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活動報告

2020年度前橋市の予算編成に関する日本共産党の要望書(2)【2019/12/3】

15、教育について
 教育の主人公は子どもである。教育は、子どもの学び成長する権利を満たすための社会の営みであり、そこでは子ども一人ひとりの個人の尊厳が何より大切にされなければならない。政治の中心的な役割は、そうした教育が自主的に豊かに営まれるよう、条件整備で支えることである。ところが、日本の教育予算の水準(教育への公財政支出のGDP比)はOECD最下位クラスである。
 安倍政権は「お金は出さず、口は出す」と言わんばかりに、教育基本法に「愛国心」を加えるなど教育への権力的介入を繰り返してきた。それは、「戦争する国づくり」「弱肉強食の経済社会」という政権の「国策」に従う人づくりのために他ならない。それだけに日本の教育には、欧米諸国には見られないような多くの歪みがある。例えば、国際人権規約では大学教育の段階的な無償化が定められているのに、日本の学費は上がり続け、国民の負担は限界である。
 また、学校では過度の管理と競争が押し付けられるもとで、子どもの人権が大切にされず、いじめも不登校の子どもも増え続けている。さらに、教員の異常な長時間労働が社会問題となったが、その根本には、定められた授業数に比して余りに教員が少ないという問題がある。憲法と子どもの権利条約の立場から、こうした歪みをただし、自主的で豊かな教育が花開くように、教育政策を転換すべきである。
?政府が進めた道徳の教科化は、特定の道徳を上から子どもに教え込むもので、市民道
徳のあり方に反している。教科化をやめ、学校生活全体が基本的人権と子どもの権利を大切にし、そのなかで子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成をはかれるような市民道徳の教育にきりかえるよう国に求める。

?現在の「小学校英語」や2020年度正式導入の「小学校英語の教科化」は、体制なし
に形だけ「英語」教育をすすめるもので、英語教育の専門家や教育現場から批判と疑問の声がおきている。豊かな英語教育へ国民の各分野の英知をあつめて再検討するよう国に求めるとともに、全小学校に当面英語の教科専科教員を配置する。

?人権侵害と暴力である「いじめ」の根絶をめざす。「いじめ」の放置や隠ぺいは学校
における「安全配慮義務」違反であることを明確にして対応する。いじめの疑いがある段階で様子見せず、全教職員、全保護者で情報を共有し、被害者の安全を確保し加害者へもしっかり対応する。

?現場教職員や保護者からの強い要望である小中全学年での30人学級の早期実現は、
いまだにいつになるかも見通せない状況である。市教委は教育効果を認めながらも、特別な支援が必要な子どもや教員の多忙感の解消を優先するとし、30人学級に向けての年次計画さえ示していない。小学校3年から6年までの35人学級は実施しているが、異常な教職員の長時間勤務の状況を軽減し、子どもたちにゆき届いた教育が図れるように、早期に本市独自で30 人以下学級に足を踏み出すとともに、国・県に30人学級を強く要求する。

?5・6年生の35人学級実施について、加配教員からの流用でなく、県費正規教員の増
員により実施するよう県に要望する。

? 小中学校の給食費を完全無料化する。

?「1年単位の変形労働時間制」は、繁忙期に1日10時間労働まで認め、閑散期に労
働時間を減らし平均して1日あたり8時間に収めるという制度である。“寝だめ”ができないことに象徴される人間の生理を無視した働かせ方である。現在でも「過労死ライン」とされる月80時間以上の時間外労働をしながら、授業準備が十分にできず、困難を抱える子どもが増える中で、子どもに向き合う時間がとれないことに悩んでいる。この打開策として「1年単位の変形労働時間制」の導入ではなく、教員を抜本的に増員するように国に求める。

?文科省事務次官通知を受けて、教職員の多忙化の解消のため、教員間での業務の在り
方などの検討と管理職の役割、夏休み期間中の高温時のプール指導、試合やコンクールなど勤務時間外に行われる指導、研究指定校としての業務などを見直し改善を行う。

?中学校での部活動については改善しているが、授業に支障をきたしかねない朝練の
自粛や生徒の健康管理のためにも平日での休養日や土日の部活動の制限を教育委員会として引き続き指導する。顧問である教員が個人負担することのないよう、遠征旅費など部活動にかかる費用については公費で負担する。

?学校図書館従事職員については、通勤手当を支給する。また新年度から会計年度任用
職員になるが、不安定なパートタイムからフルタイムに切り替える。

?県内中学校が教育目的で実施している職場体験に、自衛隊の相馬原駐屯地や新町駐
屯地、埼玉県の朝霞駐屯地などが選ばれている。戦争を二度と繰り返さないと決意し、平和主義を基本として制定された憲法学習とは明らかに矛盾する。自衛隊での職場体験はただちに中止する。

?文部科学省は、2015年に学校統廃合についての方針を58年ぶりに改訂し、全学年の
6学級以下の小学校や3学級以下の中学校の統廃合をすみやかに求めるなど、小中学校の適正規模化を推進し、財務省も全国の小規模校の統廃合推進の立場で教職員削減をすすめている。これらに追随し、小規模校のデメリットをことさら強調して学校統廃合を推進することはやめる。
?タブレットを全教職員に配布し、教職員が作成した文書等をメールで作成した教材
などを送受信できるようにする。

