トップページへ 前のページへ 目次ページへ
議員団紹介 長谷川薫 議員

第3回定例会・本会議決算反対討論(2016年9月27日・長谷川薫議員) 【2016/10/18】

2016年第3回定例会決算反対討論【2016年9月27日・長谷川薫】

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第100号から第103号、第105号および第108号から第111号、以上9件に対する反対討論を行います。

最初に、平成27年度前橋市一般会計決算についてです。

 反対理由の第1は、本市の行財政運営が、国の悪政に立ち向かわず、「住民福祉の増進」という自治体本来の責務を十分に果たそうとしていないからであります。
第1の問題点は、正規職員の削減と民間委託の拡大です。
 昨年見直しを行った前橋市行財政改革推進計画は、今年から3年間で正規職員をさらに200人も削減しようとしています。本市の正規職員は、11年前の平成16年には3130人だったのが、今年の4月1日には492人も減り、2635人になっています。
 逆に再任用職員が126人、嘱託職員が630人、臨時職員が93人となり、非正規職員が合わせて849人で、全職員の24%、4人に一人を占めています。結果として正規職員の業務負担が過重になり、現場調査が迅速にできなくなったり、本来なら職員自ら行うべき計画策定や調査業務をほとんど民間コンサルタント事業者に委ねるなどの影響が出ています。
 さらに、「民で出来るものは民に任せる」という方針のもとで民間委託化が推進され、今後3年間で、税証明や市民課証明交付窓口、斎場管理や職員研修業務も民間委託化し、市立保育所や共同調理場の民営化も推進しようとしています。
職員削減と外部委託化は、個人情報の漏えいや市民サービスの低下、さらに官製ワーキングプアを増やし、自治体の切り売り、解体への道であります。業務の効率化や市民サービス向上には到底つながりません。
 さらに、市当局がこの間進めてきたのが、公共施設への指定管理者制度の導入です。行革計画では、外郭団体に限らず民間企業への指定もさらに拡大しようとしています。3年ないしは5年ごとに公募を繰り返す指定管理では、安定した運営やノウハウの蓄積、専門性の向上は不可能です。指定管理の施設で働く方からは、長く働いても、公募を繰り返すたびに時給が下がっている実態も聞いています。市当局は、公的施設で働く方々の賃金水準など労働実態を把握していません。低賃金で市の仕事を担うワーキングプアを、市自らが大量に生み出す行革路線とは決別すべきです。
 しかも、このような路線は、経費節減という行革効果を上げているとは言えません。職員の人件費は、11年間で累計30億円減っています。しかし、委託料と臨時職員などの賃金が含まれている物件費は年間118億円から180億円に62億円も増えています。市の財政にとっても、決して節減にはなっていません。
 市役所や保育所などで市民に接する仕事を担う非常勤嘱託職員の賃金は16万円、臨時職員は時給890円で、いずれも期末手当の支給はありません。
 公務労働を担う方々の賃金引き下げが、結局は民間の賃金引き下げにつながり、それを口実にまた公務員の給与も下がるという、負のスパイラルに陥っています。

 第2の問題点は、全国で最も過酷で強権的な滞納整理を改めない税収納行政を認めることはできません。本市の昨年度の財産差押え件数は前年に続いて1万件を超えました。しかも、預金口座の差押えが総件数の約9割にも達しており、給与や年金が振り込まれる日を狙ってその全額を差押えることは、広島高裁判決でも示されたように、明らかに違法・脱法的な差押えです。口座に振り込まれれば一般債権化するので給与も年金も禁止額は無視しても構わないという差押えは、憲法25条が保障する市民の生存権を否定する違法な行政処分であることは明らかです。生活困窮や経営難となり納期内納税ができなくなった税滞納者に対して、生活実態を十分把握しないまま滞納整理の最後の手段である財産差押えを乱用する収納行政は直ちに改善し、徴収や換価の猶予、執行停止等、納税緩和制度で救済するとともに、自主納付できるようていねいに生活再建を支援すべきです。

