり言って不要不急であり、実施を急ぐべきことではありません。今市民が強く求めているものは、公共交通の充実や特養の増設、30人学級、新型コロナウイルス感染症対策の充実で、スーパーシティ構想に力を入れる時期ではないということを申し上げておきます。

第2は、
コロナ禍の中で、ICT 環境を整えることに反対するものではありません。しかし、国や県の推進するGIGAスクール構想の実施は時期尚早で認められません。
そもそも、市教委は、全児童・生徒にタブレットの配布を当初は5年間で29億円かけて段階的に整備していくと議会に説明していました。
ところが、市教委は、突然、今年度の事業としてタブレットを一気に配布する方針に変更したのです。しかも、財源は国からのコロナウイルス感染対策予算の第2次臨時交付金22億3,000千万円の半分を越える11億7,417万円を市民のくらし・福祉などのコロナ対策に使わず、タブレット購入に使おうとしています。
また、タブレット操作の技術的な援助者の配置を予定していますが、IT 企業からの派遣や教材会社の人材配置では、子どもたちにとって教育の充実につながるかどうかわかりません。
さらに、タブレットの維持管理や通信費などのランニングコストの初期投資は国が負担することになっていますが、後年度は,自治体負担となり、引いては、保護者負担の発生も心配されます。
その上、授業での活用方法がはっきりしていないなど、課題も山積しています。タブレット配布は、教師の間で、しっかりとした活用方法を研究してからでも遅くありません。
コロナ感染問題で、全国で一斉に学校が休校となったことから、ICT 教育の必要性を求める動きもありますが、仮に感染が起きても、学級閉鎖や学校休校で対応することが出来ます。その中で、オンライン教育の必要性があるならば、全児童・生徒への配布ではなく、必要な数だけ購入すれば対応は可能です。
なお、昨日(9/8)教育再生実行会議は、パソコンやタブレットを授業で活用することや3密を回避する観点から少人数によるきめ細かな指導体制を計画的に整備する方向性を確認し、1クラス30人学級編成の早期実現を訴える答申を安倍首相と萩生田文科大臣に提出し、次期政権に引き継がれるよう求めた報告がありました。早期の少人数実現が優先されることを求めておきます。
従って、本補正予算に反対するものです。

次に、議案第133号前橋市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の改正、及び議案第134号前橋市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の改正についてです。span>
そもそもこの両条例の狙いは、国が大都市における待機児童を解消するために規制緩和をさらに進める法律の条例化です。
本市のように保育所や子ども園の定員を拡大すれば待機児童が解消されるので、規制緩和してまで小規模保育事業や家庭的保育事業などの実施を条例化する必要はないとすでに反対した条例です。
今回の両条例の改正の内容は、3歳未満児の子どもの卒園後の受け皿となる連携施設の確保を不要とすることや保護者の疾病、傷害などにより家庭における乳幼児の養育が困難な場合には、居宅訪問型保育の提供が可能であるという規制緩和をすすめる改正であり問題です。
本市には現状この種の保育事業は存在しておりませんが、この種の保育を利用した子どもが卒園後の受け皿となる連携施設の保障がなければ、希望している施設に必ず入所できるとは限らず、自己責任に任せられる可能性もあり問題です。また、兄弟で上の子どもが通っている施設に入所させたくても、入所できなければ保護者は2つの施設を利用することになり問題であり、両条例改正に対し認めることはできません。


次に、議案第142号土地の買い入れについてです。
本議案は、新道の駅整備運営事業用地として、面積696.45?、予定価格10,127,461円の買い入れで、ほぼ用地買収が完了します。わが党は、上武道路沿線に休憩施設として道の駅を設置することには反対するものではありませんが、最大の問題は整備しようとしている新道の駅は総面積が7?と、県内では最大面積で事業規模が大きすぎることや、既存の富士見・大胡・荻窪の3カ所の農産物直売所の運営との競合が避けられず、マイナス影響が懸念されることから適正規模に繰り返し変更するよう求めてきましたが、当局は全く変更せず、そのまま推進していることです。また、新規就農者や農業後継者育成策、農畜産物のブランド化や特産品の開発などの農業振興がほとんど具体化されないまま、事業計画と事業運営を民間事業者に丸投げしていることなどを問題にしてきました。
今、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、多くの市民が生活の心配を余儀なくされていることから、市民の暮らし福祉、教育へのコロナ対策を最優先にすべきです。今後、コロナ感染の拡大が広がることが心配されている中で、計画通りオープンしても目標とする100万人の集客が得られるかどうか、安定的な経営が予定通りにいくかどうかもわかりません。施設全体を一気に整備せず、段階的に整備して、オープン後の集客状況を見て順次増設していくなど、改めて検討すべきです。従って、これらの問題点を是正・検討しないままの中で本議案の用地買収は認められません。
なお、新道の駅建設用地に軟弱地盤があることをわが党は、すでに指摘し見直すことを求めてきたのに、その検討もせずに推進することにより、地盤造成のために3億円もの事業費を上乗せすることになり問題であることを指摘しておきます。  
以上、4議案について反対の理由を申し述べて討論といたします.

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