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議員団紹介 中道なみ子 議員

2015年第3回定例会 総括質問(24分)中道浪子 1、国民健康保険の都道府県化と課題・問題について (1)本市の国保税はどうなるのか (2)保険給付 (3)市単独施策の新設・改善 @18歳以下の子どもへの均等割りの減免制度実施 A資格省と短期保険証の発行停止
2、介護保険の問題点について (1)総合事業移行の問題 (2)利用料2割負担の問題 (3)特養ホーム入所の問題 (4)介護保険制度【2015/9/9】

1、最初は、国民健康保険の広域化(都道府県化)と課題・問題点についてです。
 
 政府は、2018年4月から国保の都道府県化を実施することを決めました。都道府県化には、課題や問題が山積しているため以下についてお伺いします。

(1)まず、本市の国保税はどうなるのかについてです。

@国保の都道府県化は、人口、年齢構成、医療費所得水準などを考慮して市町村ごとの保険税の目安を示すことになっています。都道府県化してもすべての市町村で一律の国保税とはせずに、都道府県が市町村の集めるべき国保税の総額を分賦金として割り当て、市町村は割り当てられた分賦金を踏まえて加入者から国保税として徴収するとしています。
本市のように医療機関がたくさんあって受診の機会に恵まれているところは、県への分賦金を多く納めることになれば、本市の国保税が引き上げられるのではないかと懸念されています。今年度の国保税は据え置きになりましたが、都道府県化に向けて今から引き下げておくことが必要だと思います。
本市の国保税は、都道府県化により引き上げになるのか、あるいは引き下げになるのか現状での見込みはいかがでしょうか。もし引き上げになるようならば、国庫負担金の増額を国に求めるとともに、税率を抑えるために一般会計の法定外繰り入れで、引き上げにならないようにすべきだと思いますが、見解をお伺いします。

●政府の負担金の拡充を期待していると言いますが、3400億円の国の財政投入では、現在全国の市町村が行っている一般会計法定外繰り入れの総額(約3900億円)より少なく、国の財政投入を理由に県が市町村に法定外繰り入れを抑えることがあれば、国保税は今より引きあげられる可能性が高まるので、国保税の引き上げは絶対避けるべきです。

(2)次に、保険給付費についてです。

 厚労省は、国保の都道府県化の役割は、市町村実務の効率化や標準化、広域化や医療費適正化に向けた取り組みを推進し、市町村のジェネリック医薬品の使用割合や前期高齢者一人当たりの医療費などを管理・監督を強め、保険者として努力した市町村には、新たな財政支援策を実施するなどとしています。
しかし、国の方針には、病院のベッド数の削減や、早期退院を迫り、後は在宅で補うという医療のリストラが含まれているため、安易に従うべきではありません。当局は、国や県から医療費・保険給付費の削減を求められるなら、病気の早期発見・早期治療を徹底して、重症化を防ぐという本来の医療費・保険給付費の削減に徹することを強めるべきだと思いますが、見解をお伺いします。

(3)次に、市単独施策の新設及び改善についてです。

@1つは、18歳以下の子どもへの均等割の減免制度実施についてです。
国保税は、子どもなど人数が増えれば増えるほど高くなります。北九州市では、高すぎる国保税を引き下げる施策でもあり、子育て支援、少子化対策として2008年から18歳以下の子どもを扶養している世帯に多子世帯減免制度を実施し、約5000世帯が受けています。今年3月、国会でもわが党の小池晃参院議員が質問し、塩崎大臣が「検討してまいりたい」と答弁しています。
本市では、5564世帯が対象となりますが、18歳以下の子どもを扶養している国保世帯の均等割りを減免して、子育て支援や少子化対策、働いていない子どもへの国保税の軽減をすべきだと思いますが、当局の見解をお伺いします。 
   
●社会保険制度は、人頭割がなく何人扶養しても保険料は変わりません。同様に国保世帯の子どもへの均等割り減免制度が必要です。本市では、プレミアム付き商品券やデマンド・マイタク事業に「新交付金」を活用しますが、政府は多子世帯等支援策にも活用の提案をしていますので、これを財源に検討すべきです。

A2つは、資格証明書と短期保険証の発行停止について伺います。
本市では昨年10月現在、資格証明書の発行は879世帯1109人、短期保険証は1605世帯2644人に及んでいます。
無慈悲な保険証取り上げや、問答無用の差押えは、住民の生活困窮や健康破壊に追い打ちをかけ、若年世代への国保に対する信頼を壊し、制度の存立基盤を危うくするだけです。特に、資格証明書の発行については、生活困窮や病気など「特別な事情」があるか把握して、悪質滞納者であると証明できない限り機械的な発行は止めるべきです。国保の都道府県化にあたって、資格証明書と短期保険証の発行を取りやめるという決断が求められておりますが、当局のお考えをお伺いします。

●少なくとも、厚労省の通知に沿って悪質滞納者以外は資格証明書の発行はやめるべきです。国保の都道府県化にあたって現状の問題を少しでも改善しようと思って質問しているのに残念ですね。
○ところで、本市では、資格証明書を交付されている方が、医療の受診が必要になった場合、窓口で短期保険証を交付しています。
市民の強い要望に応えたもので、都道府県化になっても窓口で申請すれば短期保険証を交付するというこれまでの制度を継続すべきだと思いますがいかがでしょうか。
 