 第3の問題点は、アベノミクスと消費税増税、社会保障制度の連続改悪で苦しむ市民の暮らしや中小業者の経営を応援する施策充実に消極的な行政姿勢を認めることはできません。
 本市の就学援助制度は、対象世帯を拡大するとともに国が認めているPTA会費やクラブ活動費なども給付対象にすべきです。入学時に制服やかばん、自転車などで10万円以上もかかる中学生の入学準備金の支給日を現在の7月から3月に前倒しすべきです。太田市では、小中学校の入学準備金を市独自に倍増するとともに、支給時期をこれまでの6月から3月上旬に早めることを決め、今年の12月補正で対応しようとしています。本市でも実施すべきです。
 子育て支援策として実効性のある学校給食費の無料化も、第3子の一部無料化にとどめており、約14億円の予算投入で実現できる小中全学年の無料化や、第2子からの保育料の無料化、さらには高校卒業までの医療費の無料化を決断しないことは認められません。前橋市がこれらの支援策を先駆けて実施することが、県や国に実施を迫る大きな動機を与えることを躊躇すべきではありません。

 さらに、今、教育現場では教員の多忙化といじめや不登校、発達障害児等の問題など、多くの困難を抱えています。教育委員会は具体的な対策として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど多くの非正規教職員を配置して対応していますが、最も大事な学級編成規模を小さくして一人一人の子どもに余裕をもって接することのできる30人以下学級制度は県のさくらプランで実施されている小学校1〜2年生にとどまっています。小学校5〜6年生で単学級となる9校だけは35人学級化して二クラスに分けていますが、全体として国や県の動向を受け身的に待っています。非常勤教職員の対応では教員の多忙化問題は解決しません。教師の負担軽減のためには、正規教職員の増員が急務です。30人学級制度の成果は、きめ細やかに個に応じた支援をすることで学習意欲が向上し、基礎的な学力を伸ばすことができ、学級担任がふえたことで、学年内の指導体制が充実したなどのメリットが確認されております。国や県に迫るとともに、市独自に年次計画を立てて小中全学年の30人学級を実現すべきです。
 
 さらに、教育委員会は小規模校の統廃合を進めています。あたかも、保護者や地域の合意によって推進しているように説明していますが、教育委員会が小規模校は切磋琢磨が弱くなるとか、人間関係が固定する、部活動が困難となるなどのデメリットを強調すれば、統廃合に意識が誘導されることは当然です。 
よって、中央小と桃井小、朝倉小と天神小の統廃合も認めることはできません。

 産業政策も不十分です。いま、市内の中小企業や零細業者は、長引く不況による受注量の減少や請負単価の引き下げで大変厳しい経営状況を強いられています。工業団地などへの誘致企業への優遇制度をさらに充実させながら住宅リフォーム助成制度を廃止したことは認められません。同制度は、市民にも中小建設業者にも喜ばれた波及効果の高い地域経済活性化策です。耐震・エコ・子育てなどに修繕箇所を限定せず、高崎市のように、屋根や外壁の塗装や畳替えなど市民が使いやすい住宅リフォーム助成に改善して復活すべきです。
 また、商店のリニューアル事業も、中心市街地活性化区域で昼から営業する店舗で備品以外などの改修工事などと限定せず、市内全域を対象にするなど事業を拡充すべきです。

 また、市営住宅は空き部屋が増え、計画的な修繕が遅れて老朽化が進んでいることは問題です。高齢者の入居も増えており、退去時の高い修繕費の負担が困難となったり、階段を上がれなくなったり、トイレやふろ場への閉じ込め事故、建物周辺の樹木の剪定が困難となるなど、解決が求められる多くの問題が起きています。維持管理予算を増額して、これらの問題に対応すべきです。
 更にエレベーター設置が計画的に促進されていません。市営住宅を「終の棲家」としている入居者も増えているだけに、予算を増額して期限を切って計画的に設置すべきです。
すでに県公社住宅は若年単身者の入居も認めています。国土交通省も自治体の判断で入居基準を緩和してよいと言っています。直ちに、入居基準を改定して空き部屋への入居を認めるべきです。

