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議会報告

2020.9第3回定例会総括質問  小林久子 【2020/9/9】

2020.9第3回定例会総括質問原稿(37分)   小林久子  

1、大型開発優先をやめて、市民の暮らしを守る市政について

(1)最初に経済の悪化と市民生活についてです。   
?本市はコンパクトシティと言いながら、国のまちづくり方針に追随し、新道の駅、JR前橋駅北口再開発事業、旧日赤跡地のCCRC事業、千代田町中心拠点地区再開発を同時多発的に進めています。
ところが、昨年の消費税率10%への引き上げに続き新型コロナの感染拡大により、今年4〜6月期の国内総生産(GDP)が激しく落ち込み、日本経済は、リーマンショックを上回る戦後最悪となり、まったく先ゆきが見通せない事態となっています。
日本共産党市議団が行った市民アンケートでも、コロナの影響で派遣切りされ、仕事が見つからない。自粛で客が激減し、商売を続けられない。給料が大幅に減った。年金生活者は消費税の負担増でさらに苦しいなど、命や健康の不安とともに、市民の暮らしの深刻さが浮き彫りになっています。
市は、新型コロナにより税収が落ち込むと見込みながら、大型開発は聖域として見直すことなく進めることは問題です。日本経済の悪化と見通しについてどのように認識しているのか伺います。

?新型コロナの感染拡大により、真っ先に、市長が2月の市長選で公約した高校生までの医療費無料化を入院のみとし償還払いとしたことは公約破りと言えるもので、市民は納得していません。コロナで先が見通せず、市民が大変な時だからこそ、市民に寄り添い暮らし福祉を守ることがますます市に求められているのではないでしょうか。太田市は来年4月からの高校生までの医療費を入院通院とも無料化を発表しています。
本市が4つの大型開発事業はそのまま推進すれば、市民サービスや市民の暮らし福祉を切り捨て後回しになることは明らかです。これでは、市民の理解が得られません。優先順位が違うと思いますが、見解を伺います。

●大型公共事業をこのまま推進していけば、本市財政に大きな負担を強いることになりかねないと大変危惧するものです。


(2)事業運営          
?次に新道の駅の事業運営について伺います。
コロナにより、海外や県外からの誘客など、インバウンド頼みの観光や宿泊施設等が、自粛により止まり、商業・飲食、イベント産業などが大打撃を受けました。
新道の駅は、土日は観光客をターゲットにして、前橋のショーウインドーとして100万人の集客を目指していますが、新しい生活様式など価値観が大きく変わる中で、前橋の魅力をどう打ち出していくのかが問われています。
用地買収がほぼ完了し、約100億円の総事業費の概算が示されました。ところが、どのようなテナントが入るのか、市の農畜産物や特産品の開発などの農業振興に役立つ施設になるのかなど何も決まっていません。ほとんど具体化されないまま、事業計画や事業運営を民間事業者に丸投げしていることは問題です。
コロナ後の経済の先行きが不透明な中で、オープン後も安定的な運営ができるのかなど、不安要素ばかりです。道の駅のテナントが埋まらない、集客が見込めないなどということになれば、推進した市の責任は重大です。この点をどう考えているのか伺います。

