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議員団紹介 長谷川薫 議員

「住宅・商店リフォーム助成制度の創設充実・緊急通報装置貸出事業の拡充・学校給食費の無料化を求める請願」 2016年3月・第1回定例市議会・本会議請願賛成討論(長谷川薫)
【2016/3/30】

  2016年3月・第1回定例市議会・本会議請願賛成討論(長谷川薫)

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、請願第1号 中小業者支援策の拡充を求める請願、請願第2号 緊急通報装置貸し出し事業の拡充を求める請願、および請願第3号 小中学校の給食無料化を求める請願について、賛成の立場から討論いたします。
最初に、前橋民主商工会が提出した請願第1号についてです。この請願は市内の中小業者支援策として、住宅リフォーム助成制度の創設とまちなか店舗ホスピタリティー向上支援事業・いわゆる商店リフォーム助成制度の拡充を求める内容の請願です。
 建設水道常任委員会での審査では、創生前橋・心世紀・清新クラブを代表しての討論で、全国の自治体で実施されている住宅リフォーム助成制度の経済波及効果を認めながらも、特定業者への直接支援は疑問と述べ、住宅は個人資産であり前橋市の住宅政策にはなじまないなど強調し不採択としました。
 そもそも住宅リフォーム制度は、建設業者などに直接支援する制度ではなく、市民が住宅リフォームを市内業者に発注した場合に、かかる費用の一部を市民に助成する制度であります。さらに、これまで、国の補助金を活用して前橋市が実施してきた耐震・エコ・子育て・バリアフリーに限定したとはいえ4年間で3億2600万円余りも助成した住宅改修支援事業や昨年7月から前橋市が事業を開始した空家の活用や解体のための費用の補助事業、具体的には空家へ居住するための外装・内装・台所・浴室等の改修工事費の1/3以内で最大100 万円の助成をしている空家対策事業も、3会派が問題と主張した個人資産である住宅の改修助成であります。3会派は、本当に住宅改修支援が本市の住宅政策になじまないと判断しているのでしょうか。このような支援事業予算にも賛成していながら、同様な趣旨で市民も市内の中小建設事業者も喜び、地域経済を活性化する抜群の効果がある住宅リフォーム助成制度の創設を求める請願に背を向けて不採択を主張する態度は理解できません。
また市民フォーラムや公明党市議団は、木造住宅耐震診断補助事業やそれに伴う耐震化工事補助事業さらには介護保険を活用した住宅リフォーム補助制度などがあるので、住宅リフォーム助成制度をあえて創設する必要性はないとの理由で不採択を主張されました。しかし、木造住宅の耐震化助成事業の対象は昭和56年以前の木造住宅に限定されており、工事額100万円以上の改修工事を助成するもので、住宅リフォーム事業のような小規模な改修工事を対象としておりません。また介護保険による住宅改修も要支援・要介護認定者に限定されており、中小建設業者の「仕事おこし」という点では大きな効果は期待できません。それに対し、住宅リフォームの助成制度は、数年前から厳しい経営を強いられている建設関連事業者の受注機会を増やし、今なお長期にわたる不況で元気の小規模な建設関連事業者を励まし、まちに潤いと活気をよみがえさせる事業であります。今日の社会、経済情勢からも市民要求に合致した施策であります。
市民の方は共通して「市が少しでも住宅のリフォームの助成してくれれば助かる」と話していますし、建設関連業者の方々は口々に仕事がないことの悩みや実情を語って対象工事の制限をなくした使い勝手の良いリフォーム助成事業を作ってくれればありがたいと話しています。建設業協会傘下の方からも、「業界の経営環境の厳しさの改善のためなら、党派にとらわれず、お互いに話し合って住宅リフォーム助成制度を作ってほしい」などのご意見も聞いています。業界の厳しさをずばり反映した意見だと思います。いろいろな制度があるから、住宅リフォーム助成制度は不要との主張は、このような市内業者の建築関連業者の声にも背を向ける態度であります。
 高崎市ではすでに5年前の2011年度から助成対象工事経費の30%、最高金額を20万円まで、予算額1億円で住宅リフォーム助成事業を行っており、毎年8〜10億円の工事が発注されています。
仕事おこしとまちの活性化のために住宅リフォーム助成事業に踏み出した全国の5県と628市町村の多くが、これまでに国の交付金も活用しながら事業を実施してきましたが、交付金制度が終了した後も自治体単独で事業を継続しています。どこでも支出した予算の5倍から10倍の経済波及効果が地域内で期待できる住宅リフォーム助成制度は、地域経済振興策の切り札ともなっています。前橋での事業創設を求める願意は大多数の市民や建設関連事業者の多くの共感を得られると確信しております。

