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活動報告

市議団行政視察(1/16〜18) 自然再生エネルギー先進自治体の葛巻町(岩手県)を視察、二戸市(岩手県)・八戸市(青森県)では、まちの活性化策の特徴を学ぶとともに、二戸市では市民と行政が協同でまちづくりに励んでおり、八戸市からは3.11東日本大震災からの復興計画を学ぶ 【2012/1/27】

1月16日(月) 二戸市人口29,000人、面積420ku、林野率68%の中山間地。H14年東北新幹線二戸駅開業、H18年に二戸市と浄法寺町が合併。生漆(きうるし)生産量日本一、葉たばこ販売額全国3位。
○楽しく美しいまちづくり
H2年当時二戸市は、近隣の自治体から合併の相手にもしてもらえないさびれた町で「町並みが旧態依然でかわらない、まちの将来について関心がない、自らのまちについてあまり知らない、自分のまちの発展を他人に任せていた」など、当時の市長が町の状況を分析し、「これまで何千年も人が住んでいて、何もないはずはない。知らないだけではないか。まちの発展を人任せにしてはダメではないか」と市民総参加でまちの宝(地域が共存する誇り)探しを始め、掘り起こす。H4年7月 楽しく美しいまちづくり推進委員会(市民30名と市職員29名)を発足。固有の市の宝を発見するために10項目のアンケート調査を実施した結果、7,371件の宝の情報が寄せられた。それを自然、生活環境、歴史文化、産業、名人、要望(苦情)の6分類し、9地区10ゾーンの地域振興のテーマにする。宝を生かしたまちづくり振興ビジョンで活性化。9地区の活性化に行政が人的支援(リーダー養成講座・地域担当職員制度など)と財政支援で一体的に取組む。各地区に宝の案内板を設置し、宝の説明板や誘導板を設置し宝マップを作成。例えば、山間地のためにお米の栽培ができず、昔から雑穀を食べてきた。今、雑穀は健康食品として珍重されていることから、雑穀を栽培しまちの特産品にした。また、ある地区はモンゴルを想像する草原があることから、モンゴルから人を呼んでイベントを実施。日本一の漆器を誇る地区、絶滅の危機に瀕したカワシンジュガイを保護し守る条例作りに取組む地区、巨木を発見し守る取組みをする地区、山に生息するヒメボタルの生息地としての折爪岳を誇る地区などなど。20年間でわかったことは、宝探しは人づくりであるということ。宝を起こしてH23年10月21日〜13日のべ839名参加の「全国エコツーリズム大会イン岩手にのへ」などを開催する元気なまちへと。
○住民意見をいかした地域推進事業
楽しく美しいまちづくりを推進しながら、H22年度〜27年度「二戸市市民協働推進計画」を策定し、市民と行政と関係において、それぞれ責任と役割分担に基づき、お互いが対等な立場に立って自発的な意思でまちづくりに取組んでいくことを定義とし、財政支援と人的支援でまちづくり事業を起こしている。

1月17日(火) 葛巻町
人口7,417人、面積約435ku、山林が85%、農業産出額49億円。基幹産業は酪農(乳牛10,000頭・肉牛100頭)と林業(カラマツ建築用材・自生山ぶどうのワイン作り)。
○クリーンエネルギーの取組み
酪農を土台に風力発電(風車15基総出力22,200kW)・太陽光発電(総出力90kW)・バイオマス発電(家畜排泄物・木質)などの新エネルギーを導入し、クリーンエネルギーのまちづくりに力を入れている。しかし、まちだけでは事業が守れないので都市部の支援(民間資本による森林整備、個人や企業から1口5千円の寄付をいただき森林の保全と資源循環に関する事業など)も得て事業をしている。葛巻町新エネルギービジョンの基本理念は「天と地と人の恵みを生かして」風、太陽・熱は天のめぐみとし、畜産糞尿、森林、水は地のめぐみ、豊かな風土・文化を守り育てた人のめぐみをクリーンエネルギーに結び付けて、魅力ある町、魅力ある町民へと発展している。
今回の視察は、福島第1原発事故が発生して、甚大な被害を被ったことで、原発依存のエネルギーから自然再生エネルギーへと転換が求められていることから、葛巻町でどのような自然エネルギーの取組をしているのか学ぶ機会となった。民間電源開発に町が100%出資し、国有地を町が借りて電源開発に1億2000万円で貸している。町が出資して3つの(牧場・ワイン工場・公共宿泊施設)第三セクターを事業化し売り上げもあげており、雇用創出にも貢献している。100%ではないが、風力発電や家畜糞尿によるバイオマス発電などで事業に貢献しているが、ほとんど売電して町の収益にしている。町は人口が減少しているが、町の多彩なもようしで全国からお客を呼び、年間55万人の観光客があり、町の活性化に貢献している。

1月18日(水) 八戸市
人口241,579人、面積305.17ku、全国屈指の水産都市、北東北随一の工業都市。
○中心市街地活性化の取組み
中心市街地に2011年2月にオープンした八戸ポータルミュージアム「はっち」は、八戸三社大祭の山車を展示する展示館などをようする建物で、建築総事業費42億円で中心市街地の賑わい創出の目玉にした。所管の「まちづくり文化観光部」の中に「まちづくり文化推進室」を設け、都市計画に属する所管を「まちづくり支援グループ」とし、文化推進グループ・中心市街地活性化グループの3グループ15人体制と観光課14人、美術館3人、八戸ポータルミュージアム10人と、異所管が一体で街づくりに取組んでいるのが特徴。
○八戸市復興計画
八戸市復興計画は昨年9月に策定。3.11東日本大震災の被害総額は1,146億円(8月)。青森県下北郡に東通原子力発電所が設置されているが、「八戸市防災計画」には原発事故の対応策がない。

                         以上

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