?市長は全国70余の自治体首長が参加する「教育再生首長会議」の構成員として参加
している。同会議は、「日本軍慰安婦は無かった」「日本の戦争は自存自衛とアジアの開放が目的だった」等の特異な立場に基づいた教科書の選定を促進し、愛国心を強調する道徳教育の強化を求めている。政治的介入から教育の自由と自主性を守るためにも、市長は同会議から直ちに退会する。

?学校の耐震改修工事などがほぼ終了したので、トイレの洋式化やエレベーターの設
置などの改修工事を直ちに進める。小中学校の体育館は災害時の避難所ともなるのでトイレの洋式化やエアコンの設置を行う。

?理科室や図工室などの特別教室にエアコンを設置する。

?老朽化している宮城や上川渕公民館などの建て替えを急ぐと共に、当面多目的トイ
レや授乳室、エレベーター設置などの改修を実施する。

?宮城中学校の体育館は老朽化しているので大規模改修を行う。また、隣接する宮城体
育館の利用については合併時の約束でもあり中学校の部活動や行事への利用を引き続き保障する。

?就学援助については、生活保護利用者に準じる「準要保護者」の所得基準(生活保護
の所得基準の1・1倍)を引き上げる。国が認めているPTA会費・生徒会費・クラブ活動費に関する費用も就学援助対象にする。

16、個人の尊厳とジェンダー平等について

男女平等のレベルを示す「ジェンダーギャップ指数」で、日本は149カ国中110位。世界の国々の努力にも学んで、ジェンダー平等社会へと変えなければならない。
今、「性暴力やハラスメントを許さない」「女性をモノ扱いにしないで」と声をあげる女性や若者たちの運動が起きている。勇気をもって声をあげた人たちを孤立させてはいけないと、MeToo、WithYouの波が日本でも広がっている。性の多様性を認め合い、性的マイノリテイへの差別をなくし尊厳をもって生きることを求める運動も年々大きくなっている。
しかし、その一方で、性暴力やセクハラ被害を告発した女性へのバッシング、医科大入試での女子受験生減点、女子大生を性的にランク付けする週刊誌記事など、許しがたいことが起きている。声をあげた人を決して孤立させず、また、声をあげられずに苦しんでいる人たちの痛みを自分の痛みとして受け止めることができる社会環境をめざすべきである。

?セクハラ、パワハラ、マタニテイーハラスメントなどが大きな社会問題になっている。
ハラスメントは個人の尊厳・人格を傷つけ、多くの被害者が事後の適切な対応はおろか謝罪さえ受けることなく、心身に不調をきたしたり、休職・退職に追い込まれたりしている。セクハラを禁止する法規定がない国は、OECD加盟36カ国中では、日本を含む3カ国のみ。政府は、セクハラ、パワハラ対策を盛り込んだとする女性活躍推進法等改定を国会で成立させたが、この法律にはハラスメント禁止規定が盛り込まれていない。
ILOは、今年6月には「労働の世界における暴力とハラスメントを除去する条約」を採択した。我が国でもこの条約を批准できる水準にするために、改定した女性活躍推進法に対してハラスメント禁止規定を明確に盛り込む法整備を国に強く求める。

?学校やスポーツ団体、大学・研究所など、社会のあらゆる分野でハラスメントをなく
すために、国としての実態調査とそれぞれの分野に対応した相談・支援体制をつくることを国に強く求めるとともに、本市でも各部署と連携を取り男女共同参画事業を抜本的に拡充し、各種ハラスメント根絶のために相談・支援体制を整備し取り組みを強化する。

?市民や市職員へのジェンダーフリーの啓発のため、研修を行う。

?LGBTの人が安心して利用できるよう、多目的トイレの設置をさらに拡充する。

17、原発について
東電福島原発事故で、原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり、「原発安全神話」は完全に崩壊した。ところが安倍内閣は、2018年7月閣議決定の「エネルギー基本計画」で、原発を「重要なベースロード電源」として将来にわたって維持・推進するとともに、2030年度の電力需要の20〜22%(2200〜2300億kW時)を原発で賄うとする「長期エネルギー需給見通し」の実現を明記した。
 この計画を実施するなら、廃炉が決定・表明されたものを除いて、福井県・美浜原発3号機や茨城県・東海第2原発など老朽原発を含む、既存原発33基の再稼働だけでなく、建設が進む島根3号と大間に加え今後本格建設が計画されている東京電力東通1号の稼働まで視野に入れたものとなっている。
いま日本は、原発を再稼働させ原発依存社会を続けるのか、再稼働を許さず「原発ゼロの日本」にすすむのか、大きな分かれ道に立っている。わが党は2018年3月、「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(原発ゼロ基本法案)を、立憲民主党、自由党(当時)、社民党とともに国会に提出した。 
本市においても、避けられない原発事故から市民の安全を守るためにも、政府が進める原発の再稼働と輸出という無謀な道を許さず、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」の実現をめざすという立場に立つべきである。

?世論調査では、原発の再稼働反対が6割に達している。深刻な事故の再発に「懸念が
残る」とする人が8割を超え、「原発ゼロ」、「即時ゼロ」と「将来ゼロ」を合わせて75%に達している。「原発ゼロ」の政治決断を求めるとともに、原発の再稼働を中止し、全原発を廃炉のプロセスに移行させ、輸出もやめるよう国に求める。

