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議員団紹介 長谷川薫 議員

2017年第4回定例会本会議代表質問(11月29日・長谷川薫議員・第7次総合計画について)【2017/12/20】

        2017年第4回定例会本会議代表質疑【共産党市議団・長谷川薫】

日本共産党前橋市議団を代表して質問いたします。

(1)第6次総合計画の総括

最初に、前期総合計画をどのように総括され、第7次計画に反映されたのか5つの角度からお聞きします。

第1に、合併した旧町村のデマンド交通や全市域対象のマイタク運行、さらには、アーツ前橋や元気21内の子ども図書館やプレイルームは市民に大変喜ばれています。水道料金も平成18年から据え置いています。7次計画でも、このように市民ニーズにこたえた事業を継続し充実させようとされているのでしょうか。

第2に、人件費を減らすために学校給食の調理や図書館窓口、水道施設や市営住宅管理、温泉などの健康増進施設等を営利企業も含めて民間委託や指定管理者導入を進め、市立保育所の民営化も決めています。本来は直接公務員が提供すべき行政サービスを切り捨てる「地方行革」をこれ以上広げるべきではないと考えますが、見解をお聞かせください。

第3に、中心市街地の活性化の成果が上がっていません。その最大の原因は、大型店の郊外出店を放任し、けやきウォークや南部拠点地区や旧前工跡地への出店を誘導し、さらに今後も日赤移転跡地や新道の駅にも物販機能を求めているからではないでしょうか。中心街で一過性のイベントを繰り返しても賑わいは取り戻せません。大型店の誘導策を今後も推進されるのでしょうか。

第4に、「自主財源確保」のかけ声のもと、生活苦や経営難で市税や国保税を滞納せざるを得なくなった人に対する、市当局の無慈悲で強権的な差し押さえが続いています。給与や年金の生計費相当部分や児童手当などは、本来、法律で「差し押さえ禁止財産」となっていますが、銀行に振り込まれた瞬間から「金融資産・預金債権」と扱って、しばしば問答無用に全額差し押さえています。憲法25条の最低限の生存権まで奪う全国的にも異常な差押えの乱用をやめ、滞納者の生活実態をていねいに把握して、分納による自主納付や執行停止などの納税緩和制度で救済すべきです。市長の公約でもあります。市行政への信頼を取り戻すうえでも行き過ぎた収納行政の改善が求められていると思いますが、見解をお聞かせください。

第5に、旧勢多郡町村の合併後の10年間に、宮城・大胡・粕川の保健センター・大胡農村改善センターが廃止され、支所機能も大幅に弱めました。文化協会や体協などのスポーツ行事、さらには地域の花づくりなどの地域活動に対する補助金が削減廃止されました。新市建設計画に基づく幹線道路の整備等は進みましたが、旧市との制度統一や施設の統合という方針の下で、旧町村時代の住民福祉が次々と後退しています。中山間地を抱える旧勢多郡地域への独自の支援策を次期計画で復活すべきではないでしょうか。以上それぞれ、答弁を求めます。

(2)ビジョンと将来都市像

 次は、ビジョンと将来都市像についてです。ビジョンが「めぶく」となったのは、昨年の夏に、ドイツのコンサルタント会社や前橋出身の実業家・田中仁氏やコピーライター・糸井重里氏などが「前橋市には誇るべき特徴が何もない。ゼロからの出発が必要」と述べ、「めぶかせるエネルギーを市民は持っている」という主張に、市長が同調して決められたビジョンです。
 当局は「『まちの誇りを受け継ぎ磨き育てる』想いが込められている」と説明しています。しかし、戦後72年間の営々とした前橋市民のまちづくりの努力を軽視して、何もないから新しく芽吹かせるという印象を受ける理念を総合計画に掲げることは、上から目線の態度ではないでしょうか。
 前橋には全国に誇れる特産品や新たに光を当てた歴史遺産が少なく、最大の観光資源である赤城山の振興策に十分成功していないことも事実ですが、それは市民に責任があるのではなく、農業振興策や文化観光行政など市政運営の弱さの結果です。
将来都市像の「新しい価値の創造都市・前橋」も抽象的で分かりにくい方針です。しかも市長は、「ないものねだりをせず今あるものを磨くべき」と述べながら、今ある3か所の道の駅を磨き充実させず、全国的にも異例な市内4カ所目の道の駅、しかも北関東最大規模の箱モノを整備しようとしています。
 市民は「身の丈に合わない大きな施設の整備」を求めていません。大多数の市民の切実な願いは、都市間競争に勝つことで大企業誘致でもなく、子育てや医療・介護などに係る将来の不安の解消ではないでしょうか。
 ビジョンは「安心」とか「希望」の方がふさわしく、将来都市像も、これまでの「生命都市生き生き前橋」のように、少子高齢化が進む市民の暮らしを支え暖かく応援する都市像に変えるべきと考えますが、見解をお聞かせください。

