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活動報告

市議団視察報告(7月24日〜26日)福岡市、広島市、大阪市【2013/9/4】

日本共産党前橋市議団は、7月24〜26日までの3日間、福岡市・広島市・大阪市の行政視察を行ないました。国民健康保険行政・生活保護行政・少人数学級制度・美術館運営等を調査しました。また、日本共産党福岡市議団・同大阪市議団と懇談しました。

広島市の国保は、医療費の窓口3割負担の独自減免を実施

前橋市では、国保税が高すぎて納められない世帯が増えています。党市議団は、国保税の引き上げを抑えるために一般会計の繰り入れを増やす努力や、独自の保険料や一部負担金の減免制度を創設している自治体の調査をしました。

国保料の引き上げを抑えるため、一般会計から法定外繰り入れを51億5千万円も  
 
福岡市の国保行政

 福岡市は、人口142万8,960人の政令指定都市です。国保世帯数は22万4,373世帯、国保被保険者数は36万4,651人で全人口の四分の一。国保財政予算は、前橋の全予算額に匹敵する1,471億4,900万円になります。
被保険者の4分の1が65歳以上の高齢者で、所得200万円以下の世帯が8割です。市は一般会計から51億円繰り入れをして保険料を据え置いています。国保加入者一人当たり平均保険料は9万5,716円となっています。

条例に基づく国保料の申請減免制度は、前年所得3割減から対象になり、2011年度では1万2,431件、金額で10億1,872万円となっています。
前橋市は全国一厳しい取立てを実行している自治体として有名になっていますが、福岡市は、2011年度の差し押さえ件数は前橋市より少ない2005件、金額で8億2572万円にとどめています。また、滞納世帯への初期対応として、民間のコールセンターに委託して納付確認などを電話で呼びかけて滞納の解消に努力しています。

国の言いなりにならず資格証は原則発行せず  広島市の国保行政

広島市の人口は116万6,753人で、国保世帯は17万900世帯、被保険者数は28万4,991人です。一人当たりの平均保険料は7万5,998円。
同市は、国保被保険者のうち災害、事業の休廃止、失業等により生活が著しく困難になったものなどを対象に、入院及び外来にかかる医療費の一部負担金の免除と減額を行なっています(昭和40年代制度開始)。

減免の国基準を拡大して市独自に、@減額は、平均実収月額が生活保護基準額の110%以上130%以下の世帯、A免除は、平均実収月額が生活保護基準額の110%未満の世帯が対象となります。この制度の適用期間は、減免申請または初診の日から3ヶ月間に限定しています(ただし、再申請を妨げない)。

もう1つの特徴は、資格証明書の発行が2012年度9世帯、2011年度5世帯と極端に少ないことです。前橋市のように機械的に資格証を発行せず、「(滞納)世帯の暮らしの実態をよく確認して判断する」と述べています。滞納世帯への対応は、同市本庁の組織である特別対策班(5人)と区役所が連携して滞納額百万円以上の高額滞納者に対する滞納整理を重点的に実施しています。

新規滞納者への自主納付の呼びかけを外部委託しているコールセンター(電話督促)が実施、督促状送付後の滞納額が5万円以上(今年から10万円以上に変更)となった者に対して集中的に納付折衝しています。国保加入世帯への配慮がきめ細かに行届いていると思いました。

法定減免以外に市独自の3割減免で国保料の減額を実施 
大阪市の国保行政

大阪市の国保加入世帯は、48万6,467世帯、被保険者数は80万7,019人です。被保険者数は、大阪府全体の3割を占めるほど加入者が多く、一般会計から429億円の繰り入れを行なっており、その内市独自の法廷外繰り入れは164億4,100万円で、国保料の軽減策に対応しています。

同市の一人当たりの国保料の平均額は、9万7,734円、世帯平均の保険料は32万3,073円で、全国政令指定都市の世帯平均額は28万6,155円ですから、政令指定都市平均額より3万7,000円高くなっています。

同市は、法定減免制度の2割、4割、7割減免の他に市独自で3割減免を実施しており、加入世帯に周知し、国保料を軽減しています。しかし、国保税加入世帯の4分の1、約12万世帯が滞納しています。不動産や預貯金など債権の差し押さえは、前橋市と比べて少なく、1昨年度は1,608件、昨年度は1,500件にとどめ、生活や営業を脅かすことのないよう丁寧な対応をしています。