●本当に魅力ある道の駅にしようとするなら、民間任せにせず、市が事業運営にもっと積極的にかかわるべきです。

?JR前橋駅北口再開発事業は、当初予定していた特別養護老人ホームがなくなり、27階建て203戸のマンション建設に特化し、1階と2階のわずかなスペースに、子育て支援の一時預かり保育施設と商業店舗が入るだけです。
全体の事業費は110億円、うち公費負担が40億円(本市の負担が13億円)にもなります。駅周辺の景観も変わり、多額の公費を出し民間が儲かるタワーマンションの建設が前橋に本当に必要でしょうか。また、駅周辺のにぎわいが乏しい中で、マンションが売れるのでしょうか。
千代田町中心拠点地区再開発は、本市はスズランと並び最大の地権者です。
地域経済が疲弊している中で、老朽化したスズラン百貨店のリニューアルを中心とする事業にとどまらず、オフィスビルやホテル、複合施設などを含む大型再開発事業です。しかし郊外に大型商業施設を容認しながら、中心街のにぎわいを取り戻そうとしても成功しません。
また、コロナで、テレワークやオンライン会議などが提唱されている中で、再開発ビルの保留床の売却が進むのか。もし売れなかったときの責任を市が負うことになれば、市財政への影響は計り知れません。
日赤跡地生涯活躍のまちCCRC事業も、夜間急病診療事業や福祉作業所などの公的施設が敷地内に移転するものの、首都圏からリタイヤ層を呼び込む当初の目的とはかけ離れたものになりました。民間事業所もコロナ禍で経営上の新たな困難を抱えている中で、当初の計画通りにいくのか見通せません。
3事業とも、厳しい経済状況下で事業計画から運営まで含め市が大きくかかわることになります。市の責任とともに、事業者にとっても、先行きが見通せない中でリスクはさらに増大するものと思われます。3事業、それぞれについて当局の見解を伺います

●日本経済や本市の経済状況の今後がどうなるのかしっかり分析し、立ち止まって考える勇気も必要です。

(3)事業の見直し           
次に、新道の駅の事業の見直しについて伺います。
軟弱地盤の改良に新な費用負担が生じ、総事業費が約100億円に膨れました。市の負担分が、78億7千万にもなります。7?の用地買収がほぼ完了しましたが、PFIで民間資金を活用する方式で民間主導を強調しながら、市の財政負担はあまりにも過大すぎます。
施設全体を一機に整備するのでなく、段階的に整備し、オープン後の集客状況を見て順次整備するなど、改めて事業の検証を行い適正規模に見直すべきです。見解を伺います。

●いずれも、官民主導で、市民の意見を広く聞くことなく、大型開発事業を進めていることは問題です。
千代田町の再開発は基本構想を策定中ですが、複合ビルに市立図書館を移転する方向で進めているのではないか思いますが、図書館の移転用地の選定にあたっては、市民の意見をしっかり聞き、中心市街地以外、例えば中央小の跡地も含めて検討すべきです。
本市もマンションが市街地に次々と建設されてきましたが、今後人口減少により空き家が増え、住宅の需要と供給のバランスが崩れ不動産価格が下がるという予測もあります。
将来への投資で市の歳入増加につながると市長は言いますが、反対に市民負担を増やすことにもなりかねません。先をしっかり見据えた計画に見直し、市民の暮らしを守ることを最優先すべきです。。
 

2、GIGAスクール構想の問題点について
 (1)整備方針         
?次にGIGAスクール構想の問題について質問します。
子どもたち一人ひとりに対し、個別最適化され、資質・能力を一層確実に育成できる教育環境を構築し、さらには、コロナ感染症の第2波、第3波等、感染症や災害が発生した場合でも、ICT機器を活用して、学びの継続を担保するため、小中特高の全児童生徒に1人1台の端末を整備するとしています。
当初は5か年の整備計画でしたが、コロナにより、突然今年度中に1人1台の端末整備へと方針が変わりました。
しかし、端末をそろえても活用できるようにするには、通信環境やサポーターの配置や学習ソフト、指導方法など体制整備が必要です。学校現場をさらに混乱させ、教員の多忙化をさらに助長することにならないかと心配です。
高崎市や伊勢崎市は複数年で整備する方針で、伊勢崎市の五十嵐市長は「誰が、どのように、何を教えるのかも決まっていない状況で、端末だけ用意しても仕方ない。しっかり指導法を研究したい」と述べています。
ICT環境の整備に私たちは反対するものではありませんが、全校一斉休校が今後あるとは思えない中で、タブレット1人1台の配備を急ぐ必要があるのか。しかもどのように活用するのか、活用方法も明確になっていない中で、まず端末の導入ありきは問題です。
本市でも、国の強引なやり方に追随するのでなく、段階的に整備する検討はされなかったのですか。お答えください。

●今年度事業費19億5600万円のうち地方創生臨時交付金11億7417万円を活用することになりました。コロナ禍で命と暮らしが脅かされ支援を必要としている中で、交付金を端末整備に使うことに市民の理解が得られるのでしょうか。地方自治体は、突然の国の方針転換に振り回され、混乱を招くもので問題です。