次に、まちなか店舗ホスピタリティー向上支援事業・商店リニューアル事業の拡充を求める請願についいてです。
創生前橋・清新クラブ・公明党市議団・心世紀の4会派を代表しての不採択理由、さらに、市民フォーラムの不採択理由は、現状の制度で継続すべきというものです。また、「夜間のみ営業している商店への助成は、様々な営業形態があり線引きが難しい」との主張がありましたが、高崎市のように風俗営業関係の店舗を助成対象から外したり、都市計画法による地区計画の建築制限のように助成対象店舗を限定する要綱を作れば対応できる問題であります。また、「備品など助成対象の拡大は、移動したり転売する恐れがある」「商工会議所の助成制度がある。設備備品は自助努力で」との主張もありました。店舗をリフォームしてお客を増やそう、中心街の賑わいを取り戻そうと決意して助成申請をする事業者を、最初から「備品の助成をすると転売するかもしれない」と疑い、事業者を信頼しない後ろ向きの発言は問題であります。
また、市内全域に広げるべきという要望項目も、「事業の目的がそぐわないという」主張が行われました。
しかし、市内の商店は、中心街も周辺商店街もともに大型スーパーやコンビニの大量出店によって苦しい経営を余儀なくされています。これまでにも果たしてきた地域のコミュニティとしての役割を発揮してもらう上でも、魅力ある店舗づくりは中心街だけではなく市内全域においても大変重要な課題です。商店街で経営者に話を聞くと、どこでも、すでに長年にわたる大型店との競争で体力をうばわれ、「改装のための資金もままならない、自分の代で商店経営は終わりにする」という声を聞きます。今や、個人商店を取り巻く環境は大変厳しく、店舗の改修や備品を購入することが大きな負担となってますます客足が遠のく悪循環となっています。  
しかも商店街機能の低下は、地域社会の見守りや交流機能も弱くしています。それは、売る人と買う人の顔が見える商店や商店街は、単なる買い物の場所だけではないからです。ますます進行する少子高齢化社会の下で、商店街は地域社会におけるコミュニティの形成や交流の場であり、時と場合によっては、高齢者や子どもたちの安心・安全を守る役割を担う、地域にとって貴重な役割を果たしており、商店リニューアル制度を全市に広げることは、少子校庭化対策としても重要であります。

お隣の高崎市は、商店の経営者を信頼し全国から視察が押し寄せるほどお手本になる商店リフォーム事業を展開しています。地域を限定せず市内どこでも既存の商店はもちろん、これから営業開始しようとしている人も対象に要望に沿った改装や店舗などで使用する備品の購入に対し、その費用の2分の1・補助上限額100万円を補助しています。これは制度を活用する商店だけでなく、工事を行う地元の小規模建設関連業者も元気になる制度だと高崎市の職員は語っています。この制度を使った高崎市内の中華料理店主は、次のように話しています。「20年以上使って冷えなくなったエアコンや製氷機を更新できました。費用は総額160万円ですが、その半分の助成を受けたので持ち出しは80万円で済みました。本当に助かりました。若いときは勢いでやってきましたが、年をとってからは無理がきかず、修理や購入にも金がかかるので店を閉めようかと思った。でも、この制度のおかげで乗り越えられました」と話しています。同市では、3年前の事業開始以来、このような商店から要望が殺到し、平成25年度は2回の補正で計4億4千万円、26年度は3億5千万円、今年度は4億2千万円の事業実績があり、これまでの工事等の発注額は合計27億円になり、地域経済活性化に大きな貢献をしています。