 農業振興策についてです。本市は、市街地から中山間地まで、自然環境を生かした豊富な農畜産物が生産され、生産者の顔が見え、安心・安全・新鮮な農産物が消費者に喜ばれていますが、高齢化が進み、新規就農も十分促進されていません。さらにTPP協定が批准され発効すれば、大規模農家も農業から離脱し、農地は荒れ果て、環境保全機能が低下し、水害や土砂崩れが多発し、前橋の農業と地域の危機が確実に進行します。市民は、安全な農畜産物が大幅に減り、危険な輸入食材に頼らざるを得なくなり、市民の食の不安や健康被害が広がります。TPP反対運動の先頭に立たない市当局の姿勢は問題です。
 また、本市の約400fにも及ぶ遊休農地の有効活用は、農産物の市独自の価格保障制度や後継者育成など農業を安定的に継続できる効果がある農業支援策を重点とすべきです。

 また、本市の環境保全行政の弱さを指摘せざるを得ません。今、苗ヶ島町に建設が開始されている関電工の6700㌗・7700世帯分の電力を供給できる大規模木質バイオマス火力発電計画については、「福島原発事故で放射性物質に汚染されている間伐材を年間8万トンも燃料として焼却すれば、周辺地域への2次汚染の恐れがある」と1万人を超える住民の白紙撤回を求める署名が市長に提出されています。ところが、市当局は住民の不安を受け止めず、建設を認める立場で開発を許可し、指定確認検査機関が建築確認許可を出した内容についても、詳細な把握もしていないことは問題です。自然エネルギー施設の設置を規制する条例制定を決断し具体化しましたが、住民が抱いている環境汚染に対する不安に誠実に対応しない前橋市の環境行政を認めることはできません。
 また、岩神町の前工跡地の高濃度の土壌汚染が明らかであるにもかかわらず、土壌浄化をしないままベイシアに貸し出すことも認められません。また、田口町の水道水源の発がん物質による汚染が現在も続いていますが、汚染の因果関係が明確な坂東工業団地の地中の汚染物質の除去を県企業局などと迅速に進めないことも認められません。

 次に反対理由の第2は、立憲主義を投げ捨てて、平和を脅かす安保法制・戦争法を強行した安倍政権への容認姿勢を認めることはできません。

 昨年の9月に強行された安保法制・戦争法は、アメリカが引き起こす戦争に自衛隊が参戦して、米軍と肩を並べていつでもどこでも海外で戦争をする国づくりに大きく足を踏み出すものです。南スーダンのPKOに派遣されている自衛隊は、差し迫った危険に直面しています。だからこそ、国民の多くが戦争法は憲法9条に違反し平和主義に反すると主張し、戦争法廃止の声を上げています。わが党が、市長に戦争法反対の意思を明確に表明すべきと求めても、国の防衛問題に意見を述べられない旨の答弁です。二度と戦争をしない、過ちを繰り返さない、核兵器を使わせない、という決意のもとに、「平和都市宣言」をしている自治体の市長として恥ずかしい態度であります。
 昨年は、前橋空襲を風化させないための市民ミュージカル『灰になった街』を上演する等の努力がありましたが、多くの市民が願っている市民の平和学習の拠点施設ともなり、戦争と平和にかかわる資料、書籍、映像が保存され、子供たちや青少年、市民がいつでも閲覧できる、仮称「平和資料館」の建設計画は全く具体化されませんでした。また、市民代表を、広島や長崎の平和式典さらには沖縄の戦没者慰霊式典への派遣を求めましたが実現しておりません。市民参加型の平和行政を決して一過性にせず、今後もしっかりと発展させていく必要があります。
 また、米軍ジェット機の市街地上空での低空飛行訓練や欠陥輸送機オスプレイの横田基地配備に伴う前橋市上空への飛来の中止などをいっそう強く政府に求めるべきです。
また、憲法9条2項を削除して国防軍を明記し、基本的人権や地方自治を制限する緊急事態条項・戦前の戒厳令に等しい条項を創設する等の自民党の憲法改定草案に沿った議論が憲法調査会で開始されようとしています。市長は今こそこのような改定論議に同調せず、憲法の平和主義を守り抜くように政府に迫るべきです。

