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活動報告

「2018年度前橋市予算編成に関する日本共産党の要望書」を山本市長に提出【2017/12/20】

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 日本共産党前橋市議団と日本共産党前橋地区委員会は11月14日、山本龍前橋市長に予算要望書を提出し、市民の切実な要望に応える予算編成を行うよう強く求めました。
 
 2017年11月14日
前橋市長    山本 龍 様
前橋市教育長  塩崎 政江 様
公営企業管理者 戸塚 良明 様
                            日本共産党前橋地区委員会
                              委員長 白鳥 淳一
                           日本共産党前橋市議会議員団
                              団長  長谷川 薫


はじめに

 今、平和・民主主義・暮らしを壊して暴走する安倍政権に、多くの市民が不安を深めています。戦後、これほど憲法をないがしろにした政権はほかにありません。一昨年の安保関連法制(戦争法)の強行に続き、今年は民主主義を踏みにじるテロ等準備罪法(共謀罪法)が強行されました。
 さらに、安倍首相が自衛隊を明記する憲法9条改憲を明言する等、海外で米軍とともに戦争をする国づくりが加速しています。前橋市街地上空でも米軍オスプレイが飛行し、ジェット機が低空飛行訓練を行っており、市民の不安の声が拡がっています。
 一方で、北朝鮮による核実験やミサイル発射が繰り返されています。北朝鮮の行為は、アジアと日本の平和と安全を脅かすものであり、絶対に許されません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは絶対に起こしてはなりません。今、「対話による平和的解決」を図るためのイニシアチブが日本政府に求められています。
 暮らしの問題では、大企業応援の経済政策・アベノミクスが国民の格差と貧困を拡大しています。このような中で政府が実施しようとしている再来年10月からの消費税10%増税は、国民の暮らしを脅かし深刻な不況をもたらすことは必至であり、直ちに中止を決断すべきです。社会保障では、来年度から国民健康保険が県と市町村の共同運営に移行されます。県の試算でも今でも高い国保税がさらに引き上げられる可能性があり、市民から強い不安が示されています。また、政府が示している介護や医療制度の給付削減や負担増を中止してほしいという声が数多く寄せられています。
 地方自治体の最大の使命は「住民福祉の増進を図ること」です。今こそ、前橋市政が国の悪政の荒波から、市民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきです。
 つきましては、2018年度の予算編成に当たって、多くの市民や団体の要望をまとめた要望書を提出いたします。市長は、市民のいのちと暮らし、平和を守る立場に立って努力を尽くしていただきますよう強く要望いたします。


1、平和行政について

●安倍政権は2013年12月に国民を戦争に動員する秘密保護法を強行した。2015年9月、「憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない」という戦後60年余りにわたる政府の憲法解釈を180度覆して、安保法制(戦争法)を強行した。そして、今年6月には国民の思想や内心まで処罰する共謀罪法を強行した。この3つはすべて憲法違反であり、全てが「海外で戦争する国」づくりの道具立てに過ぎない。
安保法制は1)「戦闘地域」での米軍等への兵站の拡大、2)戦乱が続いている地域での治安活動、3)地球のどこでも米軍を守るための武器使用、4)集団的自衛権行使という、自衛隊の海外での武力行使を可能にする4つの仕組みが盛り込まれている。アメリカが起こす戦争に、世界中で、切れ目なく、自衛隊が参戦する道を開くものである。立憲主義とは、憲法によって権力を縛るということである。国会で多数を持つ政権党であっても、憲法の枠組みに反する政治を行ってはならない。これを破壊した政治は、権力行使に抑制が利かなくなり、強権・独裁政治となる。
菅官房長官は北朝鮮問題について、「安保法制を成立させて本当に良かった」と述べている。しかし、現実は全く逆であり、安保法制の存在が日本を深刻な危険にさらしている。この間、安倍政権は安保法制の発動として、北朝鮮のミサイル開発で軍事的緊張が高まる中、海上自衛隊による「米艦防護」、「燃料補給」を実施している。小野寺防衛相は、「我が国の安全も一層確実なものになった」と述べている。重大なのは、国民が全く知らないところで、こうした活動が実施されていることである。政府は、国会で聞かれても、「米軍等の活動への影響と相手との関係」を理由に具体的な内容を明らかにすることを拒否している。こうした軍事一体化の推進は、地域の軍事的緊張の悪循環を拡大することになる。万一、米朝間で軍事衝突が起こった場合、日本が自動的に参戦し、戦争の当事国となる危険が現実のものになっている。北朝鮮問題とのかかわりでも、安保法制を廃止することは、喫緊の課題となっている。憲法違反の安保法制を廃止するよう国に強く求める

●安倍首相は5月3日に2020年までに「憲法9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」などと主張した。首相が、具体的な期限と条文を明確にして改憲の意思を明らかにしたのは、戦後初めてのことである。9条に自衛隊を書き込もうという改憲案は、単に存在する自衛隊を憲法上追認するだけではない。「後からつくった法律は、前の法律に優先する」というのが法の一般原則である(後法優先の原則)。たとえ9条2項(戦力不保持・交戦権の否認)を残したとしても、別の独立した項目で自衛隊の存在理由が明記されれば、2項が空文化=死文化することは避けられない。世界に誇る平和主義を定めた9条によって、逆に無制限の海外での武力行使が可能になってしまう。これこそが目的である。
 首相が憲法9条に書き込もうとしている自衛隊とは、安保法制によって集団的自衛権の行使が可能となった自衛隊である。これを憲法に書き込むという事は、憲法違反の安保法制を合憲にすることに他ならない。
11月10日付上毛新聞で、9条改憲に賛成と明確に応えているのは前橋市と明和町の2市町長だけである。市長は市民の平和への願いに背を向けている。本市として憲法9条の改憲をやめるように国に強く求める。

●今年7月7日、核兵器禁止条約が国連加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で採択された。核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性を厳しく告発するとともに、その「開発、実験、生産、保有、使用、使用の威嚇」などを全面禁止した。核兵器が非人道的、反道徳的であるというだけでなく、人類史上初めて核兵器を違法化し、「悪の烙印」を押すという画期的なものとなった。ところが、唯一の戦争被爆国である日本政府は禁止条約に背を向け、「署名、批准を行う考えはない」(安倍首相)と、世界の流れに逆行する恥ずべき態度を取っている。被爆者から激しい怒りの声が上がり、長崎の被爆者は首相に直接、「あなたはどこの国の総理ですか」と訴えた。アメリカの「核戦略」にしがみつき、被爆者はじめ国民多数の願いを無視する日本政府の立場が根本から問われている。核兵器禁止条約に署名することを日本政府に強く求める。

●前橋空襲の惨劇を語り継ぎ2度とふたたび戦争を起こすことのないようにするため、平和資料館を創設する。

●広島・長崎市主催の平和式典や原水爆禁止世界大会等への市民代表の公費派遣など、核兵器廃絶をめざす活動への支援を拡充するとともに、沖縄の平和式典にも派遣する。

●「非核平和都市宣言塔」を市内各所に設置するなど、予算を増額して各種平和事業を抜本的に充実する。

2、消費税10%増税について


 本市においても子育て世代や高齢者にとってとりわけ負担の重い消費税は生活を直撃している。安倍首相は、「増税の一部を教育・子育てにまわす」などと、切実な願いを逆手にとって、2度も延期した消費税率10%への大増税を、今度こそ国民に押し付けようとしている。安倍政権が行った2014年4月の8%増税は増税後の41か月で家計消費が前年同月を上回ったのは、たった4カ月で、37か月はマイナスである。政府は増税の影響は「一時的」と言ったが、3年以上経過しても、深刻な消費不況が続いている。
 このような時に、10%への大増税を実施すれば、経済もくらしもどん底に突き落とされる。「アベノミクス」によって、株価は2倍に上がり、円安差益や大企業減税で、富裕層や大企業は巨額の利益をあげたが、賃金は上がっていない。消費税増税と社会保障改悪の連続による負担増で、国民のくらしは痛めつけられ、格差と貧困はますます拡大した。大企業と富裕層ばかりを応援する経済対策から国民の懐を温める対策に転換すべきである。本市の市民生活にも大打撃となる消費税10%増税は中止するよう国に求める。