福岡市の生活保護行政、きめ細かい就労支援を実施

就労支援で先進的な福岡市

炭鉱の町として栄えた福岡市は、閉山で失業者が大量に生まれたため、今なお高齢の生活保護受給者が多いことでも知られています。最近は、就労可能な中年層の失業者の受給が多くなっていることが特徴です。
 市はこうした現状のなか、具体的な就職支援にのりだし、市独自に就職先・企業を開拓する専門員を配置し、受給者の資格取得や特技を生かせる企業探しに奔走しています。就職面接時には市職員が一緒に付き添うことや、面接時に着用する背広などの衣服を貸与するなどきめ細かな支援で、就職につなげています。
また、ホームレス支援策では就労自立支援センター、緊急宿泊事業、アセスメントセンター(就労できるか、経済的自立ができるか否かなどを見極める)をNPOに委託して、部屋や食事を現物提供し、就労を丁寧に支援しています。

法に基づく期限内の保護決定を実施している大阪市

生活保護法では、生活保護の申請を受けた場合に、原則2週間以内に決定しなければならないと定めています。
大阪市では、申請人の居所を即日訪問調査し、手持ち金のない人には即日1日千円を支給するなどの緊急対応を実施しています。
そして例外を除いて、生保申請から2週間で保護を決定しています。生活保護法の基本であると認識し、事務を迅速に進めていました。
 また、就職支援についても雇用支援員を配置して着実な就職に結びつける努力をしています。

前橋市では、「十分な調査を実施してから生活保護の適用を判断する」という立場を優先し、保護申請から決定までに1か月近くかかっているのが現状です。手持ち金が底をついている申請者でも、ほとんど例外なく3週間以上かかっていることが常態化しています。就職支援もハローワークなどの求人票をもとに就職支援員が相談を受けていますが、企業への求人開拓や面接への同席、背広など衣服の貸与は行われていません。就職支援は受給者に寄り添うもっと暖かい支援が求められます。

34年間、市直営を堅持・福岡市立美術館

同美術館は昭和54年に開館。34年間、市の直営を堅持しています。昨年度の入館者は52万人。市民ギャラリーは常時貸し出し要望があり、美術館は幼児から小中学生・大人まで幅広く活用されています。しかし収支状況は厳しく、職員人件費を除いて、入場料等の歳入は約3,700万円、これに対して歳出は約4億4千万円で、一般財源を約4億円繰り入れています。
現在、施設・設備が老朽化したために、今年度から平成29年までの大規模改修事業に着手しています。大堀公園内に立地しており、多くの観光客や市民が美術館に訪れてくれるよう、レストランやショップなども魅力的な施設に充実する整備計画を推進しています。
 現在の館長は九州大学の美術史の教授OBを嘱託として招き、副館長(嘱託)、運営部長、9人の学芸員(正規5・嘱託3)を中心に総勢18人体制で運営しています。
また、美術館活動を支援する市民ボランティアも、約150人が登録され活躍しています。
今年の10月にオープンする「アーツ前橋」も、美術愛好家はもちろん、多くの市民が気軽に立ち寄れる事業運営が期待されます。

平和学習施設ピース大阪を見学

前橋市にはない平和学習施設、大阪城公園内の「ピースおおさか」を見学しました。大阪空襲や沖縄戦・広島・長崎の原爆被害、アジア諸国の人々に多大な危害を及ぼした侵略戦争の事実を、戦争を知らない世代にも分かるように展示しています。  
今、維新の会の代表の橋下大阪市長が、「加害者側の展示はやめる」と言っています。絶対に許せません!

強調文広島市・県に先駆けて市独自に小学校1年
から中学校1年まで35人学級を実施!


広島市は、1クラス35人以下学級とする少人数教育に平成20年から段階的に取り組み、現在小学校1年から中学校1年まで拡大しています。(ただし学年で1クラスの場合はクラスを分けず非常勤講師を1人配置)。これにより現在小学校に141人、中学校に34人の先生が市の予算約11億円で臨時的任用教諭として配置されています。学級数増加への対応は、児童数の推移を見ながら、2つの小学校を増築(約15億円)、そのほかはプレハブ教室や空き教室で対応しています。臨時教諭の待遇は一般教諭と同じで、公務分掌や部活指導も行っています。
広島市では、市独自に広島型カリキュラムとして「言語・数理運用科」を導入し、学力向上とともに、思考・判断・表現する力の習得に力を入れています。現在各学校、保護者などに対して、アンケートを実施し、成果を検証中ですが、少人数学級に対する評価は高いようです。

学校統廃合は慎重!

広島市では、平成17年度から中学校の学校選択制を実施しています。学校選択は希望が集中し抽選になる学校と希望が少ない学校に分かれるようで、学校運営に支障はないと言っていましたが、前橋市も学校選択制により、入学者数が極端に減り、クラスの男女比が不均衡になるなどの弊害が生じ選択制を中止した経緯があります。
平成21年度から統廃合計画(適正配置計画)を策定しましたが、統廃合は小規模校の統合1校にとどまっています。中山間地の小規模校同士の統合については、地元や保護者の理解は得られていないようです。


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