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活動報告

市議団行政視察報告(7月7日〜9日)新潟県長岡市、富山県高岡市、滋賀県湖南市【2014/7/23】

災害を教訓にした防災対策の強化 長岡市


長岡市は、3回の合併を経て現在人口28万1千人の都市。2004年7月の新潟・福島豪雨災害、同じ年の10月には中越大震災、07年7月中越沖地震などで、甚大な被害を受けてきた。

同市では、度重なる災害経験を踏まえて、地域防災計画を見直し、災害予防と減災対策の重視、地域防災力の強化、災害情報伝達体制の整備、応急対策と避難環境の整備、災害対策本部機能の強化、市町村合併による地域特性に配慮した対策などを強めている。
 
案内された市庁舎の部屋には、防災本部機能を緊急時に即座に稼働できるよう大型スクリーン1台と小型スクリーン6台、防災無線など最新鋭の通信機能が完備されている。市内に防災カメラを290か所と14か所の河川に設置し、部屋(災害対策本部)にいながら大小スクリーンにより市内各所の状況をリアルに把握することができる。
災害が起きた場合の災害対策本部体制は、市長、副市長を筆頭に、本部職員が2人組みで5班体制をつくり、24時間交代で警戒にあたることになっている。
 

さらに、災害時の避難所の環境を整備するために、改築する小・中学校では、避難エリアと教育エリアを分離して、子どもたちの授業再開時に混乱しないよう配慮した設計になっている。避難所となる学校体育館の隣に自校方式の給食室を配置し、炊き出し時の利便性に備えている。体育館と校舎の間には雨・風がしのげる屋根つきの広場として物資の仕分けやカーテンを張って間仕切りすれば簡易の部屋にもなるように建設設計時に対策が講じられている。
既存の小中学校では、体育館の出入り口にスロープを設置し、電話の接続口の設置やトイレの洋式化、受水層のパイプに直接蛇口をつけるなどして、避難所となる具体的な対策が講じられている。
 

また、長岡駅に隣接しているJRの旧操車場跡地9fを51億円で購入し、2010年に市民防災公園を整備した。同公園には、市民防災センターや消防本部庁舎を建設するとともに、飲料用地下水槽を設置し、防災時の拠点としている。同市民防災センターは、平常時には子育て支援や防災学習の拠点施設として市民に利用されている。現地視察をした時には、幾組もの親子連れがにぎやかに利用していた。防災計画に沿った避難訓練も行われている点など、学ぶべきことがたくさんあった。

市民に親切な窓口サービス 長岡市


長岡市では縦割り行政を解消し、市民本位の行政窓口に転換した取り組みを視察しました。人口28万人、2012年4月に郊外にあった市役所本庁舎を中心市街地の活性化のために、長岡駅前に移転しました。これと併せて市民により便利な市役所を目指して8年間かけて縦割り行政を改善してより市民に開かれた行政を目指して調査・検討してきた、窓口サービスの向上を図るため、13課が連携して1階に総合窓口を設置しました。

 
土日・祝日も窓口を開設

窓口開設時間は午前8時半から午後8時まで、土日祝日は午前9時から午後5時まで開設。窓口は市役所総合ガイド、なんでも窓口、証明書発行窓口、税金窓口、福祉窓口、市営住宅窓口、会計窓口など11窓口を開設し、市民がワンフロア―で利用できるようになっています。職員は来訪した市民の要件を最初に聞き、オーダーシートでチェックして身分証明書などの提示を求めれば、あとはチェックシートに基づいてもれなく手続きが完了するように対応します。他の課の専門的な相談が求められる場合でも、2階や3階、場合によっては他の庁舎にいる農政課や土木課の職員自ら本庁舎の窓口に出向いてきます。「窓口のたらいまわしで市民が戸惑うようなことはない」と確固とした市の姿勢が貫かれています。
 

郷土愛を持ち、いきいき活動する観光ボランティア 高岡市


高岡市は平成27年の北陸新幹線開通を、歴史・文化都市高岡の発信のチャンスと受け止め、ともすれば金沢市に奪われていた観光客を積極的に誘客しようと観光行政に力を入れています。

