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議員団紹介 中道なみ子 議員

第3回定例会 総括質問(20分)【2009/7/28】

1、 最初は、小中学校の統廃合問題についてです。

学校統廃合の波が全国各地に押し寄せています。政府は、教育の分野で教員一万人削減を2010年までに行うことを閣議決定しています。この教員削減を行う最も手っ取り早いのが学校の統廃合だといわれています。
本市でも、「小中学校適正規模・適正配置基本方針」を決め、小中学校を統廃合で11校ほど減らす案を提起しました。そこで、以下4点について伺います。

質問の第一は、「適正規模・適正配置」と子どもの教育環境についてです。 市教委は、適正規模の諮問委員会による答申を受けて、小・中学校の規模は12学級から18学級が適正な規模であると示しました。
つまり、12学級以下の小規模校では、多様な人間関係が築けない、中学校においては部活動など活性化しない、学力も育たず、人間関係も固定化し、うまく人間関係がつくれないと言わんばかりです。中川小や中央小、天神小や広瀬小、上川渕小の子どもたちはとてもいい子に育っています。適正規模の考え方は学級数を問題にしていますが、学級を構成している学級定数が40人から30人の少人数学級に変われば、一クラスが二クラスになり直ちに小規模校が適正規模の学校になります。このように適正規模は学級定数に左右されるもので、決して固定化するものではありません。ましてや子どもの教育にとって「適正」という意味ではありません。このように「適正規模」には正当性がないのは明らかだと思いますが、市教委の見解をお伺いします。
 また、学校が統廃合されると通学区域が広がり、交通事故や犯罪などから子どもたちを守る上で大変心配です。桃井小と中央小および中川小が統廃合で桃井小に通うことになれば、交通量の多い国道50号や17号をわたって車の渋滞を潜り抜けて登下校しなければなりません。通学の条件としては大きく後退することになりますが、当局は、通学条件を後退させるような統廃合は問題だと思わないのでしょうか。見解をお聞かせください。

質問の第二は、地域コミュニティーにおける役割について伺います。
学校は単に子どもの教育にとどまらず、その地域にとって独自の役割があります。三河町は区画整理が始まるところですが、町の方たちは集合住宅の建設などを市に要望して、子どもを呼び戻すまちづくりの計画に期待しています。 
ところが、中川小の統廃合問題が振って沸いたことに対して、「地震や災害の避難場所はどうなるのか」「文化の拠点となる学校の図書室もなくなってしまうのか」と心配しています。元教師で今小学校の寺子屋の授業に参加している方は、「将来、中川小の空き教室で老人のふれあい施設を要望し、子どもと交流できるように望んでいたのに」と切々と話してくれました。
また、広瀬小では近所の農家の方が田んぼを貸してくださり、子どもたちが田植えや稲刈りもしています。学校は、これまで地域から協力を得て、運動会やウォーキングバスなどコミュニティーの核ともいえる役割を積み上げてきました。子どもが少なくなったからと安易に統廃合をすすめれば、これまで作り上げてきた安全安心のコミュニティーなど自ら崩壊させることになり、取り返しのつかない事態を招きかねません。学校は地域にとってかけがえのない存在です。教育委員会は、統廃合によって新たにつくる学校で、1から地域コミュニティーを作り上げよというのでしょうか。教育長の見解をお聞かせください。

質問の第三は、住民合意と子どもたちの意見表明についてです。
 学校の統廃合は、地域の子育て、地域の存続・発展に深くかかわることだけに、行政が一方的にすすめてはなりません。統廃合対象の学校名がマスコミで公表されたことから、該当する学校に通う子どもや父母たちには、まだ説明会ももっていないのに、もう統廃合が決定したかのように話が広がっていると聞いています。それだけに、子どもや父母たちには多大な負担や心配をかけており、近所の文房具屋さんや日ごろお世話になっている電気屋さんなど、今後どうなるのか同様に心配しています。学校の主役は子どもたちで、子どもたちの気持ちを聞いたり、保護者や教職員、地域の方々、学校評議員などから意見を聞いて方針案を出すべきだったのではないでしょうか。慎重さが足りないと思いますが見解をお伺いします。

質問の第四は、「教育改革」の問題点についてです。
小規模校を統廃合して新たに学校を建設するという背景には、何があるのでしょうか。学校統廃合は、全体の児童・生徒数に対して、学校数、教職員数、学級数が確実に削減できるとともに、市の教育予算も県も国も負担経費が削減できることになります。
従って、学校の統廃合は、「地方行革」「市町村合併」の流れの中で起きている問題であり、子どものためとは、たてまえで、狙いは教育費や教職員の削減ではないかと思いますが当局の考えをお伺いします。