?今後の市と保護者負担の見通し
端末も当初は国が、4万5千円負担するが、そのあと例えば、子どもたちが落としたりして故障したり、無くしたりした時、買い替え時は保護者負担としていることは保護者の理解が得られません。
また、維持管理・通信費などのランニングコストや教材ソフトの費用などは初年度以外は自治体・あるいは保護者の負担で、保護者にも市町村に多大な財政負担を今後強いることになると考えます。これらの負担額はいくらになるのかお答えください。

?国が初期投資の予算措置で自治体に端末整備を急がせ、あとは、保護者や自治体に負担を強いるなどというやり方は大問題です。維持管理等のランニングコストが自治体の財政を圧迫し、本来他に整備すべき教育施設整備や、少人数学級などの整備に振り向けることを諦めなければならないことになりかねません。
全額、国の負担あるいは公費負担とすべきと考えます。国に強く要望すべきです。見解を伺います。

●次年度以降の国補助がどうなるかわからない中での端末整備を進めることは無責任です。結局、地方自治体の財政力のあるなしで、教育格差が生じてしまうことになりかねず国の責任は重大です。

(3) ギガスクールサポーター・支援員の配置 (指導担当次長)
  ?ギガスクールサポーター・支援員の設置にも自治体の負担は大きいものがあります。
2校に1人の配置、ICT支援は教材会社や市内IT企業からの派遣ということです。確かに初期のサポート体制は必要と思いますが、しかしやはり、ICT教育を今後行っていく上では、教員資格のある正規の先生を増やすことが大切で、1校に1人配置すべきと考えます。答弁を求めます。

●国の2次補正では、教員の加配3100人、学習指導員の追加配置6万1200人、スクールサポートスタッフ2万6000人を予算化。ICT支援は指導員やスタッフに担わせる。国が3分の1で、自治体の負担が生じる。教員給料は387万円、指導員114万円、スタッフは55万円。これでは、人的配置の予算が少なすぎます。

(4)教育効果
?誰一人取り残さない個別最適化された学びを実現するとしていますが、子どもたちが
端末を使い学習すれば、一人ひとりの学校や家庭での学習状況、つまずきが学習履歴と
して自動的に記録され、それが蓄積されたビックデータを活用すれば、個々のこどもに
応じた最適な学びが可能になるというものです。
さらに、経済産業省の「未来の教室とEdTechエドテック研究会」は、教室での一斉授業
を行う学校教育の仕組みを批判し、同じ教室にいても端末を使い一人ひとりが異なる教
科や単元を学ぶことを進むべき方向として示しています。
しかし、これはコンピューターによる学びの分断だとの指摘があり、「子どもたちがコ
ンピューター端末でそれぞれ異なる課題に取り組むようになれば、集団の中で学び、人
格の完成を目指す学校教育本来のあり方が根底から壊れてしまう」「タブレット端末を
使いこなせる子と使えない子の能力格差が広がることを容認するものだ」との声が現
場から上がっています。このように不安持つ現場の声に対し、市教委はどのように考え
ますか。

●授業の主役は子ども達であり、タブレットはあくまで授業を深めるためのツールとして活用すべきです。
ところが、国は1人1台の端末を実現し、すべての授業でフル活用する工程表を描き、全国学力テストも端末を利用する計画です。
強引ともいうべき導入の背景には、公教育への参入を目指す民間教育産業とともに、情
報化社会の新しい技術分野での国際開発競争に打ち勝つための人材育成を求める経済
界の要求にこたえるという意図があり問題です。

?こどもたちが人とのかかわりの中で豊かに学び、教職員が専門性を発揮するには、コンピューター端末でなく、教職員を増やし、教員が子どもたち一人ひとりとしっかり向き合える体制を整備することが最優先の課題と考えます。
コロナ禍でも、相変わらず子どもたちは三密の教室に押し込められたままです。
少人数学級や、教員の増員が、財政的にも優先されるべきと考えますが、市教委はこの点をどう考えていますか。

