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活動報告

市議団行政視察報告(7月13日〜15日)【2015/8/10】

視察先・視察事項
・愛知県一宮市(一宮市立中央図書館)
・岐阜減岐阜市(子ども・若者総合支援センター「エールぎふ」)
・岡山県総社市(全市域デマンド交通「雪舟くん」)

>◎一宮市中央図書館
 市の玄関口・駅複合ビルに図書館


 市議団は、愛知県一宮市の駅前総合ビル「iビル」内にある一宮市中央図書館を視察しました。
 一宮市は老朽化した図書館の新規整備に当たり、市民の意見も聴取し、駅前ビルに中央図書館、子育て支援センター、市民活動支援センターなどの多様な公的施設を配置し、市民の交流・文化拠点として、また中心市街地活性化やにぎわい創出にも寄与する施設として総工費約64.5億円かけて整備しました。
 ビルの5,6,7階に図書館を配置し、延べ床面積は約6700u、蔵書点数は約46万点。開館時間は午前9時から午後9時まで。貸出対象者は住所氏名が明らかにできる人であれば市民に限定せず、自動貸し出し機・資料検索機やコンピューター操作で保管・取り出しできる自動化書庫を導入し利用者の利便性を図っています。
 
 5階は児童向けフロアに特化し子どもの安全に配慮しています。広々とした書庫スペースに閲覧席、学習室、インターネット席、ビデオ等鑑賞できるAV席など全部で600を超える席が用意され、市民がゆったりとくつろいで過ごすことができます。子ども読み聞かせコーナー、飲食ができる休憩室、対面朗読室、ビジネス支援室なども設置され市民の多様なニーズにも対応しています。運営は市の直営ですが、カウンター業務は(株)図書流通センターに委託しています。

 事業手法は合併特例債や街づくり交付金などを活用してPFIなど民間資金による整備に頼らず市直営で行ったということです。JRの土地を50年間の定期借地権で借り、年間3200万円を支払っているとのことです。

 前橋市庁舎に隣接する図書館本館は築41年経過し、耐震性はありますが、ホールの耐力度が低く、また階段や段差が多く、市民の利用には不便な状況です。
議会庁舎、職員研修会館と併せて図書館本館について、課題となっている各施設の老朽化、耐震性不足、駐車場不足の問題を改善するため今後どのような手法で整備をしていくかを、市及び市議会でそれぞれ市庁舎周辺整備の委員会を設けて検討中です。今後は、立地場所や事業手法について積極的に市民の意見を取り入れ市民参加で進めていくことが必要と考えます。


>◎観光の拠点・国宝犬山城


 犬山市が市内観光の拠点地区として整備している犬山城を視察しました。
犬山市は愛知県北西部の木曽川が濃尾平野へと流れ出るところにあり、古くから交通や物流、政治の要所として栄えてきました。戦国時代には合戦の舞台となり、江戸時代には城下町として発展し、今でもその歴史の足跡が多く残されています。その代表である犬山城は、建設当時のものであり、日本最古の様式の天守閣で名高く、木曽川のほとりの小高い山の上にあり、天守閣からの眺めはまさに絶景です。国宝指定4城(犬山城、松本城、彦根城、姫路城)の1つです。室町時代の天文6年(1537年)織田信長の叔父である織田信康よって創建されました。周辺は、江戸時代の風情が残る城下町で、電線などを地中化して城下町の景観を保全しています。メインストリートに沿って市文化資料館「城とまちミュージアム」と「からくり展示館」が創設され、城を中心に観光の拠点として一体的に整備されています。

 犬山では、「犬山の子は犬山で育てる」という考えのもと、子どもの人格形成と学力保障をめざし、少人数学級、少人数授業、TT、副教本の作成・活用、2学期制の導入、学びあいの授業づくりなど、様々な取り組みを進めてきました。
 犬山市独自の教育改革は、各種研究対象となるほど有名なもので、2007年から始まった全国一斉学力テストに2年間参加せず、教育の自由を守った自治体として注目を浴びました。


  