?原発の再稼働を申請している東電柏崎刈羽原発と東電東海第2原発は、事故発生時に
は市民に重大な影響が及ぶ。再稼働しないよう強く国に求める。

?2009年11月から開始された電力会社による「余剰電力買取制度」が10年を経過し、
今年度で中止される。今後、引き続き売電できるかどうか、また売電できたとしても、価格がどれくらいになるのか、依然未定である。
資源エネルギー庁によると、2019年に買取終了を迎える太陽光発電設備は、35〜40万件にのぼると見込んでおり、そのあとも毎年数万件単位で終了を迎える世帯が出てくると発表している。国は住宅用太陽光発電設備(10kW未満)が設置されている住宅が蓄電池や蓄熱設備を設置する場合、設備費と工事費の一部を補助することを検討しているが、市としてその確実な実施を求める。

?再生可能エネルギーであるメガソーラーや木質火力発電などの設置についても、自然
環境や景観破壊、住民の平穏な暮らしを脅かす乱開発にならないように十分配慮する。

18、環境行政について
前橋市は、環境都市宣言を行い、中核市として環境各法令に関する権限が市に委譲されているにもかかわらず、環境問題を早期に解決する姿勢が大変弱く問題であり、取り組みの強化が求められている。

?関電工が推進する苗ケ島の大規模木質バイオマス発電所は、近隣住民の不安や反対
を無視して昨年3月稼働を開始したが、福島原発事故による汚染された間伐材を燃料として燃やせば、発生する地下水や大気への放射能汚染の危険性があることの不安は払しょくされていない。バイオマス燃料は年間8万トンも燃やすとされている燃料の調達先を住民が求めているにも関わらず明らかにしないまま操業している。しかも、騒音・排ガスなど環境配慮計画に基づく測定結果すら公表していないことは問題であり、ただちに公表を求める。

?市として燃料の調達先について具体的に説明を求めるとともに、ゲルマニウム型半
導体機器を使った燃料のサンプル調査、廃液・飛灰・煤塵の値を定期的に調査し、放射性物質の測定を行い公表する。

?度重なる台風や豪雨などの大規模災害により、全国で傾斜地に設置されている大規
模な太陽光発電設備が倒壊している。水につかり感電事故や火災など二次被害も起きている。また、初期に設置した設備の劣化も心配されている。市内に設置されている太陽光発電施設の安全性を調査し現状を把握するとともに、再エネ条例を改正し、対象地域を全市域とし設置基準を強化する。さらに、建築基準法にも適用するよう国に求める。

?旧4町村では大規模太陽光パネルを設置するために大量の土砂搬入が行われ、騒音・
振動・道路の破損など環境が破壊され重大な被害を及ぼしている。土砂条例を改正して、近隣住民等への説明会の開催を義務化するとともに条例に基づく指導監督を徹底する。

?ベイシアが出店した前工跡地については、六価クロムなどの重金属による土壌汚染
があるので常時監視する。田口町の水道水源の発がん性物質テトラクロロエチレン汚染については、群馬県環境保全課に汚染の早期解決を図るよう強く求める。

?荒口町の群馬県化成産業の悪臭問題は改善勧告に基づく施設改修を進めてきたが、
最近、駒形町や城南地域での悪臭の苦情が寄せられている。協定を結んでいる関係自治会とともに、ただちに立ち入り検査を行い、企業に対し抜本的な解決を図るよう求める。

?(株)大同特殊鋼が販売した基準を大幅に超えたフッ素や六価クロムを含む鉄鋼スラ
グは、前橋市内の道路や下水道工事に使われている。低濃度汚染でも重金属は市民の健康被害を発生させるので、県とも連携して汚染スラグを撤去する。

?安中東邦亜鉛も有害スラグの出荷と有害性を認め、調査・改修・撤去を表明した。高
崎市箕郷町のメガソーラーの土台や、民家の庭にスラグが敷き詰められていた。市内にも造成工事などに有害スラグが使われていたか調査し、使用が確認された箇所は直ちに撤去する。

?滝窪町に建設予定の安定型産廃最終処分場については、地下水や河川、周辺環境への
影響を心配する地元自治会などの反対の声を受け止め計画を許可しない。

?出所不明の木材を破砕した木くずを、土壌改良や除草対策として農地に大量投棄さ
れているが、県や市の要項で堆積の深さ20cmと規制する範囲を超え放置していることは問題である。すでに、ヤスデの大量発生など被害が発生している。破砕木くずのリサイクルと産廃の厳格な対応及び適正な処理について、市は明確な基準を設け、排出者に対し適切な指導を行う。
19、中小・零細事業者支援について

中小企業は日本経済の根幹であり、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」中小企業憲章)する存在である。企業の99.7%を占め、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもある。地域に根をおろし、ものづくりやサービスでの需要にこたえ、雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっている。この中小企業を地域経済の主役、日本経済の根幹に位置づけ、それにふさわしい支援策を抜本的に強めることが求められている。
 ところが、安倍自公政権のすすめてきた経済政策は、中小企業と地域経済の未来に深刻な影を落としている。2014年の消費税増税による物価上昇、日銀の「異次元金融緩和」によってつくりだされた円安は、原材料費などの値上がりで中小企業の経営を圧迫し、円安と株高がすすんだだけで、経済の現場に資金が供給されることはなく、中小企業に対する資金繰りでは信用保証協会の保証が部分保証に改悪された。
 このような中、県内の事業所数は事業所内容等不詳を含めると2016年度は92,446件で、2012年に比べて4100事業所も減少し、中でも従業者規模でも6割を占める1〜4人の規模の事業所の減少が最も多い結果となっている。