 反対理由の第3は、少子高齢化の進行やひっ迫する市財政に対応するために、コンパクトな街づくりが必要であると言いながら、公共事業も街づくりも費用対効果を十分検討せず、従来通り推進していることを認めることはできません。

 県都前橋創生プランは、人口が現在の33万5千人から20年後の平成47年には29万3千人に4万2千人減少すると推計しています。公共施設管理計画も、同じような観点から再編整理の必要性を提言しています。今後、既存の道路・橋りょうなどへの老朽化対策等の都市インフラのメンテナンスに莫大な費用が必要となることから、不要不急の新規の道路建設などは、これ以上すすめるべきではありません。

 ところが、区画整理事業は現在13地区も同時施行しているために、それぞれの事業地区が計画期限内に完了せず長期化しています。家屋移転も道路や下水道整備も円滑に進まず、年間約60億円の予算を計上しても、逆に長期間にわたって市民の生活の利便性が損なわれる状況が続いています。わが党が、これ以上の新規事業を増やさず現在施行中の事業を早期に完了すべきと主張しても、元総社落合地区の区画整理事業を新規に事業化したことは問題です。
 市内各所の道路のボトルネックを解消するためには、用地買収方式、権利変換方式、代替え地の提案による等価交換などによる街路整備事業、市街地再開発事業などを選択し、出来る限り短期間で事業を完了し安全な道路通行を実現すべきです。

 また、今後いっそう高齢化社会が進む本市においては、従来のような大室公園や荻窪公園など郊外型の大規模公園の新規整備を抑制し、歩いて行ける近隣公園をバリアアフリー化したり、高齢者が多い公園愛護会に管理の多くを依存するのではなく、維持管理予算を十分確保し、定期的に業者発注して遊具の安全管理や樹木の剪定や除草や清掃を進めるべきです。
 上武道路の関根町に計画中の4カ所目の道の駅も、既存の市内3か所の農産物直売事業と競合することは避けられません。市外の道の駅も近接しており、5fの川場の道の駅を超える北関東最大規模の道の駅を整備しても、大きな集客や収益効果は期待できないのではないでしょうか。民間事業者にすべての事業構想を委ねても、過大な計画は経営赤字などのリスクが予想されるだけに、事業規模や内容は市民の意見も聞きながら慎重に判断すべきです。

 さらに、日赤病院跡地のCCRC構想は、国の地方創生事業の目玉事業であり、首都圏の元気で経済的に余裕のある高齢者の移住を期待して有料老人ホームなどを整備し、生涯を安定的に暮らせるシニアタウンを整備する構想です。国の交付金に期待しても、民間デベロッパーの事業参画がなければ成り立たない事業です。少なくとも前橋市民の特養入所待機者1200人の解消につながる事業にすべきであり、跡地周辺住民が期待する特養老人ホームなどの高齢者施設や医療施設の整備を優先すべきです。

 また、市民のスポーツ要求に応える施設整備を進めることを否定するものではありませんが、前橋総合運動公園や下増田サッカー場の整備規模が過大です。全国規模の大会誘致ができる施設整備をしていますが、サッカー場の天然芝4面の年間維持管理費が4千万円もかかり財政上の負担が重すぎます。老朽化した六供温水プールなど既存のスポーツ施設の改修や耐震化を優先すべきであり、強い市民要望もないなかで、都市間競争に勝つための施設整備を優先すべきではありません。