>◎子どもから若者まで支援するエール岐阜
 
 
 岐阜県の県庁所在地、人口約40万人の岐阜市の中心街に位置する、全国でも先進的な取り組みをしている子ども・若者総合支援センター『エールぎふ』を視察しました。旧小学校を改修したカラフルなデザインの施設に到着すると、最近まで市内の中学校長だった所長(現役の教員)さんが出迎えてくれました。
 平成21年の6月に、市長・教育長がリーダーシップを発揮して、いじめや不登校や発達障害など多様化・複雑化するこどもたちやその保護者を教育委員会と福祉部局が連携して総合的に対応・支援するための組織を立ち上げる方向性を確認しました。

 そのため平成25年3月議会で、関係条例を制定し、平成26年4月から「こども未来部」が創設されて、エールぎふが発足しました。
 施設内には発達相談室や発達検査室、通級指導教室、不登校児童・生徒の支援教室、若者自立支援教室、就労支援室などが設置されています。

 ワンストップで相談受付
 

 同施設では、あらゆる相談に一元的に対応するワンストップサービスで親切に対応し、相談内容に応じて、乳幼児支援、家庭相談、発達支援、教育支援、自立支援などの専門相談につなげています。専門相談員は係内チーム検討会議で相談・支援の方向性を決めて継続的な相談・支援の方向性を決めて継続的な相談・支援を行い、必要に応じてチーム支援、カウンセリング・ソーシャルスキルトレーニング・幼児支援教室・医師や弁護士による専門家相談などの的確な対応を行っています。
 来所相談と電話相談を含めて1万1890件(平成26年度)も受けて、103人(正職員26人、臨時及び嘱託職員77人)の職員が対応しています。
 
 当施設では「教育、福祉、健康の垣根を越えてワンストップサービスで対応でき、兄弟や姉妹の相談も一度にできるようになった」「校種をまたいだ相談・支援が可能になった」「さまざまな分野で専門家の専門性を結集することで、相談・支援に厚みが出てきた」とお聞きして、大きな成果が上がっていると感じました。

 また、「学校現場では教師と親との間に第3者がかかわることによって、双方が感情的にならず客観的な助言や対応・支援が実施されるので、問題解決がスムーズに行われる」と大変喜ばれているそうです。

 前橋市では、福祉部、健康部、教育委員会が縦割り行政となっていて、支援の対象も基本的に中学生までで必要に応じて中学の卒業生の支援を行っているのが現状です。「エールぎふ」の取り組みを今後の前橋市政に多いに生かし、乳児から早期支援を行い、青年期まで切れ目のない支援ができる新たな機関が今だからこそ必要だと強く感じました。

 



>◎人口6万6千円の岡山県総社市で全市デマンド方式のバスを運行


 岡山県の岡山市と倉敷市に隣接する総社市(人口6万6千人)が平成23年4月から運行している全市域デマンド交通を視察しました。

 年齢に関係なく事前登録した全市民を対象としており、希望する場所から目的地(停留所なし)に一人一乗車300円(小学生、障害者や要介護・要支援は200円・未就学児童は無料)で送迎する予約型で乗合方式のデマンド交通「雪舟くん」(室町時代の同市出身の水墨画家の僧侶の名前が由来)が運行されています。

 運行管理や予約受付(オペレーター6人は嘱託職員)は市直営で車両の運行は市が購入した5人〜8人定員の車両9台を貸与して民間事業者(バス・タクシー事業者7社)に委託し、市内全域を運行しています。委託費は車両1台について年間約640万円です。

 市内事業者も利用拡大を支援

 利用者は徐々に増え、平成25年6月には目標としていた「雪舟くん」1日平均利用者250人を突破。買い物や通院などの外出で、市民の身近な交通手段として定着しています。

 市内の事業所は、待合所の設置や予約の代行などで運行を支援。たとえば、おかやまコープは「雪舟くん」で来店し購入した商品を、その日のうちに自宅へ無料配達するサービスを開始し、月に1回、「雪舟くん」利用で来店の方にお買物券(100円×3)を進呈しています。新しい公共交通のモデルとして全国の自治体からも注目されています。

 前橋市内でも「雪舟くん」のように。低料金で利用できる交通弱者対象の全市域デマンド交通の早期運行実現が期待されています。




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