3、米軍ジェット機の低空飛行訓練及びオスプレイの配備・飛行の中止について

 横須賀に寄港した原子力空母から飛び立つ米軍ジェット機は、昼夜を問わず本市の上空を飛行訓練している。市民の平穏な生活を脅かす前橋市上空での低空飛行訓練を行わないよう引き続き国に強く求める。
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 昨年12月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落した。その後も、オーストラリア沖やシリアでの墜落事故、大分空港や新石垣空港への緊急着陸や機体から白煙を上げて飛び立てなくなるなどの事態が相次いでいる。ところが、米軍はいずれも詳しい情報を明らかにせず、「機械的、構造的、システム上の欠陥はない」などと繰り返し、日本政府は「理解」を表明している。日本国民の安全よりも「日米同盟」を優先するもので、主権国家として恥ずべき態度である
 オスプレイは米海兵隊の航空機全体で最も事故率が高い欠陥機であり、日本全国どこでも重大問題である。沖縄配備のオスプレイは、北海道での日米共同訓練に参加したのをはじめ、横田、厚木、キャンプ富士、岩国などに飛来し、訓練を繰り返している。全国6つの低空飛行ルートで、年間330回もの訓練が計画されている。米空軍が配備を予定しているオスプレイ、自衛隊が導入を決めているオスプレイを合わせれば、日米あわせて50機ものオスプレイが日本中を飛び回ることになる。
 また、相馬が原の陸上自衛隊第12旅団にも配備が検討されていることも重大である。このようなオスプレイの配備も飛行訓練も中止するよう国に求める。


4、地方創生について

 安倍・自公政権が人口減少対策として打ち出した「地方創生」は、行政サービスと公共施設等の「集約化」をすすめ、地域の疲弊をますます加速させるものである。「公的サービスの産業化」を徹底する民間参入促進の「地方行革」の通知も出して、自治体業務を軒並み民間企業に開放させようとしていることは認められない。さらに政府は大都市を中心とした自治体には大型開発を集中し、高速・高規格道路の整備やアクセス道路整備、さらには駅周辺の再開発事業などの負担を強いている。さらに今後、「地方創生」の先には「道州制」導入と新たな自治体再編が意図されている。
 また、公共施設の大規模な統廃合を目的にした「公共施設等総合管理計画」は、今年度中にほぼ全自治体が策定し、今後は実行の段階に移すよう自治体に迫っている。公営企業についても、上下水道事業などの完全民営化の検討が要請されている。
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 このような中で、全国各地でコンパクトシティ計画も重点課題として推進され、市街地の拡大を抑制すると言いながら逆に中心部で新たな大型開発が行われ、その結果として住民が暮らしている「周辺地域」の切り捨てなどが進められ、自治体間の広域で「集約化」を行う連携中枢都市圏づくりなども推進されていることは問題である。自治体の窓口業務の民間委託では、2018年度から地方独立行政法人に開放出来ることになり、住民のプライバシー漏洩や偽装請負、行政サービスの後退が危惧される。
 いま国がやるべきことは、地方自治体が現に取り組んでいる様々な地域活性化策を支援し、地域に住み続けられる安定した雇用で、若者が安心して結婚・出産し子育てできる社会を作ることである。

●政府が「地方創生」の名のもとにすすめる「集約化」と「地方行革」に追随せず、本市の基幹産業である農林業の振興と6次産業化、中小企業と小規模事業者の振興、観光産業や地域おこしなどの振興策、住宅や商店のリフォーム助成制度、自然・再生可能エネルギーの地産地消など、真の地域活性化策に全力を上げる。

●子育て支援、若者の雇用創出や非正規社員の正社員化への後押し、若者の「地方回帰」の流れを強めるため、定住促進策・前橋移住のU・I・Jターンへの支援を大幅に拡充する。

●国の「地方創生」関連交付金は、地方自治体の自主性を保障し、使い勝手の良い制度に改め増額するよう国に強く求める。

●安倍・自公政権と財界がねらっている地方自治を後退させる「道州制」導入と新たな市町村の大再編に反対する。

5、行財政改革について

 医療や介護、子育て、地域振興や災害対策など、住民にとって最も身近な行政である地方自治体が、「住民福祉の機関」として果たす役割はますます重要である。政府には、すべての自治体がその役割を最大限に発揮できるよう支援し、財源を保障することが求められている。ところが安倍・自公政権は、地方自治体を支援するどころか、地方財政の削減と企業の儲け先づくりのために、行政サービス切り捨てと公共施設の統廃合を自治体に迫り、政策誘導のために地方交付税制度まで改変するなど、地方自治をふみにじる政策をすすめている。
地方独立行政法人法改定(2018年度施行)や、地方公務員法、地方自治法の一部改正(2020年度施行)により、自治体窓口業務の民間委託実施や、臨時・非常勤職員の処遇・権利の低下が懸念されている。そうした中、本市の「前橋市行財政改革推進計画」は国が求める職員削減と外部委託化を一層推進しようとしている。 
行政事務、教育、福祉、水道、市営住宅管理業務、健康増進施設運営などありとあらゆる市民サービスを「スリム化、効率化」の名で切り捨てて民間に委託・民営化し、市民に負担増を押し付ける「行革計画」は抜本的に見直すべきである。
しかも、このような路線は、経費節減という行革効果を上げているとは言えない。職員の人件費は、平成16年から11年間で累計30億円減っているが、委託料と臨時職員などの賃金が含まれている物件費は年間118億円から180億円に62億円も増えている。市の財政にとっても、決して節減にはなっていない。

●本市の正規職員は、2004年には3130人だったのが、2017年4月1日には514人も減り、2616人になっている。逆に再任用職員が134人、嘱託職員が637人、臨時職員が184人となり、非正規職員が合わせて955人で、全職員の36.5%、3人に1人を占めている。
人件費支出を減らせても、結果として正規職員の業務負担が過重になり、迅速な現場調査ができなくなったり、本来なら職員自ら行うべき計画策定や調査業務をほとんど民間コンサルタント事業者に委ねるなどの悪影響が出ている。いま慢性的な人員不足のもとで市職員は長時間・過密労働に苦しみ、ストレスによる精神疾患も増えており、改善は急務である。職員が「全体の奉仕者」として公正で民主的な行政業務に専念し、心と体の健康を保持できるよう、正規職員の削減計画は中止し福祉関係、教育、防災など必要な部署の職員を増員する。

●「民で出来るものは民に任せる」という方針のもとで推進している民間委託化を中止する。2016年〜2019年で実施を計画している、税証明や市民課証明交付窓口、斎場管理や職員研修業務の民間委託化や、市立保育所や共同調理場の民営化は中止する。

●公共施設への指定管理者制度の導入拡大を中止する。「行革計画」では、外郭団体に限らず民間企業への指定もさらに拡大しようとしているが、3年ないし5年ごとに公募を繰り返す指定管理では、安定した運営やノウハウの蓄積、専門性の向上は不可能である。
しかも当局は、公的施設で働く人々の賃金水準など労働実態を把握していない。低賃金で市の仕事を担う官製ワーキングプアを、市自らが大量に生み出す行革路線とは決別する。

