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議員団紹介 長谷川薫 議員

2009年第2回定例市議会・本会議請願賛成討論(長谷川薫議員)【2009/8/7】

2009年第2回定例市議会・本会議請願賛成討論(長谷川薫議員)

 私は日本共産党前橋市議団を代表して、請願第8号から10号「地元中小企業に仕事と資金を!経営安定にむけた支援を求める請願」および請願11号「介護保険制度市独自助成策・高齢者福祉制度の充実を求める請願」について、賛成討論を行います。

 はじめに、総務常任委員会に付託された請願第8号についてです。

請願事項の1および2は、中小業者へのいっそうの分離分割発注の拡大による経営支援の要望です。清新クラブ・市民フォーラム・公明党市議団ともすでに分離発注が行われており願意は満たされているとの討論がありましたが、実態を無視した主張であります。
たとえば本市の市営住宅の建て替えやリフォーム工事の発注を見ると、建具や畳などの分離分割発注をしておらず、同一団地で複数棟の外壁塗装などを行なう場合も、一括発注しており、まだまだ改善すべき工事発注例は少なくありません。
分割発注できない要因は、発注する所管課の事務作業が現在の職員体制ではこなせないために、建設会社に一括発注しているからであります。このような中で、芳賀団地の市営住宅の屋上防水工事では、受注した市内業者が県外業者に下請け発注している事例も起きております。市内業者に分離分割発注すれば、多くの市内企業が直接受注できて収益拡大が期待できるのです。
また、市民フォーラムは、入札においては最低制限価格制度があるので、赤字になりそうな場合には入札を辞退することもできるのとの討論がありました。しかし、本市の公共工事を受注する大手中堅の建設企業は、現場の設備・内装・外構工事など数多くの関連工事を一次・二次下請けの中小零細企業に発注しており、下請け業者は元請け企業の言い値で受注している場合が少なくないのです。最低制限価格制度で赤字受注はないといえるのは元請企業だけであり、下請け企業は赤字覚悟で仕事を受注することはあるのです。
景気悪化で官民ともに仕事発注量が大幅に減少している中、本市が公共工事を発注する場合は、元請けから下請けに至るまで、市内業者がどのような収支状況となっているのかなどのきめ細かい追跡調査をおこない、分割発注などの必要な改善をおこなうことは必要であります。
 なお国の経済対策で行われる太陽光パネル設置工事や市内の小中学校などへのデジタルテレビの設置などについては、市内電気工事業者及び小規模工事登録業者への分割発注をいっそう推進すべきであります。

請願事項の3は、5年前にスタートした入札参加資格のない零細業者への直接発注制度である小規模工事希望登録制度の改善要望であります。
現行の50万円を随意契約上限の130万円まで拡大してほしいという要望については、清新クラブや市民フォーラムから、発注工事内容から見て修繕工事の遂行能力のない零細業者への引き上げは困難との意見がありました。
しかし、全国的には50万円までに制限している自治体の方が少数であります。
修繕工事に限らず清掃などの業務請負や物品購入にまで発注対象を拡大して、零細業者の育成・支援に力を入れている自治体も増えております。
小規模登録業者については、本市の水道や道路・建設土木などの各所管課が共同して標準的な的確な工事が行えるように定期的に修繕工事の技術指導や講習を行い、業者を育成し、やがては入札に参加できるような業者に成長させる支援が求められております。
また、本市の50万円以下の修繕工事の発注総額に対して、登録業者への発注は約3%程度にとどまっている現状を抜本的に引き上げる制度運用の改善は急務であります。
なお、清新クラブ・市民フォーラム・公明党とも、市税を滞納している業者への発注は市民の理解を得られないとの討論がありました。もちろん、業者が納税義務を果たさなければならないのは当然だと考えます。しかし、登録業者の中には、まじめに営業していても、時によっては取引業者の倒産によって請負代金が回収できなくなったり、家族の病気など様々な事情で税金を納入したくても納入できなくなる場合が起こり得ます。市税を滞納している業者を、一律的に悪質と評価するのではなく、本市収納課との合意の下で分割納付をまじめに行なっている業者については、悪質滞納者と決め付けずに対応すべきです。
金融機関も融資条件に定める税の完納証明から国保税をはずして、住民税滞納だけをチェックしたり、滞納している住民税を分割納入している場合は融資を行なうなどの弾力的な対応もしています。税の完納に向けて誠実に努力している零細業者に公共工事を発注して経営を支え、支援することも血の通ったあたたかい行政といえるのではないでしょうか。