(3)教育・人づくり

 次に、教育、人づくりです。いじめを苦にした子どもの自殺や登校拒否、過労死ラインを超えた教員の長時間労働は本市も例外ではありません。学校統廃合の理由づけの主体性や社会性を強調するのではなく、未来を担う子どもたちの人格形成と基礎学力を身につけて自立していくことを励まし支える教育の充実こそ総合計画に位置付けなければなりません。
 ところが計画は、「全ての子どもが自分の力を伸ばすことができる教育環境を提供します」という具体性のない方針となっています。
現場教職員や保護者からの強い要望である「小中全学年での30人学級」は明記されず、特別な支援が必要な子どもや授業を支える臨時教職員配置を優先し、30人学級は国や県の動向を見守るという消極的な態度です。来年度から県教委が6年生の35人学級を実施しますが、市教委として30人学級をめざす年次計画を明確に掲げるべきです。
また、権力的な統制や管理教育の拡大につながる教員評価制度や、競争教育を助長する全国一斉学力テストを中止すべきです。
 さらに、食育の重要性に逆行する学校給食の共同調理場の民間委託をやめて、地産地消をいっそう強めるとともに、憲法26条の義務教育は無償の立場から、渋川市やみどり市などの県内の実施自治体に学び、小中の給食費完全無料化を計画に明記すべきです。就学援助制度は、父母負担が多くなる新入学時の学用品費の支給時期を入学前に前倒し支給すべきです。また国が給付を認めているPTA会費や部活費用などを支給対象に加え、経済的な理由による教育環境の格差を解消する等の計画とすべきです。答弁を。
 
(4)結婚・出産・子育て

 つぎに、結婚・出産・子育てについてです。計画には、人口減少の原因の記述が何もありません。いま、若者の2人に1人は派遣やパートなどの非正規雇用です。低賃金でいつ解雇されるかわからない不安定雇用です。正社員であっても世界でも異常な長時間労働を強いられています。労働者を心身ともボロボロに使い捨てる「ブラック企業」も若者たちの未来と希望を奪っています。妊娠・出産した女性の多くが職場を離れる現状も改善されていません。安定した雇用がなければ、地方移住も進まず、出会いの場を行政が提供しても、安心して結婚し子どもを産み育てることもできません。政府の労働法制の規制緩和に反対し、非正規雇用の正社員化の支援やブラック企業の根絶策などの市独自の方針を、未満児保育や学童保育の充実などと合わせて、この項目に掲げるべきです。答弁を。

(5)健康・福祉

 つぎに健康・福祉についてです。計画では、地域包括ケア体制の構築を強調しています。「日常生活圏域」の中で、保健・医療・介護・地域が互いに連携しながら切れ目なくサービスを提供し、高齢者が年をとっても住み慣れた町で暮らし続けられるようにしていくことは大変重要なことです。
 そのためには、本市のように病院や開業医などの医療基盤が整っていても、24時間訪問診療や看護ができる体制整備が必要です。現状では大変遅れている在宅高齢者支援の24時間訪問介護と合わせて、市の高齢者政策として地域包括ケアの項目に、24時間訪問診療・看護・介護体制の確立を明記すべきです。見解を。
また、特養に入れない高齢者の受け皿として、サービス付き高齢者向け住宅が急増しています。本市でも、サ高住が29カ所設置され、ほぼ寝たきり状態の要介護5の方を含め要介護認定された高齢者が多数入居しています。特別養護老人ホームは入所高齢者3人に1人の介護職員の配置が義務付けられていますが、サ高住では、安否確認の職員が1人以上で設置が認められ、職員配置の明確な基準が義務付けられていないため、介護職員不足の結果、高齢者の骨折や打撲などの事故が発生しています。低所得の高齢者は、部屋代と食事代だけで月額約10万円かかるサ高住などには入居できません。サ高住や有料老人ホームを不足する特養の受け皿とせず、24時間の介護が保障され費用負担が相対的に軽い特養ホームの増設の方針を明確に計画に書き込むべきです。答弁を。