●行政職場でありながら非公務員である労働者を低賃金で使い、行政責任を放棄する非正規への置き換え方針を改め、嘱託や業務委託の拡大を中止して正規職員を配置する。市役所や保育所などで市民に接する仕事を担う非常勤嘱託職員の賃金は16万円、臨時職員は時給890円で、いずれも期末手当の支給はない。公務労働を担う人々の賃金引き下げが、結局は民間の賃金引き下げにつながり、それを口実にまた公務員の給与も下がるという、負のスパイラルに陥っている。
 嘱託・臨時職員をさらに増やさないために、各部署ごとに定数化する。職員のサービス残業を根絶し、超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善する。水道や学校用務員など技能労務職関係業務の退職不補充を改め、ただちに新規採用を再開する。

●行財政改革は、市民サービスを増進し無駄を省くという基本的な立場から、市民本位の「行財政改革」に転換する。
 市内12カ所で同時施行中の区画整理事業の長期化問題、道の駅や、前橋駅北口再開発などの大規模開発、郊外型の大規模公園拡張・整備事業の問題点、少子高齢化社会に対応した都市計画道路の見直しの遅れの問題、工業団地造成事業の在り方、老朽化が進み空き部屋が増えている市営住宅維持管理事業の問題点、総合的な公共交通政策の問題点の解決などについて、現行の各事業や今後の計画が費用対効果などで適切かどうか、市民サービスが低下しないかなどの観点で再度検証を行うなどの本来の行財政改革に転換する。

●公共施設の大規模な統廃合を目的にした「公共施設等総合管理計画」は、2016年度中にほぼ全自治体が策定し、今後は実行の段階に移すよう自治体に迫っている。
 さらに、公共施設のファシリティマネジメントの推進に当たり、国は公共施設の再編統廃合を促進するために、集約、複合化、転用、除却に対する起債・交付税措置を行い、さらに、公共施設等適性管理推進事業債の創設、長寿命化事業と立地適正化事業に対する財政措置も行うなど、公共施設の縮減を強力に誘導している。
 老朽化が進んでいる公共施設等については、住民の利益に反する統廃合を行わず、住民合意のもとで維持管理などの対応に必要な財源を保障する。
 身近な公共施設(学校、保育所、旧保健センター)の跡地活用は、地域コミュニティ活性化の核になるものであり、施設の再編利活用にあたっては、安易に民間営利企業に売却・定期借地などの貸し出しをせず、住民が望む公益的施設への転用を優先し住民の声をしっかり聞いて利活用を図る。

●民間資金導入でPFI、PPPなどの手法を取り入れた公共施設整備は安易に行わない。
公共施設における民間事業活動の領域を拡大することは、公共施設そのものの性格をゆがめ、財政的に公債費の削減の代わりに委託費等を際限なく増やすことになり問題である。


6、マイナンバー制度について

 マイナンバー制度は、政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、重大な問題を持つものである。
 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものである。プライバシーを守る権利は、憲法によって保障された人権の一つである。とくに、現代の高度に発達した情報化社会では、国家や企業などに無数の情報が集積されており、本人の知らないところでやりとりされた個人情報が、本人に不利益な使い方をされるおそれがある。マイナンバー制度は、大量の個人情報を蓄積し、税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償などあらゆる分野の情報を、一つの番号に紐づけしていくことが狙われている。公務・民間にかかわらず多様な主体が、この番号を取り扱い、活用することになる。他人に自分の情報の何を知らせ、何を知らせないかコントロールできる「自己情報コントロール権」が、著しく侵害されることになる。
 また、生涯同じ番号を使う限り、漏れた情報が蓄積されていけば、膨大なデータベースが作られる可能性があり、一つの番号で名寄せできる情報が多いほど、詐欺やなりすましなどの犯罪に利用される恐れも高まる。
 マイナンバーカードは、2017年8月末時点で普及率は9.6%であるが、政府は健康保険証との一体化などをめざし、2020年までには国民8700万人に同カードを持たせる構想を描いている。同カードを取得する際には顔認証システムにかけられ、顔写真のデータは15年間、カード関連事務を担うJ−LIS(地方公共団体情報システム機構)という機関に保管される。このデータと、市中に設置された防犯カメラを連動させれば、特定の個人の行動を追跡することも可能になる。「防犯」「治安」を口実に国民のプライバシーを著しく侵害し、超監視社会へと進む危険がある。
 同カードの取得は、現在は任意だが、もし健康保険証と一体化されれば、本人の意思に関わらず、ほとんどの人が持たざるを得なくなるということは問題である。

●本市は、本人の同意もないのに、住民税の特別徴収制度を機に各市事業所に全従業員のマイナンバーを通知したり、市役所窓口の介護保険や国保などの各種申請手続きにマイナンバーの記入を求めるなど、住民が知らないうちに国に言われるまま、なし崩し的に制度の運用拡大をしている。個人情報が危うくなることに市民が不安や不信を抱いている問題のある制度を、慎重なリスク管理も行わないで「推進ありき」で進めていることは問題である。利便性の向上をことさら強調して、プライバシーを危うくするマイナンバー制度の中止を国に強く求める。

●前橋市はICTのさらなる利活用を推進し、マイナンバー制度の積極活用をはかるとしているが、市民のカード取得率が約8%台と増えていない中で、カードの独自利用を推進することは問題である。特にマイタクの利用をカードに一本化することはやめる。

●全国的にはマイナンバー制度を悪用した詐欺事件や個人情報の流出事故が発生しているだけに、重要な個人情報が集約されているマイナンバーの記載を強制せず、未記載でも申請書類等を受理する。

●政府は顔写真入りのマイナバーカードを希望者に発行し身分証明書として使えると便利さを強調しているが、「国民の利便性向上」をいくら強調しても、企業にも国民にもマイナンバーによる恩恵はほとんどない。カードに情報の範囲を広げるほど情報漏れリスクは高まるので、市民に発行促進の啓発は行わない。

7、税収納行政について

 日本の貧困率(相対的貧困率)は15・6%、子どもの貧困率は13・9%でOECD加盟国平均を上回り、とくに、ひとり親家庭の貧困率は50・8%と、深刻な事態になっている(2015年調査)。
「ワーキングプア」「下流老人」「貧困女子」「子どもの貧困」などの言葉がマスメディアをにぎわすように、今の日本は、あらゆる年代・階層が、失業や病気などで所得が減れば、たちまち生活が行き詰まり、貧困におちいる危険と隣りあわせで暮らしている。これらの事態は、労働法制の規制緩和による雇用破壊と賃金下落、年金・医療・介護など社会保障の連続改悪、中小企業や地場産業の切り捨てによる地域経済の荒廃など、自民・公明政権の悪政の積み重ねによって引き起こされたものである。とくに、安倍政権の5年間で、働く人の実質賃金は年額10万円も減り、中間層の疲弊と貧困の拡大は、いよいよ深刻になっている。
 本市においても、税金や国保税を払いたくても払えない世帯が急増している。
ところが収納課は、市民の暮らしの実態を十分把握しないまま、税金の滞納者を安易に悪質と捉え、「納めている人との公平を図るためにも厳正な滞納整理が必要」と強調して過酷な税金の取り立てをしている。 
 本市の財産差押え件数は2014年2015年と2年連続で1万件を超え、2016年度は約7000件に減ったとはいえ、異常な多さとなっている。しかも、預金口座の差押えが総件数の約9割にも達しており、給与や年金が振り込まれる日を狙ってその全額を差押えることは、明らかに違法・脱法的な差押えである。
 野洲市は、税の滞納は生活困窮のシグナルと受け止め、そういう人からさらに滞納整理を強化して困窮に陥らせるのでなく、全課で総合的に自立を支援し、市民生活を壊してまで滞納税の回収はしないという立場を貫いている。本市はこのような姿勢に学ぶべきである。