?前橋市内の製造業者は下請代金の引き下げにより、相変わらず厳しい経営状況が続
いている。下請代金法は独占禁止法の特別法であり、下請代金法の適用がなくても、「親法」である独占禁止法に戻って不公正な取引を取り締まることが可能である。独占禁止法の厳格な運用や課徴金の引き上げなどの改正・強化によって、中小企業にかかわるすべての取引について、大企業による「優越的地位の濫用」をなくすよう国に求める。

?本市は大型店の出店が全国でもトップクラスである。大型店の身勝手な出店・撤退は、
地域の商店街・小売店を衰退させ、各地で「買い物難民」を生むなど、地域の存亡にかかわる問題を引き起こしている。欧米では、自治体が大型店を規制するルールが各国で具体化されている。大型店の出店・撤退等による生活環境や地域経済への影響評価と調整・規制を行う「大型店・まちづくりアセスメント」などのルールを市独自につくる。規制対象となる大型店の床面積を現行の1万?超から3千?超にするなど、「まちづくり3法」の抜本改正をすすめるよう国に求める。

? コンビニエンスストアの店舗数は全国で約5万7000店にのぼり、その業務内容も、商品の販売、税金や保険料の収入代行、ATM、災害時の支援拠点など多岐にわたり、地域を支える重要な役割を担っている。しかし、本部の加盟店に対する24時間労働の強制、ロイヤルティーという名の不当な利益の吸い上げ、値引き販売の禁止、近隣への出店、一方的な契約の打ち切りなどの優越的地位の濫用など、著しく不公正な関係が横行している。さらに、人手不足とオーナーの過重労働による健康被害が店舗経営を一層困難なものにしている。コンビニオーナーの改善を求める声が国会でも取り上げられ社会的批判も高まり、24時間営業の改善も始まっている。
コンビニ本部の横暴を規制しオーナーの待遇をコンビニが担う社会的役割に見合うものにするために、本部との交渉権を保障し、契約内容やロイヤルティーの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」を制定するよう国に求める。
また、市内コンビニオーナーの営業と暮らしを守るために、市として丁寧な相談に応じる。

?県内事業所・企業の中で、従業員1〜4人の事業所は全体の約6割、5〜9人の事業所
と合わせると全体の約8割を占めているが、地域経済の主たる担い手である中小・小規模事業の休廃業・解散が近年急増している。
小規模企業振興基本法に基づき、従業員5人以下の小規模事業者を施策の中心に位置づけた「小規模企業振興基本条例」を制定し、地域経済の活性化並びに住民の生活の向上に資する域内循環型振興施策の創設を求める。具体的には、全事業所の悉皆調査、ヒアリング等の実施、加えて、「産業連関表」を利用した経済指標等参考に地域の特性に即した振興施策を実施する。

?国の中小企業予算は1967年に一般歳出比でピークの0・88%を記録していたが減少
傾向にあり、2019年度は0.29%の1,740億円と史上最低の水準を更新した。中小企業の予算のあり方を見直し、当面、一般歳出の2%、1兆円程度に増額し、日本経済の「根幹」にふさわしい本格的な施策が進められるよう国の中小企業対策費の増額を求める。

?「住宅リフォーム助成制度」は、全国で573自治体に達し(2018年全商連調査)県内
では35自治体中24自治体が実施している。住環境の改善整備で住民に喜ばれるとともに、波及効果の大きさで地域経済対策としても大きな威力を発揮している。2011年から2014年まで実施した耐震・エコ・子育て・バリアフリーに限定した本市の制度ではなく、高崎市のように屋根や外壁の塗装や畳替えなど、市民が使いやすい住宅リフォーム助成制度に改善して創設する。

? 高崎市が、2013年4月に創設した「まちなか商店リニューアル助成事業」は、2018年時点で全国107自治体まで広がっている。個々の商店の改装や店舗等で使用する備品の費用などへの助成を行っている。本市のまちなか店舗ホスピタリティー事業も、中心市街地活性化区域で備品以外などの改修工事に限定せず、市内全域を対象にするなど事業を拡充する。

?公共工事を受注した事業者や下請け事業者等は、市の定める賃金以上を支払うことを
義務付ける下限報酬額を公契約条例に明記する。

?小口資金に係る保証協会への保証料全額補助を2020年度以降も継続する。
? IT化導入補助金などIT関連の補助事業は、小規模事業者の販路拡大、商品開発な
どにとって有効なので、予算額を増やして要望に応える。

20、農業振興について
国民の命を支える農林漁業と農山漁村に崩壊の危機が広がっている。基幹的農業従事者の高齢化や農業人口の減少、耕作放棄地の広がりによる生産基盤の弱体化、先進諸国で最低の食料自給率は38%へ低下したままである。
 今日の事態は、歴代自民党政府が、アメリカ・財界いいなりに食料の外国依存を深め、農産物輸入を次つぎに自由化、国内生産を切り捨ててきた政治に根本原因がある。
 とりわけ安倍政権の7年は、危機に拍車をかける暴走政治の連続で、関税ゼロを原則とするTPPの強行、TPPを上回る譲歩を含む日欧EPAの発効、日米貿易協定署名の強行など歯止めなき輸入自由化を推し進めてきた。
 TPP11が昨年末に発効して以来、参加国からの牛肉輸入は急増しており、日欧EPAも発効直後から豚肉・ワインなどの輸入が増えている。どちらも、今後、段階的に関税の削減や撤廃、輸入枠の拡大が実行に移され、全面的に発動されることになれば農畜産業への甚大な打撃が現実化するのは必至である。
 国内政策でも、農業に大規模化や競争力強化を押しつけ、中小の家族経営は「非効率」として切り捨ててきた。米の直接支払交付金制度廃止など、農地・農協・種子法など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々に解体、沿岸漁場や森林を利益本位の企業に差し出す“抜本改正”を強行したのも安倍政権である。いずれも、現場の声にまったく耳を貸さず、規制改革推進会議などの財界委員の主張を一方的に採用した、安倍首相が公言する「企業が一番活躍しやすい国」づくりの農政版にほかならない。
 安倍政権の農業政策を抜本的に見直し、農林漁業と農山漁村の再生に踏み出すことは、日本社会のまったなしの課題となっている。