同市は、奈良時代に大伴家持が在任中に多くの短歌を残し、安土桃山時代には加賀藩2代目藩主、前田利長の築城によって開かれた城下町として繁栄しました。
太平洋戦争の戦火を免れたことから、歴史文化財や明治期以来の街並みも保存されており、国宝の瑞龍寺をはじめ、多くの寺社仏閣、伝統的建造物群保存地区など、魅力的な観光資源がたくさん現存しています。

同市は、百人一首や歴史を学ぶグループが活発に活動しており、これらの人々の中から観光ボランティアとして多くの人が活動しています。
また、市観光協会は、年1回6日間の観光ボランティアガイド養成講座を開催しています。現在5つのサークル91人が観光ボランティアガイドに登録されており、平成25年度は623回、のべ853人のガイドを派遣しています。ガイド1人につき2時間まで1000円(ボランティアの交通費)とし、観光協会が事前の予約を受け、希望のコースや人数によりボランティア団体と調整し派遣をしています。ボランティア団体には年間5万円の活動支援費を市が公布しています。

私たち市議団も、国宝・瑞龍寺のガイドをしていただきました。観光ボランティアガイド歴15年のベテランの人で、大変わかりやすく、また表情豊かに楽しそうに説明するペースに魅かれ、初めて見た瑞龍寺をとても身近に深く理解できたように感じました。ガイド無しで見学したら、このように心に残らなかったと思います。その方は「ガイドのマニュアルが一応あるが、年号など並べても頭に入らない。自分の言葉で、わかりやすいガイドを心掛けている」と話していました。

観光ボランティアガイド育成や歴史文化遺産保存に力を入れる行政の姿勢と、とともに町並みも清掃が行き届いており、郷土を愛する住民の観光客へのおもてなしの心が十分感じられる視察となりました。

国宝・瑞龍寺で観光ボランティアガイドの方からわかりやすく案内してもらいました。
国宝・瑞龍寺で観光ボランティアガイドの方からわかりやすく案内してもらいました。











地域自然エネルギーの地産地消から市民共同の発電所事業 湖南市

滋賀県湖南市(人口5万5千人)では、2011年3月の東日本大震災による原発事故以前の1997年(17年前)から、地球温暖化防止の観点から、太陽光発電事業への取り組みを開始しています。
 太陽光発電を障がい者支援策とも結び付けており、障がいを持つものとそうでないものが一緒に働く「なんてん共同サービス」という株式会社の屋根の上に全国初の市民共同発電所を稼働させ、その後も2か所目の発電所を稼働させています。
 
 同市は、福島の原発事故により、原子力に依存しないエネルギー政策が求められているとの認識のもとに、2012年6月に「地域自然エネルギー基本条例」を制定しました。
 条例の基本理念は、太陽光発電などで得たエネルギーを「地域固有の資源」と位置付けて、地域に根差した主体が、地域の発展に資するように活用すると規定しています。同市では、個人が太陽光発電を設置する場合の補助事業は行っておらず、市民出資の共同発電事業が円滑に進むように、市民啓発の学習会を開催したり、信託会社との連携や地域通貨発行の支援などを積極的に行っています。

 その後2012年7月にスタートした再生可能エネルギーを用いて発電した電気を、国が定める固定価格で電力事業者が買い取る制度に合わせて、2013年2月に総事業費800万円の3番目のコナン市民共同発電所(設置場所〜社会福祉施設の屋根・現地を視察)、2014年に4番目の3600万円の同2号機(設置場所〜民間企業の屋根)を稼働させています。

 4か所の発電所は共通して、社団法人コナン市民共同発電所プロジェクトが事業主体となり、事業費は1口10万円で市民と市内業者が信託会社に出資し、配当(予定利率2%)し、元金償還は20年でする。配当も償還金も市内商店だけで消費できる金券・地域商品券で償還する仕組みとなっています。
 市民が共同して設置する太陽光発電所と地域経済の活性化の両方を応援する市民ファンドの制度という先進的な取り組みです。
 今、収穫量の多いサツマイモを発酵させ、ガス化して発電するバイオマス発電・肥料化・雇用創出の取り組みを推進するため近畿大学の鈴木高広教授と連携し取り組んでいます。

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