●広島高裁判決(平成25年11月27日)は、「明らかに禁止財産(禁止額)と認識して狙
い撃ちにして差押えれば不法行為である」と判断し、鳥取県に差押え金額の返還と賠償責任を求めた。この確定判決を踏まえて、国税庁は滞納者の生活を脅かす、行き過ぎた差押えをしないように全国の税務署や自治体に繰り返し通達を出している。
しかし、前橋市は口座に振り込まれれば一般債権化するので給与も年金も禁止額は無視しても構わない、全額差押えてもかまわないという差押えをおこなっており、憲法25条が保障する市民の生存権を否定する違法な行政処分であることは明らかである。このような預金差押えは直ちに改める。
また、財産調査を全金融機関におこなうようなことは、プライバシーの侵害でありただちにやめる。

●滞納税を分納約束した人に、分納が滞った場合には給料の差押え禁止額を超えた差押え額を承諾させる「給料の差押さえの承諾書」まで書かせている。法律で、最低生活を維持するために禁止している額まで差押えできるようにすることは、事実上の脅迫であり、このような承諾書の提出を求める収納行政は直ちにやめる。

●昨年度から申請による換価の猶予制度が創設されたが、本市は昨年の申請がわずか1件にとどまっていることは問題である。経済的困窮者に対し、徴収や換価の猶予等、納税緩和制度で救済するとともに、自主納付できるようていねいに生活再建を支援する。また、生活保護受給者など明らかに担税力のない市民については、執行停止する。

●国税徴収法では民事と違い、債権者みずから差押えができる自力執行権という強力な権限が与えられている。法の精神は、丁寧な納税相談による自主納付が基本であり、差押えは自主納付ができない場合の最後の手段とされ、自力執行権の乱用を戒めている。生活実態を十分把握しないまま財産差押えを乱用する本市の収納行政を直ちに改める。

8、介護保険について

 全国で家族の介護のために仕事をやめる「介護離職」が十年間で105万人を超え、「介護難民」と呼ばれる“行き場のない高齢の要介護者”が数十万人規模にのぼるなど、介護をめぐる問題が、高齢者はもちろん現役世代にとっても重大な不安要因となっている。国は、制度を次々と後退させ、給付削減と負担増を強いる改悪をすすめており、少ない年金で暮らす高齢者には介護サービスも十分利用できない実態が生じている。

●介護保険の公的給付を際限なく切り縮め、利用者・家族負担を引上げていく国の制度改悪に反対する。政府の制度改悪による要支援1・2を保険給付から外すのをやめ、要介護1・2の特養入所対象者が入所できるようにするとともに、サービス利用料の2割・3割の引き上げを撤回し1割負担に戻す。また、施設利用の補足給付の厳格化をやめ、改悪された制度を全面的に元に戻すよう国に強く求める。

●介護事業者への介護報酬の大幅な引き下げが行われたことで、介護職場は依然として慢性的な人員不足となっている。保険料・利用料の引き上げに連動させることなく、緊急かつ確実に介護・福祉労働者の賃金アップを図るため、介護報酬とは別枠の、国費の直接投入による賃金引き上げの仕組みを創設するよう国に求める。また、劣悪な労働条件の根本原因は介護報酬が低すぎ、しかも削減が続いているので、介護報酬の抜本的な増額・底上げを推進するよう国に求める。さらに、政府の介護報酬抑制路線のもと、多くの事業所は経営難に苦しみ、介護分野は低賃金の非正規労働が主流となっている。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令順守を図り、正規化・常勤化の流れをつくり、サービス残業の根絶、長時間労働の是正をすすめるよう国に求める。

●2018年から2020年までの第7期介護保険事業計画では、高すぎる介護保険料を今以上引上げることなく、一般会計からの繰り入れで引き下げる。特に、第1段階の保険料は無料にするよう国に求める。

●依然として、特養ホームの入所待機者は953人(2017年5月1日現在)で待機者の解消は進まない。第7期介護保険事業計画では、待機者ゼロを基本に特養の施設整備を図る。


9、国民健康保険について

 前橋市の年間の平均国保税額は、1世帯当たり15万9,402円、1人あたり9万4,481円である。総収入360万円で所得192万円の3人家族(40代の夫婦・子ども1人)では、年間の国保税額は34万円で、所得に占める割合は18%にもなる。本市の国保加入者は、所得200万円以下の世帯が7割を超え、低所得者や高齢者が多く、派遣切りされた失業者も増えている。また、低所得者世帯の国保税を軽減する7割・5割・3割の法定軽減の世帯が加入世帯の約半数を占め、その内、7割軽減が軽減世帯の53.7%で低所得世帯が多いことが示されている。保険証の取り上げで資格証や短期保険証の発行で命や健康を脅かす事態にもなっている。さらに、差押え件数は6,085件(2016年10月現在)にもおよび、他の自治体と比べて異常な状況となっている。また、2018年度から国保の都道府県単位化が実施され、都道府県と市町村が共同で運営するとともに、国保財政は一括で管理されるようになる。都道府県単位化は、高すぎる国保税の問題を改善するどころか、さらなる負担増と徴収強化を推進することになり、強引な給付抑制策や病床削減が結びつけば、地域の医療基盤が壊れかねない。

●国保税滞納者への短期保険証・資格証の発行をやめ、きめ細かな相談体制を拡充する。

●「申請減免」の対象基準を見直し、前年度所得の3割以上の減収者・自己都合退職者にも適用する。

●国保税の多子世帯への減免をすすめるため、市独自で世帯均等割りの減免を実施する。

●子どもの医療費無料化を、18歳まで拡大する。県に対しても要望する。

●来年度から実施する都道府県単位化により、国保税の引き上げは絶対行わない。基金と一般会計の繰り入れで1人1万円の引き下げを行う。

10、後期高齢者医療制度について

 高齢者のくらしは年金が削減され、物価高騰、消費税増税でますます苦しくなっている。政府は、すでに2017年4月から75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、現役世代との負担の公平化の名で、低所得者の保険料を最大9割に軽減している特例措置(特例軽減)の廃止を段階的に進めている。75歳以上の6割近い916万人が対象となり、本市でも加入者の半数以上が該当するとともに、昨年度の平均保険料は月々5,344円であり、それ以上の負担増になるのは必至で大問題である。

●保険料の特例軽減の廃止はやめるよう国に求める。

●70歳から74歳までの医療費の窓口負担を元に戻し、75歳以上の窓口負担の2割引き上げをやめるよう国に求める。

●県後期高齢者医療広域連合に対しても、保険料を引き上げないように強く求める。

11、年金問題について

 政府は、今年10月から、これまで「25年」とされていた、年金の受給資格を得るための保険料支払期間(受給資格期間)を「10年」に短縮し、これまで無年金だった64万人に、新たに年金支給を進めている。これ自体は、長年、国民が要望してきた重要な制度改善であるが、たとえば、国民年金の保険料を10年納付してきた人の受けとる年金が月1万6,000円に過ぎないなど、「ようやく無年金を脱しても、年金の支給は超低額で、貧困の打開にはほど遠い」というのが多くの受給者の実情である。そうした超低額の年金まで、「マクロ経済スライド」や「賃金マイナススライド」によって削っていくというのが政府の方針である。市民が老後を安心して過ごせいるよう、自治体として制度改善の声を上げることが求められている。