次に、市民経済常任委員会に付託された請願第9号についてです。

請願事項の1は、制度融資の据え置き期間や返済期間の延長並びに保証料の補助の拡大などの要望です。
新清クラブや市民フォーラム・公明党市議団は昨年の国の緊急保障制度の創設などで、本市の制度も改善が進んでいるので願意はすでに満たされている。だから採択の必要なしとの立場を表明しました。
しかし、今資金繰りに苦しむ中小零細業者が必要な運転資金を借りるためのハードルは、まだまだ高いというのが実態であり、融資条件の改善はさらに必要であります。
前橋市が国の基準に基づいて、経営が苦しい業者なので融資などの支援が必要と認定をし、さらに、信用保証協会の保障がついても、いざ業者が金融機関に制度融資を申し入れても、すんなりと融資を受けられるという状況ではありません。
金融機関の審査の現場では、利益から返済する利益償還方式が常識とされているため、赤字申告をしている業者は返済能力なしと判断して、融資を断る金融機関が少なくありません。
本当に困っている零細企業や業者に、融資による資金が行き渡らないという問題は早急に改善が求められております。金融機関に本市は昨年度実績で総額97億3500万円もの預託をしております。預託すれば後は金融機関に判断を任せるという立場ではなく、本市自らが中小零細企業の経営実態をできる限り把握し、金融機関に対して経営状態だけを単純に見て融資判断するようないままでの対応するのではなく、死活の縁にたたされている中小企業の経営を支える立場に立つよう、いまこそ指導すべきだと思います。
請願事項の2は、中小業者に負担が少ないプレミアム付商品券の普及促進の願いであります。
清新クラブは、プレミアム分などの経費負担を行政が行うのは行き過ぎと述べ、市民フォーラムは税金による助成は公平性が求められ、商品券を購入する一部市民のために使われるのは問題、さらに公明党市議団は本市で5月に商品券発行がすでに行われた事を持って願意は満たされている旨の討論がありました。
しかし、今年5月10日に前橋中心商店街協同組合が20%・400万円のプレミアをつけて総額2000万円分が発行し数時間で完売されましたが、市の助成はわずか150万円です。
お隣の伊勢崎市では、5月17日に市と商工会議所及び商工会が協調して1万円で1万1千円分の買い物ができる商品券を総額3億円も販売しています。10%3000万円のプレミアム分は国の臨時交付金を活用し市が全額負担し、印刷経費800万円分も市と商工会議所で折半して負担をするとのことであります。6月4日には3000枚分が完売し、市内566店舗での消費が期待されております。そのうち26の市内の大型店で使える商品券は1綴りで5枚までと制限し、個人商店では11枚すべてが使えるきめ細かな配慮もしています。
せめて、本市でも人口19万人の伊勢崎市なみの発行で消費拡大の支援ができないはずはありません。 
今回の国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金は約12億円が交付される予定です。今議会の補正予算で事業化されたのは5億円だけで、7億円がまだ残っております。  
本市財政当局も、交付金をプレミアムつき商品券発行のための助成に活用できると述べております。市民の消費購買力を暖め、同時に売り上げ減で苦しむ市内の商店や飲食店の売り上げ増に貢献できて、地域経済を確実に活性化する施策を直ちに具体化すべきです。  
少なくとも県内自治体並みに発行してほしいという願いは当然の要望であります。

請願事項の3は、店舗や工場の賃借料の補助の願いであります。

清新クラブは、市内での一律補助は市財政を圧迫する。市民フォーラムは厳しい財政状況では困難などの討論がありました。
しかし、いま本市が行なっている賃借料補助は、中心商店街空洞化対策として空き店舗を借りて営業する場合に、3分の2以内、限度額年間200万円の助成だけで、それ以外は誘致企業へ補助以外には、賃借料の補助制度がありません。
他の多くの自治体では、新規開業した中小零細企業の経営が軌道に乗るまでの支援を、店舗や工場の賃借料補助によって実施しております。経済は循環しますので、事業を側面から応援して会社経営を支えてこそ、法人市民税の税収を安定的に確保し、従業員の所得を保障し個人消費を拡大し、回り回って市税収入の増収に結びついてきます。
 