(6)産業振興

 つぎに産業振興についてです。外需頼み、呼び込み型の経済対策では地域経済の真の活性化につながりません。市外の大手ゼネコンが受注する大型開発や大企業呼び込み型の産業振興策ではなく、市内の90%以上を占める中小企業の仕事と雇用が増え、お金が地域に循環する振興策が必要です。
 数多くの中小企業が高い技術力と多種多様なものづくりで活躍する東大阪市や東京都墨田区では、総合計画の重点政策に中小企業・零細企業振興を掲げています。法人関連税収を増やす中心を担うのは、従業員5人以下の小規模企業者である町工場のような製造業、商店街、技能職、市場の仲卸業者、そして若者が立ち上げるベンチャー企業などです。事業承継や安定的な雇用の確保等の中小企業振興策を計画に明確に方針化すべきです。見解を。

 また、市内企業の製造品出荷額や商品売額、さらに市民所得もほぼ10年間横ばいもしくは下落傾向で市税収もほとんど増えていません。地域経済活性化というなら、本市の中小企業振興ビジョンを生きたものするために、総合計画において、県内でも多くの自治体が継続し、市民生活・地域経済に根差した経済波及効果の高い住宅リフォーム助成制度を創設する方針を掲げるべきです。見解をお聞かせください。
 
 次に農業振興策についてです。
本市農業は、経営耕地面積・総産出額・農業所得はともに減少し続け、厳しい経営を余儀なくされ、担い手も減り高齢化がいっそう進んでいます。
 ところが政府は、農産物の自由化に道を開くTPPや日欧EPA及び日米FTAなどの経済連携協定を推進し、来年度から米の生産調整に伴う直接支払交付金の廃止を決めています。本市の農業産出額の中心を占める酪農や肥育、養豚などが大きな打撃を受ける国の自由化政策に反対の立場を計画に明示すべきです。
 また、市独自のコメも含めた農畜産物の価格保障制度の充実や国の新規就農者への給付金制度の上乗せ支給など支援方針を計画に明確に掲げるべきです。
また、遊休農地対策として、農地の流動化支援だけではなく、小規模農家にも農業機械の導入助成を行うとともに、反当りの収量が少ない中山間地の営農支援策として、収穫量に応じた作物の販売額の補てんや種苗購入費などの助成を計画に盛り込むべきです。見解を。

(7)シティープロモーション

 次にシティープロモーションについてです。本市の最大の観光資源の赤城山振興策が不十分です。群馬県とも連携し、自然や景観を保全しながら、赤城大同地区に宿泊施設や地場産の農畜産物を食材にしたレストランなどの整備を進め、赤城山頂でゆっくり滞在できる魅力ある観光誘客策を計画に明らかにすべきです。見解をお聞かせください。

 また、スローシティの取り組みは、赤城山麓を中心とした観光振興とともに、小規模農家も大規模農家も対象とした多面体的な農業支援方針を掲げるべきです。県内には、みなかみ町の「たくみの里」や川場村の「道の駅」など、地元農産物に付加価値をつけて特産品を次々と開発し、観光と農業振興を結び付けて成功している事例があります。計画にスローシティの展望ある取り組みを方針化すべきです。答弁を。

また、市民も首都圏のお客さんも、日常の生活や喧騒を離れて赤城山の大自然とゆったりとした農業地域で時間を過ごし、市街地では、買い物や食事を楽しめる生活体験を通じてリフレッシュできるという前橋の魅力を売り出すためには、その担い手の小売店など小規模事業者を元気にしなければなりません。ところが、大型店に押されて、商店ではどこでも売り上げの減少、経営者の高齢化などの課題に直面しています。大型店では応えきれないきめ細やかな顧客サービスの提供によって、高齢者も含め多くの世代が集まる商店街なども地域のコミュニティの核として、地域の社会経済にとって大切な役割を果たしています。商店リニューアル事業を全市域で実施する方針を計画に盛り込むべきです。見解を。

(8)都市基盤

 次に、都市基盤についてです。住民が公共交通や自転車などを利用して、公共施設や医療・福祉施設や商業施設にアクセスしやすいコンパクトなまちをつくることは今後のまちづくりに不可欠な視点です。ところが政府が人口減少対策として打ち出した「地方創生」事業は、周辺都市や地域拠点間を結ぶ幹線道路の整備や中心部や駅周辺の再開発事業を自治体に求めています。その結果、公共施設等の「集約化」などで住民が暮らしている「周辺地域」の過疎化や衰退をますます加速させています。策定中の立地適正化計画は、このようなまち壊しが進まないように、住民合意で慎重に策定すべきです。見解を。
また、本市も生活道路や市営住宅・上下水道などの既存の社会資本の老朽化が進行しています。このような中で、26階建ての複合ビルを建設する前橋駅北口再開発事業などの新規の大規模再開発事業を推進していることは問題です。民間開発事業者任せにして多額の補助金を支出せず、できる限り事業規模を縮小し、市が責任をもって事業計画を策定すべきです。答弁を。
 