●年金引下げにつながる「マクロ経済スライド」の発動や「キャリーオーバー」の導入をやめさせ、この仕組みを撤廃するとともに、物価・賃金にもとづくスライド制度についても中止するよう国に強く求める。

●公的年金制度のなかに、最低保障の仕組みがないのは、先進国では日本だけであり、国連の社会権規約委員会からも、「最低年金を公的年金制度に導入すること」がたびたび勧告されている。最低保障年金制度の導入に踏みだし、低年金・無年金の増大、年金制度の「空洞化」、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度が抱えるさまざまな矛盾を抜本的に解決するよう国に強く求める。

12、生活保護について

 政府は、生活保護の不正をことさら大きく取り上げ、制度や利用者を攻撃するバッシングを繰り返し、生活保護制度の切り捨て・改悪にひた走っている。生活保護基準は、住民税の非課税限度額、就学援助、最低賃金、国保・介護の負担減免、公営住宅の家賃減免など他の制度の基準とも連動し、その切り下げは、国民のくらしを支える制度の全面的な縮小に直結するものである。生活保護は、憲法25条が明記した国民の生存権をまもる“最後の砦”であり、保護費の水準は、国民生活の最低基準(ナショナル・ミニマム)とされており、本制度の的確な運用が自治体に求められている。

●削減された生活扶助基準を元に戻し、物価上昇や生活実態にふさわしい水準に引き上げ
るよう国に求める。

●増加する生活保護に対応するため、ケースワーカーの増員と研修の充実を行う。

●生活保護決定は、生活保護法第24条を守る。(申請のあった日から14日以内、特別の理
由がある場合は30日以内)

●高校生のアルバイトや運転免許証の取得、生活保護費の一時扶助などの説明を丁寧に行
い、きめ細かい制度の内容を知らせる「生活保護のしおり」を作成し、利用者や関係者に配布して制度の周知を徹底するとともにもれなく適用する。

13、保育所・幼稚園・子育てについて

 政府が2015年度から実施した「子ども・子育て支援新制度」は、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだね、公立保育所をつぶし、園庭のないビルの一室など保育条件を引き下げた施設の急増、保育料の大幅引き上げ、保育士の資格要件の緩和など、保育環境は大きく後退しているのが実態である。深刻な保育士不足についても、資格要件の緩和やICT化の支援などが中心で、根本的な配置基準の改善や保育士全体の賃金の底上げははかられていない。人口減対策としても、各子育て支援施策を抜本的に強化することが求められている・

●市立第4保育所と市立総社保育所の民営化の撤回を求めるとともに、今後についても市立の保育所や幼稚園の民営化は行わない。

●日本の幼児教育への支出の内、公的支出の割合は46%、OECD平均の82%を大きく下回り、OECD諸国の最下位である。予算を引上げ、全ての幼児が豊かな保育が受けられる体制を整えるとともに、保育所・園、幼稚園、子ども園などの保育料無料化を図るよう国に求めるとともに、本市としては、直ちに第2子の保育料を無料にする。

●企業主導型保育は、保育基準が緩和されており、保育の安全・安心が危惧されるので国に制度の中止を求める。

●本市では、旧定義の待機児童が137人、その内3歳未満児が126人となっている。ただ
ちに、公・私立保育所や子ども園で受け入れの施設整備を進め、待機児童の解消を図る。

●子どもの健全な発達、ゆきとどいた保育を保障するためには、保育士の過重負担、長時間労働の負担を軽減し、働き続けられるようにするためにも重要である。保育士不足が強まっている中、保育士の配置基準の引き上げをおこない、保育士を増やすとともに、完全週休2日制や有給休暇が取得できるようにする。そのために、公定価格を見直し、運営費の増額を国に求める。

●産婦の産後うつはホルモンバランスの変化や新生児への子育て支援に夫や親族の支援が得られないなどの理由から発症している。本市の支援策をさらに充実させ、産婦の2週間及び1か月検診を市として位置付け、無料化する。支援が必要な産婦には母子同室で病院や助産院でデイサービスやショートステイができる制度を創設する。

●いつでもどこでも気軽に母子で外出できるためにも、商業施設では多く設置されている授乳室を公共施設にも設置する。

14、障がい児・者について

 障害は社会の側にあるという「社会的障壁」をなくすために、社会全体で差別や虐待を許さず、障がい者の人権を尊重する立場で施策を強める。

●障がいの早期発見と療育支援を行う子ども発達支援センターを充実するとともに、医師会と連携して障がい児療育センターを早期に創設する。

●手話通訳者を増やすための研修講座を充実させるとともに、手話通訳者の派遣手当を増額するなど、待遇を改善する。市役所に手話通訳者を採用し、聴覚障がい者を直接支援する体制を強める。

●障がい者サービスは介護保険対象年齢の65歳以上になると、介護保険サービスが優先となり原則1割負担となる。介護保険優先の原則は速やかに廃止し、介護保険対象年齢になっても従来から利用していたサービスを継続できるようにするとともに、障がい者本人が障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるように国に強く求める。

15、教育について

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 2016年度のいじめの実態が最多との報道があった。これまでも体罰や暴力、家庭の経済状態による教育格差の拡大、その異常さが国際機関から厳しく指摘されている。過度の「競争」や「管理」等、様々な問題に多くの国民が心を痛めており、教育の深刻な行き詰まりの打開が求められている。しかし安倍政権は教育予算を切り縮め「海外で戦争する国」「弱肉強食の経済社会」の中での役割を果たす人づくりのため、教育委員会制度を改悪し「道徳の教科化」等、教育内容への介入を強めていることは問題である。

●人権侵害と暴力である「いじめ」の根絶をめざす。「いじめ」の放置や隠ぺいは学校における「安全配慮義務」違反であることを明確にして対応する。いじめの疑いがある段階で様子見せず、全教職員、全保護者で情報を共有し、被害者の安全を確保し加害者へもしっかり対応する。そして、子どもの自主的活動を育み、いじめをやめる人間関係を子どもたちの中につくる。

●現場教職員や保護者からの強い要望である全学年での30人学級の早期実現は、いまだにいつになるかも見通せない状況である。市教委は教育効果を認めながらも、特別な支援が必要な子どもや教員の多忙感の解消を優先するとし、30人学級の計画さえ示していない。来年度から県が小学校3年から6年までの35人学級を実施するが、本市独自で30 人以下学級に足を踏み出すとともに、国・県に30人学級を強く要求する。

●5・6年生の35人学級実施について、加配教員からの流用でなく、県費正規教員の増員により実施するよう県に要望する。

●全ての第3子への学校給食費の無料化を直ちに実施し、渋川市やみどり市などの県内実施自治体にならい、完全無料化を第1子や第2子にも拡大することを決断する。
 
●県内中学校が教育目的で実施している職場体験に、自衛隊の相馬原駐屯地や新町駐屯地、埼玉県の朝霞駐屯地などが選ばれている。昨年市内3つの中学校が自衛隊を選び、今年度も数校が実施している。自衛隊群馬地方協力本部のホームページに、職場体験だよりとして、各年度の実施校名と日が記載され、生徒が迷彩服を着て敬礼する姿や、ミサイル操作、射撃訓練などの写真が掲載され、「遊びながら学べます」「将来は自衛隊で決まり」などの記載も公表されていた。これらの行為は、戦争を二度と繰り返さないと決意し平和主義を基本とし
て制定された憲法学習とは明らかに矛盾する。自衛隊での職場体験はただちに中止する。