○問題点を改善するよういくつか質問しましたが、政府は国保を都道府県化する理由として、医療費や加入世帯の所得、及び国保税の市町村格差をあげていますが、都道府県化したところで、国保のこれらの問題は解決するものではありません。真に問題を解決しようとするなら、国が国庫負担金を大幅に増やすことがまずは第一義的な解決策だと思いますが、当局の見解をお伺いします。

●結局、国保の都道府県化は、旧来の改悪路線を引き継ぎ、都道府県を市町村の「監視役」にさせるもので、本来、国保事業を持続可能な医療制度にするには、小手先だけでなく、もっと根本的な改革が必要です。本市独自でも国保税を引き下げて、だれもが安心して医療にかかれる制度にするよう努力すべきと申し上げておきます。

2、次は、介護保険の問題点についてです。

 政府は、第6期介護保険事業計画で、新たに国民に負担増と給付削減を強いる改悪を押し付けてきました。今回は@要支援者の訪問介護・通所介護を保険給付から外すこと、A年金収入などによる利用者2割負担の導入、B特別養護老人ホーム入所を介護度3以上に限定し、C低収入の介護施設入所者に対する補足給付を見直し、D入院患者の追い出しなどで、高齢者や家族から怒りの声が寄せられておりますので、以下について伺います。

(1)まず、総合事業移行の問題についてです。

 本市では、総合事業移行は2年先送りを決めました。2年の間に総合事業の受け皿づくりを準備し、体制を整えていくと議会で答弁しましたが、現状をお伺いしたところ、既存の事業で対応していくとのことです。しかし、そうは言っても延期は2年後までとされているわけですから、この先どう体制を整えて2年後の総合事業移行に備えるおつもりなのか対応策をお聞かせください。

●そうだとすれば、国は本当に無理なことを市町村に強いたことになります。高崎市ではこの4月から総合事業を介護保険から移行しましたが、これまでと変わらず介護事業者がサービスを継続しているとのことです。本市でも、2年後移行しても、当面は介護事業者に継続していかざるを得ないようです。しかし、ゆくゆくは、サービスが整理されて低下することになるのは間違いありません。こんなひどい改悪は国に撤回するよう求めつつ、サービスの低下を招かない十分な体制・受け皿づくりができるよう求めておきます。

(2)次は、利用料2割負担の問題についてです。 

 年金収入は実質減る一方なのに、この8月から1人世帯で年金収入が年間280万円以上の方が2割負担に引き上げられ問題になっています。今回の負担増の対象は、65歳以上の5人に1人で全国では約60万人、本市では、約1500人が対象となるようです。これまで月約15,000円の利用料だった方が、約30,000 円となり2倍に跳ね上がります。
群馬中央医療生協が行った実態調査でAさんからは「年金のみの所得で無職の長男と暮らしており生活費が足りない」Bさんからは「年金283万円。3万円超えるだけで2割負担。預貯金もないため高額介護制度を利用するしかない」などの意見が寄せられています。
厚労省は「負担能力がある」と決めつけていますが、2割負担となり、生活ができないという方には、市独自で利用料の軽減措置を講ずる必要があると思いますが、当局のお考えをお伺いします。

●実態調査で生活困難な世帯が生まれています。こういう方を救済できなくては、制度の改悪と言われても仕方がありません。実態に見合った利用料の減免制度を検討すべきです。

(3)次は、特養ホーム入所の問題についてです。

 特養ホームなどの介護施設の食費や部屋代補助の「補足給付」は、これまでは本人が住民税非課税(280万円以下)なら受けられましたが、8月からは配偶者と合算され年金が課税世帯になると打ち切りになり、預貯金が単身で1000万円、夫婦で2000万円を超える場合も補助から外されます。
その結果、例えば、月額約6万円の利用料で入所していた方が、夫婦合算の年金所得が課税対象になると10万円以上の利用料に跳ね上がります。
しかも、「補足給付」申請の手続きで、預金通帳のコピー提出を義務づけ、罰則付きの厳しい資産調査もあり、申請をためらわせる「水際作戦」ではないかと言われています。その上、特養ホーム入所要件を「介護度3以上」に限る厳格化も実施され、まさに特養ホーム追い出しと入所待ちお断りの改悪としか考えられません。当局は、これまでの補足給付の継続を国に求めるとともに、特養ホームへの制度改悪についてどのように受け止めているのかお伺いします。


●こんなひどい改悪なのに納得する(実態に即したもの)のですか。必要なベッド数の増設もせず、入所者を限定し待機者数出さない姑息な手段で国の責任を回避しようとしても、利用者は納得しません。

(4)次は、介護保険制度についてです。

 今から15年前「介護が必要な人は必要なだけ利用できる」とのうたい文句で介護保険はスタートしました。40歳から64歳まで保険料をほぼ全員天引きで徴収しておきながら、制度は改悪に次ぐ改悪。必要なサービスが必要なだけ利用できない事態となっています。当局は、市への相談者からの問題点をまとめて実態を把握することと、介護保険制度のこの事態について、どのように受け止めているか端的にお伺いします。

●憲法の生存権、基本的人権等を踏みにじる今回の改悪は、納得できません。介護保険発足から15年、本市でも当初平均2,792円だった介護保険料はいまや2倍以上の5,783円になり、まさに「保険あって介護なし」です。国民に犠牲を強いる改悪は中止・撤回し、国の責任で公的介護保障の拡充に転じるべきだという意見を国に申し上げるよう強く求めて私の質問を終わります。

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