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議員団紹介 長谷川薫 議員

2014年9月議会・本会議総括質問(道路工事に使用した有害鉄鋼スラグの即時撤去・行き過ぎた滞納整理の改善(9月10日・長谷川薫議員)
 【2014/9/10】

実態把握を急げ

1、【実態把握】大手鉄鋼メーカー・大同特殊鋼渋川工場が、六価クロムやフッ素など国の環境基準値を大幅に超える有害物を含む鉄鋼スラグを長年にわたって路盤材として販売・流通させた結果、現在判明しているだけでも、八ッ場ダム関連工事・上武国道・群馬用水の管理道路・県道や県の圃場整備、渋川市の道路や駐車場、さらに旧富士見村が発注した8か所の道路工事にも使われていたことが明らかになりました。
 生活環境を汚染し、健康にも影響を及ぼす事態であるだけに、一刻も早い全容究明と実態把握が求められています。市としての今後の対応策を伺います。

 ●これまでにも、本市の環境行政は、汚染発覚時の初期対応があまりにも緩慢で、迅速に行われなかったために、問題の解決が先送りになることが繰り返されてきました。今も続いている田口町の発がん物質による水道水源の汚染や前工跡地の土壌汚染についても、汚染原因や汚染の範囲の特定などの早期対応が不十分だったのではないでしょうか。今回の鉄鋼スラグ問題こそ、これまでと同じ誤りを繰り返さないよう、国土交通省や群馬県とも十分に連携して、スラグの流通量、使用工事現場などを特定するための調査を行い、公共だけではなく民間工事も含めて、市内全域の汚染実態を把握するよう強く求めておきます。

早期完全撤去を!

2、【早期撤去】つぎに、建設部長にお聞きします。 水資源機構は、前橋市内11か所の群馬用水の管理道路の通行を規制し、鉄鋼スラグをすべて撤去して舗装工事をすると表明し、すでに一部工事を開始しています。6月の議会答弁では「市内の道路に使われた実績はない」と環境部長は明言しましたが、調査不足であったのではないでしょうか。私たちの現地調査の指摘で、道路建設課が調査し、富士見地区の8か所の市道1250bについては、全箇所で環境基準を超えていることが判明しました。自然砕石との混合ではなく鉄鋼スラグ100%を路盤材として敷き詰めた道路ですから、危険度が高い道路です。一刻も早く完全除去工事を行うべきであります。どのようにお考えでしょうか。
 
 次に、環境部長に質問します。〜群馬県は、県発注の工事のうち大同のスラグ砕石を使った27件の事業のうち6件を選んで分析したところ、環境基準以下だったということで、安易に「安全宣言」をしています。そもそも県が平成22年にわざわざ通達を出して、公共工事に自然砕石を混ぜて鉄鋼スラグを使ってもよいと認めたことも問題です。今回、県がサンプル検査した箇所で、環境基準以下の結果が出たのは当然です。この産廃を薄めるやり方が、まかり通れば、有害物質を含む産業廃棄物であっても基準値を下回るのではないでしょうか。15%の混合基準を守っているかどうかも疑わしいのではないでしょうか。こうした不正や廃棄物処理法逃れことを許してはならないと思います。
 上武道路についても、国は、渋川の半田改良工事以外は基準以下といっています。しかし、大同特殊鋼の鉄鋼スラグがかなりの工事区間で使用されています。わが党が小神明町の工事現場のスラグを専門機関で分析したところ、基準値の2倍以上のフッ素が検出されました。毎日新聞社も独自調査結果にもとづいて、田口町や上細井町の工事現場でも基準値を超えたスラグが使われて、上細井町の工事現場ではスラグが水分を吸収して膨脹したために完成した道路の擁壁がゆがんでいると報道しています。
 国や県は、建設業者がJIS規格に基づく品質規格証明書を提出しているので問題のスラグはないと判断していますが、実際に現場で使用した路盤材が規格に沿った適切なものであったかどうかを詳細に監視する体制はありません。
 前橋市は、国や県にも詳細な調査を求めて、基準を超えた現場については鉄鋼スラグを除去するよう求めるべきではないでしょうか。 

大同特殊鋼に賠償請求を!

3、【賠償請求】建設部長〜富士見地区で現在までに判明したこの鉄鋼スラグを路盤材にした道路の延長は1250bです。すべて撤去して舗装工事をするとなると、産業廃棄物の処分費用も含めて相当の費用が必要となると思います。当然、原因者責任を追及すべきです。私は、7月3日にこの問題で経済産業省に出向いて確認しましたが、経済産業省は、大同特殊鋼に対して、国や自治体などの工事主体が撤去の必要があると認めた場合は、費用負担に応じるよう指導しており、大同特殊鋼も費用負担に応じると回答しています。
したがって、前橋市は国や県の動向を見守るのではなく、水資源機構のように、原因者である大同特殊鋼に賠償請求すべきと思いますが、見解を。

 ●この問題で環境部長に質問します〜大同特殊鋼は今年の1月まで少なくとも76万トンもの鉄鋼スラグを販売してきました。そもそも、産業廃棄汚物をリサイクル品として販売すること自体が、廃棄物処理法違反であり、群馬県も同社への立ち入り調査を実施ました。鉄鋼スラグを産業廃棄物として処理すればトン当たり2~3万円かかりますが、再生スラグとして逆有償取引で販売すればトン当たり数百円。大同特殊鋼は経費をかけずに産廃を処理できたわけです。最大の被害者は、何も知らないまま危険な鉄鋼スラグが敷き詰められた道路を通行している市民や近隣に住む住民です。市が同社に道路の改修費用の賠償を請求するのは当然です。庁内の意思統一では、環境部長は明確に賠償を求める立場に立つべきです。いかがですか。

