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議員団紹介 長谷川薫 議員

前工跡地(岩神町)訴訟 前橋市が全面敗訴!(赤城根・2012年7月22日号)【2012/11/16】

土壌汚染が続く前工跡地
土壌汚染が続く前工跡地
前橋地裁が「前橋市に県との土地交換契約に重過失がある」と認定

 日本共産党市議団は 高木前市長の県知事を相手取った提訴にはじめから反対を表明

 高木政夫前市長が、2006年の10月に群馬県と契約を交わして岩神町の前工跡地約2・8ヘクタールを取得しましたが、2007年に市が校舎を解体し途上を調査したところ、その跡地全体が鉛などの重金属で汚染されていたことが判明。市は汚染物質の除去費用が想定の7000万円をはるかに超える約20億円にのぼることが判明したとして、2009年12月に県を相手取り契約の無効確認や調査費など約1億9000万円の返還などを求めて提訴しました。このとき日本共産党は提訴承認議案に反対しましたが、当時高木市長の与党であった真政会・市民フォーラムそして公明党は提訴に賛成していました。

 日本共産党前橋市議団は提訴に反対し、「土地取得のプロである管財課が取得前に土壌汚染の有無についての調査などを慎重に行わなかったばかりか、高木前市長と親しかった小寺知事に対して、汚染が発見されたとしてもその除去費用を一切請求しないという前代未聞の契約を結んだことは高木前市長の重大な責任」と指摘。「『群馬県にだまされた』と提訴するのではなく、群馬県に真摯に謝罪して、県に除染費用の負担をお願いすべき。またこのような事態を招いた責任を自覚して、市長は市民にお詫びすべき。それができないのなら潔く市長を辞職すべき」と求めてきました。

前橋市がとんでもない契約を結んだことは明らか
 
 
 前橋地裁(西口元裁判長)は7月6日、「市が跡地の汚染状況を調査することなく契約を結んだことは、市側に重大な過失があった」と認定し、市側の契約無効の訴えを全面的に棄却しました。
 西口裁判長は判決で、「▼土壌汚染対策法上は汚染物質を除去すべき義務はなく、より低額な盛土や舗装という選択肢がある」と指摘。そのうえで「▼土壌汚染対策について契約時に具体的に協議されておらず、市は除去を想定していたと県側に明確に伝えていない」「▼市が08年開催の『都市緑化フェア』などで利用するために前工跡地の取得を急ぎ、汚染状況が明らかになっていないことを認識しながら、なんら調査することなく契約を締結した(重大な過失あり)」と判断して、「民法上の錯誤に当たり契約は無効」という市側の主張を退けました。

今後の土地利用は未定
 
 判決を受けて大沢正明知事は「判決を尊重したい」とするコメントを発表。一方、山本龍市長は「控訴については、最終的には議会の判断になる」としながらも、「県と市の溝が一つ埋まったと考えている。今後、また法廷闘争するような溝は作りたくない」と述べ、控訴に消極的な姿勢を示しました。
 前工跡地(写真)は現在、土壌汚染対策法で立ち入り禁止区域に指定されています。控訴の期限が満了し地裁判決が確定すれば市は今後、同跡地の処理問題に対処することになりますが、市管財課は「庁内協議や地域住民との話し合いで検討する」と述べ、現段階ではどのように跡地を除染するか、土地利用をそうするかなどについては未定と説明しています。

 市長は市民に謝罪し、控訴せず県に費用分担を求め除染を急げ 

 日本共産党市議団は「地裁判決では汚染土壌を舗装などで封じ込めれば良いなどとの裁判長の意見もあるが、国の環境基準値の360倍もの高濃度の鉛や六価クロムなどの重金属で跡地は汚染されている。雨風によって長い年月を経て地下水を汚染する危険があり、また周辺住民の健康被害の心配もあるので、知事と市長が十分話し合って円満に除染費用の負担について合意し、完全に汚染物質を除去することが必要。もちろん高裁への控訴は止めるべき」との立場です。


 
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