 さらに、国は自治体の公共施設の縮減を強力に誘導しています。住民の利益に反する統廃合を行わず、住民合意のもとで維持管理などの対応に必要な財源を保障すべきです。また、学校など公共施設の跡地活用は、地域コミュニティ活性化の核になるものであり、安易に民間営利企業に売却・定期借地などの貸し出しをせず、住民が望む公益的施設への転用を優先し住民の声をていねいに聞いて利活用を図るべきです。見解を。
土地区画整理事業は、高い減歩率と事業の長期化によって地権者にも市民にも負担と日常生活上の不便をもたらす側面を持っています。区画整理事業の市内10カ所もの同時施行をやめるとともに、元総社落合地区のように立地適正化計画と矛盾する新規事業の立ち上げをやめるべきです。
 狭隘道路や通学路の拡幅や安全対策などは、面的整備の区画整理事業を画一的に選択せず、用地買収や公共用地の先行取得による等価交換などの手法を使い、国の補助金を得られる街路整備事業等で生活道路をできる限り短期間に整備して住民要望に応えるべきです。見解を。

(9)行財政改革

 最後に、行財政改革についてです。本市の職員数は現在3571人ですが、そのうち再任用・嘱託・臨時などの非正規職員が合わせて955人で、全職員の36.5%、3人に1人が非正規職員です。結果として、正規職員の業務が過重となり、本来市が行うべき計画策定や調査研究業務が外部委託化されています。これ以上の職員削減や業務の民間化は、自治体としての責任を持った施策展開も市民サービスの質の向上も望めません。
また、公務労働を担う非正規職員の低賃金賃金が、結局は民間の賃金引き下げにつながり、それを口実にまた公務員の給与も下がるという、負のスパイラルに陥っています。
各部・各課に非正規職員を定数化してこれ以上増員せず、水道や学校用務員など技能労務職関係業務の退職不補充を改め、ただちに新規採用を再開すべきです。答弁を。

 また、今後実施を計画している税証明や市民課証明交付窓口、斎場管理や職員研修業務の民間委託化や、市立保育所や共同調理場の民営化、さらに3年ないし5年ごとに公募を繰り返す指定管理者制度は、安定した運営や専門的な技術の蓄積や継承、さらには雇用する労働者の労働条件の改善は不可能です。指定管理者制度の拡大はやめ、やむを得ず選定する場合にも民間営利企業ではなく、社協や公社などの公的外部団体にとどめるべきです。低賃金で市の仕事を担う官製ワーキングプアを、市自らが大量に生み出す行革路線とは決別すべきです。答弁を求めます。以上で1回目の質問といたします。



【第2質問】 

 答弁をいただきましたが、残念ながら計画を見直す前向きな答弁はありませんでした。
今後、前橋市も少子高齢化による税収減や国の交付税の縮減による財源不足、さらには都市施設の補修や扶助費の増加などという中で、難しい市政運営を余儀なくされるという点では、私たちも市長と同じ認識です。だからこそ、選択と集中というなら、身の丈に合わない大規模な開発事業をやめ、子育て支援や高齢者支援、老朽化した道路などのインフラを改修し長寿命化するなど、市民や中小企業を支える市政への転換が求められているのではないでしょうか。
ところが、10年先、20年先を見据えた第7次総合計画は、全体としてあまりにも具体性がなく抽象的です。例えば、学校給食の完全無料化や小中全学年の30人学級とか、特養老人ホームの待機者ゼロなどについては、少なくとも、段階的に進め必ず実現するなどの決意を示すべきではないでしょうか。国や県の動向、県内の他自治体の動向を見ながら、スマイルプランや教育振興計画などの下位計画で検討する等というあいまいな態度は問題です。
 なぜ私たち市民が納得する総合計画にならないのでしょうか。それは、市長や幹部職員が市民の暮らしの実態を直視しようとしていないからだと思います。私が、様々な市民の暮らしの指標を当局に求めましたが、把握がたいへん不十分です。
例えば、市内の労働者約12万人のうち、非正規で働いている方は4万5千人で、3人に1人という数字はつかんでいますが、そうした不安定雇用の若者が、結婚しているのかどうか、実家同居で親の援助を受けながら自立できないままなのか、結婚してはいるが、子供はいるのかどうか、年間所得はどうなっているのかなどの実態をほとんど把握していません。国の全国的な調査では、若者の二人に一人が非正規で、年収200万円以下のワーキングプアと言われています。
ワークショップや市民アンケートだけでは不十分です。施策検討に向けて、目的を持って市自らが各各階層・分野の市民の暮らしぶりの実態把握をすべきです。高齢者の暮らしの不安、小規模事業者の経営の不安、市民の深刻な暮らしの実態を行政が正確に把握してこそ、総合計画が生きた計画、実効性ある計画となるのではないでしょうか。