 次に、議案第101号平成27年度前橋市国民健康保険特別会計についてです。

 本市の国保税は、1世帯平均年間16万円、一人10万円の負担となっています。「あまりにも高すぎる国保税を引き下げてほしい」という多くの加入者の願いに市当局は全く答えようとせず、国の言われるままに滞納者に短期証や資格証を発行していることは認められません。17億5千万円の国保基金や支援金を活用すれば、少なくとも加入者一人当たり年間1万円の引き下げは十分可能です。基金が不足すれば、他の多くの自治体のように、一般会計を繰り入れればよいのです。現在、政府管掌の社会保険加入者も、将来、退職すれば必ず国保加入者になるのであり、「加入者以外の市民に負担を及ぼす不公平な繰り入れはできない」との市当局の答弁は的外れです。
 また昨年度は、最高限度額を85万円から89万円にひきあげました。「低所得の加入者に高い国保税を課税する」という構造的な問題は、加入者の負担増で切り抜けようとする小手先の改革では根本的な解決にはつながりません。
 引き続き国に対し、総事業費の約23%まで引き下げられている国庫負担金を増やすよう市としても強く意見を述べるよう求めておきます。

 次に議案第102号、平成27年度前橋市後期高齢者医療特別会計についてです。

 後期高齢者医療制度は、年齢で区切り高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込み負担増と差別医療を押し付けるという大きな問題のある制度であり、一日も早く廃止し、高齢者が安心して医療を受けることができる制度に転換するべきです。制度が続いている限り、天井知らずの保険料の値上げは避けられず、すでに保険料は4回も値上げされ、昨年度の平均保険料は月額5659円です。
 政府は来年4月から、低所得者の保険料を最大9割軽減している特例軽減措置を「現役世代との負担の公平化」の名で段階的に廃止しようとしており、6割近い916万人の保険料が2〜10倍に跳ね上がります。低所得者を狙い撃ちにした大負担増です。
 高齢者のくらしは、年金が減り続け、物価の高騰、消費税増税で大変な状況です。市当局は、国や県広域連合に対して「高齢者に安心して医療を受ける権利を保障すべき」と強く求めるべきです。

 つぎに議案第103号、平成27年度前橋市競輪特別会計についてです。

 わが党は、戦後復興期の財政難を打開するための緊急避難的な公営ギャンブルが、今もなお継続実施されていること自体に問題があるとの立場です。しかも、すでに全国的に競輪事業は、来場者の高齢化と車券売上の減少で赤字経営となり、一般会計からの繰り入れを余儀なくされ、事業そのものを廃止する自治体が増えています。
 前橋競輪においても、寛仁親牌などのグレードの高いレース開催時には車券売上が増えていますが、通常の本場開催のレースでは場外車券の売り上げを伸ばさなければ経営赤字に追い込まれかねない事業運営です。
 昨年は、2億円の一般会計への繰り出しが行われていますが、今後、ヤマダグリーンドームの老朽化に伴う維持管理費や場外発売の関連経費の負担増や車券売上額の低迷などで存続の危機に追い込まれかねない状況も想定されます。
 地方財政の健全化を図るため、ギャンブル収入を自治体の財源とする競輪事業は、存廃を含めて議論する時期に来ていると指摘せざるをえません。

 次に議案第105号、平成27年度前橋市介護保険特別会計についてです。

 第6期介護事業計画期間3年間の介護保険料を約20%引き上げ、総額年間11億円もの高齢者の負担を増やしたことは認められません。
 そもそも、介護保険事業に必要な財源を公費5割、保険料5割という制度とした時から、高齢者人口が増えて介護給付費の支出が増えれば、介護保険料を引き上げざるを得なくなることは予想されていたことであります。国庫負担割合を増やさなければ、今後、制度を維持できなくなることを強く国に主張するとともに、第7期事業計画で介護保険料の引き上げを抑制するために市の一般財源を繰り入れるべきです。
 今、国は給付費の抜本的削減を図ろうと要支援者を介護保険から外して新総合事業に移行させることや特養ホームへの入所を要介護3以上に限定し、さらに、一定の所得者の補足給付の制限を行いました。今後、要介護1・2の在宅サービスの抑制やすべての介護サービス利用者の利用料を2割とするなど、大幅な給付抑制や負担増などの制度改悪が進めようとしています。
 本市は、このような高齢者の老後の暮らしを脅かし、生きる希望を奪うような制度改悪に追随せず国にその中止を求め、本市独自で出来る最大限の横出し上乗せサービスを実施すべきです。 
 市は平成29年4月に開始する新総合事業に向け、地域の社会資源やボランティア支援の可能性などの把握に取り組んでいますが、要支援者への介護サービス抑制とならないよう強く求めておきます。
 また、特養老人ホームの市内待機者は現在1232人、市当局は、3年間で250床の増設計画にとどめています。特養待機者ゼロにつながる増設計画に改め、要介護1.2の人も含め、高齢者が行き場を失い、介護難民にならないよう対策を強めることを求めておきます。