本市でも当局は、商店や商店街の活性化策を産業ビジョンに位置付けて重視しています。今こそ高崎市の事業に学び、住宅および商店リフォーム助成と空き家・空き店舗対策などを組み合わせて実施し、市民が住み続けられる住宅づくり、安心して営業を続けられる店舗づくりをめざして積極的に応援することが求められています。同時に、建設関連事業者も仕事が増えて事業経営が安定し、地域経済の内発的な好循環を進めることができると思います。このような観点から本請願の趣旨は市民共通の願いであります。

 次に、全日本(にほん)年金者組合前橋支部が提出した請願第2号 緊急通報装置貸し出し事業の拡充を求める請願です。

 教育福祉常任委員会審査では、高齢者支援策としての制度の重要性は認め、本市の貸与制度の効果も認めつつも、65歳以上の全市民を対象に無料で貸し付ける制度の拡充には日本共産党以外のすべての会派が「財政的に困難」とか「介護保険制度や地域の民生委員など他の見守り制度で対応できる」などと反対し、不採択を表明しました。
 しかし、今、内閣府の調査でも、誰にも看取られることなく、亡くなったあとに発見されるような孤独死を身近な問題だと感じる人の割合は、60歳以上の高齢者では4割を超え、単身世帯では6割を超えていると報告されています。高齢化が進行し、生涯未婚率の上昇ともあいまって単身高齢世帯が増加しています。本市においても、高齢者の一人暮らし世帯が現在11588世帯、高齢者夫婦のみ世帯が15014世帯で増え続けております。このようななかで、地域社会のなかでの人間関係を含め、地域力や仲間力が弱体化し、社会的孤立や孤立死の問題がでてきたといえます。これらの世帯は、健康上の不安だけではなく、日常の買い物や病院への通院なども深刻であり、交通弱者支援策など高齢者が生活しやすい環境を整備することが喫緊の課題となっています。「地域力」の強化を図ることが重要であることは言うまでもありませんが、緊急通報装置の貸出事業の拡充は直ちに最低限の見守りを行政が支援し、高齢者の安心、安全を確保する手立てです。
 本市の通報装置予算は147万円で、現在の貸与世帯は134世帯にとどまっていますが、高崎市は孤独死ゼロをめざして、65歳以上の高齢者を対象に所得制限をなく貸与しており、予算額は前橋市の68倍の1億円、すでに2144世帯に貸与しています。
財政規模も高齢化率も高崎市とほぼ同じ前橋市で、財政難を理由に拡充できないはずはありません。さらに、不採択を主張した討論では、一人暮らし高齢者などの見守りの様々な事業が取り組まれているとの主張もありましたが、前橋市における高齢者の支援策は高崎市に比べてもかなり遅れていることを認識すべきだと思います。
緊急通報装置の貸出事業以外にも、前橋市では高齢者の配食サービス事業を介護保険制度の発足後大幅に縮小し、今では事業者の直接配達と社会福祉協議会のボランティア配達で、昼食か夕食の1食だけを300円で82名の高齢者に届けています。一方高崎市は、590名の高齢者に昼だけ届けている配食事業を、新年度から大幅に拡充して、1日3食365日毎日配食する全国でも先進的なサービスに拡充することを決めています。敷地内に家族が住んでいても昼間は食事の世話を受けられない日中独居の世帯にも対応するとのことであります。
今後ますます少子高齢化が進行するだけに、現在本市が実施している高齢者支援策の現状を細かく分析し、その都度市民の要望に応えて柔軟に改善するように市民の請願に応えて議会で声を上げることが、福祉施策全体の充実に結び付くのではないでしょうか。そうした点からも、病弱な高齢者が所得に関係なく、安心して暮らすことができるよう行政の支援を求める今回の緊急通報装置貸出事業の拡充を求める請願は当然の市民の願いであります。