 私は、今議会冒頭の市長の総合計画の説明に、市民の暮らしや切実な市民の声に真摯に向きあおうとする姿勢や市民の願いに答えようとする熱意を感じられませんでした。
しかも、市長は、市政運営に地域経営を強調し、計画に掲げられた全ての施策推進について、「市民と企業団体と行政の役割」を明確に区別し表で示しています。そこだけは具体的です。市民には受益者負担の立場からの自助や互助・共助を求め、企業には公的分野への進出・ビジネスチャンスの可能性を示し、「官民協働」の名のもとに市行政はその不足分を担うという消極的な計画となっています。
そもそも、私企業は利潤追求を放棄してまで、社会貢献を優先することはありえません。製造業でも大型商業施設でも、赤字経営となれば撤退することは、本市でも経験済みです。企業を過大に評価し期待して、市政運営をすることは誤りです。自治体の最大の責務である「住民の福祉の増進を図る」ために全力を尽くしたうえで、市民や企業に協力を求める、あるいは企業や団体の独創的なアイデアを大事にして、最も大事にしなければならない自治体の基本は、市民の意見に耳を傾けて市民要求にできる限り応える態度ではないでしょうか。
教育や福祉、公共交通など市民の切実な要望などに応える施策は、スマイルプランや交通網形成計画などの下位計画に委ねず、総合計画に基本方針を盛り込むなどの見直しをすべきと考えます。答弁を求めます。

 また総合計画には、平和に関する記述や国政についての態度表明が何もありません。
今、安倍自公政権は、秘密保護法(2013年)から、集団的自衛権行使容認(2014年)、安保法制いわゆる戦争法の(2015年)強行など立憲主義を無視し、数の力で強行採決を重ね憲法尊重擁護義務を負う自らの責任を放棄し、「海外で戦争する国」づくりへ暴走を続けてきております。
そして安倍首相は、憲法9条に自衛隊を明記する改憲案を打ち出しました。首相は「ただ自衛隊の存在を書くだけで何も変わらない」と説明しています。しかし、自衛隊が明記されれば後の項が優先され、9条2項に「戦力は保持しない、交戦権を認めない」という条項が死文化し、自衛隊を保持することが優先します。
 9条の命は9条の2項です。この項があったからこそ、戦後、自衛隊は一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してきませんでした。2項が、海外派兵を阻む壁となって立ちはだかってきたのです。2項がなくなったら海外での無制限の武力行使が可能になってしまいます。
総合計画に、平和都市宣言をしている前橋市として、「憲法を守り生かして平和であってこそ市が安心して暮らせる前橋市のまちづくりができる」、旨の記述があっても良いのではないでしょうか。
 以上、?市民の暮らしの実態把握が弱い、?自治体は地域経営や市民の共助・自助の強調ではダメなのではないか、?平和行政の推進を計画に掲げるべきの3つの質問の答弁を求めます。


【第3質問】

 市長は、私の代表質問に、木で鼻をくくったような答弁でした。
総合計画の価値観の多様性を認めあう趣旨の文章が書かれていることが空疎に思えます。
 私は、市民のいのち・暮らしを守り、支えることを第一に考えて税金の使い方を変える。大規模道路やハコ物などの大型開発よりも、福祉や子育てを優先してほしいという、市民の願いに寄り添う市政へ舵を切るべきと提案しているのです。
企業や団体の皆さんの声はていねいに聴くけれど、懸命に額に汗して働きささやか、ささやかな年金で暮らす市民のつぶやきには背を向ける。そうした態度は慎まれた方が良いと思います。
 現市政に批判があることを真摯に受け止め、市民の思いを丁寧にくみ取って総合計画に示していただきたいと思います。それこそが、市政を預かる舵取り役の役目だと思っております。そうした幅広い懐を持っている市長だと期待もして私の質問や要望をしているわけです。

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