 さらに、サービス利用限度額に対する利用割合は、平均6割程度で推移しています。「介護の必要性」ではなく「いくら払えるか」でサービスの内容を決めざるを得ない実態があり、「保険あって介護なし」の状況を根本的に変えていくことが必要です。利用料の2割負担の導入や、「補足給付」のさらなる縮小などは許せません。低所得者の利用料を減額・免除する制度をつくり、経済的な理由で介護を受けられない人をなくすことや施設の食費・居住費負担の軽減をすすめ、自己負担から保険給付へと戻すよう国に求めるべきです。
 また、給食サービスや緊急通報装置貸出事業、さらには、こんにちわごみ収集の事業予算を抜本的に増額し、利用対象者の制限を緩和し、元気で地域で暮らし続けられるように支援すべきです。制度を充実すれば、医療費や介護給付費の抑制にもつながります。
次に議案108号、平成27年度前橋用地先行取得事業特別会計および、議案第109号、平成27年度前橋市産業立地推進事業特別会計についてです。

ずさんな事業計画によって用地買収し造成した五代南部工業団地やローズタウンの住宅団地が計画通り分譲できず、一昨年の4月に前橋工業団地造成組合が事実上経営破綻し解散しました。解散した後は、資産と負債を受け継いだ前橋市が、累積した組合債の穴埋めに多額の市財政をつぎ込まざるを得なくなりました。この負の教訓を十分総括しないまま、五代南部工業団地を引き続き拡張していることを認める事はできません。
さらに企業立地促進条例によって、市内中小企業だけではなく、内部留保金を積み増して、資金力のある市外の大企業にまで各種助成を行い、企業誘致を促進する本市の産業政策には賛成できません。

 最後に議案110号、前橋市水道事業会計および議案111号前橋市下水道事業会計についてです。

 市民生活に不可欠な飲み水に消費税を課税すべきではありません。また水需要が減少しているにもかかわらず県央水道からの受水を総配水量の54%も続けて本市の豊かな地下水の利用を抑制していることは税金の無駄遣いであります。本市は昨年度、県に対して受水料を19億円も支払っています。県央水道の受水単価は本市の自己水の2倍も高くなっており、今まで通り高い水道を県から買うことは本市の水道経営を困難にし、今後の水道料金の値上げにつながりかねません。他の受水自治体とともに群馬県と交渉し、受水契約を見直すべきです。
 また、生活困窮者、生活保護世帯を含めた水道料金の滞納世帯まで機械的に給水停止を行っていることは問題です。今、貧困と格差が広がって暮らしが大変苦しくなっている中で、セーフティーネットである水道まで止めてしまうことは、餓死者や孤独死を生む原因になりかねません。ライフラインである水道水の給水停止は、滞納世帯の生活実態を十分把握した上で、払う能力がありながら悪意で払わない人に限定すべきです。
低所得者対象の上下水道料金の減免制度を創設するとともに、福祉部局とも連携を深め水道料金滞納者の支援策を講じる立場に立つようを求めます。
 また、水道施設の管理を民間営利企業に委託していることは、安全性確保の上でも、水道技術の継承の上でも認めることはできません。命にかかわる水道水を安全かつ安定的に供給するという水道事業の性格を考えても、本市による完全な直営に戻すべきです。

 以上、9議案に対する反対理由を申し述べまして、反対討論と致します。

ページのトップへ