? 10月7日に署名した日米貿易協定は、わが国の国益にかなう結果が得られたと安倍首相は繰り返し述べているが、牛肉などの米国産農産物の関税を大幅に引き下げ、トランプ大統領が「米国の農家にとって巨大な勝利」と誇るなど、米国の圧力に屈し日本側が一方的に譲歩したものとなっている。政府は日米貿易協定による関税削減などの影響で、農林水産物の生産額が約600〜1100億円減少し、TPP11と合わせると生産減少額は約1200〜2000億円におよぶと暫定試算を示しているが、特に牛肉や豚肉、牛乳乳製品への影響は大きく、日本農業に壊滅的打撃を与えることになる。
 さらに、同協定には、米国への特恵的待遇と再交渉規定などが盛り込まれており、今後、コメの無税輸入枠の設定などアメリカファーストによる更なる市場開放が迫られることは明らかである。多国間との経済連携協定(TPP・日欧EPA及び日米FTA)は歯止めのない農産物自由化に道を開くものであり、全国でも有数の産出額を誇る本市の農畜産物、とりわけ酪農や肥育、養豚など主要農産物が大きな打撃を受けることは必至である。日本の経済主権、食料主権を投げ捨て、地域経済に深刻な打撃をもたらす日米貿易協定・FTA交渉の即時中止を国に求める。

? 農業は2000年代に入って、15年間の平均で総産出額が7%減となり、農業所得は13%ものマイナスとなっている。10年間に中心となる担い手(基幹的農業従事者)が52万人(26%)減った。本市の基幹的農業従事者も2010年に6,817人であったのが2015年は5,461人に減少している。先進国で最低レベルの食料自給率は、さらに悪化して38%であり、これを50%に引き上げ、農業を再生するためにも農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化するよう国に求める。

? 農業を基幹産業として位置付け地域振興策として、営農定着までの生活費の支援、就農希望者の研修・教育機関の整備、農地や住宅の確保、資金、技術の提供、販路確保などに国・自治体・農業団体などが一体となった総合的な支援体制を確立することを目的とした「新規就農者支援法」の創設を国に求める。
? 新たな担い手を増やすために、青年就農者給付金(農業次世代人材投資事業)の要件を緩和して市独自の上乗せや拡充を行う。

?農業経営が厳しい中で担い手も高齢化が進んでいる。農業機械の導入助成制度は認定
農家に対してはさらに増額し、遊休農地の対策として小規模農家に対しても助成する。定年帰農者などに農業機械、農業施設のリース助成制度などを創設する。

? 本市の中山間地は、地域の自然環境や国土の保全など多面的機能を持つ重要な地域でありながら農業者にとって条件不利地域である。長野市の中山間地施策に学び、平地と比べて反当りの収穫量が少ないために安定した農業経営ができない農業者への支援として、収穫量に応じた作物への助成や種苗購入費などの助成を実施する。

? 農業者の耕作意欲を減退させ作物に深刻な被害を広げている有害鳥獣対策については、電気牧柵の設置の助成は沼田市などのように、1戸からでも実施できるようにする。緩衝帯を設けるため、篠藪や竹藪などの刈り払いを毎年計画的に実施する。高齢化している有害鳥獣捕獲実施隊の後継者育成支援を強めるなど、国・県と連携し抜本的に強化する。

? スローシティ(チッタスロー)は観光に力を入れるとともに、農業・農村の振興策を強めることが重要である。地域資源を生かした6次産業化を進めるうえでも、観光と農業を一致させる支援を強化するとともに、職員を国内外の先進的な自治体に派遣し取り組みを学ぶ。
? 昨年9月に岐阜県で感染が確認された豚コレラは、感染の拡大に歯止めがかからず、
今年9月に埼玉県の養豚場で発症し、10月には藤岡市で野生イノシシへの感染が確認され危機感を強めている。本市は養豚農家68戸20万頭と県内でも有数の飼育頭数を有しており、一日も早いワクチン接種が完了できるように迅速な手続きを進める。
また、ワクチン接種豚については、価格の低下や流通の停滞が心配されるので、今後豚肉の流通を確保するため販売ルートの確保など、地域の養豚が安定的な経営ができるよう、農家や自治体に対し全面的な支援を行うよう国に要請する。万が一、豚コレラが発生した場合には、殺処分した家畜の評価額を再生産可能な価格とし、被害農家への出荷規制期間の減収補償、新たに導入する家畜の販売できるまでの直接所得補償を行うように国に要請する。
21、 競輪事業の民間委託化について
わが党は、戦後復興期の財政難を打開するための公営ギャンブルが継続実施されていることや、ギャンブル収入を自治体の財源にする競輪事業には問題があると指摘している。直営による競輪事業の見通しが困難なら、民間委託を考えるのではなく、赤字になる前に競輪事業の廃止も視野に入れ、事業の存廃を考える必要がある。
市は、これまで直営で運営してきた競輪事業を来年度から民間委託化し、6年間で54億円の委託契約を締結する。民間事業者は利益を追求し、車券売り上げを増やすために、さらにギャンブル性を追求することになり、社会問題化している依存症や家庭崩壊、青少年への悪影響などが心配される。
全市民的な合意もなく拙速すぎる民間委託方針は撤回し、当面は直営を維持しながら、市民参加で全面的な撤退・廃止を検討していく。