ただちに市民に市の対策を周知すべき

4、【市民周知】 建設部長〜富士見の市道8か所全てでフッ素が環境基準を超えた結果が出ました。少量だから安全とは言えません。富士見地区のスラグを敷き詰めた道路は100%のスラグです。工事の施工が平成16年ですから、スラグが10年間も露出し、住民が直接触れたり、粉じんを吸い込んだり、田んぼや用水路に有害物質が流れ出したのではないでしょうか。
 日本環境学会の顧問の大阪市立大学大学院の畑元教授は、「フッ素や六価クロムは少量でも周囲に悪影響を与える。本来基準値を超えれば建設資材に使ってはいけない。むき出しになっているようなところは、すぐにでも撤去すべき」と強く指摘しています。
少なくとも、富士見地区住民対象に、直ちに測定結果を報告し、今後の除却などの対策を周知するための説明会を開くべきだと思います。見解をお聞かせください。

●産業廃棄物として処理すべき鉄鋼スラグを建設資材として販売して、産廃処理料を節約して利益を上げてきたのが大同特殊鋼、購入価格より高い引き取り料を受けとる「逆有償取引」によって大きな利益を上げてきたのが渋川市内の建設資材会社です。
 国や県が双方を法にもとづいて指導監督すべき責任を果たさず、見逃してきた。今回の鉄鋼スラグ問題の本質です。

 私たちは、行政が営利企業の公害規制を怠ると、生活環境を破壊し、多くの人々に深刻な健康被害を及ぼすということは、水俣病や足尾鉱毒、安中公害等の痛苦の教訓ではないでしょうか。緊急性や重大性はないと安易に判断して、国や県の様子見をせず、住民に知らせ、直ちにすべて把握し撤去するという立場に立っていただくよう強く求めて、次の質問に移ります。

当局は県の動向を見守る態度

 市は、「富士見地区の8か所の市道に敷き詰められたスラグ砕石を民間検査機関に送って分析中。9月中にその結果が判明するので、環境基準値を超えていればその後の撤去などの方針を明確にする。当該道路の工事施工業者が廃業しているので、賠償などについては今後、国や県の動向を見ながら検討する」という答弁にとどまりました。

2、次に、税の滞納整理の改善についてです。

 @リストラ、病気で住宅ローンを返済できなくなったために、やむなく自宅を手放さなければならなくなった方が、不動産を任意売却しようとして、買い手がついて金融機関や保証協会など他の担保債権者が担保解除に同意しても、前橋市だけが滞納税が完納されないことを理由に差し押さえの解除にかたくなに同意しないために、結局売買契約が成立せず、裁判所による強制競売となってしまう例が数多くあります。
 国税徴収法でも、無益な差押えは禁じられています。市場価格の7割程度の低価格で強制競売で落札され、前橋市に滞納分が納税されないばかりか、財産を失った市民が執行停止されず、その後もなおいっそう重い税負担に悩まされることになっています。
前橋市は、滞納税の一部納付の意思が明確な市民の不動産の差押え解除拒否の方針を改め、他の担保権者や当該不動産の購入希望者、そして納税者と協議を行い、税の滞納繰越を減らすためにも、不動産の有利な任意売却を認めるべきだと思います。答弁を。
 
●全国的には、滞納市民の生活や健康状況を把握して、各債権者への配分案が確認できれば、一部納付で解除している自治体もあります。全額納付を解除の条件にせず緩和すべきです。

 A次に、自己破産し、1年以上前から病気のために生活保護を受給している60代後半の男性に、市収納課は、「納期までに滞納額全額を納入しなければ財産の差し押さえを執行する」という催告書を送り、生活扶助費から6千円を自主納付させました。明らかに差し押さえ禁止財産の扶助費の差し押さえ予告であり、違法な収納であります。ところが、市は今なお、本人の6千円の返還要求に答えず、過去の滞納市税の執行停止も行っていません。
 このような、憲法25条で保障すべき最低限の文化的な生活を脅かすような差し押さえや収納はやめて、滞納整理の執行停止で救済すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

●市民が誠実に納税することは当然です。しかし、生活や事業の状況で支払えなくなる人がいるのも事実です。国税徴収法も地方税法も、税債権の確保や法秩序の尊重だけではなく、納税者の保護も同時に求めています。徴税職員に滞納整理による税徴収を競争させ、債権回収を最優先させれば、命や生活よりも金という意識が強まり、納税者の保護を見失い、本来徴収してはならない人や財産から徴収してしまうことになりかねません。適正な税徴収でなくなってしまいます。行政が権力を濫用して取り立て機関に成り下がらないよう強く忠告して、質問を終わります。

差し押さえさえ件数年間8000件という前橋の異常な滞納処分優先の徴税行政の反省なし

 市当局は、地方税法に基づいて、不動産の差し押さえを行っている。生活困窮者の生活状況を聞きながら納税相談を行い、資産も収入も見込めない場合は執行停止の判断をしていると型通りの答弁をしました。しかし、生活や営業を脅かし、行き過ぎた滞納処分・差し押さえを行って、納税相談に呼びつけるやり方を改めようという姿勢は全く示しませんでした。


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