2、次は、高齢者の人権を保障し、人間らしい生活支援ができる介護保険の充実についてです。第一は「骨太の方針2008」の社会保障制度の考え方について伺います。本年6月に閣議決定された「骨太の方針2008」は、2001年から 毎年策定されている経済財政改革方針です。今年度の方針も歳出削減を最大限行うと明記し、高齢化に伴って増加する社会保障費の自然増を来年度も2200億円カットする方針を打ち出しています。
自民・公明政権が、社会保障制度を改悪し続けたために、年金、医療、介護に至っては、保険料を低い年金から天引きされ、必要な生活費を除いた分で介護サービスを調整しなければならない、深刻な事態になっています。
こんなとき、「骨太の方針2008」はどうして、社会保障制度を「非効率」と認識して、「効率化の徹底」「供給コストの最大限の低減」などという考えを強調するのでしょうか。
社会保障制度は、「効率化」の対象にすべきではありません。高齢者が増えているのに毎年2200億円もの社会保障費の削減は問題だと思います。そこで市長の認識をお尋ねします。

第二は、第三期介護事業計画の介護サービス・介護財政についてです。
介護保険が発足して8年になります。本市では、第三期事業計画で介護保険料が31%も引き上げられました。その一方で、03年、06年の過去2回も介護報酬が引き下げられ、介護の人材不足、劣悪な労働条件、深刻な経営難のもとになっています。
自民・公明に加えて民主党までもが賛成した、「軽度」と判定された人を中心に、「介護予防」の名による「介護取り上げ」が行われ、介護施設の居住費・食費を介護保険の適用外とし、「同居家族がいる場合のヘルパーの生活援助の制限」や、通院の介助は認めるが、帰りにスーパーに寄るのはダメなど、介護サービスの利用が制限され、その結果、給付費は大幅削減されました。
政府の改革は、給付費の削減が目的だったのではないかと思いますが、当局はどのような受けとめをしているのかお伺いします。
また、先に述べたように、第三期介護保険事業計画は、介護保険制度の改悪が連打されたことから、介護給付費が当初見込みより大幅に下回りました。第三期事業計画の剰余金はいくらになろうとしているのでしょうか。(17億7000万円) 年度ごとの金額もお答えください。(5億4300万円・5億8600万円・5億円)

第三は、安心して利用できる第四期介護事業計画の考えについて伺います。度重なる社会保障制度の切捨は、格差と貧困をますます強めています。本市の介護サービス利用限度額に対する利用率は50.4%にとどまったままです。
すでに、次回の第四期介護保険事業計画を策定しなければならない時期になりますが、第四期介護事業計画は、制度を抜本的に見直して安心して利用できる「前橋市独自の介護保険事業計画」にすべきだと思います。
第1に、剰余金の活用で介護保険料の引き下げを思い切っておこなうこと。同時に低所得者や突然生活苦に陥った場合などに利用できる減免制度など保険料の軽減策を創ること。
第2に、介護保険料に跳ね返らないように、電動ベッド、車いすなどの福祉用具利用に関する補助制度を創設し、居住費・食費の補助制度を創設すること。
第3に、特別養護老人ホームの増設など施設整備の充実で、待機者をなくすこと。
第4に、国への要望として、介護従事者の賃金を月額三万円以上、上乗せするとともに、介護事業所への運営費補助を引き上げるよう強く求めるべきだと思いますが、当局の答弁をお伺いします。

3、次は、副市長2人制の問題についてです。市長は、来年4月の中核市移行にともない、今議会で副市長2人制の条例改正案を提出しました。中核市移行で業務量が大幅に増える見込みであるというのが理由のようですが、しかし、行財政改革の名の下に職員の削減、機構改革などおこなってきて、一般の職員は大変苦労しています。それを尻目に、トップレベルだけは多額の税金を使って人を増やすのは、職員の気持ちを逆なですることになるのではありませんか。仮に、副市長がもう一人増えれば、給与など年間約1500万円以上の経費が必要で、退職金だけでも1728万円となります。新しい副市長にどんなトップマネージメントを考えているのか、どこから起用しようとしているのでしようか。
副市長を増やすのではなく、市長と部長の間で新しい体制を構築するほうが市民サービスに結びつくとともに、職員なら3〜4人増やすことができます。市長は選挙の公約で、当時の助役を2人から1人にしたことがありますが、その経験を生かして副市長を増やさず職員の補充で対処すべきです。市長の見解をお聞かせください。