●文部科学省は、一昨年学校統廃合についての方針を58年ぶりに改訂し、全学年の6学級以下の小学校や3学級以下の中学校の統廃合をすみやかに求めるなど、小中学校の適正規模化を推進し、財務省も全国の小規模校の統廃合推進の立場で教職員削減をすすめている。これらに追随し、小規模校のデメリットをことさら強調して学校統廃合を推進することはやめる。

●市長は全国70余の自治体首長が参加する「教育再生首長会議」に幹事として参加している。同会議は、「日本軍慰安婦は無かった」「日本の戦争は自存自衛とアジアの開放が目的だった」等の特異な立場に基づいた教科書の選定を促進し、愛国心を強調する道徳教育の強化を求めている。政治的介入から教育の自由と自主性を守るためにも、市長は同会議から直ちに退会する。

●学校の耐震改修工事などがほぼ終了したので、トイレの洋式化やエレベーターの設置などの改修工事を直ちに進める。

●老朽化している公民館の建て替えを急ぐと共に、当面多目的トイレや授乳室、エレベーター設置などの改修を実施する。

●宮城中学校の体育館は老朽化しているので大規模改修を行う。
また、隣接する宮城体育館の利用については合併時の約束でもあり中学校の部活動や行事への利用を保障する。

●宮城小学校スクールバスの運行路線を苗ケ島地区も含めて見直し拡充し、遠距離通学児童の利便性をさらに図る。

16、原発問題について

●どの世論調査でも、原発の再稼働反対は国民の中の揺るがない多数派である。約2年に渡って「稼働原発ゼロ」となり、日本社会が原発ゼロでもやっていけることも証明されている。東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働が最大の争点となった県知事選に続き、原子力規制委員会が再稼働へ審査書案を了承し、東電を「適格」とするなか、米山新潟県知事は福島原発事故の検証をすることなしには柏崎刈羽原発の再稼働は認められないと明確に述べている。しかも、国が予定している原発を再稼働すれば、計算上わずか6年で、すべての使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になる。「核のゴミ」(使用済み核燃料)の問題を深刻化させるだけである。再処理をすればプルトニウムが出るが、日本は、すでに国内外に47トンものプルトニウムを保有している。本来、核拡散防止の観点から利用目的のないプルトニウムの保有はできない。
「原発ゼロ」の政治決断を行い、原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入り、再稼働させた原発は停止し、輸出もやめるよう国に求める。

●再生可能エネルギーの普及は世界の大きな流れである。「原発ゼロ」に踏み出したドイツでは、再生可能エネルギーが2015年に発電量の30%に達した。日本の再生可能エネルギーによる電力供給は今14〜15%にすぎず、2030年度でも22〜24%にすぎない(政府の「需給見通し」)。「原発固執政治」が再生可能エネルギーの普及の最大の障害となっている。
 2030年までには電力の4割を再生可能エネルギーでまかなう目標を掲げ、省エネ・節電の徹底と再生可能エネルギーの大幅導入の計画を立てて実行するよう国に求める。

●電力会社による再生エネルギー「買い取り拒否」をやめさせ、家庭や市民共同の取り組みに適正な買取価格を保障するよう国に求める。なお、乱開発にならないように環境保全や住民の健康に配慮しながら推進する。


17、環境行政について

 前橋市は環境都市宣言を行い、中核市として環境各法令に関する権限が市に委譲されていながら、環境問題を早期に解決する姿勢が大変弱く問題であり取り組みの強化が求められている。

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●関電工が建設を強行している苗ケ島の大規模木質バイオマス発電所は2018年早々に稼働する見込みである。しかし、福島原発事故による森林への放射能汚染はいまだにつづき、これを燃料として燃やすことにより、地下水や大気への放射能汚染の危険性について周辺住民をはじめ市民から引き続き不安の声が寄せられている。市が定めた「前橋市自然環境、景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」だけでは、事業者に対する強力な指導監督をすることはできない。関電工が定めた自主管理基準では数値が高すぎる。放射能汚染に対する本市独自の基準を明確にして厳しく規制する。
 市として燃料の調達先について具体的に説明を求めるとともに、ゲルマニウム型半導体機器を使った燃料のサンプル調査・廃液の値・飛灰・煤塵の値を定期的に調査し放射性物質の測定を行い公表する。さらに、放射能の常時監視や騒音防止対策など近隣住民が求めている関電工との「環境保全の覚書」について、市が積極的に関与して早期締結を実現させる役割を果たす。

●上細井地域の傾斜地に設置されている大規模な太陽光発電設備は台風や風雨による劣化などにより、土砂の崩落や倒壊の危険性が指摘されている。このような、危険性のある太陽光発電設備の設置個所に対し、事業者へ適正な管理を求める新たな規制を実施する。

●ベイシアが出店した前工跡地については六価クロムなどの重金属による土壌汚染があるので常時監視する。田口町の水道水源の発がん性物質テトラクロロエチレン汚染、荒口町の群馬化成産業の悪臭問題は長期化しているのでただちに解決する。

●(株)大同特殊鋼が販売した基準を大幅に超えたフッ素や六価クロムを含む鉄鋼スラグは、前橋市内の道路や下水道工事に使われている。低濃度汚染でも重金属は市民の健康被害を発生させるので、県とも連携して汚染スラグを撤去する。

●旧4町村地内では大規模太陽光パネルを設置をするために大量の土砂搬入が行われ、騒音・振動・道路の破損など環境が破壊され重大な被害を及ぼしている。土砂条例を改正して、近隣住民等への説明会の開催を義務化するとともに条例に基づく指導監督を徹底する。


18、中小・零細事業者支援について

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在である。
ところが、安倍自公政権のすすめてきた経済政策―いわゆるアベノミクス、さらに消費税の大増税、社会保障の改悪は、中小企業にあらたな困難をつくりだしている。消費税増税による物価値上げにくわえて、日銀の「異次元金融緩和」によってつくりだされた円安は、原材料費などの値上がりで中小企業の経営を圧迫している。アベノミクスによる異次元の金融緩和は、円安と株高がすすんだだけで経済の現場に資金が供給されることはなく、中小企業に対する資金繰りでは信用保証協会の保証が部分保証に改悪されるなど厳しさは続いている。このような中、県内の事業所数は2012年に比べて4100事業所も減少し、中でも従業者規模で6割を占め1〜4人の規模の事業所の減少が最も多い結果となっている。

●前橋市内の製造業者は下請代金の引き下げにより、相変わらず厳しい経営状況が続いている。下請代金法は独占禁止法の特別法であり、下請代金法の適用がなくても、「親法」である独占禁止法に戻って不公正な取引を取り締まることが可能である。独占禁止法の厳格な運用や課徴金の引き上げなどの改正・強化によって、中小企業にかかわるすべての取引について、大企業による「優越的地位の濫用」をなくすよう国に求める。

●本市は大型店の出店が全国でもトップクラスである。大型店の身勝手な出店・撤退は、地域の商店街・小売店を衰退させ、各地で「買い物難民」を生むなど、地域の存亡にかかわる問題を引き起こしている。欧米では、自治体が大型店を規制するルールが各国で具体化されている。大型店の出店・撤退等による生活環境や地域経済への影響評価と調整・規制を行う「大型店・まちづくりアセスメント」などのルールをつくる。規制対象となる大型店の床面積を現行の1万平方メートル超から3千平方メートル超にするなど、「まちづくり3法」の抜本改正をすすめるよう国に求める。