22、公共交通について
 マイカー依存の急速な高まりとともに、路線バスやJR・上毛電鉄など公共交通機関が衰退し、高齢者や障がい者など交通弱者の通院や買い物などの日常生活に大きな支障が出ている。免許証返納をためらう高齢運転者による重大事故も発生している。
 今後とも、少子高齢化や人口減少が急速に進む中で、とくに交通弱者の移動を支援する公共交通政策の充実が切実な住民要求になっている。

?マイタクは、郊外に居住する高齢者の要望に沿って、距離別の低額固定料金で利用で
きるように改善する。

?マイタクは、マイナンバーカードによる利用を進めているが、高齢者がマイナンバー
カードを持ち歩くことになれば、紛失や情報漏えい、犯罪被害に合う危険が増大する。マイナンバーカードへの利用の一本化は行わず、市独自でマイタク専用のICカードをつくる。
?現在4路線で運行しているマイバスは、住民要望を反映し運行ルートを改善するとと
もに、南橘、総社・清里、上・下川渕、城南、芳賀、荻窪地区など要望の強い交通不便地域への新規路線の運行を具体化する。

?「ふるさとバス」と「るんるんバス」は、停留所方式から自宅から目的地に直行する
ドア・ツー・ドア方式に改善するとともに、利用の多い基幹病院や公共施設など運行区域を拡大し、より利便性を高めるよう改善する。

?バス事業者と協力し、バス停留所に椅子や屋根や風よけを計画的に整備する。

? JR前橋駅始発の湘南新宿ラインや両毛線の増発を国やJRに求める。また、上越線や吾妻線の下り電車利用者は新前橋駅で乗り換えなくてはならず不便を強いられている。上野から上越線や吾妻線の直通電車の運行を働きかけていく。

? 上毛電鉄の沿線に花木などの植栽を行ったり、見どころ食べどころなどを紹介するマップを作る。また、前橋の祭りなどの行事や児童公園、フラワーパークなど各種施設と連携した割引特典を作るなど上電の利用拡大に向けた支援を行う。

? 交通政策課地域交通推進室は7人体制である。強い市民ニーズである交通弱者支援の公共交通施策を遅滞なく進めるために、国が実施を呼びかける無人バス運行の社会実験や高齢者などが使いにくい公共交通に関するスマートフォンアプリの開発などの社会実験を安易に実施しない。

23、まちづくりについて

安倍政権のアベノミクス成長戦略は、人口減少社会のもとで、いっそう東京などの大都市や拠点都市への集中を加速し、地方の衰退と疲弊をさらに押しすすめ、地域間格差を拡大させ日本の国土を荒廃させる道である。まちづくりや公共事業政策で大事なのは、国民のいのち・安全、暮らしに必要な事業を見定め、新規の高速道路や大規模再開発を優先せず、地震や大規模風水災害などに対応した、耐震化対策や老朽化対策など既存社会資本の維持管理・更新を優先すべきである。

? 人口減少や財政難、生活道路や市営住宅などの本市の社会資本の老朽化が進行する今、市の多額の予算を同時多発的に投入する大規模開発は問題である。
例えば、日赤病院の跡地は、首都圏から富裕層を呼び込もうと事業が開始されたが、事業者であるダイワハウス自体が富裕層を受け入れる住宅の整備に消極的で、今では夜間急病診療所や福祉作業所などの公的施設は敷地内に移転するものの、全体としてはグレードの高い高齢者施設や大型商業施設などの整備事業に変わろうとしている。
 前橋駅北口再開発も、市民が期待する特養ホームの誘致に失敗し、急きょ子育て支援施設の整備に変え、全体としては豪華な民間分譲マンション建設になろうとしている。居住人口は増えるが、前橋市の玄関口である前橋駅周辺の賑わいを取り戻す事業にはならない。
中心市街地の再開発事業も、老朽化したスズラン百貨店のリニューアルを中心とする事業ではなく、民間企業のオフィスビル、ホテルや複合施設などを含む、2.3?の大規模な再開発事業である。最近は再開発区域内への市立図書館の移転も検討されている。これまで元気21、文学館、美術館などでまちの回遊性を求めてきたが、南部拠点地区などのように今もなお大型商業施設の郊外出店を進めているために、3大祭りなどのイベントの時以外はシャッター通り化している中心街の賑わいをこの再開発事業で取り戻そうとしても成功しない。
上武道沿線の道の駅は県内最大の7?・総事業費95億円。農業振興につなげるべき農産物直売所の運営も民間丸投げ。市長は「前橋市のショーウインドウにして年間百万人の来客をめざす」と言っているが、既設3か所の道の駅に農産物を出荷している農家も、近隣の市民も「新道の駅事業が過大なのではないか」と不安を強めている。
 どの事業も民間丸投げで、市民の意見を十分聴取せず迷走状態になっている。今からでも広く市民の意見を聴取するとともに、大型開発事業計画を縮小・見直し、既存社会資本の老朽化対策や防災対策など維持管理・更新事業への予算の使い道に切り替える。