次に、建設水道常任委員会に付託された請願第10号についてです。

請願事項の1は、住宅リフォーム助成制度の創設の要望です。
 
清新クラブや市民フォーラムは、民間金融機関の住宅リフォーム融資制度や本市の介護保険や障害者福祉制度の住宅リフォーム制度があることを持って、新たな制度の創設の必要性なしとの主張がありました。
 しかし、制度を創設した全国83自治体では、上限10万円の助成が大きな呼び水となって20倍以上の経済波及効果を作り出しており、いま事業予算を増額している自治体が増えています。景気が悪いときこそ、行政が仕事創出の支援を行う助成策が求められています。
 
請願事項の2は、中心市街地の活性化のための住宅政策の提案であります。

今、前橋市は中心市街地の活性化を重点施策と位置づけていても、まちなか居住の推進策は、もっぱら高額な購入費がかかる民間分譲マンション開発に頼っております。
しかし、最近は消防本部跡地の穴吹工務店と大林組が建設したマンションも分譲が進まず苦慮している状況であります。いまこそ、特別優良賃貸住宅の建設をはじめ既存の民間アパートをリフォームして公営住宅として貸し出したり、1戸建ての民間住宅を借り上げて高齢者住宅として貸し出すなど、国土交通省が掲げている補助事業のメニューを研究し、具体化することが急がれています。子育ての若年世帯や高齢世帯も都市基盤の整った中心市街地で暮らせるような住宅政策の具体化は交通政策や商業振興策などとともに中心市街地の活性化策の柱に位置づけるべきであります。


最後に請願第11号についてです。

請願事項の1は、ショートステイの市独自の利用拡大制度創設についての要望です。
清新クラブや市民フォーラムは、利用限度額を超えるサービスの創設は介護保険料の引き上げに結びつくので慎重に対応すべきとの討論がありました。
 しかし、在宅で介護サービスを利用しながら住み慣れた自宅で暮らしている高齢者は、ほとんどが介護サービスの不足分を家族介護に頼っているのが現実です。老老介護によるぎりぎりの介護を家族が行なっている事例も少なくありません。
1ヶ月のケアープランに基づいてショートステイを組み込んでいる場合も、突然の介護者の病気や親戚の不幸などによってどうしても介護ができなくなって、ショートステイの更なる利用が必要となる場合があります。そのような緊急の場合に利用できる、市独自のショートステイによる介護サービスを、介護保険の上乗せ給付もしくは介護保険外の市の高齢者福祉施策で制度化することは急務であります。家族共倒れや、不幸な心中や尊属殺人事件などを発生させないためにも、真剣に検討すべきであります。

請願事項の2は、在宅で介護サービスを受けている低所得の方の利用料負担を市独自に軽減する制度の創設についての要望です。
 
清新クラブや市民フォーラムは、介護保険制度自体の軽減制度で十分という立場を表明されました。
 しかし、蓄えもなくわずかな年金で細々暮らしておられる高齢者が介護が必要となって、在宅で介護サービスを利用するときにまず最初に考えることは、どのような介護サービスを使うかではなく、利用料はどのくらい支払えるかということです。
ケアマネジャーは、ほとんどの利用者さんから「生活が苦しいのでひと月に1万円とか2万円までのサービスプランを作ってほしい。」と、負担額を示して、介護サービスの要望が出されるそうであります。本市の平均的な介護サービスの利用は、利用限度額の5割程度という低い利用率です。市の低所得者対象の独自支援策を作って、高齢者が在宅で必要なサービスを受けて充実した生活を送られるようすべきであります。

請願事項の3は、不十分な介護保険制度を、一般高齢者福祉で補ってほしいという要望です。

 他の会派からは、サービスメニューは整っているとの討論がありました。
しかし、たとえば、妻に先立たれ高齢の夫が一人で在宅サービスを受けながら生活している場合などは、デイサービスにかよったり、家事援助のヘルパーが訪問する日だけは手作りの食事を食べているけれど、ほかの日はコンビニのおにぎりかパンだけの生活が続けて、栄養失調状況になっている高齢者が少なくありません。市の給食サービスの利用を申し込んでも、「介護サービスを利用している方は利用できない」という対応です。このような状況を打開し、介護保険以外の高齢者福祉サービスを充実しなければ、在宅での生活ができない方がこれからいっそう増えてくるのではないでしょうか。
 超高齢化社会への突入を目前にして、国が介護支出の抑制に躍起になっているだけに、市民の暮らしの実態を十分把握している前橋市が、具体的な市民の願いに応えながら独自支援策を強め、同時に国に高齢者福祉制度の充実を求めていくことが大切であります。

以上申し上げまして、4つの請願の賛成討論といたします。


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