●この間、全国知事会、市長村長会、全国校長会が、相次いで少人数学級を求める声を上げており、政府の教育再生実行会議も、新な時代の学習環境として3密回避と、パソコン端末の活用を進める観点からも、少人数学級を推進するよう中間答申を出しています。文部科学大臣も、羅の要請に応え、来年度から少人数学級を段階的に進めるため必要な予算要求を行う考えを示しています。
正規の先生を増やし、少人数学級を進めることを本市も最優先すべきと改めて指摘しておきます。


3、市有施設の民営化方針の問題点について

(1)3温泉施設 (財務部長)(建設部長)
?政府は「公的サービスの産業化」を行革のスローガンに位置付け、あらゆる公的サービスを民間に開放させようと、自治体への財政措置も使って民間委託や民営化を迫っています。本市行財政計画はこの政府の方針に追随し、富士見温泉見晴らしの湯、あいのやまの湯、粕川温泉元気ランドの3温泉施設やテルサの民営化を進めようとしています。
3温泉施設のサウンディング利活用調査について伺います。
富士見温泉見晴らしの湯と粕川温泉元気ランドの2つの温泉施設は旧村から引き継いだもので、地域住民に長年利用されてきた施設です。自宅のお風呂に入らず、温泉施設に通い続けている人もいます。コロナで
休館中は利用できず我慢していた人もいっぱいいます。このような利用者の声に市は耳を傾けないのでしょうか。
民間企業もコロナの打撃を受けており、コロナの収束が見通せない中で、今サウンディング利活用調査を実施しても、市が期待する提案が出てくるでしょうか。なぜ今調査を行うのか伺います。

?施設の老朽化と、利用者減少の中であるが、今後も安定的に温泉施設を維持し、より良いサービスの提供を行っていくため、温泉施設の市場性の調査の有無、活用のアイデアを把握したいと募集で述べているが、温泉施設の維持が調査の条件なのか。それとも、民間が市場性なしと判断したら、温泉以外の利活用の提案もありうるのかについて伺います。

?これまで、維持管理・改修など行ってきたが、温泉施設としての存続を考えるのであれば、市民にもっと利用されるように、民営化の如何を問わず、老朽化した施設の改修や更新を行うべきではないでしょうか。どのように考えているのか伺います。

?温泉施設の来年4月からの今後2年間の指定管理者の募集も行っています。あいの山の湯や、粕川温泉元気ランドはプールもあり、市民の健康増進を図ることにより、市の医療や介護の負担を減らすことに多いに貢献する施設です。
東日本大震災で被災者を老人センターなどで受け入れましたが、温泉施設は災害時に避難所としての活用もできる施設でもあります。今でも市有施設として市民に貢献できる施設であります。民営化でなく、これまで通り市有施設として存続すべきと考えますが、答弁を求めます。

●3温泉施設についても、市民アンケートを実施するなど、是非市民の意見を聞く機会をもっていただきたい。


(3)次は前橋テルサの民間譲渡を含めた民間活力の導入についてです。(産業経済部長)
?テルサは、市民アンケートでも利用者の75%が満足(やや満足含め)と回答しています。そもそも年間40万人の利用がある施設をなぜ、身売りしようとするのは納得できません。公的市有施設として十分役割を果たしていると思います。
アンケートでも、人が集まる仕掛けやイベントとともに、既存施設や―ビスの維持向上を求めています。
ホールなどの利用率が低いのは、駐車場の問題が大きく、それは、民営化したとしても変わりません。例えば、駐車場のゲートを無くすことで、スムーズに入庫出庫できるようになると思います。試験的に実施してみることも必要と考えます。会議室を市民の生涯学習や研修などで利用しやすいように使用料を見直すなどの改善も必要と考えます。
ミニコンサートや個人のピアノ練習でのホール利用なとの試みも行っていますが、いろいろなチャレンジが考えられます。
民営化を考える前に今市ができる改善策を実施すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。


?千代田町中心市街地再開発を進めようとする中で、アーバンデザインも示され、街なかを一体的に整備する方向性が示されている中で、テルサの民営化はいったんやめて、テルサを含めた、一体的な街づくりを検討すべきです。行財政改革方針は撤回し、市有施設として存続すべきと考えます。見解を伺います。


●大型開発をどんどん進めようとしている一方で、これだけ市民が利用している3温泉施設もテルサも、身売りしようとすることは問題です。民営化の撤回を再度強く求めて質問を終わります。

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