?コンパクトシティをめざすまちづくりのための「立地適正化計画」を策定したが、都
市施設誘導区域や居住誘導区域への誘導を強制せず、高齢者、子育て世代、低所得者などの命・安全、暮らしを最優先し、住環境や景観、コミュニティを維持するなど、「住民が主人公」のまちづくりを進めるべきである。国の「立地適正化計画」の方向は、誘導区域内に新たな再開発事業を推進させるもので、安易な取り組みは止める。
? 都市再開発や土地区画整理事業などについては、まちづくりへの住民参加をいっそうすすめ、事業の長期化と日常生活の不便をもたらす区画整理事業の市内12カ所もの同時施行をやめ、住民主体の計画づくりや事業化に改める。狭隘道路や通学路の拡幅や安全対策などは、面的整備の区画整理事業を画一的に優先せず、用地買収や公共用地の先行取得による等価交換などの手法を使い、国の補助金を得られる街路整備事業等を選択して生活道路をできる限り短期間に整備して住民要望に応える。
? 昨年度は、市民・自治会から道水路や公園関係の要望が1,509件出されたが、そのうち実施されたのが約484件にとどまっている。近年、全国的に台風や豪雨などの災害も多く発生しているので、市民生活に直結する生活道路の改善は、事故や災害から市民生活を守る上からも最優先で整備を急ぐ。
? 市営住宅は、居住者の高齢化などにより自治会活動など、住民の共同活動も困難を抱えている。また、「住宅に困窮する低所得者に低廉な家賃で賃貸」する市営住宅はニーズが高いにもかかわらず、多くの住棟が老朽化しているために、市営住宅5394戸の管理戸数の約2割が空き部屋となっている。維持管理・改修予算、退去費用を大幅に増額し、国の改修指示に沿った修繕やエレベーター設置を促進し、空き部屋を早期に解消する。また、高齢者の住み替えの促進や生活保護者への保証人の免除、入居条件を緩和して、芳賀や江木団地などのように郊外立地の団地にはグループホームや若年単身者の入居を増やす。さらに、古い既設市営住宅への風呂釜と浴槽を市の責任で計画的に設置する。

? 都市公園法が改悪され一定規模内の民間開発が認められたが、市民の健康増進や余暇を楽しむ都市公園内に、営利目的の施設整備を行わない。

? アスベスト対策については、学校施設などで封じ込めなどの対応策を実施しているが、学校施設は、災害時の避難所にもなるので、早急に改修の手立てを取る。また、民間の建築物についても、地震や災害により、剥離・破損の危険性や、建物の老朽化により解体工事も今後進むことが予想されるので、市民及び解体事業者などがアスベストを知らずに吸い込むことがないよう、調査し公表する。

? 赤城鍋割山直下の大規模メガソーラー発電施設は、現状でも9.6?3メガワットの大規模施設であるが、さらに、2倍もの19?6メガワットの設備に拡大する計画を進めており、景観をこわし、豪雨災害の要因ともなることから、設置を認めるべきではなく、直ちに不許可の判断をする。本市の「再エネ条例」を改正し、赤城山周辺の環境と景観を全力で守る。企業が利益を上げるための、大規模な再生可能エネルギー施設の設置は抑制する。

? 自治会、町内会などの地域サロン運営団体が、空き家を高齢者同士の集まりや小さ
な子どもを持つ家族の交流の場として、気軽に利用できる地域サロンを目的として改修する場合に、改修費用の助成を増額すると共に、期間を限定せず家賃の助成も増額する。

? 60歳以上を対象にしたリフォーム補助事業は市民からの要望が強く、早期に予算枠
がいっぱいになるため予算を大幅に増やす。また、希望する市民が利用できるように年齢と改修目的を限定しない。

24、水道事業について

水道事業の目的は「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与する」(水道法第1条)と定めており、水質の安全管理、資源・水質の保全、料金などについて、きわめて高い公共性を求めている。
 それは、ひとたび事故が発生すれば、一挙に人命にもかかわる大量の被害を生み出しかねない事業であり、利潤追求には根本的になじまないからである。それにもかかわらず政府は水道法改正案を国会に提出し、水道事業者の認可は自治体に残したまま、運営権を民間事業者に売却するコンセッション方式の導入に道を開いたことは問題である。利益優先の民間事業者の参入により、水道事業の安全・安定性の後退につながることは明白である。

?国の水道事業の規制緩和によって、全国的には水道事業全体を一括民間に委託する自
治体が増えつつあるが、本市においては将来においても、包括委託は行わない。安全性確保や市職員の水道技術の継承の上からも、料金徴収業務と水道施設の維持管理も含めてすべて直営に戻して事業を運営する。

?経営努力によって水道料金の値上げを回避しているが、市民生活に不可欠な飲み水に
消費税を課税していることは認められない。10%増税が強行されたが、当面5%への減税を国に求め、水道料金への消費税転嫁をやめる。

?本市の水道水は、地下水を水源とする自己水が約43.9%、残り約56.1%が利根川を
水源とする群馬県企業局の県央第一と第二水道から受水し約17億円も支払っている。   水需要が減少しているにもかかわらず県央水道からの受水を続けて豊かな地下水の利用を抑制していることは税金の無駄遣いである。
県央第二水道の受水単価が一昨年度から5円引き下げになったが、県央水道の受水単価は本市自己水の2倍も高くなっており、他の受水自治体とともに群馬県と交渉し、受水契約を見直して自己水比率を高めて水道料金の値上げにつながらないようにする。