第二質問
1、学校の統廃合問題についてです。
市教委は、統廃合推進のために、ことさら小規模校の問題点を強調していますが、実は、平成の大合併にあわせて、文部科学省も市町村合併支援プランとして「学校規模の適正化」を掲げ、合併に伴う学校の統合は、危険校舎の改築の国の補助率三分の一より高い、二分の一の補助率で、しかも市の負担分は合併特例債を活用できるという財源が魅力だから、有利な財源確保のために、「適正規模」の論議を行い、子どもたちのためであると結論を出したのではないかと思われます。ですから、二中と四中の統廃合は、四中跡地に新校舎を建設し、新校舎ができるまでは二中の校舎で両校の生徒の授業を行うという、生徒に2回も引越しさせる無理な計画を強いるのも有利な財源を取得するためではないかと思われます。教育長の見解をお伺いします。
このように、学校の統廃合の本質は、「適正規模」の名のもとに、学校を減らし、教職員を削減し、地域で積み上げてきたコミュニティーづくりを崩し、子どもを犠牲にする何ものでもないと思います。
市教委は小規模校の問題点を上げていますが、いろいろな地域があって様々な環境の中で子どもたちは成長するのです。小規模校だから一人ひとりの子どもに目がゆきとどくし、施設設備の活用が十分にでき、授業での発表の機会も多い。学校の行事では全ての子が主役になる機会がつくれ、学年を超えたタテのよい人間関係ができるなど、よい点もいっぱいあります。
小規模校だから問題があると言う教育委員会の考えは、およそ教育的見地とは程遠いものです。
市長は、この8/1には、県知事に対して小中学校とも早期に30人学級の実施を重点要望として提出しました。教育長の要望でもあると思います。そうだとすれば、学級定数を40人と固定化して「適正規模・適正配置」を検討してもムダであり、学級定数の30人を視野に入れた見解・方針を持たなければ、本当の子どものためにはならないのではないでしようか。教育的観点を貫くなら、小規模校の充実、大規模校の改善、耐震化や教育施設の整備など当面の教育予算の増額が急務です。こんな時、統廃合は拙速すぎますので、撤回を求めます。教育長の見解をお聞かせください。

2、次は、介護保険についてです。 社会保障制度は、「効率化」の対象にすべきではありません。それを無理やり「効率」で測っているのが今の政治であり、自民・公明などが進めている政治です。この間の大幅な改正によって、給付費の黒字が生み出されていますが、当局は、この状況について、介護保険制度の持続可能なものにしていくためにも必要な改正だったという認識で、介護サービスを取り上げられた一人暮らしの高齢者の気持ちをほんのわずかでも理解していたら、こんな答弁にはならなかったのではないかと思います。なんとも残念です。
市長は、社会保障費の削減を強行する政府の方針に従うのではなく、むしろ政府の悪政から市民生活を守る立場に立ち、社会保障費の削減を許さないという毅然とした姿勢に立ち、負担増を押し付ける政府にはしっかりとした態度で望むことを求めておきます。
また、第三期介護保険事業計画は、おおよそ17億7000万円の黒字があることがはっきりしました。基金として5億円ほど残して第四期事業計画に繰り入れするとすれば、どのくらいの保険料の引き下げができるのでしょうか。当局の見解をお聞かせください。
また、第四期事業計画では、保険料に影響しないように、低所得者の高齢者に十分なヘルプサービスが利用できるように市独自で助成制度を創設すべきです。例えば、渋谷区では要支援1と2の新たな介護認定が進む中で、「介護予防訪問サービスの時間延長」や同居家族がいるため厳しく制限された生活援助型ホームヘルプサービスの利用についても「訪問介護生活援助サービス」として実施すると伺っています。全国では苦慮して多彩な施策を実施しています。ぜひ、当局は全国の自治体に学んで介護サービスの充実を検討して、第四期事業計画に間に合うように対処すべきだと思います。
また、施設整備については、特養ホームの待機者ゼロを目指して、地域ごとに増設できるように計画を作るべきだと思います。それぞれの見解をお聞かせください。

3、次は、副市長2人制についてです。
市長は、05年に元の県幹部を副市長として起用しました。一般論ですが、県のトップが変わったり、国のトップが替わった場合、その目的が果たせなくなることが往々にしてあると思います。そういう人材補強ではなく、労働強化で苦労している職員を少しでも増やしたらいかがかと提案しているのです。従って、副市長の2人制は賛同できません。

第三質問
1、学校の統廃合問題についてです。 02年第2回定例会のわが党の店橋議員が総括質問で「東京の日野市や品川区を例に出して、すでに、学校選択制を導入して小規模校をつくりだし、適正規模の名において統廃合を推進したことを指摘し、本市でも同様ではないか」との質問に対して、当時の石川指導部長は「学校の統廃合については、適正規模や適正配置を考慮し、検討していきたい」とはっきり肯定。その当時から本市も統廃合を狙って、学校選択制を導入し、適正規模を議論してきたのです。
学校の統廃合が話題になれば、子どもや父母、地域の不安と動揺は募り、学校や地域の衰退に拍車がかかります。
学校の統廃合を正当化するために教育的にも検証されていないことをまことしやかに並べ立てる姿勢からは教育委員会の誠実さをまったく感じることができません。統廃合の方針は、撤回する以外ないと思います。教育長の答弁を求めます。

2、次は、介護保険についてです。 第四期介護保険事業計画の策定に当たって、前橋市は介護保険制度の保険者として、介護保険料を引き下げる検討に入るべきです。市長の決断を求めます。サービスはどれだけ充実させることができるのか、介護高齢福祉課の関係者を上げて、市民が納得できる計画に仕上げるべきだと思います。それぞれ、答弁を求めて全ての質問を終わります。
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