●本市でも多くの事業者が経営しているコンビニエンスストアなどフランチャイズ形式の取引・経営で働く人は250万人、売り上げは24兆円にのぼるが、ここには、日本の「ルールなき資本主義」「日本社会の在り方を問う問題」が起きている。本部の加盟店に対する関係では、24時間労働の強制、ロイヤルティーという名の不当な利益の吸い上げ、値引き販売の禁止、近隣への出店、一方的な契約の打ち切りなどの優越的地位の濫用、著しく不公正な関係が横行している。加盟店に本部との交渉権を保障し、契約内容やロイヤルティーの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」を制定するよう国に求める。

●国の中小企業予算は1967年に一般歳出比でピークの0・88%を記録していたが減少傾向にあり、2017年度は0.31%の1810億円と史上最低を更新した。中小企業に冷たい予算のあり方を転換し、当面、一般歳出の2%、1兆円程度に増額し、日本経済の「根幹」にふさわしい本格的な施策が進められるよう国の中小企業対策費の増額を求める。

●「住宅リフォーム助成制度」は全国で603自治体に達し(2015年全商連調査)県内では35自治体中24自治体が実施している。住環境の改善整備で住民に喜ばれるとともに、波及効果の大きさで地域経済対策としても大きな威力を発揮している。2011年から2014年まで実施した耐震・エコ・子育て・バリアフリーに限定した本市の制度ではなく、高崎市のように、屋根や外壁の塗装や畳替えなど市民が使いやすい住宅リフォーム助成制度に改善して創設する。

●高崎市が、2013年4月に創設した「まちなか商店リニューアル助成事業」は、全国55自治体まで広がっている。個々の商店の改装や店舗等で使用する備品の費用などへの助成を行っている。本市のまちなか店舗ホスピタリティー事業も、中心市街地活性化区域で備品以外などの改修工事などと限定せず、市内全域を対象にするなど事業を拡充する。

●公共工事を受注した事業者や下請け事業者等は、市の定める賃金以上を支払うことを義務付ける下限報酬額を公契約条例に明記する。

●小口資金に係る保証協会への保証料全額補助を2019年度以降も継続する。

19、農業振興について
 
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●農業は2000年代に入って、15年間の平均で総産出額が7%減となり、農業所得は13%ものマイナスとなっている。10年間に中心となる担い手(基幹的農業従事者)が、52万人(26%)減った。先進国で最低レベルの食料自給率は、さらに悪化して38%である、これを50%に引き上げることを目標に農業を再生すべきである。ところが安倍政権は、農業でも「競争力強化」と言いながら、農業経営を支えてきた所得補償である米の直接支払交付金制度を廃止しようとしている。農業を基幹産業として位置付け地域振興策として、「新規就農者支援法」の創設を行い新たな担い手を増やすとともに農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化するよう国に求める。

●本市の農畜産物は全国でも有数の産出額を誇っている。とりわけ酪農や肥育、養豚など主要農産物が大きな打撃を受ける多国間との経済連携協定(TPP・日欧EPA及び日米FTA)は歯止めのない農産物自由化に道を開くものである。国民の暮らしや地域経済への影響も明らかにしないまま締結を急ぐことは許されない。農林分野でTPPを上回る譲歩をしていることも大きな問題である。経済主権、食料主権の尊重の上に立った、公正・平等な貿易と投資のルールをつくることが必要であり、多国間及び2国間との経済連携協定の撤回・中止を国に求める。

●農業経営が厳しい中で担い手も高齢化が進んでいる。農業機械の導入助成制度は認定農家に対してはさらに増額し、遊休農地の対策として小規模農家に対しても助成する。

●本市の中山間地は地域の自然環境や国土の保全など多面的機能を持つ重要な地域でありながら農業者にとって条件不利地域である。長野市の中山間地施策に学び、平地と比べて反当りの収穫量が少ないために安定した農業経営ができない農業者への支援として収穫量に応じた作物への助成や種苗購入費などの助成を実施する。

●農業者の耕作意欲を減退させ作物に深刻な被害を広げている有害鳥獣対策については、
電気牧柵の設置の助成は1戸からでも実施できるようにする。緩衝帯を設けるため、篠藪や竹藪などの刈り払いを毎年計画的に実施する。高齢化している有害鳥獣捕獲実施隊の後継者育成支援を強めるなど、国・県と連携し抜本的に強化する。

●本年認証されたスローシティ(チッタスロー)は観光に力を入れながらも、農業・農村
を保全し、地域のコミュニティーを大事にして地域住民と共に連携し、発展させることが重要である。対象地域への農業支援を強め、小規模農家も大規模農家も維持発展させ、後世に継続できる農業農村をめざし、地道にきめ細かく支援する。さらに、みなかみ町の「たくみの里」のように、農商工の連携による農作物を加工し製品化、直売できる施設もつくるなど観光バスも立ち寄れる魅力ある拠点施設が求められる。また、岩手県葛巻町では、特産品の開発に力を入れて、町職員をフランスまで長期研修させてワイナリーを設置して開発して販売している。このような全国の取り組みに学び、その経験を本市のスローシティ推進の施策に反映させるとともに、長期的な展望を持ち本格的な取り組みを進める。

?川場村の「道の駅」は地域に誇るべき観光や特産品がない中で、地元農産物に付加価値
をつけ、米のブランド化・ピザ工房・地ビール・ヨーグルトなどの特産品を次々と開発し、年間170万人も訪れる日本一の施設に発展させている。本市が整備する「新道の駅」は、このような取り組に学ぶとともに、JA前橋・各種農畜産生産団体や市民の意見・要望を十分聴取して事業に反映させる。

20、公共交通について

●2016年1月23日からタクシー運賃の一部を助成するデマンド相乗りタクシー「マイタク」の運行が開始された。高齢化が進展する中で、交通弱者である高齢者の通院や買い物を支援する制度として昨年度の登録者数が18654人。うち約6割が利用し、助成額も約1億3300万円を超え、利用が伸びて市民に喜ばれている。利用料金では、1500円以内が約66%、2000円以内が約80%で、日常的な近隣での利用が多くなっている。

・近距離を利用する場合には好評であるが、郊外から市中心部への移動など長距離を利用する場合は運賃の負担が重いために利用をためらうという感想が多く出されている。郊外に住む高齢者の要望に沿って、距離に関係なく低額固定料金で利用できる本来のデマンド方式の運行形態に改善するなどの対応を迅速に行う。

・市はマイタクのマイナンバーカード利用の社会実験を行うが、利用許可証との併用期間を経て、カードへの一本化を図ろうとしている。しかし、高齢者がマイナンバーカードを持ち歩くことになれば、紛失や情報漏えい、犯罪被害に合う危険が増大するので、市独自のマイタク専用のカードを作る。

・利用者が増大するなか、サマーレビューでは、市は制度の見直しを検討しているが、利用料金助成の引き下げや、助成回数の削減、利用対象者の絞込みなど助成金を減らすための見直しは問題である。高齢者の外出の機会を増やすことで、福祉に係る予算の増大を抑える役割も評価し、制度の縮小をやめる。

●現在4路線で運行しているマイバスは、住民要望を反映し運行の改善を行うとともに、新規路線の運行についても積極的に導入する。

●総社、清里、下川、城南、山王、芳賀、田口地区などの交通不便地域にデマンド交通などの新規路線を運行する。

●「ふるさとバス」と「るんるんバス」は、停留所方式から自宅から目的地に直行するドア・ツー・ドアー方式に改善するとともに、運行区域を拡大し利便性を高めるよう改善する。

?高齢化が進行しているので、バス事業者とともに協力して、バス停留所に椅子や屋根や風よけを計画的に整備する。

?JR前橋駅と新前橋駅間の複線化や、前橋駅始発の湘南新宿ラインの増発を国やJRに求める。また、上越線や吾妻線の下り電車利用者は新前橋駅で乗り換えなくてはならず不便を強いられている。上野から上越線や吾妻線の直通電車の運行を働きかけていく。

