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議員団紹介 長谷川薫 議員

党市議団は『群馬県知事を相手取って土地交換契約の無効を主張する市長の提訴承認議案』 に反対〜旧前橋工業高校跡地の土壌汚染問題(赤城根・2009年12月16日号)【2009/12/16】


 十二月議会の最終日 十六日(水)の本会議で日本共産党市議団は、市長が知事を相手取って三年前の市有地と県有地(下の写真)であった旧前橋工業高校跡地(2・8f)などの等価交換契約の無効を争う民事訴訟の訴えの承認を求める議案に反対しました。議案は真政会・市民フォーラム・公明党などが賛成し可決されました。

そもそもの問題発生の根本原因は前橋市
 
 三年前の夏、前橋市は県所有の旧前橋工業高校跡地を都市緑化フェアー(昨年の春に開催)の資材置き場や駐車場に使うため、二〇〇六年十月十八日に県有地(工業試験場や旧前工など)と市有地(産業技術センターなど)を等価交換する契約を締結しました。
旧前橋工業高校には土壌汚染対策法に指定された特定施設(危険な薬品の使用施設)があり、土壌汚染が予想されていました。また、同学校敷地は戦前、人絹工場や中島飛行機(軍需工場)があったことは地域住民も知っていました。   
契約にあったて市は、特に敷地が土壌汚染されていないかどうかに重大な関心を持つべきでした。ところが、市は県との契約にあたって、土壌汚染調査も校舎などの建物撤去も前橋市が行い、土壌汚染が発見された場合にもその浄化や撤去の責任はすべて前橋市が行い、県に一切の費用負担を求めないという前代未聞の合意を急いで結んだのです。これが、今日の問題解決を困難にしている最大の原因です。

鉛などの重金属の汚染除去は住民の切実な願い

 契約締結後の建物解体後に市が実施した土壌調査で敷地は、基準値の三百六十倍もの鉛や六価クロムなどの発がん物質などの汚染が明らかになり、その後は人の立ち入りが禁止されています。
長谷川薫議員は直ちに議会質問で「陸上競技や野球などでグランドを利用してきた卒業生の毛髪検査や近隣住民の健康診査などを行うべき」と市長に求めましたが、市当局は一切を拒否してきました。
また、「地下水汚染や冬のからっ風による汚染土壌の飛散を防止するためにも、敷地全体をシートで覆うなどの緊急措置を実施すべき」と求めましたが、市当局は「解体した建物のがれきで覆っているので飛散の心配はない。鉛は安定しているので地下水の汚染の心配もない」と答弁し、隣接した住宅に汚染土壌が流出しないように土嚢を積み一部簡易なアスファルト舗装をするにとどめています。
 長谷川薫議員は「近隣住民はこのような暫定的な対策ではなく、一日も早く汚染土壌を完全撤去することを強く求めている。県との話し合いを急ぐべき」と一貫して主張してきました。

 県との協議を進めるためには、とんでもない契約を締結した市長が県と市民に謝罪することが大前提

 市当局は、汚染土壌を取り除くためには土地の評価額約十一億円の二倍の約二十億円もかかると見込んでいます。日本共産党市議団は、「土壌汚染法では、汚染土壌の除去責任は汚染原因者及び土地所有者と定められており、長く所有してきた県にもその責任があることは明らか。双方の交換契約そのものが同法の精神を逸脱したものである」と指摘し、「大沢知事が契約書に反する浄化費用の負担を支出することはできないという立場に固執している事も問題であり改めるべき」と考えています。
だからこそ今必要なことは高木市長が、小寺前知事との間で「土壌汚染などの瑕疵担保責任まで放棄し、すべての責任を前橋市が担う」という異例な契約を結んだことを、県と市民に心から謝罪し、土壌浄化の費用分担の話し合いに県が応じてくれるように誠意を尽くすことが必要なのです。

「要素の錯誤」を主張し契約解除を主張することは無理があるのではないか

 高木市長は昨年の議会では「県は汚染があってもたいしたことはないと思うと説明してきた。県と市の信頼に基づいて契約した。だまされた前橋が悪いのか。謝罪する必要は感じない」旨の答弁をしていました。ところが、今議会では「県も市も悪意はなかった。契約時に想定できなかった大規模な汚染が発見され、双方が不幸な事態になった。民法上の要素の錯誤による契約の無効を前橋市が主張し、円満解決を図ることが必要。県に要素の錯誤を理解してもらいたい」と述べ、「司法の判断を仰ぐことが問題解決のためにも賢明な決断」と説明して、提訴の承認を求めました。
 長谷川議員は「要素の錯誤は、表意者である前橋市に『重大な過失』があれば主張できません。市の管財課は土地の売買契約のプロです。素人の土地売買ならともかく、契約無効の勝訴判決が出るかどうかは定かではありません。経費をかけて最高裁まで争うことも得策とは思えません。市長が謝罪することが解決の大前提です」と話しています。




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