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議員団紹介 長谷川薫 議員

前橋市の新清掃工場の建設は市民合意を前提にすべき(赤城根・2009年11月11日号)【2009/11/11】

川崎市は「溶融炉」ではなく従来の「ストーカー炉」を選定
 建設費も維持管理費も安く経済的と判断


 十一月九日、長谷川薫議員など党市議団は川崎市の新清掃工場の建設事業の調査をしてきました。

 市民の意見を取り入れて「溶融炉」計画を中止
 
 川崎市は人口約百四十万人の政令都市です。現在4カ所のごみ焼却工場がありますが、そのうちの王禅寺処理センターが老朽化したために隣接地に2011年の竣工をめざして新清掃工場の建設工事を行なっています。
 市当局は2002年当初は、コークスなどの助燃剤をごみと共に2000度の高温で燃やし、溶鉱炉のようにごみを溶かし灰も凝固させ(スラグ化して)再利用する処理方式・ガス化溶融炉を採用しようとしていました。
 ところが、日本共産党川崎市議団と多くの市民団体が「溶融炉は安全性に問題があり、建設費用も運転費用も多額の経費がかかる。溶融スラグの需要も安定していない。溶融炉でなくても建設費の3分の1の国の交付金は受けられる。最終処分場の延命は従来の処理方式のストーカー炉と変わらない」と提言しました。
        
従来型の焼却方式を新清掃工場に採用した川崎市(駅前)
従来型の焼却方式を新清掃工場に採用した川崎市(駅前)
  

 市の焼却方式選定委員会はその提言を受け、全国の自治体の溶融炉の運転状況や経費などを調査しメリット・デメリットを総合的に検討しました。その結果2005年、溶融炉をやめて、これまでの4清掃工場と同様の「ストーカー式焼却炉」を選定し直したのです。

 前橋市も、焼却方式選定急がず市民参加で慎重な選定を
 
 前橋市は2015年末の完成をめざす清掃工場の焼却方式選定委員会を来月十二月に設置して、わずか3か月でスピード選定しようとしています。
長谷川議員は「現在の六供・亀泉・大胡の3清掃工場の老朽化に対応して、市は下増田町に一日450トンの焼却能力の清掃工場を計画しています。爆発事故などが各地で起きており安全性が心配されているガス化溶融炉の採用も視野に入れています。しかし、伊勢崎市に接した前橋市の最東部に建設することが市民サービスと矛盾するのではないか。一日約400台のゴミ回収車が長距離運行することによるCО2の排出量の増大は、低炭素社会の推進方針と矛盾します。そもそも、1か所への統合計画自体が市民の合意が得られていません。約200億円も建設費がかかり、その後の運転費用も多額となる清掃工場の建設でありながら、市が十分な説明責任を果たしていないことは重大な問題です。市は直ちに全市民対象の説明会や市民の多様な意見を聞く公聴会を開くべきです」と述べています。

 ガス化溶融炉は多くの不安や問題点が・・・・

 ガス化溶融炉は、ごみを前段のガス化炉で低酸素状態で加熱して可燃性のガスと炭に分解し、発生したガスと炭を後段の溶融炉に投入し1300度以上の高温で燃焼して、溶融スラグを生成する焼却炉です。メーカーはゴミから生成される溶融スラグは道路の路盤材に活用できるので最終処分場がいらない。廃熱を利用して発電や熱供給もできる「夢のゴミ処理施設」といっています。
しかし、@高温で燃焼することによってダイオキシンの発生量は減らせるが、不完全燃焼によって他の有害物質を発生させる恐れがある。A溶融スラグは有害物質が含有されている心配があり、路盤材に使えば地下水汚染の心配がある。リサイクルが確立されておらず、取引先がなく野積みされている自治体もある。B高温によって水銀やカドミウムなどの重金属がガス化されて大気に放出される危険性がある。C高温・高圧の可燃性ガスを発生させるため、爆発事故を起こす危険性がある。D莫大な費用がかかる。




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