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議員団紹介 長谷川薫 議員

市長が推進する日赤病院跡地の前橋版CCRC構想について質問 2016年 03月 22日
【2016/3/23】

前橋版CCRC構想について

 市長が進めるCCRC構想について総務常任委員会で質問しました。


@ 前橋版CCRC構想についてです。日赤病院跡地を拠点にする「前橋版CCRC 構想」は、その受け皿として跡地に民間デベロッパーによる開発を期待していると思います。地方創生による国の補助金や県や市も助成金を出して、「バリアフリー化した賃貸マンション」や「サービス付き高齢者向け住宅」や「特養」の誘致・建設などを構想していると思います。
しかし、現在市内には1,300人もの特養待機者がおり、今後も高齢化の進展でさらに増加することも考えられます。市内の高齢者への支援策がおろそかにならないかと市民から不安の声が出されています。市内の高齢者対策を優先すべきではないでしょうか。見解を伺います。
 
A 国は、介護保険・医療保険の「住所地特例制度」を「サービス付き高齢者向け住宅」などにも拡大しようとしています。住所地特例対象施設に移住する場合は、住民票を移しても、移住前に住んでいた自治体が医療や介護保険給付費などの負担をすることとなります。
前橋版CCRC構想では、子育て世代とともに東京圏の元気な高齢者の移住を求めると説明していますが、国は直ちに住所地特例施設に入居する高齢者の移住を想定しているのではないでしょうか。そうなれば、東京の自宅を売却して高齢者が移住してくることになって、前橋市内の高齢者の特養や高齢者施設への入所が困難となるのではないでしょうか。
また、ビジネスチャンスを拡大することを目指している開発事業者は、このCCRC構想で想定している高齢者の施設を、中心部の広瀬川沿いの有料老人ホーム(グランヴィル前橋)のような入所費用が月額20〜30万円もかかるグレードの高い富裕層向けの施設・介護付き住宅型複合施設を整備しようとしているのではないでしょうか。わずかな年金で暮らす庶民向けの施設整備は期待できないと思います。見解を伺います。

B 民間賃貸マンションに居住する移住者は、住所地特例が受けられない。そうなれば、当然前橋市がその後の医療や介護の社会保障費を負担することとなり、市の財政負担が増えるのではないでしょうか。東京圏の高齢者の前橋移住を促進することが、前橋市の活性化に結び付くとは考えにくいと思います。「前橋版CCRC構想」のメリットは何なのでしょうか。東京圏の高齢者の受け皿準備という本質は変わらないのではないでしょうか。見解を。

●市長に質問します〜アメリカのオレゴン州のCCRCは「住まい」としてのグレードが高かく、ゴルフ場やプールやフィットネスジム、図書館、シアタールームダンス教室やヘアーサロンなどの共用施設が充実し、居住する部屋は日本の高齢者住宅に比べてかなり広い。食堂ではレストランのように自分でメニューから食べたいものを選べて、ウェイターが料理を持ってきてくれる。さながら一つの小都市のようになっているそうです。
 今議論され始めた日本版CCRCでは、「サービス付き高齢者向け住宅」を高齢者の受け皿となる住宅として捉え、アクティブシニアを呼び込んで地域活性化につなげたいという発想です。とはいえ、今のサービス付き高齢者向け住宅の「常識」では「日本版CCRC」とうたったところでアメリカの本家とは似ても似つかぬコミユニティーになるのは間違いないと思います。
日本のサ高住の居室は、18平方メートル6畳程度の必要最低限の広さです。人手不足を解消するための広い食堂とデイサービスや訪問介護の併設が定番です。介護報酬を当てにした上で、家賃や食費も含めたビジネスモデルとしてが組み立てられています。それでも、介護利用料負担を除いても高齢者の入所には月額10万円以上もかかります。
 現在のサ高住市場は、一定程度の介護が必要なもの特養が足りなくて入れない「特養待機者」を主な利用者としており、「特養」代替施設のようなものが多いのです。日本版CCRCが期待する「アクティブシニア」を対象とした施設となると、先ほどの述べたように、月額20数万円の費用が掛かります。したがって、市民誰もが利用できる施設整備構想ではなく、東京圏の富裕層を対象とした構想にならざるを得ないのです。もちろん、それ自体は今の東京圏の高齢者対策として国や財界の要請から発想されたものですからそうなるのです。最近は国の有識者会議では「健康でアクティブな生活」「多世代との協働」など理想的な"基本コンセプト"が掲げられていますが、「健康でアクティブな生活」を送る首都圏の高齢者は、次々と前橋市内に建設されている最低限の水準のサ高住にはとても入居してはくれないのではないでしょうか。前橋版CCRC構想には無理があると思いますが、市長はどのように考えますか。

【指摘】日赤跡地周辺の市民の要望は、診療所機能を残してほしい、高齢者施設や福祉施設を整備してほしいという願いです。ましてや、営利企業がビジネスチャンスとして跡地に参入してくることを望んでいません。このことをしっかり踏まえていただきたいと思います。

市当局は、安心してだれもが住み続けられる拠点施設にしたいと答えていますが・・・・ 
 
 当局は、「東京圏の富裕層の姥捨て山にはしない」と答弁しましたが、予想される高齢者施設は民間開発であるだけに、有料老人ホームも賃貸マンションも利用者の負担が高くなることが予想されます。「市民や子育て世帯も対象にしたコミュニティーづくりを進める」とも答弁していますが、低所得の市民が利用できる施設ではないのではないでしょうか。

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