?上毛電鉄の沿線に花木などの植栽を行ったり、見どころ食べどころなどを紹介するマップを作る。また、前橋の祭りや児童公園、フラワーパークなど各種施設と連携した割引特典を作るなど上電の利用拡大に向けた支援を行う。

21、まちづくりについて

安倍政権のアベノミクス成長戦略は、「世界と戦える国際都市の形成」(日本再興戦略)など、都市を競争力強化の舞台のひとつに位置付けて都市再生政策をすすめている。そのもとで、民間都市再生事業を実施する大企業・大手不動産会社には、2011年〜15年の5年間だけでも143億円もの減税で優遇している。さらに、都市計画手続きを簡素化する「国家戦略特区」の指定や容積率の規制緩和、不動産証券化など不動産投資、PPP・PFIなど民間資金活用等のやり方で、大手不動産・都市開発会社がすすめる大規模再開発事業の誘導・支援を強めている。
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しかし、こうしたまちづくり政策は、人口減少社会のもとで、いっそう東京などの大都市や拠点都市への集中を加速し、地方の衰退と疲弊をさらに押しすすめ、地域間格差を拡大させ日本の国土を荒廃させる道である。まちづくりや公共事業政策で大事なのは、国民のいのち・安全、暮らしに必要な事業を見定め、新規の高速道路や大規模再開発を優先せず、耐震化対策や老朽化対策など既存社会資本の維持管理・更新を優先すべきである。

●人口減少や財政難、生活道路や市営住宅などの本市の社会資本の老朽化が進行する今、国の地方創生事業に追随する日赤跡地の前橋版CCRC構想、26階建ての複合ビルを建設する前橋駅北口再開発事業、上武道沿線に新設する北関東最大規模の「道の駅」計画などの大規模開発事業のために、公共事業予算を増額すべきではない。市民の意見も十分聴取し、このような新規の大型開発事業計画を縮小・抑制し、既存社会資本の老朽化対策や防災対策など維持管理・更新事業へ予算の使い道を切り替える。

●コンパクトシティーをめざすまちづくりのための「立地適正化計画」の策定に当たっては、住民の意見を十分聴取して住民合意を前提に都市施設誘導区域や居住誘導区域の線引きを行う。住民不在の都市再生政策とならないよう、高齢者、子育て世代、低所得者などの命・安全、暮らしを最優先する「住民が主人公」のまちづくりを進め、住環境や景観、コミュニティを守る。

●都市再開発や土地区画整理事業などについては、まちづくりへの住民参加をいっそうすすめ、事業の長期化と日常生活の不便をもたらす区画整理事業の市内12カ所もの同時施行をやめ、住民主体の計画づくりや事業化に改める。狭隘道路や通学路の拡幅や安全対策などは、面的整備の区画整理事業を画一的に優先せず、用地買収や公共用地の先行取得による等価交換などの手法を使い、国の補助金を得られる街路整備事業等を選択して生活道路をできる限り短期間に整備して住民要望に応える。

●市営住宅は、法制度の改悪で、ごく限られた低所得者しか入居できないため、居住者の高齢化などにより自治会活動など、住民の共同活動も困難を抱えている。さらに「住宅に困窮する低所得者に低廉な家賃で賃貸」する市営住宅はニーズが高いにもかかわらず、多くの住棟が老朽化しているために、本市市営住宅約5千戸余りの管理戸数の2割・1000部屋が空き部屋となっている。維持管理予算を大幅に増額し、修繕やエレベーター設置を促進し空き部屋を早期に解消する。また、入居条件を緩和して、芳賀や江木などの郊外立地の団地には若年単身者の入居を認める。

●都市公園法が改正され一定規模内の民間開発が認められたが、市民の健康増進や余暇を楽しむ都市公園内に、営利目的の施設整備を行わない。

22、水道事業について

●水道事業の目的は「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与する」(水道法第1条)と定めており、水質の安全管理、資源・水質の保全、料金などについて、きわめて高い公共性を求めている。
 それは、ひとたび事故が発生すれば、一挙に人命にもかかわる大量の被害を生み出しかねない事業であり、利潤追求には根本的になじまないからである。それにもかかわらず国の水道事業の規制緩和によって、全国的には水道事業全体を一括民間に委託する自治体が増えつつあるが、安全性確保や市職員の水道技術の継承の上からも、料金徴収業務と水道施設の維持管理も含めてすべて直営に戻して事業を運営する。

●経営努力によって水道料金の値上げを回避しているが、市民生活に不可欠な飲み水に消費税を課税していることは認められない。直ちに非課税とする。

●昨年度の1日平均給水量は13万1,000㎥で、そのうち約45%が地下水を水源とする自己水で、残り55%が利根川を水源とする群馬県企業局の県央第一と第二水道から受水している。水需要が減少しているにもかかわらず県央水道からの受水を続けて豊かな地下水の利用を抑制していることは税金の無駄遣いである。
昨年度、県に対して受水料を17億円も支払っている。県央第二水道の受水単価が今年度から5円引き下がり年間4200万円の負担軽減が見込まれているが、県央水道の受水単価は本市自己水の2倍も高くなっており、他の受水自治体とともに群馬県と交渉し、受水契約を見直して自己水比率を高めて水道料金の値上げにつながらないようにする。

●水道料金の滞納世帯への給水停止措置を、生活困窮世帯や生活保護世帯を含めて機械的に行っていることは問題である。今、貧困と格差が拡大している中でのライフラインの停止は、餓死者や孤独死を生む原因になりかねない。給水停止は、滞納世帯の生活実態を十分把握した上で、支払う能力がありながら支払う意思のない世帯に限定すべきであり、直ちに停水基準を見直す。

●東京都や横浜市などのように低所得者を対象に基本料金を減免する制度を創設するとともに、福祉部門とも連携を深め水道料金滞納世帯の生活再建支援策を講ずる立場に立つ。

●赤城山麓の水源地域である宮城地区に大規模な木質火力発電所が建設され、汚染水が地下浸透されようとしている。「地下水保全条例」を制定し、地下水の汚染防止や涵養に関する事項、大口くみ上げ企業に協力金を課す事項を定め、地下水保全のための財源確保と無制限なくみ上げを規制する。

●敷島浄水場の新配水塔の建設にあたっては、景観を壊さないように市民の意見も聴取して、設計上の配慮を十分講ずる。

23、防犯・防災体制の強化について

 防災対策は、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策だけでなく、災害の発生を抑え、被害の拡大を防止するための予防対策を重視した対策に転換する必要がある。

●集中豪雨などによる、利根川など市内河川の増水時などの監視体制を強化するとともに、河川堤防の点検や補強など、国・県とも連携し必要な対策をすみやかに講ずる。

●学校・病院・福祉施設、企業、大規模店、工業団地、地域ごとの自主防災組織づくりを強める。地域の自主防災会の設立時補助金は、2018年度で補助金交付を廃止せず、全地域で自主防災会が設立できるよう支援を継続する。

●食料や生活必需品などの備蓄計画については、大雪や地震などの災害時は交通手段が途絶え、大型店などで食料・水、防災用具の売り切れ、民間事業者も普段は大量備蓄していないなどの実情を考慮し、生活物資の備蓄計画数の見直し・縮小は行わない。

●避難行動要支援者に対する防災ラジオの無償配布を継続する。

●山間部の急傾斜地の土砂崩れなどの災害発生を防ぐために、県と連携し危険個所を調査し対策を講じる。

●防犯灯の新設工事に対する市の設置予算を2019年度で終了せず、地域の設置要望は多いので引き続き継続する。

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