?水道料金の滞納世帯への給水停止措置を、生活困窮世帯や生活保護世帯を含めて機械
的に行っていることは問題である。今、貧困と格差が拡大している中でのライフラインの停止は、餓死者や孤独死を生む原因になりかねない。給水停止は、滞納世帯の生活実態を十分把握した上で、支払う能力がありながら支払う意思のない世帯に限定すべきであり、直ちに停水基準を見直す。

?東京都や横浜市、広島市、千葉市などのように障害者や、1人親家庭、低所得者など
を対象に水道料金などを減免する制度を創設するとともに、福祉部門とも連携を深め積極的に水道料金滞納世帯の生活再建支援策を講ずる。

?赤城山麓の水源地域である宮城地区に大規模木質バイオマス発電所が建設され、汚染
水を地下浸透させている。「地下水保全条例」を制定し、地下水の汚染防止や涵養に関する事項、大口くみ上げ企業に協力金を課す事項を定め、地下水保全のための財源確保と無制限なくみ上げを規制する。

25、防災体制の強化と防犯について
いま、地震や大型台風や集中豪雨(線状降水帯)などによって、土砂崩れ、河川の氾濫による浸水、電気や水道などのライフラインの途絶など予想を超える自然災害が全国的に頻発し、かけがえのない人命が奪われ、住宅や道路の損壊、農業災害など甚大な被害が発生している。千葉県で被害が発生した台風15号や関東甲信越から東北地方など広域的な大災害をもたらした台風19号の教訓を生かして、「前橋市は自然災害が少ない」など根拠のない安全意識を払しょくし、防災行政を抜本的に強化することが求められている。

?八ッ場ダムのように、巨額の建設費用を投入して建設される多目的ダムは、予想を超
えた記録的な集中豪雨の際には洪水調整機能が失われる。河川上流からの流入量の増加によって貯水量の限界を超えた場合には、ダム本体の倒壊などを防ぐための緊急放流が行われ、ダム下流地域に短時間で河川の氾濫などの災害をもたらすことが大きな問題となっている。
 洪水防止策として、予算を増額し大幅に遅れている利根川などの堤防の補強、河床の浚渫などを進めるよう国・県に強く働きかける。

?国・県と連携し、台風や集中豪雨などによる増水時には、利根川や市内の中・小河川
の水位の上昇状況や堤防の決壊や越水の危険状況を確実に監視できる態勢を強化するとともに、予算を増額して堤防の日常的な点検や補強などをすすめる。

?台風19号の際に、利根川が氾濫危険水位を超えたために、災害対策本部が午後8時に
約5万世帯・10万人に避難勧告を発令した。しかし、防災無線や防災ラジオ、災害情報を伝えるスマフォ・アプリなどでは避難勧告が市民に十分届かず、避難所に実際に避難した市民は900人余にとどまった。自宅などでの垂直避難も含めて、消防局や市の広報車などで市民に直接、災害発生の危険性を呼びかけるなど、災害時の迅速・正確な情報伝達方法及び内容について直ちに充実改善する。

?地震、土砂崩れ・洪水などの災害時や発生が予想された際の避難場所が市民に十分周
知されていない。自主防災会など各地域で実施する災害避難訓練や防災アドバイザーによる地域での研修などで、日常的に市民に十分周知する。

?洪水ハザードマップでは自宅や近隣建物への垂直避難をするか、避難所へ避難する
のか市民にはわかりにくい。再度、災害時の避難についてわかりやすい市民への周知のための冊子を作成して、全世帯に配布する。

?最近の台風による浸水被害では、車の水没による死亡事故が多発している。災害が間
近に迫り、生命の危険にさらされ、避難所まで安全に到着する時間的な余裕がない場合に、商業施設や学校などに緊急的に避難する場合を想定し、事前に市として緊急避難の協力を要請し、了解が得られた施設を市民に周知する。

?各自治会と協議して、指定避難所まで避難できない高齢者などが一時的に緊急避難
する自主避難所を設置する検討を開始する。毛布や食料・水を備蓄する。

?指定避難所で過ごせない高齢者・障がい者対応の福祉避難所の整備を急ぐ。

?学校・病院・福祉施設、企業、大規模店、工業団地、地域ごとの自主防災組織づくり
を強める。地域の自主防災会の防災訓練や防災資器材の備蓄のための補助金を発足時に限定せず経年的に交付する。

?食料や生活必需品などの備蓄計画については、大雪や地震などの災害時は交通手段
が途絶え、大型店などで食料・水、防災用具の売り切れ、民間事業者も普段は大量備蓄していないなどの実情を考慮し、市の備蓄倉庫への食料などの生活物資の種類や備蓄数量を見直し、安易に備蓄計画の縮小をしない。

?避難行動要支援者に対する防災ラジオの無償配布を再開するとともに、誰がどのよ
うにして避難を支援するかを明確にする。

?台風15・19号災害では、土砂災害警戒区域外で人命にかかわる災害が発生している。
全市的に、山間部の傾斜地の土砂崩れなどの災害発生を防ぐために、県と連携し危険個所を再調査し防災工事などの対策を講ずる。

?防犯灯の新設工事に対する市の設置を2019年度で終了せず、地域の設置要望に応え
て引き続き予算を計上して継続する。

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