次に、新日本婦人の会前橋支部が提出した請願第3号 小中学校の給食無料化を求める請願の賛成理由です。
教育福祉常任委員会審査では、創生前橋・清新クラブ・心世紀3会派及び、市民フォーラム・公明党市議団は共通して、学校給食の食材費の父母負担は、憲法第26条の義務教育の無償化の原則規定に抵触していないと述べるとともに、無償化に必要な⒕億円の財政負担は市単独では困難との理由で、不採択を主張しました。
しかし、本請願に込められた願いは日本の相対的貧困率が16%に達し、非正規雇用労働者が労働者全体の4割、その平均給与所得が年間平均171万円などに示されているように、若い子育て世代のくらしは非常に厳しい実態であります。物価上昇によって実質賃金が減り続けているなかで、来年4月からの消費税10%増税ともなると、子育てにかかる費用が一層重くなってきます。このような暮らしの状況の中で、義務教育無償化の原則から言っても、教育の一環である学校給食の無料化を今こそ決断してほしいという願いは当然であります。 
本来は国の制度として無料とすべきですが、当面は子どもの医療費の中学校卒業までの無料化のように、少子化対策の中心施策として市の負担で学校給食費の無料化を要望しているものであり、議会は率直な市民の願いに応えるべきだと思います。
また、3会派代表の反対討論では、地方創生のためにも安定的雇用の重要性や所得不安の払しょくや一人親家庭の支援など子育て世代の暮らしの応援の願意は一定理解を示しましたが、請願には不採択という立場を表明しました。
公明党市議団は、市の財政状況からも、すぐに実現させることは難しい、国の動向を見守るべきと討論しました。
市議会は、何よりも請願者の趣旨を十分に尊重し行政に反映させるよう努力しなければならないのであって、「実現の可能性があるか」「財政の裏付けがあるか」「法令上の合理性があるか」など、行政側の事情に重きを置くような判断にならないように、審査をすることが大切だと思います。
 行政は財政的な判断を優先して、できることから実現していくという慎重な政策判断をするため、住民要求にスピーディーに対応できないことが起こりがちです。だからこそ、日常的に住民要望を託される議員は、行政のチェック機能を十分発揮して、切実な住民要望の実現のために全力を挙げて取り組むことが最大の役割ではないかと考えます。
言うまでもなく学校給食の無料化は、すでに本市が第3子の給食費の一部無料化を実施しているように、市長が掲げる「子育てするなら前橋で」という政策理念にもぴったりだと考えます。完全無料化に必要な⒕億円の財源についても、どの分野の施策を優先的に実施するかなどを、全庁的に論議していくことが重要なのではないでしょうか。 当局は平成28 年度末の財政調整基金は約78億円と見込んでいます。この貯金を学校給食無料化のために柔軟に充てていくことを真剣に検討すべきだと提案します。学校給食は、栄養や健康、地産地消、地元との結びつきや食育の観点、アレルギー問題、家庭の経済状態や貧困の問題、就学援助や生活保護との関係、財政問題など、多角的観点が浮かび上がってくる深い問題だと思います。
もし、一足飛びに完全無料化の実施は難しいとの判断であれば、いっそう知恵をしぼり工夫を凝らして、たとえば第2子から、あるいは小学生から段階的に無料にするなど、どうすれば完全無料化へ近づけるのかを考えて進めていく努力が必要だと思います。安心して子どもを産み育てられるよう、医療費の無料化のように中核市・前橋市が全国の先進を走り、県や国を動かすという時期にきています。多くの市民が望んでいることを真摯に受け止め給食費の無料化を実現するために市当局が足を踏み出すよう議会が意思を固めて働きかけるべきだと思います。そのような思いを込めて、小中学校の給食費無料化の実施について賛成を表明するものです。

以上、あらためて、各議員の皆さんのご賛同を心からお願いいたしまして市内の3団体から提出された3つの請願に対する日本共産党市議団を代表しての賛成討論と致します。

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